平成25年1月16日知事会見記録

ID番号 N4772 更新日 平成26年1月16日

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平成25年1月16日10時30分から11時4分

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、お願いします。

知事
きょうの発表事項は、県が復興道路として位置づけた「宮古盛岡横断道路」の初めての開通区間、「簗川ダム付替道路」についてです。「簗川ダム付替道路」の一般国道106号「簗川道路」の約6.7キロメートルと主要地方道盛岡大迫東和線「簗川工区」の約4キロメートルの区間について、平成25年3月10日、午後3時に供用開始することといたしました。平成8年度の事業着手以来約376億円の事業費と17年の歳月をかけて整備を進めてきたものであります。
一般国道106号「簗川道路」は、県が復興道路として位置づけた「宮古盛岡横断道路」の初めての開通区間になります。東日本大震災津波で被災した沿岸地域の一日も早い復興を進めるために復興のリーディングプロジェクトとして全力で工事を進め、平成25年度の早い時期としていた供用時期を前倒しすることができました。
供用開始前の午前11時から現地にて開通式典を行います。貴重な土地をご提供いただいた地権者の皆様、関係機関の皆様の多大なご尽力の賜物であり、深く感謝を申し上げます。
今回の開通による整備効果としては、一般国道106号「簗川道路」において、夏で約2分、冬で約4分の時間短縮効果が見込めるとともに、危険箇所を回避したバイパス整備を簗川ダム建設事業の付替道路とあわせて行うことによって、安全で円滑な交通が確保されます。さらに、災害時の防災力強化、物流の効率化、観光ルートの整備による産業の振興、そして救急、医療への支援など促進します。
今後、沿岸地域の復興に向けた復興道路などの早期全線開通に向けて、国をはじめ関係者の方々と一丸となって全力で取り組んでまいります。
以上です。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
ただいまの発表事項について、質問があればお願いします。
では、幹事社からお聞きしたいのですが、今回の県が復興道路として初めて位置づけた道路の開通について、改めて知事の所感をお聞きしたいと思います。特に今後復興についてどういう役割を期待されているのかお聞きしたいのですが。

知事
大震災以降も内閣の大臣はじめ沿岸視察、沿岸を訪問する皆さんがやはりあの106号はなかなか大変だというような感想を一様に語っていたことを思い出します。それなりに整備、改良は進んできたところではあるのですけれども、やはり106号が「宮古盛岡横断道路」として高規格化されて生まれ変われば内陸と沿岸、沿岸と内陸の文字どおり距離が縮まり、オール岩手での復興、そして復興後の北上山地を共有の財産とする岩手全体の発展ということに大きく資するものだと思っておりまして、まず部分的に開通することは大変いいことだと思っています。

幹事社
ありがとうございました。
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
山田町のNPOの問題なのですけれども、一義的には町のチェックをちゃんとしていなかったという町の責任かとは思うのですけれども、県としても町にちゃんとチェックするように求めたりという立場にもあったかとは思うのですけれども、山田のNPOの問題についての知事の現在の所感というか受けとめと、県の責任についてはどういうふうにお考えなのかお願いします。

知事
随時報告は受けているところで、県としても山田町にしっかり協力、連携して対応していかなければならないと思っています。特に急に職を失った格好になる皆さんがちゃんと働いて、稼いで、なりわいと生活を被災地において守っていけるようにというところが県の大きな責任だと思っております。
なお、一般論になりますけれども、NPOというものは市民に見守られ、市民にチェックされて、そして行政とは違った新しい公共の主体として、行政から独立して、自立して、あるいは行政と協力して、連携してさまざまな公的活動を行う主体でありますので、ほとんどの多くのNPOはそうした対外的な信頼をきちんと守りながら立派な活動をしているわけですので、これがNPO活動全般、さらには新しい公共という動きを萎縮させることがないことを、今回もやはり気をつけていかなければならないことだと思っております。
一方で、今回の個別的事例について、事案については、まだ基本的なところが調査の段階というふうに理解していますけれども、過去の事例などを思い出しますと、NPOがそうした対外的な信頼ということについて、もうそういうことを守ることをしないと割り切って信頼を失うような行動に走った場合に、既存の制度の中ではなかなかそれをチェックすることが難しいということがあって、県でも過去の事例に基づいて新しいNPOとの付き合い方、NPOを巻き込んだ事業のやり方について新しい目安をつくったりして、そういったことがないようにと気をつけているわけでありますけれども、NPOというのはそもそも市民とともにある、市民のチェックを受けて、対外的信頼を守っていく存在でありますので、そのあり方についてはやっぱり行政のみならず、広く市民を巻き込んだ議論というのが必要なのだと思っています。

記者
先週、知事は香港のほうにトップセールスに行かれたと思うのですけれども、今後岩手の畜産物を中国、海外に、輸出を香港を中心にということだと思うのですけれども、拡大する上で、トップセールスで得た感触と今後どういうふうに進めていきたいという所感がございましたら聞かせてください。

知事
まず、卸売をやってくれている業者さんなどともいろいろやりとりしたのですけれども、「いわて牛」に対する期待は大変高いです。どんどん香港内での販売を伸ばしていきたいという意欲を感じました。
また、小売の段階でも、私も牛肉の試食の提供を売り場の現場でやったのですけれども、多くの香港の地元の皆さんが手にとって食べて、「ホーメイ、ホーメイ」と、おいしい、おいしいということなのですけれども、言ってくれまして、そういう小売の現場でも大きな手応えを今回感じました。ぜひ全農さんはじめ、あと生産者の皆さんとも協力し、生産から流通のところを協力しながら、県も一緒になって香港への輸出を伸ばし、さらに香港を入り口としてアジアに広く広がっていくように、そういう方向性を見ながら努めていきたいと思います。

記者
今回好感触ということでしたけれども、海外での風評被害の部分で、感じた部分というのは何か今回かございましたでしょうか。

知事
モグモグ、パクパク、おいしそうに食べてくれますし、ですから小売の現場に立てば、岩手の物産というのは、これは世界に通ずるなという実感を得ました。ですから、あとは売ってくれる小売、そこに卸してくれる卸、そういった流通の要所、要所のところの理解をもらって協力してやっていけば風評被害的なものは克服できると思います。

記者
同じように中国とも岩手県とは友好関係は保っていまして、お茶と南部鉄瓶と連携した販売の取り組みとか進めていらっしゃっていますけれども、尖閣問題をめぐって日中関係は軍事的緊張が高まっておりますけれども、知事としてはどうご覧になっていますでしょうか。

知事
香港では、中国の本土のほうでいろいろビジネスやっている人や、あるいは岩手がパートナーにしている上海大可堂の関係の人とも会う機会があったのですけれども、そういう消費の現場のレベルでは、岩手のものをどんどん売りたいというような手ごたえ、また中国の人たちも買ってくれる、また欲しがっていると、そういう状況があるというふうな話を聞きました。ですから、民間同士の関係とか、あるいは地方自治体同士の関係とか、また地方自治体と中国民間の関係とか、そういったところについては、もう中長期的な上昇トレンドというのに大きな変化はないのだと思います。あとは政府間の関係を良好なものにしていってもらえば、日中関係というのは民間レベル、地方間レベルの発展的な基盤はもうしっかりしたものがあると思うので、あとは政府間の関係をうまくやってもらえばいいのではないかと思います。

記者
岩手県としては、これまでどおりの友好的な取組を続けていけば大きな影響はないというような見方でしょうか。

知事
むしろ、そういう民間同士の関係、地方自治体同士の関係、そして地方自治体と民間の関係という厚い基盤が育っていくことで政府間の関係についてもより安定したものになっていくのだと思います。

記者
大阪の市立高校であった部活動での体罰における自殺の問題についてなのですけれども、それに関する知事のご所感と、あと岩手県で改めてそういったことを防ぐための周知徹底を図る等、何か対策お考えでありましたらお聞かせください。

知事
まず、自殺を防がなければならないということが一つありますし、それから体罰はよくないということがあります。岩手県においては、そこはそれぞれ学校の現場でも、また教育委員会としてもきちんと取り組まれていると理解していますし、また教育の問題からもうはみ出て、人権の問題とか、あるいは治安の問題とか、そういったことに備えて知事部局とか、警察のほうでもしっかり対応できるようにはしてあると理解しています。文科省のほうで改めて体罰を防ぐようなことを全国自治体の教育委員会と一緒にやるというような動きがあるのであれば、岩手県の教育委員会も、また県内の市町村の教育委員会も、そこは連携して取り組んでいくのだと思います。

記者
きのう、麻生太郎財務相が地方と国との協議の場で、地方公務員の給与を国家公務員並みに削減するように要請しまして、知事会が反発したという案件があったのですが、この削減に関して知事のお考えをお聞かせください。

知事
岩手県の場合、私が知事になってから、私の最初の任期の後ろのほうの3年間で知事マイナス20%、副知事マイナス15%、課長級(以上)がマイナス(4~)6%、一般職員がマイナス2%かな、3年間にわたってそういう給与特例削減をしているのですね、抑制的な人事委員会勧告に従った毎年の給与改定と別にそういう特例減額をやっています。そういうことは、ここ5年あるいは10年、各都道府県が、ほとんどの都道府県でやっているので、その間、国は基本的にそういうことはやっていなかったので、都道府県サイドから見ると、ようやく国も都道府県の取組に追いついてきたなという感じなので、きのうも山田京都府知事、知事会会長から今回国が2年間7.8%でしたっけ、削減するのに合わせて地方もというのは理屈としておかしいということを述べられたのだと思います。それはそのとおりでありまして、やっぱりそういう実態ですよね。人件費の抑制、削減を含む行政改革ということについては、地方自治体のほうがここ5年、10年、非常に厳しい取り組みをしてきているわけでありまして、それを踏まえて考えていかなければならないのだと思います。

記者
もう一つお願いします。このたび同じ東北の山形県の吉村美栄子知事が無投票再選されまして、そのことに関してエール、メッセージありましたらお願いします。

知事
既に祝電も送っていますけれども、同じ東北、大震災のときも山形県、被災地支援、大変たくさんのことをしていただいていますし、これからもまずそういう復興に関するパートナーとして大いに期待いたしますし、それから観光(振興)とか、自動車(産業振興)とか、オール東北でいろいろ取り組んでいることも一緒に力強くやっていきたいと思います。

記者
そして、来年度ですけれども、夏になりますと知事も2期目の折り返し地点がやってまいります。今時点でお聞きするのはちょっと心苦しいですけれども、3選への意欲というのはお持ちでしょうか。

知事
折り返しということは、今はまだ1年ちょっとしかたっていないということで、この任期、今、目の前の復興をはじめとする課題について一生懸命やらなければならないなということを考えています。

記者
きのう緊急経済対策を柱にした13兆円ぐらいの大型の補正予算が閣議決定になりましたけれども、これについて知事の評価をお伺いしたいと思います。

知事
東日本大震災発災直後から、私は一時的に借金を増やしてでも思い切った財政出動をやらないとだめだと、それは復興に必要な財政出動はもちろんなのですけれども、同時に日本経済を強くする、日本再生ということに関してもリーマンショックの影響がまだ残っていましたし、またそれはさまざまアメリカ、ヨーロッパ経済情勢のさらなる悪化も含めて、今もやはりそうした経済対策ということが必要な局面だと思っていますので、おととし(の時点で)、私が主張していたことがようやく実現してきたなというふうに思っています。
あとはちゃんと復興を力強く進めるということと、それから日本経済を一定の成長軌道に乗せていくということを実現しなければならないのですが、日本経済の成長については地方経済が主役になるような形で国民経済が一定の成長をしないとだめだと思っています。というのは、今世紀の初めごろ、いざなぎ景気を越える景気上昇局面というのを日本は経験したわけでありますけれども、その間、勤労者のサラリー、給与は一貫して減り続け、そして岩手の県民所得と全国国民所得の乖離もどんどん広がり、中央と地方の格差が広がって地方経済が疲弊して、岩手は物すごい人口流出圧力に悩まされ、毎年、毎年外に出て行く人がどんどん増えていくということを経験していますので、そういう経済成長ではだめですから、そうならないような予算の使い方、よほどうまく地方経済が強くなるようにやっていかないとだめだと思うのですけれども、そこのところを政府には求めていきたいと思います。

記者
ありがとうございます。一部では大盤振る舞いで、元のように戻ってしまったのではないかというような声も聞かれるのですけれども、その点についてはいかがですか。

知事
東日本大震災による日本経済社会のダメージというのは、やっぱり物すごく大きいものがあるので、そこにはやっぱりかなりのお金を投入しなければだめだと思っています。同時に、そもそも20年間の長期デフレというのが続いているところにリーマンショックがあって、昨今の欧米の経済危機とかもあり、日本経済も大いに疲弊しているわけだから、諸外国でも思い切った財政出動をしているので、日本もしなければならないというのは、おととしから言っているとおりであります。あとはその使い方をきちんと(していく)、さっき言ったように、地方が強くなるような使い方をしていくということと、あとは当然ですけれども、利権とか、そういう政治の腐敗につながらないようにちゃんと気をつけるということだと思います。政治と、あと行政の腐敗にもならないようにということだと思います。

記者
それから、先ほど出た体罰に関する話なのですけれども、文科省によると年間で毎年大体400人前後ぐらいの教職員の方が体罰に関して処分をされているという傾向がずっと続いているということです。現場でもなかなか察知するのが難しいというような話もあって、先ほど知事も現場、それから教育委員会でもしっかり取り組んでいくということでしたが、その実態把握というところが一番大事になってくると思うのですけれども、そこについては知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
権威主義的な風潮というのが日本の封建時代にはそれが支配的だったし、戦前、戦中にかけてもそういう鉄拳制裁当たり前、上の人には何をされても、それに従えみたいなことが徹底されていて、戦後そういうのはよくないというふうにいろんな制度はできているのですけれども、いまだに上には逆らうな、長いものには巻かれろ、何かそういう筋を通して少数で何かやるということは周りからたたかれて、弱虫毛虫、挟んで捨てろみたいな感じの社会風潮というのがやっぱり今でも日本には残存しているのだと思います。だから、そういう中で体罰してもいいのだみたいな雰囲気が醸成されるというのは、むしろ学校の中を重箱の隅をつつくように外からほじくり回すというよりは、やっぱり外のほうの世の中のあり方を直していって、学校もまたちゃんと普通にやれば学校というのは自由や、自立や、また筋を大事にしていくという論理で動いていくものだと思うので、いろんな経済、社会の悪化が学校に悪影響を及ぼしているというのと同じようなところがあると思っています。大きいところから見れば学校の中でそういう暴力というものが容認され、それが世の中に出て行っているというよりは、世の中全体の暴力容認的な要素が学校に悪影響を及ぼしているというほうがどちらかというと当たっているのではないかなと思うので、もちろん教育委員会、学校現場、その中においてしっかりしていかなければならないのは当然なのですが、外は外でそういう学校への悪影響を減らしていく努力をしていかなければならないのではないかと思います。

記者
1点だけいいですか。来年度に向けて自治体の職員の不足というのが非常に大きな課題になってきていると思います。

知事
自治体の職員の……

記者
自治体の職員の不足ですね。

知事
附属……。

記者
不足です、ごめんなさい、足りないと。全国から派遣の方を求めていらっしゃるということもありますけれども、どこも職員を減らしている中で、職員数を確保するのがなかなか難しいという現状があると思うのですが、岩手県としてどのようにそれに対して臨んでいこうというふうにお考えでしょうか。

知事
全国知事会を通じてお願いしているところ、しっかりお願いしていかなければならないと思いますし、また必要に応じて個別に調整もしていかなければならないと思っています。
あとは国に対しても根本復興大臣に去年12月28日に大臣としての根本大臣に初めてお目にかかったときに、復興構想会議や復興推進委員会の中でアメリカでは連邦政府の危機管理担当職員が7,000人も8,000人もいて、そういう人たちが復興の作業にもどんどん入っていくよとか、あと総務省の事業なのですが、復興支援員、これ各県10人とかそのくらいの規模でしか予算がついてない。これはやっぱり1けた違うのではないかという声が地元で活動しているボランティアからもあって、100人、200人とかいう単位で何十億円かでそのくらいの人員は確保できる。そうすると被災地の様子は全然違ってくるという、そういうような話(があったこと)を紹介しました。
きのう根本復興大臣からは、まず国家公務員OBを採用し直して、被災時に派遣するということと、あと国家公務員プラス青年海外協力隊、そういう国が直接国関係の人を被災地に派遣するというのをやりますからねという話があり、これは大きい前進だと思っています。やはり国が直接人材不足をどんどん補っていくという流れができていけばかなり大きいと思っています。

記者
きのう4県の知事で合同で国のほうに要望に行かれまして、ILCについてですね、文部科学大臣から欧米関係国に政府間協議を呼びかけるような話があったようですけれども、それにつきまして知事の受けとめと、県として今後誘致にどのように取り組むかお聞かせいただきたいのですが。

知事
みんなで力を合わせてアピールし続けてきたことがこういう一歩前進につながったと思っております。引き続き地元において理解を深めるということと、また関係者一丸となって、岩手としてもそうですし、またオール東北としてもそうですし、対外的に、さらにアピールを強化していくということが今必要だと思っています。

記者
知事のほうから東北各県の知事に改めて何か呼びかけとかされるご予定とかありますか。

知事
これはもう既にいろいろやることが決まっていますし、どんどんこれを進めていこうということ、去年のうちからいろいろ打ち合わせも進んでいますので、(これからも)しっかり(連携して)やっていきたいと思います。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は1月28日(月曜日)の予定です。

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