平成25年2月4日知事会見記録
ID番号 N4768 更新日 平成26年1月16日
平成25年2月4日10時30分から10時57分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はありません。
幹事社
まず、幹事社から1つ質問をさせていただきます。
平泉町の柳之御所遺跡から国宝の「鳥獣人物戯画」にかかれたカエルに似た絵がかかれている木製の折敷(おしき)の破片が出土したという発表がありましたけれども、「いわてマンガプロジェクト」など岩手の魅力をソフトパワーで発信している知事としては、このようなユニークな絵が平泉で見つかったということについて、どんなふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
知事
この柳之御所から出たカエルの絵を見たときに大変驚きました。というのは、鳥獣戯画以上に漫画的だったからです。具体的には目が白丸の中に黒丸をかいて目とする。また、腕の模様もぎざぎざの三角形の模様で、これは絵というよりむしろデザインに近いような描かれ方をしているということで、鳥獣戯画がよく漫画の元祖、漫画第1号みたいなことを言われるのですけれども、漫画のキャラクターとしてはこの平泉、柳之御所で発見されたカエルの絵のほうが漫画キャラ第1号と言っていいような絵だと思います。
これは例えばですけれども、あくまで例えばなのですが、「ビッキー」とか、そういう名前をつけてもいいのではないかというくらいキャラクターになっていると。「ビッキー」というのは、岩手の方言でカエルのことを「びっき」と言い、カエルを「ひき」と呼んだ古語に由来しているので、「ビッキー」とかなのですけれども、どういう名前で呼んでも、あるいは名前で呼ばなくてもいいのですけれども、キャラクターとしてきちっとデザインされているというところが、しかも現代描かれる漫画とほぼ同じような形でそれが描かれているというのはもう大変な驚きで800年前、900年前の平泉でそういうものが描かれていたようだというのは大変すごいことだと思いました。
幹事社
ありがとうございます。では、この質問に関連して各社から質問があればお願いします。
記者
先日知事査定の際にも少々こちらの件について幹部の皆さんにお話しされる機会があったかと思いますけれども、知事としてはこのように活用したいというような思いはありますでしょうか。
知事
まずは、文化財として平泉のさまざまなお寺や庭や遺跡の中にきちっと位置づけて文化財として発信をしていかなければならないというのがあると思いますけれども、あとは「いわてマンガプロジェクト」の一環として、岩手ではそういう古い漫画、日本で最初の漫画キャラと言ってもいいようなカエルの絵が描かれていたというようなことを「いわてマンガプロジェクト」の中で発信していってもいいと思っていますし、あとは物産とか観光とか、そういう観点からもいろんな可能性があるのではないかと思っています。鳥獣戯画のカエルやウサギの絵も、ちょっと前に、ある飲料メーカーがおまけのストラップにしたりしたのを覚えていますけれども、いろんな活用の発展の仕方というのがあるのではないかと思っています。
幹事社
それでは、そのほかのもので質問がある方はよろしくお願いします。
記者
体罰の件で質問させていただきます。今年度内に県の教育委員会が体罰の実態調査をするということが決まっておりまして、それに関連するご質問をさせていただきます、2点なのですけれども。
1点目は、大阪市の体罰の自殺は結構行政とか市のほうにも体罰の情報が寄せられていたにもかかわらず、自殺を防げなかったという、なかなか実態把握が難しいという、この問題についてと、文部科学省の通達を受けて、本年度内に県としても実態調査を始めることにしているのですけれども、それに期待していることというか、要望すること、保護者とか、子供とか、対象の範囲はまだ聞き取りも決まってないのですけれども、要望することと期待することについて2点伺ってもよろしいでしょうか。
知事
岩手県では、過去にも体罰で教職員が処分になったケースがあり、教育委員会としてきちっと実態を把握しながら必要な場合には処分するということが行われていたと思います。今回、体罰問題が全国的に注目され、そして県民の関心も高まっていると思いますので、そういう時期に改めてこの調査をするというのは時宜を得たことではないかと思います。
記者
あともう一点、体罰とは関係ないのですが、東京電力の件なのですけれども、これまで3回の損害賠償請求をしていて、(市町村と県と)合わせて16億円の賠償をして240万円ですか、市町村と県を合わせると、(240万円)の支払いにとどまっている、この現状についてご見解と、これからの対策は、県としてどうお考えですか。
知事
やはりもっと踏み込んで積極的に賠償の支払いをしてほしいと思います。そもそもの原因者であるということをしっかり自覚して、そして放射性物質による影響の被害、風評被害というものも含めてかつてなかったようなことで住民やさまざまな産業関係、生産者やいろんな関係者の皆さんが困り、また苦しんでいるわけですから、そういったことに対して東京電力はもっと積極的に賠償に応じていかなければならないと思います。
記者
先ほどの体罰と関連するのですが、今回の大阪にしろ、それからその前の大津にしろ体罰の問題が起きた後に、大阪では橋下市長が、また大津の越市長が非常にリーダーシップを発揮して体罰についての問題に関わっていったと、特に大阪の場合ですと橋下市長が予算の不執行まで言及してリーダーシップをとったのですが、そういう意味で、現在教育委員会に関しては独立の行政委員会で、教育委員会が担当していますが、一方の議論として市長部局並びに知事部局のほうに教育行政を移すべきという議論もあります。一方、教育の中立を守るためには、やはり政治的に左右される知事部局ではなく、行政委員会制度にすべきという意見もありますけれども、知事はその辺のお考えはどういうふうに思っていらっしゃいますか。
知事
まず、今回のことについては、教育について知事部局が乗り出したというよりも教育行政の枠に収まらない暴力事件、刑事上、犯罪になるようなことが問題になったわけですので、教育委員会の中だけでは収まらないということだったのだと思います。教育そのものを知事部局のほうでやるかどうかということについては、今までいろいろ議論もあるところでありまして、私も今のままでいい、教育委員会がやることで、もうこれで絶対というふうには思っていませんで、いろんな検討の余地はあると思っています。ただ、教育というのは、そもそもは学ぶ者みずからが進めていく、教育というと教育を授けるというか、教育する側が中心に組織の組み立てとか、制度設計が考えられがちなのですが、本質的には学びということが問題なのであって、まず学ぶ側本位にいろいろ組み立てていかなければならないと思うのです。それで、まず学ぶ者がいて、その家族とか地域で一緒に暮らしている人たちとかがいて、そして学校があってという順番だと思うので、かなり広い議論をして決めていかなければならないことだと思います。
アメリカで成長した教育委員会制度というのは、ドラマの「大草原の小さな家」みたいに西部開拓、コミュニティで移動し、定着して、そこに町につくっていく中で、地域住民が教育制度もつくっていったという経緯の中で育っていっていますので、そういう地域住民、コミュニティの人たちがその気にならないと、そういう方向での本質的な改革は難しいし、教育委員会に代わる教育オンブズマン制度ということを衆議院議員時代に議論したことがあるのですが、そういう教育オンブズマン制度というのも地域の中にオンブズマン的なことをやろうという人たちがいないとできない仕組みでもありますので、今、岩手においては「いわて型コミュニティ・スクール」ということで教育委員会制度のもとでそういう地域の参画をいただきながら、学校と地域と家庭が一体になって教育を進めていこうとやっているわけですけれども、それが発展していく中で、より好ましい制度設計というのが見えてくるかもしれないというふうに、今は思っているところです。
記者
復興庁なのですけれども、間もなく創設から1年を迎えますが、これまでの復興庁の取り組みなどについて、まず知事の所感を伺いたいと思います。
知事
私が復興庁あるいは復興委員でもいいのですが、そういう組織のあるべき姿としてイメージしていたのは関東大震災の後の帝都復興院、帝都復興計画というものを短期間でつくり上げて、そしてさまざまな事業を帝都復興院として進めていく強力な組織のイメージでありまして、それに比べるとかなり弱い組織として復興庁は立ち上がったと思います。
今、安倍内閣のもとで復興庁の強化ということが取り組まれているのは、そういうふうにしていかなければならないと思っていまして、日本全体の総力を結集して東日本の復興を進めていく、それがひいては日本全体の発展につながるということで、そういう国家プロジェクトとしての復興というのを力強く推進していくような復興庁になっていってほしいと思います。
記者
具体的に機能強化というところで抜本的なところでの機能強化とか、あともっと具体的にこういうことができればもっと司令塔としての機能を発揮できるのではないかとか、いろんなお考えあると思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
知事
今非常に深刻な問題になっているマンパワー不足について、今まで国として人を雇ってマンパワー不足の解消へというのはなかったのですけれども、今度安倍内閣のもとで国家公務員OBとか、青年海外協力隊隊員とかを被災地のマンパワー不足に対して派遣するというふうに政府が人を雇って派遣するというところ、一歩踏み込んだ格好になっているのですけれども、これはもっと大々的にやるべきだと思います。
総務省の復興支援員の枠組みを拡大するというようなやり方もあるでしょうし、あとは復興庁なり政府が雇用した職員をどんどん派遣するでもいいのですけれども、やはり3桁、何百人という単位でそれをやっていかないとなかなかマンパワー不足問題は解消しないのではないかと思います。
あとは、国際リニアコライダーを復興事業の中に位置づけて取り組むというような大きい話も復興庁でやってもいいのではないかと思いますし、具体的な話になればなるほど各省庁との役割分担ということが出てきて、復興庁の直轄事業かどうかということについては、具体的になればなるほどそれ以外のやり方もあるわけですが、大きくそういう国の直轄の事業を増やしていくという中で、復興庁が然るべき役割を果たしていくことを期待します。
記者
知事が冒頭におっしゃられた当初のイメージよりも弱い組織だというお話でしたけれども、例えば具体的にどのようなところをそういった権限の弱さといいますか、そういったところをお感じになられましたでしょうか、この1年で。
知事
そもそも政府全体としてこの通常国会、復興国会にすべきようなところを消費税増税国会にしてしまったり、復興のさまざまな政府として何をすべきかを議論するような機会に財源をどう調達するかという、またこれも消費税絡みなのですけれども、財源論に走ったりとか、そもそも全体として復興に背を向けていたというところが問題だと思います。
記者
あと最後に、復興庁が1年の節目を迎える中で、福島ですと2本社体制(福島復興再生総局の発足)ですとか、福島のほうに比重が向いているのかなというようなところも感じるわけですけれども、そういったところに対する不安とか、もしくはこれから要望するところといいますか、そういったところがありましたら教えていただけますでしょうか。
知事
福島の状態はやっぱり大変深刻なので、福島に対して今まで以上に手厚い対応をしていくというのは、国として必要なことだと思っています。そこに復興を進めていく上での不安というのは、特に感じていません。
記者
先週JRのほうからJR大船渡線のBRTの運行再開の日取りが正式に発表されましたけれども、被災地の公共交通機関の再開に対して知事の率直なご感想を聞かせていただけますでしょうか。
知事
まず、臨時にこのBRTで当面というか、まず公共交通の復旧を早くということを沿線市町も求めていたことでありますので、それが実現したことはいいことだと思います。これをきっかけに被災地における公共交通の充実ということ、それぞれの関係者にはさらに真剣に考えてもらって迅速な対応をしていってほしいと思います。
記者
今回は、あくまでも仮復旧ということですけれども、本復旧に向けてどういう取り組みを知事は期待されていますでしょうか。
知事
何回も言っている話なのですけれども、一企業の経営の問題としてとらえるのではなくて、あくまで被災地の復興ということがみんなで力を合わせて取り組むべき課題であり、関係の市、町がそれぞれのまちづくり計画をつくって、そしてここに駅を置いて、駅を中心にこういう中心市街地をつくっていくという、その中できちんとJRならJR東日本という企業が役割を果たしていくというような形で地元ときちっと意思疎通を図りながら進めていってほしいと思います。
記者
先ほど復興庁発足1年の話に関連してなのですけれども、復興庁発足半年のときに同じようにお伺いしたのですけれども、その半年のときの所感でも国家的プロジェクトをもっとどんどんやってほしいというようなお話があったと思うのですけれども、それからまた半年たってその状況が改善したのか、この間政権も変わりましたし、この間変わったこと、それから政権が変わって、これからより期待できるのかと、そのあたりについてお伺いしたいのですが。
知事
安倍内閣は、やはり前政権よりも、前政権ができなったこと、前政権がやらなかったことをやっていこうという基本的な考え方なのだと思います。復興ということについて、そういう基本的な考え方だと思っていまして、復興大臣はじめ関係の大臣の皆さんと年末年始会って話しさせていただく機会を持ちましたけれども、そういう意欲を皆さん持っているなと思いました。そういう意味では、今まで以上に踏み込んだ対応、今まで以上に強力な体制ということが期待できると思っています。
記者
国家的プロジェクトというお話なのですけれども、それは先ほど知事がおっしゃられたように、岩手に関してならばILCを国として積極的に岩手誘致に向けて取り組んでもらうというようなことが念頭にあってのお話ということでしょうか。
知事
そうですね。これも前に話したことがあるかと思いますが、復興庁には東日本開発庁、よりエリア限定的に言うと東北開発庁あるいは広く言うと東日本開発庁のようなマインドを持って仕事をしてもらわないとと思っています。というのは、復興という作業は壊れたものを直すだけではなく、既存のさまざまな事業を束ねるだけのことではなく、新しい未来のその地域のあるべき姿を描いてそこに追いついていくような復興をしなければならない。そういう中にILCの話も出てくるわけですし、またオール東北として産業や交通や、そして医療、福祉というような分野、また学びの分野、そういったことについても未来のあるべき姿というのを復興庁としても、それはイコール日本国政府としても描きながら復興を進めていかなければならないと思うのです。
そういう東北なり、東日本なりの未来のあるべき姿というのを描き、つくっていく作業というのは、日本全体にも参考になり、また日本全体をそういういい方向に持っていくことにもつながるはずでありまして、そこは行革とか地方分権とかの流れからすると国がそこまで地方のあり方について直接仕事をしていいのかという疑問が大きいのかもしれないけれども、そこは遠慮すべきではないし、やはり被災地だけ、被災県だけの力では復興というのは進まないわけですから、そこは日本が本気で、政府としてやってもらわなければと思っています。
平泉を例えても、地元は地元でしっかり自立して主体的に東北をどうするというふうに考えて動きながら、しかし京都の日本政府ともしっかり連携をして役割分担をしながらやっていく、京都の中央政府は京都の中央政府でその東北という地域を、日本全体の中でどう位置づけるか、それなり戦略を持ってそこの金とかいろんな物産を日本全体の発展に生かしていくというような、東北というところはやっぱり地元と日本全体とが連携しながら開発していくフロンティアという、そういう、今でもそういう状態であると思うのです。地元だけでそこに住む人たちの暮らしや仕事をよくしていくということが難しい地域だというのは大震災がなくてもそうであって、ましてや大震災があった以上、国はそういう東北開発ということに本気で乗り出すマインドを持ってやっていかなければならない、そういう局面だと思います。
記者
きょうの朝の一部の報道で自民党の徳田国土交通・復興政務官が女性問題をめぐり辞任する意向を固めているという、一部の報道でございましたけれども、これについて知事の見解をお願いします。
知事
今初めて聞きました。一般論ですけれども、社会的に認められないようなことはプライベートでも公の職につく人はやはりあってはならないことということがあるのだと思います。
広聴広報課
よろしいですか。それでは、これをもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は2月12日(火曜日)の予定です。
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