平成24年11月5日知事会見記録

ID番号 N4786 更新日 平成26年1月16日

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平成24年11月5日 10時30分から10時59分

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表事項はございません。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
2日に東北ILC推進協が県内での視察を行いまして、専門業者から国内でも有数の良質な岩盤だという太鼓判が押されましたけれども、それについての見解と今後の展望をお願いいたします。

知事
岩盤の良さというのは、本当にすごいものなのだと思います。世界有数ということで、改めて専門家の方に認めていただいたというのは、県民も深くかみしめるべきところだと思いますし、ますますILCにふさわしい岩手県ということだと思います。そういった情報の共有とか、それからビジョンですね、まちづくりも含めたビジョンを共有していくことが大事だと思います。

記者
知事として何か理想的な、こういった形になるのが望ましいというビジョンとかございましたら教えていただきたいと思うのですけれども。

知事
東北ILC推進協議会でつくったビジョンは、かなり多くの人たちの知恵を集め検討を重ねてつくられたいいものだと思っています。外国研究者が生活して、その家族も暮らしたり、勉強したりできる、それを地元の岩手の人たちと交流しながら進めていく、そういうビジョンだと思います。

記者
災害公営住宅についてちょっとお伺いしたかったのですけれども、先日の県が立ち上げられましたまちづくり住宅再建推進本部のほうでも地権者への内諾5,600戸のうち47%ということでまだ半分にも満ちていないという状況にあると思うのですけれども、まずその数字の上での1年7カ月経ったということも含めて知事の所見をお伺いしたいと思います。

知事
コップに半分水が入っていて、それがハーフフルというか、ハーフエンプティというか、半分入っているとか、半分しか入ってないというのは心理テストに使われる題材ではあるのですけれども、土地の持ち主の方々とのやりとりは、丁寧にやっていかなければならないと思っています。一方、公営住宅の建設は、早くしなければならないということも同時にあるわけでありまして、その双方をきちんとないがしろにしないように進めていくことが必要という中で、それぞれ現場ではしっかりやってもらっていると思っています。また、土地を提供してくださる方々側も非常に誠意ある対応していただいていると思いますので、今検討されているのは売却がだめなら定期借地権でどうかとか、そういった様々な土地取引上の手法を使って土地の取得を促進できないかという、様々な工夫を今担当のところで検討しているところなので、それが進んでいけばいいと思っています。

記者
5,600戸、市町村と合わせて県とで平成27年度までにということですけれども、そういった取り組みをやることで可能だと今でもお考えでいらっしゃいますでしょうか。

知事
用地のところがクリアされれば、その後はかなり早くできると思っています。ただ、その土地、用地のところは、繰り返しますけれども、そこを提供してくださる皆さんの様々な思いもあるし、そこをないがしろにはできないということです。

記者
震災の犠牲者のご遺体が別の遺族に引き渡されていたという事案がありましたが、知事の受け止めをよろしくお願いいたします。

知事
発災直後のご遺体の取り扱いについては、これはもう現場の皆さん、県の職員が手伝ったところもありますし、現地市町村の方々、警察、医療関係者、またご近所の方々が急遽お手伝いにいらして、そこでご遺体のお世話をするというような中で、本当に誠意あるお取り扱いが現場でなされていたと思います。そして、あれだけの、戦後日本が経験したことがないような大災害の中でご家族を失った方々のそういった深い悲しみも遺体安置所などでしっかり受け止めながら対応していくということは、かなりの水準でしっかりなされていたと思います。そういった中でも、ご遺体の身元が実は違っていたということが何件か起こるというのは驚きでありましたし、またこれは非常に残念なことで、特にご遺族の方々に対しては私も申し訳ない思いがいたしますけれども、ただ現場で対応していた方々を責めることはできないと思っています。

記者
先週知事は地方交付税の公債特例法案に絡む件で要望されましたけれども、その要望された趣旨と、あと要望した後の国の対応について改めて教えていただけますか。

知事
先週の要望というのは金曜日に上京して村井宮城県知事さんと一緒に要望した。

記者
はい。

知事
この要望は大きく2つで、1つは持ち家再建支援、住宅再建支援の財源確保ということで、もう一つはグループ補助金もそうなのですけれども、事務の予算の繰り越しを柔軟に認めて欲しいという、その2つでありました。それぞれ非常に大きいテーマで、発災直後から要望していたことですし、かなり政府与党のほうでも認識が深まっているなと思います。特に住宅再建支援の財源確保については、当初政府与党のほうは阪神・淡路のころはまだゼロだったのです。東日本大震災前の諸事例から大きく踏み込むような措置は認められないみたいな感じだったのですけれども、何かしなければならないというところまでは来ているという感触を受けました。

記者
質問が手落ちでした、済みません。交付税の件ですが、今このままだと資金ショートという状況があるわけですけれども、それに関しての知事のご認識を国に対してどういうふうな思いがあるかというのを教えていただけますか。

知事
消費税を増税するために、いわゆる3党合意の中で自民、公明は解散するなら賛成すると、(一方は)賛成してもらうために解散を約束したと。「近いうち」の解釈で今揺れているわけですけれども、ただ、信を問うということで解散することは約束していたわけで、消費税増税と解散をセットで合意したというその瞬間に消費税増税以外の全ての法律とか、予算とか、そういったものはまず解散が先でしょうということで、できない状態になってしまったわけです。だから、赤字公債の特例法案というのは、本当は通常国会のうちに合意、成立させなければならないもので、消費税増税よりもそちらを優先させるべきだったのですが、消費税増税を全てあらゆる案件よりも優先させてしまったが故にこういうことになっているという、根本的な、そういう国の舵取りの過ちがこういうことになっているということだと思います。

記者
解散の件で年内になるか、あるいは1月、2月とかという話もあるのですが、選挙を、やっぱり有権者の判断を示す大事なものは、特に東北、北海道とか、冬の積雪期、厳寒期に選挙やるみたいなことはどうなのかなと私自身は思うのですけれども、そういう解散を冬にやるとかというのは、知事としては、あるいは一有権者としてはそういう時期に選挙がもし起こってしまうということに関してはどういう認識をお持ちになりますか。

知事
主権者が主権を行使するのは選挙の投票によって、主権者のまさに国を動かす権利が発動するので、私はそれは比較的どんどんやればいいのではないかという感じで、そういう機会が主権者に与えられれば与えられるほどいいのではないかというように一般的には思います。ただ、何のために主権を発動するのかというのがよくわからない中で主権が発動されてしまいますと、小泉総理の郵政解散総選挙の時みたいに一体国民が何を選んだのかよくわからない状態になってしまいますので、そこをきちんと何のために選挙をやるのかというのをはっきりさせた中で解散が行われるべきだと思っています。

記者
そういう意味では消費税増税に賛成か反対かという国民投票的な選挙になるのではないかという話もありますが、知事はどうでしょう、今の、何のためのという場合にそれが大きなテーマになると……

知事
それをやるなら夏頃にやっていなければおかしかったわけで、もう少し国会の中で不信任案とかの形で整理をしていただいて、通常国会の最終盤でもまさに消費税増税してけしからんというような理由で、あるいは参議院の問責決議案が出て、それが可決されたりしていますので、そういった論点整理を国会の場できちんと行ってもらった上で解散していくのが望ましいのだと思います。

記者
あと1点だけ。石原都知事が知事を任期半ばでお辞めになって国政のほうに新党を結成してという動きありますけれども、同じ知事の立場としてそういう石原さんの行動に対してどのような評価というか、お考えをお持ちか教えてください。

知事
それが都民のためにもなるということ、またそれをしないと日本全体がうまくいかないというような、そういう必要性がきちんと、特に東京都民の皆さんにわかる形にしていかなければならないのだと思うのですけれども、そこはまだこれからという感じなのではないでしょうか。

記者
今の時点では評価するしないというのに値しないということでしょうか。

知事
そうですね、評価できるのかもしれないけれども、そうではないのかもしれないということですね。

記者
もともと国会議員で知事になられて、もう13年半やられて、また国政に、年齢的なものもあるのですけれども、そういう行為自体ではどうでしょう、評価というのはなかなか難しいですか。

知事
消費税増税と解散というのがセットにされて、今およそ国政というものが何も決められない、全然進まない状態になっている。それも何かうっかりハプニングでそうなったわけではなくて、去年、一昨年ぐらいから、与謝野馨さんが経済財政担当大臣になったあたりからじっくり時間をかけてそういう破局に向かって国政が進んでいったわけですよね。ですから、今の日本政治が本当に構造的にめちゃくちゃになっていて、今の国会には任せられないという思いは、私も石原知事と共有するというといろいろな臆測を持たれるかもしれないけれども、石原知事に限らず何か日本全体のことを真剣に考えればどんなことでもするという発想になることは、非常に健全なことだとは思うのです。ただ、何でもするというのは、更に輪をかけて変なことをしたりしたら日本はますます混乱するわけでありまして、本当に日本を良くするような形に貢献をしていかなければならない。そういう意味では、私自身も何らかの形で日本全体を良くすることに貢献できればいいなとは思っているわけではありますけれども、そういうところからは理解できますね。ただ、ここまで褒めると、ちょっと褒めっ放しでもあれなので、今の局面で日本を良くするために大事なのは謙虚さだと思います。先ほど謙虚という言葉をたまたま国語辞典で調べる機会があったのですけれども、謙虚というのは「自分の能力や置かれている立場をありのままに受け入れ、相手の意見を認めて素直に取り入れたり、相手を押さえるような自己主張を控えたりする様子」ということで、これは日本全体についても求められていますよね、外国との関係においてもそうだし、また災害との関係、そして原子力というテクノロジーと向かい合うに当たっても…。実は今、日本にとって物すごく大事なのは謙虚さであって、それを国民的に統合していくという政治が求められているのだと思います。そこはちょっと石原慎太郎さんからはまだ見えてこないなと。あれだけの方がうんと謙虚になったら、それはすごいパワーを発揮するのではないかと思います。

記者
これまでの知事のお話の中で3点ほどお伺いしたいのですけれども、震災で犠牲になった方の身元の取り違えの件で、知事おっしゃったようになかなか現場を責めるのは、あれだけの現場の中では難しいとは思うのですが、とはいえあってはならない事案でありまして、今後の再発防止に向けた取り組みですね、例えば身元確認、いろんな確認する立場の方いらっしゃると思うのですけれども、歯科医の方も含めて。そういった今後の再発防止策について、今例えば指示するお考えだとか、知事自身のお考えもしあればお願いします。

知事
警察のほうでもかなり真剣にそこは考えているのだと思います。DNA検査というのがかなりしっかりできるようになってきているので、そういったところを軸にしながら再発防止策というのは講じられると思うのですが、ただ最後の最後はその場で遺族の方とどうやりとりして、どうそこで決めていくかという、非常にケース・バイ・ケースなことになってきますので、制度をこうすれば絶対防げるという問題ではなく、そういう修羅場といいますか、地獄のような環境の中で人間として最善の判断というのをした時に、それがきちんと正解になっていくにはどうすればいいかということは、これはおよそ公に関わる人みんなが考えていかなければならないことだと思います。

記者
わかりました。またちょっと別件なのですけれども、先ほどの災害公営住宅の件でいろいろ知事おっしゃっているように難しい状況あると思うのですけれども、知事はコップに半分水が入っているという例え話をされたのでお伺いするのですけれども、今の現状は知事は半分もたまっているというふうに見ているのか、まだ半分しかたまっていないと見ているのか。

知事
僕は心理テストをやっている場合ではないと思っているので、そこはもうありのままに受けとめて、一人でも多くの地権者の方に提供いただけるように、それができるだけ早く行われるようにということに努めていくべきというように思っています。

記者
最後にもう一点、国政の件で問責決議のお話がちょっとありましたけれども、この問責決議の効力というものはずっとねじれ国会が常態化してからかなり議論になっているところで、この問責決議があるがゆえに法案、国政が停滞する原因にもなっていく、これはどちらに原因があるかというのは様々議論があると思うのですけれども、この問責決議の効力に関しては、国政にいらっしゃった立場から見てどのようにお考えか、その考え方を聞かせてください。

知事
ここでもやはり謙虚さが大事だと思うのですけれども、参議院というのはやはり日本国憲法でも規定された大事な国権の最高機関の一部であり、また全国民の代表が集う場でもあるわけですから、その参議院というものをきちんと尊重するという姿勢を政府や政府を構成している政党が真剣に考えるということですよね。ですから、そもそも問責決議が出るような状況に持っていくというのはやはり政権を持っている側にすれば、それは失敗と言っていいと思いますし、そうならないようにする義務は政権を持っている側にあると思います。

記者
そうすると、総理の問責決議が可決された今の状況では、やはり国会審議を続けるのは無理で、やっぱり解散をすべきいいきっかけというか、根拠になり得るというお考えでしょうか。

知事
下野というものもあって、戦前には行き詰まれば下野というのが一つ憲政の常道としてあって、反対勢力のほうに政権を委ねるというのがあったわけでありまして、ですから3党合意に参加していない、3党合意に反対している人たちに今すぐ政権を委ねるというのもありだと思います。

記者
先ほど知事の話にあった国への宮城県との合同の要望についてなのですけれども、政府与党のほうで何とかしなければいけないという認識が高まっているという感触を得られたようですが、国のどういった言葉からそういうふうに感じられたのかというところをちょっと教えていただけますか。

知事
文字どおり、何とかしなければならないというような感じでありましたし、あとはちょっと前にあった、個人資産だから理論的に難しいとか、そういう話が今回はなかったということです。

記者
何か具体的な国の支援で今後期待できそうなものとかという、そういう具体的な言葉もあったのでしょうか。

知事
岩手県のほうから要望しているのは、そもそもは被災者生活再建支援法上の300万円というのをもっと額を増やして欲しいということが1つ、あとは取り崩し型復興基金を積み増してもらって、県独自の、岩手独自の100万円の積み上げというのはその基金を活用してやっているわけでありまして、その基金を更に積み上げてもらうというのが2つ目で、あとは復興交付金のほうで財源を確保してもらうという、その3種類を言っていて、宮城県との合同要望では後者の2つですね、復興基金、あと復興交付金とそこの2つを要望したところです。

記者
最後に、今回宮城と合同でやられたということの意味、今後どういう協力体制をとられていくのかというのを教えていただけますでしょうか。

知事
風評被害、観光関係の風評被害に東京電力からの損害賠償をきちんと確保するということについて、これは東京電力にも行きましたけれども、政府与党のほうにも知事2人で合同で要望した後、速やかに東京電力が観光関係の風評被害についても損害賠償の対象にするというように打ち出してきたのです。ですから、今回も1人より2人で、合同で要望することでいい結果を早く引き出せればなと思っています。

記者
明日6日に日本自動車販売協会連合会のほうが10月の車種別車名別新車販売台数を発表すると思うのですけれども、それですと小型ハイブリッド車のアクアがプリウスを逆転するのではという可能性が指摘されていますけれども、それについてご所見をいただければと思いました。

知事
岩手県内の工場で、そして岩手の人たちがつくっている自動車がそのように消費者の皆さんにも高く評価されてどんどん売れているというのは非常にすばらしいことだと思います。実際あそこのトヨタ東日本の金ケ崎の工場は関東自動車時代にもプラチナ賞という世界の自動車工場のクオリティの高さの最高賞をとったこともあって、自動車専門家の皆さんからも高く評価されている工場なわけですが、そうやって消費者の皆さんからも高く評価されるということで、岩手として非常にこれは誇らしく思います。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わりにします。

次の定例記者会見は11月12日(月曜日)の予定です。

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