平成25年5月13日知事会見記録

ID番号 N4750

平成25年5月13日10時30分から10時58分

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
きょうの発表は、平成25年度県勢功労者についてです。県勢の発展に多大な功労があり、その事績が極めて顕著であって県民の模範となる方々を県勢功労者として昭和55年度から顕彰しています。本年度の県勢功労者については、先に県内各界の代表の方々で構成する県勢功労者顕彰選考委員会にお諮りした上で、このほど決定しました。
本年度の顕彰は、岩手県建築士会会長等として本県建築産業の発展に貢献された久慈次男様、盛岡市教育委員会教育長等として本県教育の振興に貢献された佐々木初朗様のお二人といたしました。
表彰式は5月27日月曜日午前10時半から知事公館において行います。ちなみに、この表彰式、5月25日が今年は土曜日なので5月27日なのですけれども、5月25日というのが岩手県が今の形になった日でありまして、1876年、明治9年に岩手が今の形になり、今年は137周年ということになりますが、その日を記念して県勢功労者表彰の日としているものであります。
以上です。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
それでは、ただいまの発表事項について各社から質問があればお願いします。

記者
知事からそれぞれ表彰になるお二人に所感とか印象とかございましたらお一言ずつお願いいたします。

知事
長年にわたってそれぞれの分野で大変お世話になっております。また、東日本大震災以降も建築の分野、教育の分野それぞれ大事な分野でありまして、後進へのご指導をはじめ、ますますのご活躍を期待します。

幹事社
他に各社から質問があればお願いします。
いいですか。
今、円安傾向が進んでおりまして、けさは1ドル102円台までいったようですが、このことが県内経済に与える影響についてどのようにお考えかお聞かせください。

知事
いろいろ輸出産業で有利になる面もあれば輸入にいろいろ頼る分野ではマイナスになる等々、さまざまあると思います。そういう意味で、今の政府のマクロ経済政策、特に金融ですね、日銀の緩和策と政府のマクロ経済政策が相まってこういう円安になっているわけですので、そのデメリットを補うような政策を積極的にしてほしいというふうに思います。
具体的には日銀の金融緩和でどんどんお金が日本国内に余ってきていて、それで1円当たりの価値が低くなるという円安が起きているわけですけれども、増えている円をそれが株などの投機にばかり流れるのではなくて、ちゃんと実のある投資につながるように復旧・復興に必要な予算をきちっと確保し、それがきちっと実のある事業につながっていくようにしていただくこと、また国際リニアコライダーを日本に建設するということも今どんどん増えているお金を実のある事業の方につなげて、そして地方から経済・社会の活性化を図っていくということにもつながると思いますし、民間企業のさまざまなイノベーションにもつながって円安のデメリットを補っていく効果は非常に高いと思いますので、そういう工夫をどんどんしてほしいと思います。

幹事社
有利になる面もあればマイナスになる面もあるということでしたけれども、マイナスになる面として、特に県内で注視していきたい部分というのはどんなところでしょうか。

知事
政府の政策によっても違ってくるところですし、またいろいろ実体経済の動きによって違ってくるところだと思いますので、まずそういった全体を注意して見ながら、さまざま担当のところで把握する問題点について的確に対応していければと思います。

記者
復興に関して伺います。震災から2年2カ月が経過しました。まずは、この時点での復興の進捗について知事の今のお感じになっているというか、率直な今現時点の状況についてどう受け止めていらっしゃるか教えてください。

知事
先週は釜石に行って企業関係の皆さんを中心に現場を視察したり、また意見を伺う機会があったのですけれども、グループ補助金なども活用して事業の再開がどんどん進んでいるということと同時に、人手不足の問題や、また域外から人を雇う場合、新しく引っ越してくる人が住む場所、住居の問題等、ある面で新しい課題が見えてきているということと、発災直後からの構造的な課題がかなりの壁として大きく立ちふさがってきているというようなところもあり、やはり2年2カ月経ったその段階、段階に応じた復興の課題をきちっと把握して、そこに対応していくような施策を進めていかなければならないと改めて思いました。

記者
それで、住宅再建についてちょっと伺いたいのですが、先週も大船渡市の方で自力再建に関して支援策を拡充するというような動きもありまして、市町村独自でそういった動きが出ていますが、それについてどのようにお感じになっているかというのが1点と、それから県でも独自支援をやっております。それで、住宅再建に関しては公営住宅、後々の行政の維持管理の負担などを考えた場合に持ち家再建の方をより手厚くする方がいいというのは、よく学識者などからも声としてありますけれども、今後県としてもさらに拡充のお考えとか、あと今は最大300万円の国の再建支援金の拡充の要望とか、そういった動き、これからどう働きかけしていくお考えはあるか、そのあたりお聞かせください。

知事
およそ4万人の人たちが住むところを失って仮設住宅等で生活されているわけです。その中には、とにかく一日も早く仮設住宅を出てきちっとしたところで生活したいという方もいれば自分たちの新しいまちづくり、これは時間をかけても孫子の代にきちっと残すことができる安全で暮らしやすいまちづくりをしっかりやっていかなければならないという方々もいます。そうしたさまざまな地域事情や個人個人の人生設計の中で、ある面では市町村主導できめ細やかな住宅建設が必要になりますし、ある面では県がスピーディーに、とにかくすぐ住めるところをすぐつくるといったことが必要になると、そういうことをそれぞれ役割分担しながら進めていければと思います。

記者
あえてお聞きしたいのですけれども、参院選近くになりましたが、生活の党はまだ(候補者が)決まっていないということですが、ご自身が立候補するお考えというのはあるのかどうか、それから衆院選で奥様がお出になったのですが、奥様ではいかがなのか、今お話しできるところで結構なのですが、お話をお聞かせください。

知事
今、私の頭の中に来る参議院議員選挙に出馬するという考えはありません。それから、生活の党でいろいろ総支部長とか役についている人たちがどうするかということについては、生活の党のさまざま内部調整というか、話し合いとかも進んでいるようですので、詳しくは党の方に聞いてもらえればいいのではないかと思います。

記者
ご自身は生活の党と近い立場にあると思うのですが、生活の党からお出になる候補について、こういう人に出てほしいなということはあるのでしょうか。

知事
これは政党の自治の問題でありますので、しかるべき手続で主体的に決めることですので、私からああしろ、こうしろということはないのですけれども、一方、一般的にこれは何党に限らず、去年の衆院選というのが何が争点だったのか、そして衆院選の結果、日本国民は何を選択したのか、集団的意思決定として、日本国民は何を決めたのかということがどうもはっきりしてない状況だと思いますので、改めて国政選挙ですので、日本全体の来し方、行く末を深く考え、そしてはっきりこれから日本はこういう方向に向かっていかなければならないということを示すことができるような形での立候補ということが望ましいのだというふうに思います。

記者
もう一つ、しつこいようですけれども、民主と生活がなかなか連携というところまでいかなかった。前、連携にはシンパシーというか、ある程度理解を示されたと思うのですが、こういう構図になったことについては何かお考えがありますでしょうか。

知事
国政選挙ですので、どの選挙区で誰を公認、推薦する、またどの選挙区でどの党と連携してやるというのは党本部の方で決めることだと思っているのですけれども、そこは民主党と生活の党との間で党中央、ハイレベルでのやりとりがあって、結論は出ていないようですけれども、決して対立的にやっていこうというふうになっているわけではないというふうに見ています。

記者
最初の円安の話題で関連なのですが、具体的に県内の産業で円安が進んだ場合、こういった分野で有利であって、あとこういった分野で非常にこれからの動きを懸念しているというようなものあればお伺いしたいと思います。

知事
地方自治体も住民の生活や、そして住民経済をいい方向に持っていくという務めはあるのですけれども、さすがに為替政策については地方自治体というのは能力がありませんので、そこは円安対策という発想ではなくて、普通の県内経済対策、また県民生活対策という中でいろいろ企業の経営支援とか、それは金融的なこともあれば、いろいろな支援の仕方があるのですけれども、そういう企業支援とか、必要に応じて、それに対応するということを普段どおりにやっていけば何か問題があったときには対応していけるというふうに思っています。

記者
具体的にこの産業への影響を懸念されているとか、そういったものはありますか。

知事
そこはいつでも窓口に電話いただければすぐにぱっとどの産業でも対応します。

記者
続けて、すみません、話題を変えて復興予算の話題なのですが、これ1兆円以上の繰り越しがあるということが、3つの県で明らかになって、それへの所感と、あと専門家は復興事業を民間に委託することも知恵の一つではないかということも指摘しているのですが、これからさらに民間へそういった事業委託というのを考えていらっしゃるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

知事
UR(UR都市機構)に一括して非常に大きな復旧・復興事業を委託して、そこで企業の方にどんどん民間活力を利用して測量、設計から、実際の建設まで一体的にやってもらうというようなことを、今、復旧・復興の現場のいろんなところでやっています。ですから、そういう民間に、どんどん普通行政がやっているようなところまでやってもらうということは既にやっていますし、これからも必要だと思っています。

記者
参院選の話に戻って恐縮なのですけれども、これまでのところ自民党と民主党の方でそれぞれ落下傘という言い方がいいかどうかともかく、県内にあまりゆかりのない方がそれぞれ候補に選ばれて選挙戦に臨むということに対して知事がどんな感想を持っているかということを教えていただきたいと思います。

知事
民主党はまだ党本部の方では公認、推薦等を岩手選挙区については決めていないと思っております。それから、既に決まっている政党もありますけれども、それはさっき言ったように政党の自治の問題でありますので、特にコメントはいたしません。

記者
今回の選挙に限らず、特に落下傘と言われる方々がこういう国政選挙で地元の岩手選挙区という中で戦うということに関しては、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

知事
私は、政治というのは極力自由である方がいいと思っているので、そもそも憲法が保障するさまざまな政治的自由の中に立候補の自由というのもあるし、政党活動を通じた、そういう中で誰を候補に立てると決める自由もありますので、憲法の理念に反しない限りは自由にやっていいと思っています。

記者
今選挙の話があったので、選挙のことでお伺いしたいのですけれども、先ほど昨年の衆院選のことについてもちょっと言及ありましたけれども、そういったお考えも含めてなのですが、今一票の格差の判決の関係で一部でダブル選挙のような話も出ているのですが、これは当然総理が決める話ですけれども、知事ご自身として、昨年の衆院選からあまり間が経っていませんが、今回の参院選に合わせたダブル選挙について何かもしお考え等があればお聞かせください。

知事
去年の12月の衆院選のときにもしゃべる機会があったかと思うのですけれども、憲法にある解散というのは総理大臣が勝手気ままにやっていい解散を規定しているわけではなく、そもそも内閣がやることになっていますし、よほどの国民的な必要性あるいは必然性がなければ勝手気ままな解散というのは、日本国憲法が許すものではないと思っています。そもそも民意を問うのであれば参議院議員選挙というのは、まさにそのために3年に1度ずつあって、特に時期が決まっているわけですから、きちっと争点を提示したり、政策的な論争をしたりして、そして参院選で民意を問うということはきちっとできるわけなので、そこに同時に衆院選をやる必然性というのは、ちょっと私には理解できません。
あと定数の問題は、きちんと直していかなければならないことですから、それはまさに憲法の要請としてあるので、そちらの方をきちっと国会の方はしなければならないところだと思います。

記者
三陸復興国立公園が間もなく認定されますが、これに対する所感と、青森などに比べて岩手では何となく盛り上がり的にあまり盛り上がっていないような気がするのですが、その辺り知事としてどうご覧になっているかみたいなところを伺えればと思います。

知事
岩手はジオパークというのと一緒に取り組んでいますので、ジオパークという言葉でいろいろアピールしたり、動いたりするところがあるためそう見えるのかもしれませんけれども、復興国立公園というのは岩手としても大いに期待しているところです。そもそも風光明媚な三陸海岸国立公園として観光資源、非常に大きな観光資源ですので、そういう観光振興の観点から、それがさらに強化拡大されていくことを期待しますし、あとはジオパーク的な観点からも改めて地理的、地学的観点からそういう三陸海岸に関心を持っていただくことで、津波常襲地帯ということで東日本大震災の災害を風化させない、そして復興を支援していくということとも今度の三陸復興国立公園ですからね、というのはつながっていくと思うので大いに期待しています。

記者
片岸海岸の防潮堤復旧事業について伺いたいのですが、知事は先週の定例会見で、既存の制度の中で加速されている部分もある一方で、既存制度の中ではカバーできない部分があるというのもこうして見えてきているというふうにおっしゃいましたけれども、改めて現状で捉えていらっしゃる課題について聞かせてください。

知事
地元に地権者がいて、現地で話し合い、相談等できる方々については、もうどんどん事務手続は進んでいて、その点については非常に復興が加速していること、大変ありがたく思っております。
一方で、地元、現地に地権者がいない、またなかなか連絡が取れなかったり、また相談すべき相手が確定しないようなケースがかなりあるなというところも見えてきて、そちらの方の見通しがなかなかつかないところが出てきているということで、まずそういった課題を改めて国と県と市町村、事務レベルで作業をしながら確認していこうということを今やっているので、そういうところから適切な解決策が見出されていけばと期待しています。

記者
現状の片岸海岸での地権者調査の中では、当初見込んだ所在者不明の土地の問題よりもむしろ相続人が多い、相続人ですので、生きていらっしゃる方なのですけれども、そういった方が全国に散らばって、そういった相続人との交渉に膨大な時間と労力が割かれるという、そういったような課題も見えてきていると思うのですけれども、一方でなかなかそういった相続人との交渉というのは省略できない、そういったプロセス、過程だとも思うのですけれども、その点についてどのような改善策が望ましいというふうにお考えでしょうか。

知事
技術的、専門的なところは事務レベルで詰めてほしいと思っているのですけれども、私有財産というのは公共の福祉の下で保障されているわけで、それは他の人の権利の兼ね合いで決まってくるというのが基本的な憲法解釈の主流だと思うのですけれども、ですから仮設住宅での生活が長くなる、あるいは防潮堤によって安全を確保する、それが遅れる、またその中間として防潮堤を前提としたまちづくりが遅れるというような中で侵害されていく権利というものと、相続の手続に関して権利を持っている人たちのその権利をどのくらい強く保障すべきかということを、まさに専門的、技術的に詰めていけば、おのずとあるべき姿が見えてくると思います。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。ありがとうございました。
次の定例記者会見は5月20日(月曜日)の予定です。

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