平成23年4月4日知事会見記録

ID番号 N4916 更新日 平成26年1月16日

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平成23年4月4日 10時45分から11時14分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表はありませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
それでは、幹事社から県政記者クラブを代表して1つ質問させていただきます。
行方不明者の捜索についてです。昨日まで、自衛隊、米軍による一斉の行方不明者の捜索活動が行われましたが、いまだ多くの行方不明者の方がいらっしゃいます。その捜索方法、その時期や期間について、県の方で方針があればお聞かせ願います。

知事
自衛隊、アメリカ軍、そして警察、消防、さまざまな機関の皆さんに、一斉に行方不明者の集中捜索をしていただいたことは、大変ありがたいと思っています。陸上において、また海中において、それぞれ大変困難な状況の中で精いっぱいやっていただいたと思っています。なお、今後においても、行方不明者の一人一人、さまざまな現場の状況の中で捜索を、いろいろ工夫をしながら引き続きしっかり行っていかなければならないと思っていますので、(いつまでという)期間等は特に念頭にないところです。

幹事社
関連して、避難所で避難されている方々、やはり自分の肉親がまだ見つかっていない中では、一時避難や内陸等への避難はできないという声を多く聞きます。こういう現状を踏まえて、今の行方不明について、どういう心づもりでいきたいかというお話しをお願いします。

知事
避難者支援についても、避難所で主として生活されている方、帰る家はあるけれどもさまざまな物資など困難な状態にある方、それぞれ数字を把握してきめ細かく対応するような体制になってきています。そういう中で、この健康の問題でさまざまな物資の補給や、また適切な医療や福祉の手当ても行っていくのですが、この内陸に移動して避難していただいた方が避難者の健康のためにも良いということもあるので、内陸への移動ということもそこはしっかりサポートしながら、要は被災者一人一人の幸福の追求ということと、犠牲になられた方々のふるさとへの思いをしっかり継承するという、そういう2つの原則の中で被災者お一人お一人に行政が寄り添いながら対応していくことだと思っています。

幹事社
幹事社からの代表質問は終わります。これ以外の質問があれば、各社から社名を名乗ってお願いします。

記者
今日の本部員会議で、避難者の状況が、いわゆる在宅の避難者もかなり分かって実態に近い把握ができてきたと思います。そういう中で、特に避難者支援、一人一人きめ細かくという中で、どういう方々を特に留意して重点的に支援していかなければならないと考えていますか。

知事
これはもうお一人お一人、全てが大事、全てにきめ細かく対応したいと思っています。子どもの学校ということも大事で、また普段介護であるとか、医療であるとか、そういうケアを必要とされていた方々への支援ということも大事であり、またすぐにでも何か働くことができる、稼ぐことができる人たちが働いて稼ぐということも大事です。それぞれ一人一人に行政が寄り添いながら、また市町村行政の機能回復から、インフラ、水産業、学校、教育、医療、福祉、産業、金融、科学技術、そして観光という復興の柱建て、それぞれが分野としても大事なので、そこを一人一人きめ細かく、同時に総合的、包括的に取り組んでいかなければならないと思っています。

記者
先ほどの避難者のことなのですが、本部員会議で知事も言われたように、在宅の避難者の方が2万4,000人と、避難所にいる方とほぼ同じくらいの人数がいると思うのですが、特にも在宅避難者について、どのようなケアが具体的に必要かというところをお願いできますか。

知事
これもお一人お一人にきちんと寄り添いながら、子どもが学校ということであれば子どもの学校のこと、介護や医療、ケアが必要な方々にはそういうケア、またすぐ働けるような人たちであれば働いて稼ぐこと、それぞれにきちんと対応していくということが重要だと思っています。

記者
別の話なのですが、今、一時的に内陸に移送している部分があるのですが、政府で菅総理からも将来的に高台への移転、高所移転を進めるべきではないかという話も出ています。そこで、本県では、なかなかその用地が少ないという問題もあると思いますし、あと、そもそも住民の意向の問題もあると思いますが、その高台への移転について、どのような所見をお持ちでしょうか、お聞かせください。

知事
まず、避難ということについて、例えば仮設住宅というのは、原則2年間居住することが想定されているのですが、避難の段階としては、それぞれの市町村に仮設住宅の用地を今決めてもらう作業進めており、そういう作業の中で仮設住宅にすぐに必要なものがすべてできるわけではないので、内陸への一時的な避難ということについても、きちんと内陸市町村の方で受け皿を用意してくれていますので、そことつないでいく作業が大事だと思っています。
そして、復興の町づくり、村づくりについては、それぞれの市町村が検討をする枠組みをつくり始めているところもあり、県でも4月中には、できればもう4月11日にがんばろう宣言を出してすぐくらいには、新しい町づくり、村づくり、県土づくりにつながる調査・検討の組織の立ち上げをしたいということで準備をしており、その中でさまざまな専門家の方から力を借りながら調査・検討して、新しい住む場所をどこにどう作っていくかというビジョンを示していくことになると思います。

記者
高所への集団移転については、現時点ではどのようにお考えですか。

知事
既に明治の大津波を踏まえて高所に集落を移転し、今回、集落が全く無傷だったというところもあります。それは大いに参考になると思います。一方、陸前高田市のホテルのように海のすぐそばではありましたが、しっかりしたビルであれば残っており、高層階の方に避難することができたということもあり、それも参考になると思います。したがって、そういうさまざまな例をきちんと調査し、そしてさまざまな専門的なアイデアも検討しながら、地域事情に応じた新しい町づくり、村づくり、県土づくりを進めていけば良いのではないかと思っています。

記者
先週末は菅総理が、その前の日には自民党の谷垣総裁がいらっしゃいました。知事は、今回の大震災は市町村あるいは県でキャパシティーを超えていると、国も本腰を入れているわけですが、改めてそういうトップがいらしたことに対する感想と、あと今やはり国に何を一番求めたいのか、お聞かせください。

知事
先ほどの村づくり、町づくり、県土づくりの流れからいくと、東北における新しい国土形成という国家的なポイントもあり、鈴木寛副大臣と話をした時には、東北大学にはかなりさまざま調査や検討をしてもらうことになるだろうという話も聞いており、まずそういった面で国家レベルの取組が必要だということがあります。
それから、答えは現場にあるという法則が今回の災害の場合にも大いに成り立っていると思いますので、現場からの声に耳を傾けて、そして国として思い切った手を打っていくことを国には求めていきたいと思います。

記者
今日の本部員会議で、両親あるいは身内を亡くした震災孤児が44人いたということで、この数はこのような大震災であれば、当然ある程度予測がつくかもしれませんが、改めてこの数と、今後こういう子どもたちをどうしていこうとお考えになっているのかお聞かせください。

知事
まず、(震災孤児の数については)避難所における調査の結果だと聞いていますので、在宅のケースあるいは内陸市町村の親戚のところに身を寄せているとか、そういった可能性については、まだまだ調べていかなければならないと思っています。そして、被災者の幸福追求権の保障という中で、学びの場の確保ということが、暮らし、仕事と並んで大きな柱になっていますので、教育を受ける権利の保障はもちろんですが、さらに学びを通じて幸せを追求することができるということを一人一人に確保していかなければならないと思っています。

記者
もう少しその学びを通じて幸せを追求するという具体的な何か構想はありますか。

知事
これも一人一人に行政が寄り添いながら、対応していくべきことと考えていますが、鈴木寛文科副大臣が既に記者会見で発表したように、小、中、高一貫の全寮制の公立学校というもの、国の支援を受けて作るのだという方向で国にも了解をしてもらっていますので、そういうことも含めて、どんなことをしてでも教育を受ける権利は保障し、学びを通じた幸福の追求の機会は確保するというようにしていきたいと思います。

記者
東京都知事が、花見について自粛を求めたということがありました。自粛のムードが国内にはあると思うのですが、経済的にマイナスになりかねません。被災地の県の知事として、全国の方々にどういう対応を求めたいのか、また県内でも沿岸と内陸で被害の度合いが違いますが、内陸の方たちにはどういう対応を期待したいのか、その2点をお願いします。

知事
東京都の管轄下にある公園の使い方については、それは東京都において決定することであり、私から特にコメントはしません。
それから、日本国民一人一人の自粛ということに関する対応については、それぞれの宗教とか、信条とかに基づいて判断し、また行動されることかと思っていますが、一方で被災地の被災者支援から復旧、復興ということを考えた場合に、力強い国民経済は不可欠です。それは、岩手の中においても、津波被災地を支援する内陸の市町村においても、力強い経済は不可欠と言っていい重要な要素ですので、そういう経済を活性化していくような工夫というものもまた被災者を支援しようと思う人たち一人一人にさまざまな工夫、努力を求めているところがあるのではないかと思いますので、そのようなところを工夫していただければと思います。

記者
今日の会議でも出ていましたが、振興局からの報告では、各被災自治体で復興の計画を作るに当たり、県にいろいろな意味での支援をお願いしたいという意見がありましたが、それで県でも復興ビジョンを作る中で、国でもいろいろ考えるという、国、県、市町村の整合性とか、あと現場の声を聞くという時にどのようにして県なり、国に現場の声を吸い上げるような仕組みとし、その仕組みづくりをどのように考えているのでしょうか。

知事
日本は、そういうそれぞれ違うレイヤーにおいて、機をそろえてさまざまな情報や意見を共有させながら一斉に物事を進めていくことが、これは成功している民間企業の例など見ても、非常に得意なところがありますので、まず行政のラインを生かしながら、市町村、県、そして国において、基本は市町村現場本位ということだと思いますが、そのためにも日本最先端あるいは世界最先端の知見が求められているということがあります。そういう工夫をうまくやりながら一気に決めていけば良いと思っています。

記者
具体的には、県の調査委員会に国の人を入れたり、あとは市町村の何か現場とか、より被災の実情が分かるような人を入れたりというようなことはお考えになっているのでしょうか。

知事
それは過去のいろいろな経験からさまざまな工夫があると思いますし、また今までやったことがないようなことでも、必要であればどんどん行っていくという工夫の中で実現していけば良いと思っています。

記者
今の復興計画に関連して、やったことがないことも思い切ってやる場面もあるかもしれないというような話もありましたが、過去の例で、関東大震災の復興計画を作ったのが岩手の後藤新平さんで、現場の声を吸い上げつつも、政治家の構想力をもってこういう復興をするとか、知事の方からも大いにアイデアを出して最後に決めていくのではないかと想像するのですが、そういう視点というのはありますか。

知事
後藤新平さんは、まず台湾総督府で働いて、そして南満州鉄道、満鉄で初代総裁を務め、そして帝都復興院の初代総裁ということで、それぞれのやり方を見ると、そこの責任あるトップが現場の非常に細かいこともきちんと理解し、後藤新平さんというのは「大風呂敷」で有名なのですが、一方で非常に徹底した現地調査をやった上で物を決めていく、満鉄調査部という戦前日本最高のシンクタンクを作ったのも、その後東京市政調査会という今も残っている非常に優秀なシンクタンクを作ったのも後藤新平さんであり、実はそういう徹底的に現場の実態を把握して、トップが現場の実態を把握した上でそういうシンクタンク的に英知を結集してトップの決断で物を決めていくことができれば、かなりいい決定を迅速にしていくことができるのです。
そういう意味で、県は県でそういったことをやっていきたいと思っていますし、そうした中で得られた知見というか、決定されるべき意思というか、結局誰が見てもそれは良いというようなものがそこで出てくるわけで、それが市町村の中から出てきてもいいし、国から出てきてもいいのです。行政のラインから出てきてもいいし、民間から出てきてもいい。要は、誰が見ても納得できるようなすばらしい情報処理の結果というものをしっかりとみんなで共有し、ただその情報処理の結果がきちんと意思決定に結びつくところでトップのありようが問われてくるわけですが、日本はそういうのは得意であり、そういうことを新平さんという先人もいますので、そういうふうにやっていければいいと思っています。

記者
現場から細かい知見を吸い上げるというお話しがありましたが、一方で、昨日は全国の市長会の方から職員が派遣できるというような方針が伝えられたと思います。先週は大阪府、和歌山県の現地支援本部が立ち上がり、今日も副知事さんがいらっしゃるようで、被災した自治体に県外の県なり市町村の応援、県内の市町村の応援という、いろいろな応援の形は行政でもある中で、県職員の応援というのも大いにあると思うのですが、それは今細かくどういう分野で応援がある中で、岩手県庁として県職員の方々がどこに頑張ってほしいというか、どういう方針かというのは、一般市民からすると分かりづらい面があるのですが、県庁職員はここで頑張っていますというようなものがあればお願いしたいと思います。

知事
市町村の行政機能の回復、そして強化ということが、被災者支援から復旧、復興にかけて最も重要な課題の一つとして、一丁目一番地というように呼んでいます。県は、さまざま市町村職員が本来行っている業務をお手伝いするということもあり得ますが、そこは他県の市町村職員の皆さん含め普段から市町村事務をやりなれている皆さんの方が得意だということがありますので、どちらかというとコーディネーター的に調整していくところにこそ、県の職員は役割が発揮できるのではないかと思っています。発災直後、とにかく市町村の現場に飛び込み、役場あるいは現地市町村の対策本部に行って、何かその場でできることがあればその場で手伝い、また状況を県の方の災害対策本部に報告して、そこでまた必要な策を打てるようにするなど、一人一人が臨機応変に活躍しながら今日まで来ているのですが、そういう感じで引き続き行ってもらえればいいと思っています。

記者
少し厳しいことを言うのですが、コーディネーター的役割だと、コーディネーターも物すごく大変なのは十分現状を(記者)クラブで取材して分かるのですが、住民の人に顔の見える行政という点では、なかなか県の頑張りが伝わりにくいというか、そこはすごく心苦しいというか、いろいろな面があると思うのですが、臨機応変ということでしたが、どのように職員の方には指示しているのでしょうか。県庁職員を超えたような業務が現場で目の前に横たわっていて、これは市町村のとか、いろいろ考えたりすることもあると思うのですが、心の持ちようとして、どういう指示というか、どのようになっていますか。

知事
まず、今までやったことのないようなことでも躊躇せず、どんどんやるようにというように言っています。また、人に優しく、志高くということで、被災者の幸福追求、犠牲者の(故郷への)思いの継承という、そういう原理原則に沿っていれば、アクション、行動の部分についてはある意味、県職員の枠を超えてどんどんやってもらうようにということを言ってきています。
市町村職員に比べて、県職員の顔が見えないのは、元々そういう構造になっているわけで、極端を言えば、私自身を含めて県は何やっているのだ、それに比べて市町村はよくやっている、市町村長さんはじめみんな市町村はよくやっていると現地の人が思ってくれる方が、物事がうまくいくような感じもします。要は、被災者の皆さんが、幸福追求できるということと、犠牲になった方々の思いを継承するということが実現されれば、県職員がどう思われるかは二の次、三の次なので、実態としてきちんと現地のためになるように動いてくれればと思っています。

記者
最後に1つ、今度また宣言を出すということでしたが、今の時点で県民の方々も自分が、今何ができるのか、支援のために。なかなかできない自分を責めたりしながら、いろいろな複雑な心情だと思います。そういうことも含めて、今県民に向けて何か言えることというか、どういう呼びかけができますか。

知事
人に優しく、志高くということは、県職員に言っていることではあるのですが、実は全ての県民あるいは国民に共通することかと思います。何か迷ったり、悩んだりした時に人に優しくすればいい、そして志高く持っていればいいということで、あとはその瞬間、瞬間に接した情報を元に的確に判断して行動してもらえればいいと思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は4月8日(金曜日)の予定です。

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