平成23年4月1日知事会見記録

ID番号 N4918 更新日 平成26年1月16日

印刷

平成23年4月1日 10時45分から11時09分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
それでは、知事、お願いします。

知事
本日4月1日、平成23年東北地方太平洋沖地震及び津波災害から3週間を経過し、また新年度を迎えました。
発災以降、県では災害対策本部を立ち上げ、犠牲になられた方々の故郷への思いを引継ぎ、被災された方々の幸福追求を実現するため、職員一丸となって、一連の対策を進めてきました。
この災害では、市町村の職員の方々が大勢被害に遭われ、また、幾つかの役場庁舎も大きな被害を受けるなど、市町村の行政機能に支障が生じております。特にも陸前高田市と大槌町においては、それが顕著であります。
市町村の行政機能回復は、被災者支援や復旧・復興を軌道に乗せるため、県として喫緊の最重要課題の一つとして取り組んでおり、これまで職員の派遣や物品の確保等を通じて、市町村と意思を共有しながら支援を行ってきました。
今後もこの取組をより充実させ、仮庁舎の建設への支援等も行い、県内市町村や全国の市町村の協力もいただきながら、必要な人員を確保することにより行政機能の早期回復を実現させてまいります。
また、被災された方々に対しては、避難所生活の改善を図るため、食料や生活物資の提供はもとより、医療の提供や被災者の心のケアに係る対応、避難者の方々の意向に配慮した上での内陸への移動を行うなど、さまざまな支援を進めてきました。
今後も避難されている方々や、帰る家はありながらも物資等、生活に不自由している方々お一人お一人に行政が寄り添いながら、きめ細かく応えられるよう避難所などにおける生活支援の充実、仮設住宅の早期建設・提供、内陸部への移動等、必要な対策を実行しながら、被災された方々への生活支援に最大限の努力を傾注してまいります。
これからはこうした支援とともに、被災された方々の雇用や子どもたちの教育、水産業をはじめ農林業、商工業、観光業など地域産業の復興、すなわち地域の再建に向けた取組を進めていく必要があります。
発災から1カ月となる4月11日には、発災時刻午後2時46分に黙祷を行うことを岩手全体に呼びかけたいと思います。同時に、復旧・復興に向けて強く立ち上がろうという決意や復興の理念などを盛り込んだメッセージを発し、復興に向けて力強く取り組む岩手の姿を内外に広く訴えていきます。
津波の被害を受けた地域、津波の被害は受けなかったものの地震による被害を受けた地域、また燃料、生活物資の不足に不自由している地域、すべての地域が力を合わせ、岩手として希望を持ち未来に向かって歩んでいきましょう。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
ただ今の内容について、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。
特にないようですが、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
生活の再建に向けて2点お伺いします。生活の再建には、まず住まいと仕事が必要になるわけですが、まず仕事の面からいけば、知事がおっしゃったように漁業が大変な被害を受けていますが、漁業の復興に向けた現時点でのアイデアをお聞かせください。それから、住まいに関してもコンクリートの強い建物を造るとおっしゃっていましたが、詳しいところが分かればお願いします。

知事
田名部農林水産政務官が視察した際、さらに山田正彦、主浜了それぞれ衆参の農林水産委員長が視察された際、県の方から漁協等の意見も参考にしながら要望書を出しています。その要望書の中には、例えば難を逃れて、能力と意欲と技術を持った漁業者の皆さん、船や漁具さえあれば、すぐにも仕事ができるというような方々がいらっしゃいますので、そういう道具を漁協、県漁連、全漁連という漁協系統の支援で無償貸与し、その費用を国が支援するようなものなどを要望しているところです。

記者
住まいに関してはいかがでしょうか。昨日、(仮設住宅の必要戸数を)1万8,000戸に見直していましたけれども。

知事
これも生活再建に向けて、できるだけ早く避難所から次のステップに移っていただくことが大事だと思っていますので、それぞれ被災された方々の意向を尊重し、かつコミュニティーの維持という観点も大事にしながら調整をしていきたいと思います。

記者
あと国への要望という文脈でもう1点お伺いします。政府の方では、復興に向けた基本法案を検討していて、その中身として、例えば特別消費税だとか、あるいは復旧・復興庁の創設などを検討していることが明らかになりましたが、この点についての知事の所感をお願いします。

知事
国への要望として、一言で言えば、現地の声に耳を傾け、思い切った手を打ってほしいという一言に尽きるというところがあります。さまざま答えは現場にあるの法則が、いろいろな経営などの分野で言われていることですが、今回の災害でも非常に当てはまると思っており、今何が起きているのかということが分かれば、何が必要か、何をすべきかということもおのずと見えてきます。そういったことが、市町村、県を通じて現場の声と現地の声というものが集約されていきますので、その声をまず聞いていただきたいということと、そしてそれに応えるような立法、そして予算(措置)、それを思い切ってやってほしいということです。そのために、どういう財源の調達の仕方があるのか、法律の作り方があるのかについては、まさに国会や内閣の皆さんが工夫を凝らして取り組まれることではないかと思っています。

記者
今、政府の方の案のお話しがありましたが、こういう状況の中で、今日は谷垣自民党総裁が岩手に入って視察の前に知事とお会いになるということですが、野党といいますか、国会として、今回の災害対応について、どういうスタンスで臨んでほしいということがありましたら教えていただきたいのと、それからそういう意味で谷垣総裁にどういう気持ちを伝えたいかという点をお願いします。

知事
自民党の災害対策本部には早い段階から、この前も大島理森副総裁が岩手入りされ、私からもさまざま説明やお願いをし、電話でも既に谷垣総裁ともお話しをさせていただいていました。先ほど言ったように、現場の声に耳を傾け、思い切った手を打ってほしいということで、まず既に現場の声にさまざま耳を傾けていらっしゃることについては、この調子で行っていただきたいと思います。あとは、それに即した思い切った手を打つというやり方については、国会の方でさまざまな工夫の仕方があると思いますので、そこはもう国会の専門の皆さんに知恵を凝らしていただきたいと思います。

記者
昨日、鈴木寛文部科学省副大臣から、知事と教育委員長が要望された全寮制の小中一貫校の構想を発表されましたが、岩手においてはどうしてそれが必要なのかという必要性と、そうした前向きな姿勢に対する知事の受け止めをお願いします。

知事
帰る家がない生徒たち、また迎えてくれる人たちがいない生徒たち、そうした生徒たちにも義務教育を受ける権利をしっかり保障して、そして学びを通じて幸福を追求するというその機会を確保していくことが重要と考えて、教育委員会の方にもさまざま工夫を凝らしてもらい、鈴木寛副大臣が岩手入りした時に差し上げた要望書の中に、そういう構想というか、そういう形のものを国の支援でつくることができれば、最初に言ったようなことが実行できる、実現できるだろうということでお願いしていたものです。極めて早い段階できちんと行うということを言っていただいたことは、これでそうした厳しい事情に直面する生徒たちはもちろんですが、岩手の全ての生徒たちに、岩手においてきちんと教育は受けられ、また学びを通じて幸福を追求する機会が得られるのだという確信を生徒やその周りの人たちに持ってもらう意味で、とても大きな効果があると思っており、そこは鈴木寛副大臣に感謝しています。

記者
30日の記者会見でおっしゃられた復興ビジョンを4月中に取り組まれるということですが、改めてそのスケジュールや知事の思い、内容などについて、お話しいただければと思うのですが。

知事
まず、第1回の委員会をこの4月中に開くことをめどに今さまざまな仕組みづくりとか、具体的なメンバーの検討とかを行っているところです。チリ地震津波が起きた直後も、時の阿部千一知事が、さまざまな学者さんや有識者の皆さんに調査と復興のビジョンの検討をお願いして、チリ地震津波の後には10の提言というものが、かなり早い段階で出たという過去の歴史もありますので、そういう感じで県としても取り組んでいきたいと思っています。

記者
このビジョンで、今、知事が思い描いているのは、こういう形になるだろうというのは何となくはあるのでしょうか。

知事
いろいろなところで私が言っていますが、防浪ビル、波浪を防ぐビルというようなことも、これは岩泉を視察している時、岩泉土木のセンター長で土木の専門家からそういう話を聞きましたので、まさにそういう専門の技術者、そして学者、有識者の皆さんにさまざまアイデアを出してもらうことが重要と思っていますので、県としてはそういう場を作ることを早急にという考えです。

記者
中間報告については、年度のなるべく早い段階でということでよろしかったですか。

知事
年度前半には、チリ地震津波の時の10の提言のようなものをまとめてもらえるように進めていければと思います。

記者
菅首相が明日、陸前高田の方にお見えになる予定なのですが、菅首相が市町村合併について、この間言及されていました。市町村合併というのは、平時でも住民のコンセンサスを得るために長い時間をかけて、将来のあり方を決めているのですが、今回のような非常時の中で行政機能が低下しているからといって、今、住民がそれどころではない中で、そういうことを提起しているということについて、どのようにお考えでしょうか。

知事
そういう話があるというのを報道で見て、そういう考え方もあるのだなとは思いましたが、政府から県にそういう提案なり情報提供があったわけではありませんので、正式な提案等あれば検討するのかもしれませんが、県の方からそういう要望を政府に出してはいません。

記者
知事としては、そういう発想というか、そういう仕組みというのは必要だとお考えでしょうか。

知事
県として、そういう要望を出していないということで、ご理解いただければと思います。

記者
先ほどの全寮制の学校についてですが、今回の震災で家とかご両親を亡くされた子どものためにということだと思うのですが、それ以外に知事の考える方向性というかビジョンとして、家とか、特にご両親、主たる生計を支える方を亡くされた子どもたちに対する支援は、どのようなものをお考えかを教えていただければと思います。

知事
非常にさまざまなケースがあると思いますが、要は憲法が保障する教育を受ける権利は絶対に保障する。そして、学びを通じて幸福を追求する、そういう機会を確保するという原理原則をきちんと行政の側が大事にしながら、あとはさまざまなケースがあると思います。身近なところに親戚はいるとか、そういったさまざまなケースに対応しながら、一人一人の生徒に合わせて、きめ細かい対応をしていけば良いのではないかと思っています。

記者
津波対策について、過去の経験の津波対策は、チリ津波とか三陸大津波を想定して立てたものであり、今回それを大きく上回る津波が来たということなのですが、過去の津波対策がどうであったのかという評価と、今後どういう津波を想定するのかというお考えはどのようにお持ちでしょうか。

知事
これも極めて専門性の高い分野ですので、既に岩手大学OBの齋藤徳美先生のチームに現地に入っていろいろ調べていただいていますが、まず、そもそも今回の津波は、どこに何メートルの波が来たのかということが、まだ正確に把握されていないところもあります。そういった事実関係を科学的に明らかにしながら、そして技術的にどのような安全確保、防災の形が必要かということ、津波計画、防災計画のようなものは国レベルでさまざまな基準を作ったりしているところもあり、そういう国レベルの議論とともに県としても考えていかなければならないと思っています。
あとは国際的なそういう学術や知見とかも、今回の津波は地球レベル、人類全体にとっての新しい脅威というところもあるので、さまざまな国際的な知見もお借りしていった方が良いのかもしれません。

記者
先ほどの復興ビジョンのことで、もう少し教えていただきたいのですが、防浪ビルとか、そういった技術的な側面の話が多かったと思います。復興ビジョンというものは、そもそもどういう理念、原則で作られるのかと、あと具体的にこの技術的な側面だけではなくて、いろいろと多岐にわたるような気もするのですが、今、どのようなものを想定されているのでしょうか。

知事
まさに、どういった内容が必要なのかということも含めて、さまざまな皆さんの声を伺うのが良いのではないかと思っています。産業、経済面で、これからの岩手はこうでなければならないというような発言などが、さまざま既に出ていると思います。水産業のあり方ということについてもそうです。また、医療とか、福祉とか、そういうあり方についても、沿岸において、岩手において、どうでなければならないのかとか、そういったのをどれだけ、どのように盛り込んでいくのかというところから、やはり検討していただかなければならないと思っています。そうしたことを通じて、岩手県民が力強く前に進んでいけるような内容を作っていくということだと思っています。

記者
例えば何年間のスパンでとか、何年後の将来像を示すとか、何かそういうスケジュールというか、どのようなスケジュール感で、この復興計画を作るのかということを教えていただけますか。

知事
そういったスケジュール的なことについても、さまざまな人の知恵をお借りし、また専門家の意見を参考にしなければならないと思っています。例えば、がれき対策については、仮置き場に移すのに1年、そして仮置き場のものを中間処分して最終処分していくのに3年から5年という数字が、既に専門家や現場の方から出ています。そういった中で、1つには専門家、現場の方からそういう数字がどんどん上がってくると思います。沿岸の方で非常に先進的な経営で成功されていた会社の社長さんが、5年後には外国から働きに来てもらっていた人たちに、また来てもらって働けるようになっているというような発言が、経済界から出てきたりもしています。そうしたことを参考にしながら今の時点では、まず今年度中に何々、そして3年から5年後にはこうというような、そういう1とか、3とか、5という数字が見えてきているなという印象は受けています。

広聴広報課
これをもちまして記者会見を終わらせていただきます。

次の定例記者会見は4月4日(月曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。