平成24年6月18日知事会見記録
ID番号 N4816 更新日 平成26年1月16日
平成24年6月18日 15時30分から15時52分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、お願いします。
知事
今日の発表事項は3つあります。
まず最初の発表事項は、6月補正予算についてです。一般会計6月補正予算(第2号)を6月26日に招集する岩手県議会6月定例会に提案します。
お手元の資料を参考にしてください。今回の補正予算の規模は約340億円、現計で1兆1,500億円を超える予算額となります。予算編成の考え方ですが、大震災津波関連では、当初予算編成後に明らかになった国の震災対応予算に呼応して復旧・復興事業を着実に進めていくための予算を計上、また応急仮設住宅の環境改善を早急に行うための予算などを計上しています。通常分では、国民体育大会の開催に向けて市町村の競技施設の整備を支援する予算などを計上しています。
主な内容は、大震災津波関連では、1、「安全の確保」として、国の交付金の採択を受けて被災した防潮堤のかさ上げや水門の改修を進め、復興まちづくりと一体となって市街地を結ぶ道路などの整備を進めます。
2、「暮らしの再建」関係として、応急仮設住宅についてお風呂への追いだき機能の追加や大雨等による被害の復旧、排水改善などの予算を措置します。また、市町村が実施する緊急雇用創出事業への支援を拡充して、より一層の雇用機会や就業機会の拡大に努めます。
3、「なりわいの再生」関係として、放射性物質濃度の検査体制の強化や牧草地を除染する経費への助成を行って県産農林水産物の安全性の確保に努めます。4月以降、漁場に再度堆積したガレキや漁船などの回収処理を実施します。商工業では、中小企業への高度化資金貸付事業を拡充するため、特別会計への繰り出しを行います。
通常分では、第71回国民体育大会に向けて施設整備を行う市町村に対して補助を行います。
発表事項の2つ目は、「県産農林水産物の安全安心メッセージの発信」についてです。県では、県産農林水産物への放射性物質の影響防止や消費者の皆さんの不安を解消していくため、これまで栽培技術の徹底や検査の実施、公表に取り組んでおり、風評被害を防止していく観点からも消費者の皆さんに向け、安全安心のメッセージを県ホームページから発信しています。特に県産農林水産物は、これから夏から秋にかけて順次出荷のピークを迎えます。県内外においてトップセールスを行って、先に述べた取り組みとあわせ、安全安心な県産農林水産物をアピールしていくこととしています。早速、明日19日にハウス食品と全農岩手県本部とで連携し、「いわて純情野菜の元気カレーキャンペーン」のPRを行います。7月以降は、首都圏や中京圏で開催される岩手県フェアで安全安心な県産農林水産物をアピールしていきます。
発表事項の3つ目は、平成25年度政府予算提言・要望等についてです。この政府予算提言・要望については、昔は大名行列とか参勤交代とかと言われたと記憶していますけれども、知事はじめ県幹部がこぞって国に行き、各省を回り、与党に行き、予算要望をしていました。地方分権の時代、さらには地域主権の時代、そういう陳情、要望を地方が中央に云々という流れの中で岩手県としてもそうした活動については事務レベルで粛々と行うような方向に規模縮小といいますか、簡素化といいますか、そういう方向性にあったのですけれども、去年、東日本大震災津波が発生した3月11日以降、震災関連の政府予算提言・要望については、関係大臣、政務三役が岩手入りするたびに、随時、私から直接要望書を渡すなどなど取り組んで、かなり力を入れて行うような展開になりました。昨年に比べそうした大臣、政務三役の岩手入りの機会、また私が国の復興構想会議などの会議で上京する機会等が減っているのですけれども、今年度においても(震災関連の政府予算提言・要望の)必要性はますます高まっており、一方で国の内閣や国会の震災や復興に関する動きについては、余りマスコミで取り上げられるような形で目立っていなくて、むしろ風化が懸念されるところもありますので、今日こういう形で、その(翌)年度の政府予算提言・要望について知事が記者発表するというのは私が知事になってからはやったことがなかったのですけれども、あえて特に発表し、県民の皆様はもとより全国民の皆さんに被災地はまだまだこれだけ必要なのだ、国家プロジェクトとして、国の事業として復興というのを力強く進めていかなければならないのだというのをアピールしていこうと思っております。要望項目数は通常分としての30項目の他、震災分としての24項目が別立てとしてございます。そして復旧・復興状況の変化に応じて新規の震災項目を加えたりもしております。今年度は復興元年であり、東日本大震災津波からの復興に向け、本格的に取り組んでいく年でありまして、着実な復興を進めていくためにもこの現場の状況と被災県として何が必要なのかということを国にしっかり伝えていきたいと思います。
以上です。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
それでは、ただいまの発表事項について各社から質問があればお願いします。
記者
補正予算について伺いたいのですけれども、今回当初予算を経た6月補正ということで各種課題に対する対応の補正が措置されていると思いますけれども、中でも放射線対策、牧草地の除染を中心とした補正として28億円余りを計上しているのが一つ大きな柱であると思います。それについて、本格除染に向けて今回十分な予算措置と言えるかどうか、そして今後の牧草地の除染に向けて基本的な県の考え方をお聞かせ願えますか。
知事
復旧・復興関係については、通常の予算のサイクル、3月の年度末までに必要なものを基本的にまとめて、そこで一気に予算化というようなことになじまないところがあり、この1年を通じ、随時体制ができたところ、国のほうの制度ができたところ、そういったタイミングに応じて予算化していくような格好になるわけであります。放射線影響対策についても同様でありまして、現場の皆さんのニーズ、そしてそれをどう解決していくかという調整に基づいて今回の議会の6月補正予算で一定の予算措置をするというように決まったわけであります。
記者
ありがとうございます。その中で、牧草地の除染について、当初の1万ヘクタールが1.5万ヘクタールに拡大したと、除染すべき牧草地が拡大したということもあります。その中で、当初は県農業公社が主体となってやっていくというのもなかなか難しいということで、農家への自力施工を要請していると、7割近くが農家施工になるのではないかというようなことも言われていますけれども、今回の補正を措置したわけですけれども、このような、今後予算措置と並行して実際の除染に向けて市町村から本当にできるのかと、農家にそのような力があるのかというような不満というか、そういう声も上がっていますけれども、そこら辺にはどのようにお答えしますか。
知事
県の農業公社がフル回転で除染をしていくというのは変わらない方針であり、あとはどれだけの被害があるかということに応じて参加できる人たち、力を出せる人たち、どのくらいその力が集まって、そしてやっていけるかということで計画的に進めればいいわけです。そういう中で被害を受けた皆さんもできるだけ早く処理をして普通に牧草地を使えるようになって欲しいという、その希望がかなうように調整をして進めていくということだと思います。
記者
ありがとうございます。あと今現在24の公共牧場について利用自粛ということになっていますけれども、遠野とか奥州では実際に自分たち(の牛舎内)で飼育しなければいけない農家に対するかかり増し経費についても補助するなど、市町村で独自の助成も進んでいますけれども、そのあたり県のほうの対応というのはどのようにお考えでしょうか。
知事
放射性物質の影響に伴うさまざまな被害については、東京電力が賠償するというのが基本でありますけれども、そこも今さまざまな交渉が動いていて、また新たな交渉も始まる中で、まず今公的資金といいますか、その自治体の予算の中でニーズのあるところに予算措置をするということはそれぞれの判断でやっていくべきで、県は県で今回6月補正予算を提案するという運びであります。
記者
ちょっと何点かお伺いしたかったのですけれども、今回の補正予算の中で緊急雇用創出事業費補助が入っていて、短期の就業機会を増やす機会を設けているのですけれども、一方で被災地で正社員の雇用を求める人が多くてなかなかミスマッチも解消していなくて、ハローワークとかの統計ですと3割ぐらいしか正社員の求人がなかなかないという実態なのですけれども、その辺というのは今回の予算編成の中で何か意識されましたでしょうか。
知事
典型的なミスマッチの例は、被災前に働いていたところ、そこが震災津波で工場なら工場が壊れてしまって、そこが復旧、再開し次第、そこで働きたいけれども、まだ元に戻ってないので、他のところに就職しないでいるというパターンなのだと思います。
1つは企業そのもの、雇用力を持つ企業の再生を促していくということで、それはそれで当初予算からグループ補助金でありますとか、県独自の補助でありますとか、そういったものも活用しながら、企業再生の部分、雇用の場の再生を図っていくことはやはり大事であります。
一方、そこに時間がかかって、そちらに行く前に一時短期的に働いて稼ぎたいという人の意欲に応えるためにはそういう職をやはり提供していかなければならないわけです。そういったことも含め、きめ細かな雇用対策ということを図っていくための一環が今回の予算ということです。
記者
ありがとうございます。済みませんが、もう一点。総論的なことなのですけれども、あらためまして今回の予算編成の中で、教育から文化財の保護まで、雇用ですとか、災害対策、復旧の分野にも幅広くあるかと思うのですけれども、知事として今回査定の中であらためて力を入れた部分と、あと今後に向けての課題などを考えているところあればお願いします。
知事
これはもう体制ができて、予算化できるのであれば早目早目にやっていきたいという中で、当初予算には入れられなかったが、来年度予算などを待たずに今すぐやりたいこと、やれること、やらなければならないことについて予算化したというところでありまして、産業関係はそういう関係の皆さんにとっては死活問題で大事だし、生活関係、仮設住宅の設備やその周辺の排水環境整備等もそこに住んでいる人たちにとっては非常に大事な問題なので、それぞれしっかりやっていきたいと思います。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いします。
記者
2件ございます。1件は、繰り返しいつも伺って大変恐縮なのですけれども、大飯原発の再稼働のお話なのですけれども、週末福井県が同意いたしまして、政府が稼働を正式に決定いたしましたけれども、それの受けとめをお願いいたします。
知事
15日の夜には首相官邸前に1万人以上、1万1,000人の人たちが集まってシュプレヒコールをしたり、デモをしたりしたというように聞いていますし、かなり国民全体として不安感が残る中での決断だったのかなと思います。
やはりシビアアクシデント、深刻な被害といいますか、そういう事態、万が一のことがあった時の国の体制とか、そういうものをきちんと示した上でないと、なかなか国民的な理解を得るのは難しいと思いますし、そういう中でなし崩し的に、とりあえず当面申請が上がってきたところから順に再稼働を認めるみたいになっていくと、去年、菅内閣のもとで脱原発という方針が総理大臣から強く出されたような格好になっているにもかかわらず、一方で野田内閣のもとでは順次片っ端から再起動させていくというような運用が目の前で展開されていて、非常にわかりにくくなっていると思います。
記者
これに関連しまして、民主党、自民党、公明党3党で原子力規制委員会について合意あったと思うのですけれども、これが安全対策の一つのステップなのかなと思ったのですけれども、この原子力規制委員会というものについてはどうお考えでしたか。
知事
本当は年度始め、4月から立ち上がっているはずであり、だからそこがしっかりとそういう全国的な、万が一の時はこういう体制でやるのだということを示しつつ、個別の原発の安全についても判断し、あとは脱原発的な流れの中で稼働する必要があるとすれば日本全国の中でどこなのかという、そういう全体像がないと、やはりなし崩しに全部動かすのかという、脱原発という話と両極端が同じ政府のもとで、同じ政権のもとで進むという、非常に言っていることとやっていることが違う状態になるので、それも新しい規制官庁のところでまず整理をしていかなければならないのだと思います。
記者
わかりました。もう一点なのですけれども、昨日ラジオを拝聴いたしまして、「あ、安部礼司」なのですけれども、あれは知事はどういう思いでやられていたのかなというのをお伺いしたかったのですけれども。
知事
あの番組の中に出てきたサラリーマン安部君と、その友達刈谷君という2人には希望郷いわて文化大使をやってもらっていて、ラジオに出て欲しいという依頼がありました。2人にはこれまで釜石、被災地にも来てもらって、ファンの皆さんといいイベントを行っていただき、それが全国にも放送されました。そのさまざまなつながりの力を復興の力へとするとともに、これまで非常にいい活動をしてもらっているので、そのお礼の気持ちということで出演しました。
記者
できれば事前に連絡をいただけると報道もしやすかったなと、先ほどマスコミに取り上げる機会も少なくなっていくとおっしゃっていましたので、多分ここにいらっしゃる方の多くは余り知らないことだと思いますので、事前にいただければ報道もしやすかったなと思いました。これはただの私の要望です。
知事
そこはちょっと事務的に検討してもらいましょう。
広聴広報課
よろしいでしょうか。それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は6月26日(火曜日)の予定です。
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