平成24年6月11日知事会見記録

ID番号 N4818 更新日 平成26年1月16日

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平成24年6月11日 10時30分から10時51分

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、お願いします。

知事
今日の発表事項は、「東日本大震災津波からの社会資本の復旧・復興ロードマップ」についてです。
今お手元に配付しています資料のとおり、被災者の方々の今後の生活設計、再建等に役立ててもらうことを目的に、身近な社会資本の整備に関する情報を復旧・復興ロードマップにまとめ、定期的に提供しようというものであります。
このロードマップは、復興に向けた3つの原則、「安全の確保」、「暮らしの再建」、「なりわいの再生」のうち、県民生活にかかわりの深い社会資本整備の5分野、海岸保全施設、まちづくり、復興道路、災害復興公営住宅、漁港の総括工程表と7月下旬を目途に公表する予定の市町村別工程表の2種類で構成されます。
なお、各事業内容や工程については、あくまで現時点での計画であり、今後工程上の要因や事業計画上の要因によって見直しや変更が生じ得るものであることを申し添えます。
以上です。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
それでは、ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いします。

記者
今日は震災から1年3カ月に当たる月命日の日です。改めてこの工程表を県民の方にどう見ていただきたいかというところを、もう一言お願いします。

知事
被災地の皆さんをはじめ、直接の津波被害を受けなかった内陸のほうの県民の皆さんからも復興がどう進んでいくのか見えないとか、よくわからないとかという声を聞くことがありました。実際にはそれぞれ既に計画が決まっていたり、あるいは計画の具体的な日にちの結論は出ていなくても、どういう段取りでそれを決めていくのかということが既に決まっていたりしているものもあり、そういうことがわかれば、なるほどこのころまでにはこういうところまで復旧・復興、防潮堤ができているのだなとか、公営住宅はここまでできているのだなとか、希望を持ってそれぞれ自分自身の復旧・復興に進んでいくことができ、「暮らしの再建」、そして「なりわいの再生」に向かって、被災地の皆さん、被災者の皆さんが進んでいけることになります。また内陸からの支援もそういうものがわかれば更ににやりやすくなりますし、復興の中で新たなビジネスチャンスを求めて内陸から沿岸に進出、展開しようという皆さんにとっても、そういう情報が必要だろうということで準備していたものであり、ようやくこれをわかりやすい図表の形で公表できることを嬉しく思っています。

記者
内容を見させていただきましたが、特に災害復興公営住宅、関心の高いところでかなり具体的に場所ごとに書かれていますけれども、このあたりに対する思いといいますか、やはり示したいという思いはあったのでしょうか。

知事
復興は、やはり一人一人の復興でなければならないわけでありまして、それぞれの生活設計、また仕事の展開、そうしたことに役立てていただければと思います。

記者
こうしたマップの一方で、学校関係の整備ですとか、医療施設の整備については、この中では触れられていないようなのですが、そちらへの所感をお伺いしたいと思います。

知事
まず、これは生活全般、全ての人に関係するようなところをまとめたものでありまして、それぞれ学校関係とか、医療福祉関係といったものは、随時それを知りたい皆さんにきちんと伝わっていくように発表していきたいと思います。

記者
後ほど個別にまた発表されるという形になるわけですね。

知事
今回は、海岸保全施設、まちづくり、復興道路、災害復興公営住宅、漁港ということですが、これはこの1年間、防潮堤、防波堤がいつできるのかとか、あとは災害復興公営住宅、いつ次のところに移れるのか、仮設住宅の次に移れるのか、そういう特に指摘が多かったところ、あるいは4万人を超える被災者の皆さんの共通の問題意識に応えるところをとりまとめたものであります。

記者
予定の後ろのほうが決まったというか、現時点ではこういうような予定で進めていくということですけれども、いろいろな課題もあると思いますけれども、今後県としてどのように予定どおりに進めていくか、その辺の思いというか、方針をお聞かせください。

知事
例えば資材の不足の問題とかが指摘されていますけれども、これについては事業発注者、市町村、県、国が集まって情報交換の場を設け、足りないものについてはさまざまな調達の仕方を工夫して不足を乗り越えていこうとか、いろんな課題がどんどん出てくるわけですけれども、それぞれの課題への対応をきちんとやっていくことで、この計画どおりに復興が進んでいくようにしていければと思います。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればよろしくお願いします。

記者
よろしくお願いします。きょうは大きく3点お伺いさせてください。
まず、牧草の話についてお伺いします。いろいろ問題になっていて、県でも対応を考えていらっしゃるようなのですが、改めまして牧草問題の現状、それから県として何かまとまるものもあると聞いているのですが、県としての対応があればお願いします。

知事
まず、基準を超える牧草を利用しないということで岩手の畜産物の安全安心を確保していく、基準値を超えるような畜産製品を酪農も含め市場には出さない、というところが原点にあります。そして、使えない牧草をどう処分していくかということについては、これは非常に量が多いわけでありまして、県内はもちろん、日本中さまざまな技術、人手、そういったものを総動員するような形で、できるだけ早く処分をしていくように進めていこうということであります。

記者
実際、農家の現場の方は困っている方が多いと思うのですけれども、間もなく6月議会も始まりますが、県として何か具体的な対応を検討していますでしょうか。

知事
これはもう既にさまざまな技術的な方策について県としても関係者と一緒に協力してそれぞれの現場に応じた形を決めていき、そしてどんどん作業に入っていく、できるところからやっていくということを生産者の皆さんがしっかり実現できるよう、県としても支援して一緒にやっていきます。

記者
ありがとうございます。2点目です。先週も続いた入札のミスの話についてお伺いさせてください。先週も新たに同じ、契約前ではありましたけれども、同じところで2回ミスが続いて4カ月工事(契約)が結べない状態になるなど新しい問題がまた出てきました。正直なところ、またかと感じながらニュースを書いていたのですが、この現状について知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
まず、行政としてこういうミスはあってはならないことですので、改めて県民の皆様はじめ関係者の皆様にお詫びを申し上げたいと思います。再発防止のために、今、担当のところでさまざまな工夫をしているところでありますけれども、背景として復興という作業の中で事業の量が非常に多い、また今までやったことのないような事業もあるという、そういう量的にも、質的にも今までやったことないような復興事業ということに直面しているその組織のあり方ということについて、やはり今までできなかったことができるような方向に改革を進めていかなければならないと思っています。そういう意味で、特に漁港の復旧・復興事業については、そのミスの数が多かったこと、またその水産、漁業土木の分野の専門家がやはり不足しているということ、そしてさまざま特有の、固有の技術的、専門的な問題、課題があるということから、外部の専門家の意見も参考にしながらミスが多く出た過程を検証して、そういうことがないような新しい体制をつくっていくようなことをしなければならないと思っています。

記者
今日はあえて厳しいご指摘もさせていただきますが、結局この問題の責任の所在はどこにあるのか、そして処分といいますか、やはりどういった形で責任をとるべきだというように考えているのか、そのあたりのお考えがあれば一言お願いします。

知事
行政上の責任については、状況を調査し、判断する部局がありますので、そこの推移をまず確認していきたいと思います。
県民の皆さんとの関係でいえば、やはりこの先進国においてこれだけの圧倒的な破壊が生じたということは、人類が初めて経験するようなことでもあり、そこに地方自治体というものがこの復旧・復興という形で取り組んでいく、それを成功させるためには、やはり今までできなかったことができるような新しい地方自治体のあり方が望まれている、そういう新しい地方自治体の形に岩手県も進化していくということを果たすことが、県民の皆さんへの責任を果たしていくことになると考えます。

記者
ありがとうございます。最後の1点です。BRTについて動きがありましたので、少しお話を伺わせてください。陸前高田市と大船渡市がそれぞれ記者会見でBRTの整備に前向きなお考えを示されました。まず、このことについて知事はどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

知事
東日本大震災津波からの復旧・復興の中で鉄道の復旧を求めているということに変わりはないと理解していますが、その鉄道が復旧するまでの代替交通のあり方の中でいろんな可能性を視野に入れているということだと思っております。

記者
知事は、常々鉄道での復旧が大前提だということをおっしゃっていますが、変わったわけではないのですけれども、この動きの変化を知事としてはどのように受けとめていらっしゃるかということをちょっと知りたかったのですが。

知事
県としては、東日本大震災津波からの復旧・復興の中で、三陸鉄道の部分も含め、JRさんの部分の鉄道の復旧ということが重要な柱だと考えています。一方で、通学や通勤、病院に行く等々、今この瞬間に地域交通において被災地で非常に不便しているという状況をどう克服するかという課題については、それはそれとして取り組まなければならないと考えます。

記者
大飯原発の再稼働のことでちょっとだけ教えていただきたかったのですけれども、昨日福井県の専門委員会は安全対策はとられているということで、再稼働に向けてまた一歩前進したわけですけれども、これに関しての知事の受けとめをお願いします。

知事
いろいろ聞くところによりますと、いざという時に備え、ベントを取りつけるとか、それから安全なところにオフサイトセンターをつくるとか、そういったいざという時のための備えというのには、まだ3年ぐらいかかるというように聞いています。いざということが起きない時の安全性というのはあるのかもしれないのですけれども、福島にある東京電力の原発事故の教訓を踏まえれば、やはり非常に甚大な災害などで万が一のことがあった時にきちんと安全安心を確保できるかどうかということが、今すべての日本に住む人にとっての課題となっているわけであります。前にもお話ししたかもしれませんけれども、去年、菅内閣のもとできちんとした対策本部を立ち上げずに、特に現地対策本部というものを全然立ち上げることができずに、緊急避難について地元の理解がないままにどんどん決められた結果、緊急避難のプロセスの中でかなりの無理を原発周辺の皆さんが強いられ、そして、今、国会の事故調査委員会が官邸の関与が現場に具体的にあり過ぎたとかということがあり、そうではないような緊急時の安全確保のあり方というのをまだ政府として打ち出してないと思っております。そういうのがないとなかなか安全だということは言えないのではないかなというように思っています。

記者
そうすると、今の段階での福井県の判断はこれから示されるわけですけれども、知事ご自身として、岩手県から見てみると安全対策がとられていない、政府が示していない中での再稼働にこの夏、それから中長期的な再稼働と言われていますけれども、これについては拙速であると今の段階ではお考えでしょうか。

知事
安全性の判断というのはいろんな次元であるのだと思うので、福井県さんがやっている作業を否定するつもりはないのですけれども、私は前にも言ったように政府が災害対策本部をきちっと立ち上げて、そうですね、だから多分福井県の中で県としてやるべきことについては昔からの蓄積もあって、今それなりの体制があるのではないかとは思うのですけれども、だから福井県さんとして福井県は大丈夫というのはあり得るのかなとも思うのですけれども、国の体制として去年の事故直後の動きを反省した上で、国としてもうあんなことは絶対ないようにするというような形にはなってないというようには思います。
そのことと再稼働について誰がどう判断すべきかということについては、なかなか私からこういうように決めればいいということを言える、そういうのに関する責任ある立場にはないので、コメントは控えたいと思います。

広聴広報課
それでは、よろしいでしょうか。それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は6月18日(月曜日)の予定です。

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