平成25年9月2日知事会見記録

ID番号 N12168

(平成25年9月2日10時30分~10時59分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事、お願いします。

知事
まず最初の発表事項は、「若者と女性の活躍を推進する体制の強化について」。東日本大震災津波からの復旧・復興が進む中で、現在も多くの若者や女性がさまざまな形で大きな力を発揮していただいておりますが、「本県が進める復興は、震災前の状態に戻すだけではなく、復興後のあるべき姿をビジョンとして描き、その未来に追いつく復興を目指す」という考え方のもと、復興後の岩手の新たな担い手として、意欲的な若者や女性の活躍を積極的に応援し、その力を岩手の地域活性化や経済の発展につなげていく方策が必要です。
こうしたことから、このたび、若者や女性、生活文化、国際交流、新しい公共などに関わる政策形成に関し、専門的な見地から助言や提言を得るため、非常勤特別職として、政策地域部に「企画参与」を設置するとともに、若者の活躍支援について部局横断的に検討し、全庁的な取組を推進する「特命課長」を環境生活部内に設置しました。
また、今般の組織体制の強化と併せて、特に復興後の担い手となる若者がいきいきと活躍できる地域社会の形成を目指した各種施策の推進について、本格的な検討を指示しました。
これら体制強化に係る職の設置、発令は、いずれも9月1日からです。
次に、発表事項の2、「平成25年度現地復興推進会議の開催について」。「いわて県民計画」の主要課題の一つとして、県北・沿岸圏域の振興を掲げ、平成20年度から県北・沿岸地区で現地会議を開催してきました。この会議は、知事及び幹部職員が県北・沿岸圏域を訪問し、地域の持つさまざまな資源にスポットを当て、地域資源を生かした産業や地域づくりなどの振興に取り組んでいる皆さんとの意見交換を通じて、今後の県北・沿岸圏域の振興施策に生かしていくことを目的とするものです。
今年度は、県北地域の振興を進めることが震災復興、ひいては県全体の発展にも寄与するとの位置付けのもとに、6月20日に一戸町において、「現地県北振興会議」を開催しています。沿岸地域については、県全体の復興の名のもと、参集範囲を復興本部員に拡大するとともに、現地に赴いて復興の現状や課題を共有し、より迅速かつ効果的な復興の実現を強く推進していくために、「復興本部員会議」と併せて「現地復興推進会議」を開催することとしました。
会議では、現地視察や地域住民の方々と意見交換を行い、復興の課題やニーズを現地で改めて確認・検証するとともに、第2期復興計画のスタートである平成26年度に向け、新たな取組や可能性について協議することとしています。
以上です。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
それでは、ただいまの発表事項について各社から質問があればお願いいたします。

記者
「若者」と「女性」の(活躍を推進する)体制の強化なのですけれども、このタイミングで体制を強化しようと考えた理由についてと、改めて知事としては若者、女性に復興でどういう役割を担ってほしいのかということについてお聞きしたいのですが。

知事
復興計画(に基づく)実施計画を3年計画単位でやってきて、最初の(基盤復興期間である)3年計画が終わって次の(本格復興期間である)3年計画を今年度中につくるということで、年度の初めから次の3年計画を意識しながら事業を進めたりしてきたところです。岩手県としては大震災発災直後から男女共同参画的な配慮とか、それから若者に活躍してもらうということはそれなりにやってはきたのですけれども、本格復興期間という新しいフェーズに入るに当たって、改めてそこが重要だなというようなことを考えながら、県の復興委員会専門委員になってもらっている大沢真理東京大学教授から県の幹部にそういう話をしてもらったり、またジョン・ルース前(駐日)アメリカ大使が経済同友会全国セミナー盛岡で基調講演したときに、経済的な観点からではありますけれども、女性や若者が活躍できるようにしていかないとだめだというような話をし(ていただきました)。そういう中で、あと「あまちゃん」の放送も一つのヒントになっていて、やはり女性、そして若者が前に出て活躍できるような形でこそ地域振興もうまくいくし、日本を元気にするということにも取り組めるということで、そういう流れの中でだんだん年度も後半に入っていきますので、若者と女性の活躍を推進する体制の強化を、今回したということです。

記者
企画参与の設置についてなのですが、企画参与という肩書きを持つ人というのは、何人かこれまでにいらっしゃるのですか。

知事
なかったんですね。初めてです。

記者
では、女性であるということももちろん初めてになりますね。

知事
はい。

幹事社
他に各社から質問あればお願いいたします。

記者
大雨被害についてお伺いしたいのですけれども、今般の大雨被害では鴬宿やつなぎなど宿泊施設での被害も目立ちましたが、そういった方たちの中から風評被害を懸念する声も出ておりますが、県としてその風評被害に対する対策の必要性についてどのように考えているのか。また、必要であるならば、どういった方策をお考えなのかを教えてください。

知事
風評被害ということを特別に強調してやるというよりは、観光というのは岩手全体にとっても大事な分野ですので、観光関係で大きな被害を受けた皆さんが復旧を果たして、観光をまた全力で前進していけるようになるために、さまざま必要なことは何かというようなことを市、町、県、一緒になって検討しているところですので、そういう中で必要な施策を講じていくということになります。

記者
今の段階で既に何か動き始めていることとかはありますでしょうか。

知事
まず、今までにないような大きな被害を受けて、ボランティアの皆さんもたくさん集まって、泥かきからやってくださっているのですけれども、大きな被害をどう克服していくかというところが、今喫緊の課題かなということで、そこに対応しているところです。

記者
先ほど県復興局の生活再建課から東日本大震災に係る応急仮設住宅の供用期間の延長について、これまで1年延びて3年だったところが、仮設住宅が4年に延長されるということが厚生労働省から延長の承認が得られたということで、知事のこれに対しての所感をお願いします。

知事
2年間を3年間にというときもそうだったのですけれども、期限が来たら出ていかなければならないのではないかという不安を解消する意味で、よかったと思います。一方、できるだけ早く次の恒久的な住まいに移っていただかなければならないということはありますので、そこをしっかり頑張っていかなければと思います。

記者
ILCについてのお伺いなのですけれども、先日、立地評価会議の方が脊振(山地)と北上山地で、北上山地を国内候補地にという結論が出ました。知事からもコメントをいただいていたのですけれども、今後はより一層具体的に誘致に向けて、国に向けて活動が進められていく時期なのかなと思います。県としてどのようなスタンスでこれから政府、国へ働きかけていくのか、今の考えをお伺いできますでしょうか。

知事
まず、誘致という言葉は、どこに立地してもいいのだけれどもというような、例えば企業さんを岩手に引っ張ってくるみたいなときに誘致と、誘うとかという言葉を(使うと思うのですが)、誘致のユウって誘うという言葉ですよね。もう日本では北上山地、そこが一番と決まったわけですから、あとは日本政府として学者さんたちが決めたとおりに建設するかどうかというところが問題であって、誘致の問題というよりは、あとは建設の問題だと理解しています。そして、ILCというのは、国際的な科学協力事業ですので、日本政府だけではなくて、基本的に日米欧でやっていますから、アメリカやヨーロッパの政府関係者も合わせて、国際的に日本への建設を決めていくということがこれからの段取りになるので、岩手としてはその決定を後押しするような地元における条件整備ですとか、あとこの間の海外出張では私もニューヨークでアメリカにいる皆さんにILC、岩手県への建設、ご協力お願いしますという趣旨のことを言いましたし、国務省、それから米日カウンシル、そこにも行って、ILCの話もいたしまして、特に国務省、アメリカ政府に対して、正式に岩手県知事からILC建設への協力要請をしたというところもありますので、日本政府への働きかけプラス、アメリカとかヨーロッパの政府にも機会を見て働きかけていきたいなと思います。

記者
改めて国内候補地が一本化されたこと、それからILC建設への期待、知事から所感、そして意気込みをお伺いしたいのですけれども。

知事
宮沢賢治も注目していた北上山地、それが今世界が必要としている次世代の最新の研究施設に最適の地だということが分かったというのは、改めてこれは非常に感動的なことですし、岩手の未来にとってもビッグニュースだと思います。これは岩手のためのみならず、日本のため、そして宇宙や物質に関する新たな知見を切り拓くということで人類全体のためにも、岩手がどう貢献していけるかということ、やるべきことは何でもやるという覚悟で対応していきたいと思います。

記者
大雨の集中豪雨の件でお尋ねしたいと思いますけれども、まだ被害が十分に克服されていない中で、また台風シーズンですとか、これまで予想されなかったような内陸方面でのゲリラ豪雨なんかも頻発しているようなのですが、そういったこれまでになかった災害を想定した県庁内のいろんな防災の整備ですとか、対応をどのように進めていくかということを改めてお願いします。

知事
気象庁でかつて経験したことのないような大雨とかという表現について、また新しい表現に工夫していくということで、そういうことにきちんと対応していきたいと思います。今回の7月終わりから8月初めにかけての大雨に対する対応では、北上川の流量調整、国の方でやっているわけですけれども、随時その情報交換をきちんとやりながら、一時は盛岡中心市街地の仙北地域等でも洪水(の恐れがあった)という状況だったのですけれども、うまく流量コントロール、そして住民の皆さんへの情報提供もそこは的確にやれたと思いますし、あとは雫石町を中心に孤立地帯が(発生し)、また孤立者が出たのですけれども、自衛隊の出動を早目に要請していたおかげで、自衛隊がきちんと早目早目に動いて対応することができたと思います。やはり国、県、市町村が一体になって、行政がフルセットで被災に対応していくという、東日本大震災津波のときの教訓が今回にも生きていると思いますので、そういう意味では今まで経験しないような災害に対しても、東日本大震災津波のときの教訓ということ(を生かして)対応していくと、かなりの部分は対応できるのではないかと思いますけれども、まず油断なく新しい事態にもきちんと対応していきたいと思います。

記者
例えば今回これまでの想定よりもはるかに超えた雨量が降ったことで、例えばダムが越水したりとか、砂防ダムが場所によってはもうすっかり埋まってしまったままであるとか、さまざまハード面での体制の見直し等も必要になるかと思うのですが、そういったものを改めて検証するとか、そういった具体的な取組等はないでしょうか。

知事
国の方から現地視察にいらしていただいて、そのときにも話したのですけれども、いわゆるゲリラ豪雨など短期集中型の豪雨、それに伴う災害というのは、地方自治体が管理する河川や道路に非常に深刻な影響を与え、また復旧に当たっても地方自治体に負担が大きくかかるのです。まず、地方自治体として改めてそこのところをきちんと対応できるようにしていかなければならないというのがあるのですが、一方で国に対しても今まで以上に支援を手厚くしていくと、事前の備えプラス事後の被災者生活再建支援的なところとか、そういったところを厚くしていくように、やはりここも地方自治体と国とで力を合わせながら、より強力な体制をとっていくということをしていかなければならないと思います。

記者
11日で東日本大震災から2年半になります。先ほども仮設住宅の話が出ましたけれども、特に住まいの問題であるとか、被災者間の格差がまた広がっていることがあると思うのですけれども、改めてそういったことについてどうお感じになるかということと、あと東京五輪の誘致が8日ですか、あるかと思います。そのことに対して、震災五輪をうたっているということで、被災地からどのようなことを期待するか、改めてお聞かせください。

知事
復興については、1つには1人1復興とでもいうような、被災者一人一人の生活再建ということがありまして、そこは一人一人の人生設計、働き方、暮らし方に合わせてきめ細やかに対応をしていかなければならないと思っています。一方には、ふるさとの再生という孫子の代にまでしっかりと引き継いでいくことができる、より安全、より安心、そしてより豊かなまちづくりという、こういう大きい事業も、これも復興としてあるわけで、かつそこにはどうしても一定の時間がかかり、その間仮設住宅生活というのが一定の長さで必要になってくる。こういうことにまずお互い共通理解を持ちながら、またこれは海外出張でも感じたのですけれども、外国にいる岩手県人はもちろんですけれども、その国の人でありますとか、広くアメリカの草の根の民間の皆さんでありますとか、やはり今でも大震災ということへの関心、その後の復興への関心、非常に高いものがあり、今でも何かできることはないか、何かをしたいのだがという思いも強くありますので、そういう外からのつながりの力をきちんといただいていく体制をとっていくことで、長期化する仮設住宅生活ということもしっかり支えて、復興を進めていくということが大事なのだと思っております。
東京オリンピック誘致については、そういう長期化する被災者の生活ということを励ます効果が非常に高いと思いますし、また東京オリンピックの関係で日本経済全体が活性化して、被災地へのさまざまな物産、観光、あるいは経済的な支援、広く、そういった復興への力につながっていけば、といったことを期待したいと思います。

記者
知事は毎朝NHKの「あまちゃん」をご覧になっていらっしゃいますか。

知事
はい。海外出張中は録画していたのですけれども、それも一気見して追いついて、今は大体毎日見ています。

記者
きょうドラマの中でも震災が起きましたけれども、それについて一言ご覧になった感想をお願いできればと思います。

知事
当時のことをありありと思い出させるようなエピソードだったと思います。フィクションなのですけれども、当時三陸鉄道(の車両が)トンネルの中で難を逃れたというような実話をかなり正確に踏まえているところもありますし、土曜日の放送では、2日前にも大きな地震があったとか(という会話もあり)、実際に起きたことを丁寧に再現しながらフィクションとしてドラマをつくっている。そこはフィクションのつくり手としておもしろい作品にしていこうという思いの背景に、やはり東日本大震災後に初めて東日本大震災の被災地を舞台にした朝ドラをつくるということに対する物すごい真剣さというものを感じます。コメディーをつくっているのですけれども、ただそこは非常に真面目に一生懸命つくっているので、非常に訴えてくるものがあり、よく風化という話が言われるのですけれども、今「あまちゃん」が東日本大震災、そしてこれからその後の復興ということになるのだと思うのですが、これをきちっと描いてくれるということは、いわば風化を逆回転させて、当時のことを日本国民みんなに思い出してもらって、改めて日本全体として東日本大震災津波を受け止めて、そして日本全体として復興を進めようということにつながってくれるのではないかと期待しています。

記者
きょうから野田村でメディカル(・メガ)バンクがスタートします。その被災者の方々の健康状態をチェックするということなのですけれども、知事としてこのメディカル(・メガ)バンク、期待することや、今後そのメディカル(・メガ)バンクの結果を基にどういうふうに県として被災者の健康管理をしていきたいかということをお願いします。

知事
医師不足問題ということが、岩手県が大震災以前から直面する大きな課題の一つであり、医療の手が特に沿岸地方、人口の少ないようなところにはなかなか思うように届かないような、そういう悩みもあった中で、医療の手が広く深く差し伸べられるということは非常にありがたいと思っております。そういう中で、被災地の皆さんが必要としているような医療につながるようなことをメディカル・メガバンク事業でしていただければ、復興にも弾みがつき、また復興の後の岩手県というのも希望が持てるようになると思っています。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は9月17日(火曜日)の予定です。

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