平成24年5月7日知事会見記録
ID番号 N4828 更新日 平成26年1月16日
平成24年5月7日 10時30分から10時58分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。
知事
今日の発表事項は、私を団長とするミッション団による台湾トップセールスについてです。
今度の5月29日から6月1日の日程で台湾を訪問します。東日本大震災津波に当たり、台湾からも多くのご支援をいただきました。県民の思いとともに感謝の意を直接伝えて参りたいと思います。また、ミッション団として現地での観光PRを通じ、本県の安全、安心を伝え、台湾の皆様に岩手に来ていただくということが県民一人一人の元気につながり、復興支援となるということを伝えてきたいと思います。また、いわて花巻空港への国際チャーター便誘致拡大のためのセールス活動も併せて行います。
今回のミッション団は、岩手県知事を団長に、花巻市長、八幡平市長をはじめ、県内の観光関係者、また宿泊関係者など、総勢二十数名で構成されます。行程は、航空会社、旅行会社、観光関係者等を訪問するなど、台湾から本県への誘客について働きかけを行います。
また、台湾政府関係者をはじめ、震災復興にご支援をいただいた方々をお招きしてのレセプションを行い、感謝の意を伝えます。レセプションでは、同時に岩手の観光資源、その魅力についてアピールを行い、台湾からの観光客及びチャーター便の誘致拡大を図ります。
以上です。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いします。
記者
今回、(観光客の入込数の)落ち込みのある台湾へトップセールスということで、非常に重要な機会かと思うのですが、知事の意気込みというか、そのあたりを一言お願いします。
知事
まず、台湾の皆さんからは、大震災津波に当たって、赤十字を通じて大変大きな額の義援金をいただいているほか、台湾のさまざまな団体からのそれぞれの寄附とか、ボランティア活動、災害発生直後には民間団体を通じた救援活動といった危険を伴うような支援も行っていただいており、今までもさまざまな機会を通じて、台湾に行く岩手の方に私のメッセージを託して、お礼の意を伝えるようなこともしてきたのですけれども、(今回は)まず直接お礼を伝えたいということがあります。そして、今年度に入って、いわてデスティネーションキャンペーンも始まり、また並行して東北観光博も行われています。ゴールデンウイークでも、岩手のそれぞれの地域で工夫を凝らした観光商品の開発や、伝統的に行われているお祭りをさらに強力に行うなど、さまざまな努力と工夫が試みられており、いわゆるインバウンド、外国から岩手に観光客をどんどん招いていくということについても、本格的に取り組んでいく、そういう時期に来ていると思います。岩手にいらっしゃる外国人の約半分は台湾からのお客様であり、岩手における一番多い人数、割合、また東北6県で比較しても岩手は、これは割合だけではなく、人数も台湾からの観光客が一番多い県ですので、東北の代表としても台湾に対してアピールをしてきたいと思っています。
幹事社
それでは、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありません。
各社からそのほか質問があればお願いします。
記者
明日からドクターヘリの本格運航が始まりますが、それについての期待とか意気込みを一言お願いいたします。
知事
岩手のような広い県土においては、ドクターヘリが果たす役割は大変大きなものがあると思います。準備も大変だったのですが、岩手医大の救急医療のチームの皆さんをはじめ、準備万端整って、いよいよ明日という日を迎えることができて大変うれしく思います。岩手は、海、山、川、そういった人里離れたところでのさまざまな活動も大変良い環境にあるわけですが、そういったところは危険と隣り合わせなところもあり、何かあったときにドクターヘリがすぐ駆けつけられるということが、まず大きいと思います。そして、医療機関が身近にあるようなところであっても、救急医療に関して対応できないような場合、今までは消防や、あるいは警察とか、場合によっては自衛隊のヘリで患者さんを運ぶということが行われていたのですが、ドクターヘリであれば、駆けつけたその場で、お医者さん、看護師さんが初期の救急の治療を行えるということになり、これも次元が違う救急医療を行うことができるようになるので、非常に大きい効果を期待しています。
記者
ありがとうございます。あともう一点あるのですけれども、広域連携に関してなのですけれども、青森、秋田と岩手の担当者の間では協力はしていくということで大枠では話を進めているそうなのですが、本県の例えば県北地域ですと八戸からドクターヘリ入っていただいたほうが早いだとか、そういった面でとても期待は大きいですが、具体的に今後どのような連携をしていきたいか、一言お願いいたします。
知事
それぞれの県でドクターヘリの運航体制ができて、協力について具体的に検討、調整、そして決めていくことができる段階に来ていると思います。1つだけでも非常に効果があるドクターヘリを複数共同で運航するような体制になることで、更に体制は強化されると思うので、そういう方向に向けて進めていきたいと思います。
記者
今月10日で復興庁発足から間もなく3カ月迎えることになりますが、この間、復興交付金事業の申請等、いろいろあったと思うのですが、この3カ月で知事の復興庁の働きぶりですとか、もしくは岩手復興局のそういった所感があればお聞かせください。
知事
復興特区、それから復興交付金、かなり現地の事情に合わせたきめ細やかな事業の組み立てをやっていく上に当たって、復興庁の岩手復興局には大変いい仕事をしてもらっていると思います。まだ復興は初期の段階であり、特に今年度復興元年、これからまたどんどん特区申請、交付金の申請を行っていきたいところですので、市町村と県と国、行政がフルセットで被災地、被災者に寄り添っていくという形を更に強化していければと思います。
記者
それで、一方で復興庁発足当初、縦割りであったりとか、いろいろな課題が指摘されていたと思うのですが、この3カ月を見る限り、知事からご覧になりましてそういった課題というのはクリアされているのか、それとも何か注文つけるところがあればその点もお聞かせください。
知事
国としての主体性を持って、被災地の現場の状況を把握して復興事業を進めていくというところに復興庁制度の意義があると思っており、その意味で市町村、県、国、行政がフルセットで被災地、被災者に寄り添うという形をつくる中で、きちんと役割は果たしてもらっていると思います。
記者
先週の大雨被害について伺わせてください。特に仮設住宅では、団地ののり面が崩れるなどして避難勧告を出すような事態になりました。去年も同じようなことあったと思うのですけれども、改めて今回のことについての知事のご所感をお願いします。
知事
今回、観測史上最大の記録的な雨量が岩手の沿岸のほうにあって、去年の東日本大震災津波で被災された方々を含めて住居関係の被害があったことに対し、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。記録的な大雨ということではあったわけですけれども、床下の浸水とか、また、のり面の崩壊といったような被害が生じていますので、そこはきちんと直すべきところを直し、水が溜まりにくくするような工夫を加えるとか、そういった必要な修理等をきちんとしていかなければならないと思っています。
記者
一部重複しますが、やむを得ないとはいえ、危険な場所に仮設住宅が建っているということが改めて露呈してしまった状態だと思うのですけれども、今日、何か県のほうで調査に入るみたいな話もちょっと伺っているのですが、今後県としては、移ってもらうとかいろいろあると思うのですけれども、それもそれでどうかとは思うのですが、改めて県としての今後の対応をお願いできますでしょうか。
知事
まず、直すべきところは直すということがあります。そして、当面今の場所に生活できない皆さんについては、きちんと生活できる場所に速やかに移っていただくということをしなければなりませんので、そこは速やかにやっていきたいと思います。
記者
ありがとうございます。もう一点、放射性物質の新しい基準についても伺わせてください。先月からシイタケを中心に出荷制限、自粛が続いていまして、特に水産物にも規制がかかりました。改めてこのことについて知事はどのようにお考えでしょうか。
知事
水産物については、仙台湾で獲れたマダラから基準値を超えるセシウムが検出されたことにより、仙台湾を中心とするエリアにおいて国によるマダラの出荷制限がかかったということであり、岩手と宮城の県境、陸前高田市と気仙沼市の県境から真東に直線を延ばした線がこのエリアの北の端のラインになっています。基本的には、岩手県はそのエリアに入らないような線引きなのですけれども、広田半島の南半分が、このエリアの北の端を構成する線の南のほうにはみ出ていて、それが原因で岩手県に対しても出荷の規制がかかるということです。岩手県においても、マダラのセシウムについては今までもずっと測定を重ねてきましたが、一回も基準値を超えたことはないのが実態ですので、国のほうにもそこは伝えて、一日も早い規制解除を求めているところであり、そのとおりになることを期待しています。
記者
関連して、シイタケでも出荷規制がずっとかかってしまっていて、県としての取り組みもされていることは承知しているのですが、国から出荷制限がかかってしまったことに対するこれからの解除に向けた取り組みを改めてお願いします。
知事
岩手のシイタケのブランドを守っていくためにも、岩手型の戸別検査、シイタケ生産者ごとの検査をして、基準値を超えない安全なものはどんどん出荷していくというのが基本方針ですので、去年の牛肉の場合と同様に、一旦規制はかかるけれども、安全確保の体制をつくった上で基準以下のものからどんどん出荷するというようにして、シイタケにおいてもしっかり取り組んでいきたいと思います。
記者
デンソーの岩手進出について伺わせてください。久しぶりの明るいニュースといいますか、久しぶりではないかもしれません。製造業の明るいニュースだと思いますが、デンソーさんが岩手に拠点を築くということについて、知事からお言葉を一言いただけますでしょうか。
知事
デンソーさんには、私も知事になってから岩手への誘致の話をしてきており、今回岩手において工場をスタートさせるということについて大変うれしく思っています。また、生産量も拡大していく方向ということですので、それが雇用の増につながることを期待しています。岩手全体、さらに東北全体での自動車産業集積促進という観点からも、これは大きな前進だと思いますので、そういう方向に向かってさらに進んでいきたいと思います。
記者
ILCのことについて伺いたいのですけれども、ILCについては先ごろ官民の誘致組織もできましたし、先日来県された鳩山元総理、ILCの議連の会長でもありますけれども、国内候補地の一本化について、ぜひ岩手で一本化したいというようなこともおっしゃっているということで、非常に心強いと思います。その中で、今、国家プロジェクトとして位置づけてもらうための重要な時期に来ていると思いますけれども、県のほうで具体的にどのようなアクションを起こされるかお答え願えますか。
知事
まず、岩手の経済界を挙げての推進体制が立ち上がったというのは非常に大きなことであり、ありがたいことだと思っています。単なる一研究施設の誘致ということにとどまらず、先端的な科学研究都市を築いていくという観点で、行政だけではなく、民間のさまざまな創意工夫や参画が求められるのがILCの誘致ですので、ぜひ岩手の経済界にも頑張ってほしいと思います。
それから、鳩山元総理がぜひ岩手のほうにILCをというのは、去年から復興の中にILCを位置づけており、これは岩手の復興ということにとどまらず、東北、東日本の復興、そしてそれを国家プロジェクトとして強力に進め、また世界に開かれた復興事業として進めていく象徴であり、復興全体を強力に牽引していく柱となり得るのがILCだということが政権与党の中にも理解が広まってきているということだと思います。去年からそういうアピールを実施しており、これは引き続き行っていきたいと思います。
記者
ありがとうございました。その中で、東北復興のグランドデザインというのを今策定されていると思いますけれども、そのグランドデザインをどのようなものに仕上げたいと思いますか。それで、それを誘致に向けてどのように活用したいというところをお願いします。
知事
東北6県の産学官の連携組織、東北加速器基礎科学研究会で、そういうグランドデザインを策定しているところです。先ほど言ったように、一研究施設の立地というだけではなく、国際的な研究都市をつくっていくということでもあり、そういったビジョンを具体化していくことがILCの建設ということであることから、東北、岩手におけるILC建設をさらに進めやすい環境整備につながっていくと思います。
記者
食品の放射性物質の関係なのですけれども、先週、民主党の3人の国会議員が一関のほうを視察しまして、それで農協の方から牧草地の除染が非常に難航しているというようなお話があって、牧草地100ベクレルを下回っても、製品になったときに基準値を下回るかとか、消費者の安全、安心が担保できるかというところで不安の声が上がっていたのですけれども、その辺で県として牧草地の除染ということで、何か新たな支援であるとか対策とか考えていることはありますでしょうか。
知事
たしか脱脂粉乳に加工しても、100ベクレルという基準値を超えないように、素の牧草のセシウムの量を低く抑えていこうということが生産者団体から言われているということだと思いますけれども、岩手ブランドの観点からして、そういう、より高い安全性を求める取り組みは非常に良いことだと思っております。県としてもそこは強力に支援していかなければならないと考えています。ただし、そのためには処分しなければならない、あるいは除染しなければならない牧草がさらにたくさん出てきますので、それをより短い時間で解決していくためには、さらなる国の積極的な取り組みが必要だと思います。東京電力の原発事故に伴い、放射性物質に汚染された牧草地の除染をしたり、また汚染された牧草を処分していくための一連の法律や通達、基本方針などの文書では、基本理念はまず原因者である東京電力がやらなければなりません。国は国で、今まで原子力政策を進めてきたから国にも責任がある。そして、地方自治体は、東電や国がやることに協力しなければならないというのが理念なのです。そういう意味で、国会議員の皆さんが現場のニーズを把握するために来られたというのは大変良いことだと思っていますけれども、政府においても、さらに強力な牧草問題の処理に対する取り組みが、今必要な局面であると思います。
記者
ありがとうございました。あと1点、別の話題なのですけれども、ゴールデンウイーク後半、非常に悪天候で被害も出たのですけれども、知事は観光による復興というところでゴールデンウイークに期待される発言もありましたが、悪天候ということで観光はかなりゴールデンウイーク後半厳しい面もあったかと思うのですが、その辺庁議で何か報告であるとか、知事はどういうふうに受けとめていらっしゃるかとか、その辺一言いただけないでしょうか。
知事
象徴的だったのが5月3日の平泉の春の藤原まつりの義経公東下り行列であり、今まで降ったことないような大雨に見舞われました。観測史上初とか、そういう記録的な大雨に3日、4日のあたりに見舞われたわけですが、私自身、東下り行列に参加して、そういう大雨の中で傘を差して行列を見に来てくださった観光客の皆さんがとてもたくさんいて、力強い声援を送ってくださっていたことに直に接しました。平泉のゴールデンウイーク期間中の入込数は、庁議でも報告がありましたけれども、去年は大震災直後ですから(比較の対象から外すとして)、その前の年の2010年に比べて5万人ぐらい多い数字になっており、記録的な大雨を克服するような、そういう実績がゴールデンウイーク中に出ているという報告がありました。それは各地もそうなのだと思います。また、今までなかったような、沿岸における被災地を視察するツアー、これも計画を上回る参加者がいらしてくれたという報告があります。そういった意味で観光の力を復興の力にということに関しては、それなりの成果があったゴールデンウイークだったと思います。
広聴広報課
それでは、よろしいでしょうか。以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は5月14日(月曜日)の予定です。
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