平成25年4月8日知事会見記録

ID番号 N4756

平成25年4月8日10時30分から10時59分

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事からの発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
岩手県国際リニアコライダー推進協議会によるCERN視察について発表をします。4月10日から15日まで岩手県国際リニアコライダー推進協議会が、スイス・ジュネーブにあるCERNの視察調査を行います。目的は、CERNの実験環境や研究者の生活環境を調査することにより、ILCの東北誘致に向けた今後の施策立案等に役立てるとともに、日本の建設候補地の取組をアピールすることです。視察参加者は、元持推進協議会会長や盛岡市、奥州市、一関市の各市長、報道機関など35名。そして県からも上野副知事ほか職員2名が参加します。現地では、CERN要人との面談や地下の測定器の見学、現地日本人研究者との懇談、フランスのフェルネーボルテール市の視察などを予定しています。
以上です。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問事項があればお願いします。

記者
今回、推進協議会がCERNの方を現地視察されるわけですけれども、改めてILC誘致につきまして知事の期待と今後の県の取組についてお聞かせいただきたいのですが。

知事
今回、行政と民間が力を合わせてILCについて取り組んでいこうという中で、CERN視察も行われるわけでありますけれども、今年の7月にこの建設予定地を決めようということで研究者の皆さんが取り組んでおられる中で、(現在は)県としてもラストスパートという気持ちで研究者の皆さんの判断に必要な情報、データ等の提供や、またいろいろ判断の材料になるであろうことへの対処等々、しっかりやっていく時期だなというふうに思っています。

記者
民間でもこのように動きが活発化してきましたが、2月議会では県議会の方でも議員連盟ができていますが、このように活動が広がっていることにつきましては、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

知事
研究者の皆さんからも地元の熱意が大事だというふうに伺っておりますので、その意味でそういう研究者の皆さんの期待にも応えられるような動きが岩手においても進んでいると言っていいと思います。

記者
それでは、各社自由に質問をお願いします。私から質問なのですけれども、用地取得の課題についてご質問します。先日知事は国が課題解決のモデルケースとしている釜石市の片岸の視察をされたのですけれども、その用地取得で再三再四知事が要望されているのが国の制度についての手続の簡素化であるのですけれども、国からは一向に簡素化が抜本的になされていないというのが現状だと思います。それについて、視察の感想と今後の要望などについて改めてお聞かせください。

知事
復興を加速していかなければならないという中で、復興を加速するために大事な3つの柱として、人的支援、自治体の自由度が高まるような、自治体にとって使い勝手のいいような財源の確保、そして用地手続の簡素化というこの3つがあるということを県の方から政府の方に、特に今年に入って述べてきているわけですけれども、その3つが重要だということについては、政府の方もそう考えていると思います。そもそも復興を加速しなければならないということも、政府もそういう意向であります。政府の方は、この運用の改善で対応できることをどんどん片っ端から何でもやっていこうということで、それでも改善できないところがあるかということについて具体的なケースに即して判断していこうということで、それで片岸海岸防潮堤事業がそのモデルケースとなっているわけであります。県は実際やってみて、どうしてもこれがなければだめだというときに特別な措置を導入するというよりも、もう今の段階で決めた方が復興の加速につながるし、またそういう必要性は片岸のみならず広く被災地にわたってあるので、早目に決断をしてほしいというふうに言っているわけでありますけれども、ただ政府としても今回の大震災という非常事態だからといって私有財産にかかわる法律や制度を変えることはないと理念的にそう決めているわけではないので、変えなければならない必要性ということが明らかになれば変えるのだと思っております。今後は、具体的なケースに即して変えなければならないというのが見えてくれば変えるということについて、もう少し県としても実際の作業が始まる前でも必要性はわかるのではないかというような材料を、きちんと提供していくことが必要ではないかということで、そういう整理を私からも担当の方に指示しているところです。

記者
今のに関連するのですが、知事が3日に片岸に視察にお伺いされたときに私も一緒に参加させていただいたのですが、その中で釜石市長からはこのままの状態では、いつまでたっても用地取得が終わらないのではないかという話もありました。やはり知事がおっしゃられるように現場では早く特別な対策をしてほしいという声が日に日に高まっていると思います。それに対しては、国の方は常に手続の簡素化というところまでしかいっていないという現状があると思うのですけれども、この乖離については今おっしゃられたと思うのですが、具体的に片岸のケースを踏まえてどのように国に対して訴えていくことが今後重要になるのかということについて教えてください。

知事
まず、理念の問題として、今回の東日本大震災津波というのは、平時の日本における私有財産制度にまつわる法律や制度の例外を設けてもいいような事態なのだということについては、復興推進委員会で私が委員として発言する機会があれば、そういった場でも訴えていきたいと思っております。そして、そういう理念の問題から始まって具体的にこの地域で課題があり、これについては運用上の改善ではこの程度までしか(期間を)短縮できないので、やはり法律や制度を変えるべきだというような、そういう根拠づくりは、これは事務方の方できちっとつくって、またそういう事務レベルで国、県、市町村が片岸について共同作業する場がありますので、そこで訴えていくと。中間的なことで、急きょ先週土曜日に安倍総理が岩手で復興の現地視察ということがあったので、私から用地(取得)の手続簡素化も含めた緊急要望を県として提出して説明をさせてもらいましたけれども、そういう陳情、要望の機会があれば、それを捉えて行うというようなことは釜石市さんはじめ関係者と調整しながら取り組んでいきたいと思います。

記者
ありがとうございます。今知事からお話ししましたように、もう一つ、安倍総理が視察に来た際に、住宅再建を力を入れて支援していくというお話がありました。その中で、消費税率が来年4月から引き上げられるということを前提に、被災者支援として住宅ローン減税を1.5倍の10年間で最大600万円にするという話と、それから現金の給付制度創設を秋までに検討したいというようなお話がありましたけれども、住宅再建はすごく大きな課題だと思うのですが、この件について知事の評価と受け止めについて教えてください。

知事
税制というのは、非常に専門的かつ技術的なところもありまして、どの項目について何%減税、どういう人たちを対象にするとかという、なかなか県としてそういう具体的な税制改正案というのは、多分いろいろ税制をめぐる議論というのは毎年毎年あるのですけれども、具体的な税制改正の案を地方から国に出した例というのは、ほとんどないのではないかと思います。そこは非常に税制というものが専門的かつ技術的だからなのですが、ただ、復興の妨げにならないようにというような抽象度の高い形ではありますけれども、そういう要望は消費税増税に絡んで既にしているところでありまして、これは被災地、被災者の感覚というか、実態からすれば要は消費税増税がないようなのと同じような状況にしてもらえればいいということだと思うので、結果として消費税増税がないのと同じようになるということを求めていけばいいのだと思っています。

記者
そうすると、今回の安倍首相が打ち出されたものというのは十分だというか、まだやってみないとわからないというような感じですか。

知事
我々が言っているように、消費税増税がないのと同じように、そういう方向に持っていきたいという気持ちは伝わってきていると思いますけれども、ただ対象とか、税率とか、そういったところが明らかにならないと、きちっとした評価はできないのだと思います。

記者
国際リニアコライダーの件で、今回盛岡市ですとか、自治体の首長さんたちも同行して視察していくわけですけれども、県として誘致を進めていく中で、地元の自治体が積極的に果たしてほしい役割ですとか、グランドデザインを都市づくりの中で描いていく中で、これから取り組んでいかなければならない点はどういうところだと感じられているでしょうか。

知事
研究者の皆さんのための生活基盤ですね。特にというか、外国人研究者の皆さん、そしてその家族のための生活基盤というよりも生活環境整備ということですね。具体的には英語で教育が受けられる環境とか、英語で医療が受けられる環境とか、そういったところは市町村、基礎自治体のさまざまな努力と工夫が大事になってくるところだと思っています。
あとは産業関係でも、関連の企業誘致というところも市町村が頑張れる分野だと思うので、それらのことについて、全て県とも連携、協力してということでありますけれども、市町村に期待したいところです。

記者
政局についてちょっとお伺いしたかったのですけれども、先週の記者会見では平野前復興大臣の離党に関する件に関しまして、知事からまだ離党届も出される前なのでということでしたが、2日に出されまして、前の復興大臣ということと、あと政治家としての同志で自由党、民主党であった方の離党届に関しまして、どのようにご覧になっているか見解をもう一度お願いいたします。

知事
平野達男さんは、最初の選挙は自由党から、小沢一郎自由党党首の元で立候補して当選し、2回目の選挙も、これは小沢民主党代表の元での参議院議員選挙で当選をしているということで、過去2回の選挙両方とも小沢党首、代表の元で当選という貴重な存在だと思っております。ですから、3回目の選挙も小沢党首、代表の元で選挙に出るというのが自然な流れだと思うのですけれども、そうしない方向性を模索する中で居場所を定められていないということかなと思います。

記者
前大臣は小沢さん、生活の党とは一緒にとは全く考えていないというふうに断言されていますが、知事としては一緒にやりたいというお気持ちなのか、そしてその気持ちというのは前大臣の方に伝わっているのかどうか、お願いします。

知事
人的なつながりということもさることながら、同じ理念、そしてそれを実現するための政策を目指してスタートしているはずで、日本一新という言葉に込められた理念、政策、そしてその次は国民の生活が第一、既に生活が第一という理念、政策で6年前の参議院議員選挙は民主党でやっていたわけでありますから、その理念、政策はどっちも非常にいいものだったと思うし、今の日本にも求められているものだと思うので、それを実現するために党の所属とかについてはいろんなやり方もあるのだとは思うのですけれども、やはり今の日本に必要な、そしてそれが岩手のためにもなり、復興も加速するような理念、政策だと思うので、それを実現する方向で頑張られるといいのではないかなというふうに思っています。

記者
別の件でもう一つお願いしたいのですけれども、NHKの朝の連続ドラマで久慈市を舞台にした「あまちゃん」が始まりまして、1週間がたちました。初回の視聴率は大変好調だったというふうに伺っております。この番組へのご覧になっての感想を、そしてあと観光への期待や地元経済への期待などがありましたらお願いいたします。

知事
まず、ドラマとしてすごくおもしろいですね。このおもしろさは、失礼な言い方になりますが、予想以上のおもしろさでありまして、これはすごいなというふうに思っています。ツイッターで「あまちゃん」と検索しますと、おもしろかったとか、あそこがよかった、ここがよかったとか、そういうツイートがものすごくたくさんどんどん書き込まれていまして、まず岩手としてはこれは盛り上がっていけると思うし、全国的にもかなりブームになるのではないかなということを期待しています。物語はフィクションなのですけれども、描かれている地理的背景や歴史的背景というのは、ほとんど事実ですので、あのドラマをしっかり見ていただくことで久慈市を中心とする県北、さらには岩手全体の実態というものとプラス地域資源、そして人情豊かな魅力というものをかなり感じてもらえると思っておりまして、大いに期待したいと思います。

記者
先週土曜日、小沢一郎生活の党代表が来県されまして、そこで選挙協力について、民主党も候補がいなくなったので、もし力を合わせてやりたいということであれば柔軟に話し合いたいと発言されました。知事は、例えば民主党との選挙協力等について、現状の情勢も鑑みながらどのようにお考えでしょうか。

知事
今度の参議院議員選挙について、海江田代表が岩手に来られたときに、岩手選挙区では生活の党に協力してもらいたいとおっしゃっていましたので、まず海江田代表や民主党の幹部の皆さんとしては、岩手選挙区では生活の党と連携してやりたい、その方がいいという考えが基本的にあるのだと思います。去年の夏、3党合意で消費税増税を決めるということから日本政治は異常な時代に突入してしまい、そういう異常な政治の中で去年12月の衆議院議員選挙もあって今に至っているのですけれども、民主党としてもそういう異常な政治状況をつくり、また異常な中で大敗を喫した、そういう民主党のあり方を変えていかなければならないという思いがあるのだと思いますし、生活の党は生活の党で国民の生活が第一という理念、政策を守るために、去年の衆院選に向けていろんな工夫をしていたわけでありますけれども、その両者の思いが一致して協力するということであれば、これは大変結構なことではないかと思います。

記者
基本的には、そのような理念であったり、政策であったりというものがおおむね、もしくはその一部で一致する必要があると思うのですけれども、そういった現在の民主党、一度はたもとを分かった民主党と生活の党に合致する、そういう政策、理念等があるというふうにご覧になられていますでしょうか。

知事
去年の夏から12月の衆院選にかけての民主党というのは、とにかく消費税増税が第一、あとTPPもやるぞということで、そして消費税増税を推進するためには自民、公明とも連携してやっていくのだというようなスタンスだったのですけれども、今はそういう消費税増税のために自民、公明と連携しようという感じではないですし、むしろ慎重姿勢、TPPに対しても慎重姿勢になっていると思いますので、そこは生活の党のスタンスに近づいているのだと思います。

記者
きのうの階猛県連代表は、改めて生活の党との連携を明確に否定されましたけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。

知事
そこは去年の夏から12月にかけての異常な民主党のあり方、異常な日本政治の状況というものの中の論理だけでものを決めるのではなく、もっと、そもそも民主党というのが何を求めてできたのか、何を求めて自由党と一緒になったのか、そして何を国民に訴えて政権を取ったのかという、そういうところまで遡って考えれば、いろんな考え方も出てくると思います。
あまり反小沢的なところを強調すると、民主党、生活の党が協力して勝てる体制をつくるということに背を向けて、自民党が有利になりますし、だからそういう反小沢、親自民的な流れの中で平野達男さんが当選することを実は目指しているかのように見えるところもあると思います。民主党岩手県連の中には平野達男さんを応援したい、一緒にやりたいという人もいると報道で伺っておりますので、あまり生活の党と一緒に勝てる体制をつくっていくということに背を向けていると、民主党で(候補者を)立てるというのは、それは形の上だけで、実は平野達男氏や自民党に有利なふうにしようとしているのではないかという疑いを持たれてしまうと思います。

記者
今の選挙協力の最大のネックになっている部分というのは、やはりそういった反小沢、親小沢のそういった対立という、そういうところでご覧になられていますでしょうか。

知事
それぞれが何を目指すかによるわけなので、自民党の下でしっかり消費税を増税してもらおうとか、TPPも推進してもらおうとか、あと憲法改正にも協力しようとか、そういうことで自民党に近いようなスタンスを取りつつ、それに反対している生活の党と組まないというのを、それが理念、政策としていいことなのだと思っていれば、それは小沢一郎という人のことと全然関係なく生活の党と組まないという結論は出るのだと思いますので、さすがにそういう人間関係次元で政治を決めるような人たちが岩手においてしかるべき政治的立場に就いているとは思いたくないので、理念、政策的なところの調整が課題なのかなと思っております。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は4月15日(月曜日)の予定です。

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