平成23年4月11日知事会見記録

ID番号 N4912 更新日 平成26年1月16日

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平成23年4月11日 10時45分から11時17分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表はありませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
それでは、幹事社から県政記者クラブを代表して質問しますので、お願いします。
まず、東日本大震災の発生からちょうど今日で1カ月経過ということで、改めて知事の所感をお聞かせください。
あと、本日、「がんばろう!岩手」宣言を予定されていますが、それに込める思いと、それに続く具体的な運動とか、今日の場所として釜石高校をお選びになりましたが、その理由についてお願いします。

知事
まず、3月11日の大震災津波、今現在死者数3,811名、行方不明者数4,721名、また避難をされている方々の数が45,319名、この被害の大きさ、そして犠牲の大きさを胸に刻み、追悼、慰霊の思いを深くすることがすべての起点になると思っています。今日は発災時刻の午後2時46分、私は釜石において黙祷を捧げますが、ぜひ同じ時間に都合がつくのであれば黙祷に参加していただきたいと思います。
そして、1カ月が経ちまして、行方不明者の捜索はしっかり続けていかなければなりません。また、被災者支援については、避難所での生活が長期化してきています。新しい課題、新しいニーズが出てきています。そこにしっかり対応しながらも並行して仮設住宅の着工が進み完成して、既に仮設住宅に移られた避難者の方々もいらっしゃいます。一方、仮設住宅も一度にすべてできるわけではありませんので、その間の内陸移動についても、ますますその重要性が高まってくるものと考えます。さまざまな新しい課題やニーズがあり、一方でそれに応え、克服していく手段もさまざまありますので、1カ月が経ち、ますます頭を使い、そして体を動かし、被災者支援から復興へと対応していかなければならないと思っています。
次に、「がんばろう!岩手」宣言ですが、平成20年の岩手・宮城内陸地震の際と同じように「がんばろう!岩手」という言葉も思いも自然発生的なものだと思っています。津波の被害を受けた沿岸の被災地においても、また沿岸被災地を支援しようという内陸においても、同じ岩手県民共通の思いである「がんばろう!岩手」ということに形を与えるため宣言の形にしたというように考えています。具体的な運動の展開については、今後、庁内でも検討していきたいと考えていますが、被災者支援から復興に向け、県民各層が連携、協力して展開していくような活動になればいいと思っています。
宣言の場所については、津波の被害を受けた沿岸市町村において行うことが良いと考えたものであり、釜石市は沿岸市町村の一つです。釜石市の中で、なぜ釜石高校かということについては、釜石高校は、釜石市の避難所として、4月7日現在で約140人の方が避難生活を送られている一方、釜石・大槌地区の小中高校の先頭を切って、4月12日、明日から新学期が始まります。黙祷を捧げるとともに今後の復興に向けた宣言を発する場所としてふさわしいと考えたところです。

幹事社
この質問に関連して各社から質問があればお願いします。
ほかにないようであれば、各社から質問があればお願いします。

記者
今どういう局面かという認識に関して、さまざまな課題やニーズが、どんどん新しいものが出てきていて、それに対応したいというお話しでした。仮設住宅に抽せんで当選して移られる方が出てきている一方、避難所生活が、長く続くだろうと思っている方がたくさんいらっしゃいます。その細かい自治体ごと、避難所ごとに違う被災者のニーズにしっかり対応し、被災者に寄り添っていく行政の対応を目指していくとすれば、やはりより現地に近いところで、以前に県北・沿岸振興で移動県庁をやられていたと思うのですが、内陸と沿岸では遠いというところがあり、本当の意味で情報をスピーディーに集約して対応するという意味では、なかなか建物とか、沿岸に近いところに移動するのも物理的に難しいという気もしますが、やはり盛岡が起点になっているのが遠いように感じます。いろいろ他県から応援に来ていらっしゃる方々も、大阪府の副知事もより近い方が良いのではないかと率直にお話ししていましたが、より沿岸に近いところで県行政の対応をする拠点づくりという点で、例えば遠野市にいろいろなものが集まっていますが、知事として対策本部そのものの移動とか、何か方向性とか、お考えをお持ちでしょうか。

知事
先週、漁協関係者の皆さんが一堂に会して、岩手の水産業の復興に向けて討論を行うということで、私はあいにくほかの仕事があり出られなかったのですが、都合がつけばそこに出て一言あいさつしたいと思っており、どこに集まるのかと思ったら、盛岡に集まっていました。沿岸のどこか1カ所に集まるよりも、盛岡に集まる方が集まりやすいという、地理的とか、交通上とか、物理的とか、そういう条件があるということです。裏返すと、洋野町から陸前高田市まで、あるいは八戸とか気仙沼も視野に入れる必要はあると思っているのですが、そういったところに対して総合的かつきめ細かい支援をしていく拠点としては、盛岡市内に拠点があるということが合理的なのではないかと考えます。
一方で、答えは現場にあるの法則があると言っていますが、そういう意味で私も毎週何らかの形で沿岸の現場に行かなければならないと思っています。副知事とも手分けしながら、知事、副知事3人のうち誰かは沿岸の方にいるような形で事態に対処していかなければならないと思っています。あとは県から直接市町村に派遣している職員を通じたり、あるいは沿岸広域振興局、県北広域振興局を通じたり、さまざまな手法で現場を直接掌握する手段がありますので、そういったことを活用していきたいと思います。

記者
知事が最近沿岸に行かれたこととしては、沿岸広域振興局で市町村長が集まっての会議がありましたが、釜石は庁舎も被災しているということですが、復旧作業も進んでいるという話を聞いています。例えば、知事、副知事のどなたか1人は、沿岸にいるようにしたいというお話しでしたが、ここに拠点があるというようにイメージできるように、例えば釜石には副知事が1人いるとか、沿岸広域振興局を拠点にするとか、何か沿岸の人が困った時や自治体が困った時に、まず沿岸広域振興局に問い合わせ先がイメージできるような、そういう現地本部ということで、釜石を活用するというようなお考えはありますか。

知事
理屈の話が長くなって恐縮ですが、県の防災マニュアルにおいては、現地対策本部を置く場合、副知事がその本部長になるという原則はあったのですが、昨年度からスタートしている4広域振興局体制の構築に、これは県民的な作業としてかなりのエネルギーを注ぎ、かなりしっかりした沿岸広域振興局体制、県北広域振興局体制を構築してあり、またそれにふさわしいトップが局長として行っていますので、その者を現地対策本部長とすると決めたところです。

記者
今日、東京で(臨時)知事会議(が開催されます。)が、1カ月ということで出席できないという状況だとは思いますが、ここ1週間を見ていると、宮城県知事はよく菅総理にお会いする機会が多いようにテレビ映像では見受けられます。国との連携ということをアピールしていらっしゃるのか、そのように見受けられます。達増知事は、民主党というつながりで、岡田幹事長もいらっしゃっていましたが、政府との連携というか、直接菅総理へこのようなことをお願いして実現したとか、何かそういうお話しあったらお聞かせください。

知事
政府との連携については、平野達男内閣府副大臣以下、現地連絡対策室の体制がしっかりできており、県庁3階の一室に内閣府はじめ各省庁の精鋭に詰めていただいて、市町村が直面する課題に、県と国が一緒になってどんどん解決していくという仕組みが構築できていると思っています。そこに自衛隊も加わって、避難所の非常に細かいところのケアもやっていただいて、現地での発生するさまざまな課題について、国の支援をいただきながらすぐ解決していくという体制が構築されていると思っています。
菅総理大臣については、宮城県知事が上京して会われる前に菅総理の方から岩手にいらしていただきましたので、そこで現地を実際に見ていただき、さまざまな説明をさせていただいたところです。

記者
今日、夜から復興委員会がありますが、メンバーは固まっていると思うのですが、例えばジャーナリストの田原総一朗さんの意見などでは小沢一郎さんを使えとか、そういう待望論もあったりします。小沢さんは、政府や党の役職から、いろいろな問題がありますが、知事の方から小沢さんへ何らかのポストに要請するというお考えは今お持ちでしょうか。

知事
県の復興委員会のメンバーについては、この前の記者会見で専門性、技術性を強調するあまりそういう趣旨の説明が長く続いたのですが、まず地元代表として岩手県沿岸市町村復興期成同盟会の代表である野田(釜石)市長に入っていただいており、また県漁連の大井会長に入っていただいているように、各界代表というよりは水産分野で直接被害を受けている被災者代表というような形で入っていただいていると思います。基本的に各界代表というのも、経済、産業分野ではオール岩手において、東京方面での消費の落ち込みのこともあって厳しい状況に直面しているという被害も含めて、基本的に被害を受けている皆さんに参加いただいているので、そういったメンバー構成が良いのではないかと考えています。

記者
小沢さんにいろいろな面でアドバイスとか、逐一相談とか、意見を常々伺っているとは思うのですが。

知事
いざとなればというか、普段から直接やりとりする機会はありますので、そこは大変助けていただいていると思っています。

記者
田野畑村で被災者雇用という側面で仲介を始めて、建設業者に仲介するという流れになっていましたが、県として被災者雇用の観点でどのように進めていこうとお考えでしょうか。

知事
さまざまな形で被災者の方々に働いて稼いでもらえるような仕組み作りについては、国のいろいろな制度の協力も得ながら、さまざま作っているところです。それを田野畑村のように活かして進めていくというのは非常に良いことだと思っており、県も引き続き、各市町村に対して、あるいは直接企業に対して、さまざまな働きかけや一緒に雇用促進を進めていきたいと思います。

記者
県として被災者雇用を仲介するというあり方というのはお考えでしょうか。

知事
これはさまざまなやり方で被災者雇用進めていきたいと思います。

記者
市町村の所掌になると思うのですが、避難所運営についてお伺いします。
先ほど1カ月の所感というところで長期化してくるという中で、仮設住宅も一度にはできない。内陸移送もますます必要になってくるというお話しがありました。長期の避難生活が余儀なくされる中で、避難所を長期生活の場として考えていく場合に、どういう環境の改善が必要なのか。いつまで避難所生活を続けなければならないのだろうという不安が避難している方々に多いと思います。そういう中で、内陸移送の使い方ですが、今は1カ月とか2カ月とか、ある程度の期間で希望者を募って実施していますが、その方法について何か長期化する避難所生活の避難民に対して工夫できる点がないかどうか、その点についてお伺いします。

知事
もともと避難所というのは、多くの場合は、さまざまな警報とか注意報とかが発令した場合、一晩過ごすくらいのものとして想定されているのだと思います。住む家に被害が及んで避難した場合、全壊、半壊等になって家にすぐ帰れないというような場合でも、公営住宅の空いているところとかで最終的には仮設住宅という形で、やはり1カ月を超えてずっといるようなことは基本的には想定されていないと思います。ですから、1カ月を超えて避難所で暮らすということは、ある意味想定外の事態であり、そういう意味で仮設住宅の建設、それをさまざまな公営住宅で補いながらきちんとした住環境に移っていただくことを基本としつつ、補うものとして内陸への一時的な避難ということを、これは内陸市町村に頑張っていただき9,500人分を準備していただいているところでもあり、そこはやはり活用していただきたいと思っています。今まで例がないことであり、内陸避難についてもどのようにそれを検討していいのか、どう考えていいのかというところから避難所で生活されている皆さんには考え方自体、なかなかピンと来ないところがあり、ましてや実際に移動することになかなか踏み込めないところもあるかと思いますが、やはりさまざまな実態を県、市町村が一緒になって被災者の皆さんと共有しながら、できればコミュニティー単位で被災者一人一人がより良い衣食住の中で復興に向かっていけるようにするための工夫をしていかなければならないと思います。

記者
今、集団で避難所生活している避難所の中で、その環境が、いろいろ仮設トイレを設置したりとか、パーテーションを組んだりとか、いろいろ今やっていますが、それも先ほど言われたように1カ月を超えるような生活では、それでもますます大変な状況になっていると思うのですが、そういう環境を改善するような何か手法というか、アイデアというのはいかがでしょうか。

知事
1カ月を超えて長期的に避難所にいるということ自体が、もう既に衣食住の最低水準を満たさないような、想定してないような事態で、そこにどういう工夫をすればいいかということについては、なかなか公的なガイドラインというよりは、突き詰めれば仮設住宅等の建設と内陸避難の組み合わせで対応ということが正式には出てくるとは思うのですが、一方、避難所の現場では自衛隊もきめ細かく、例えば下着の洗濯がきちんとできる状況を作るとか、想定外の避難所生活の長期化ではあるけれども、それなりに衣食住の質を高める工夫ということは、そういうさまざまな課題やニーズが現場に見えてきており、聞こえてきていますので、そこには自衛隊もそうなのですが、市町村、県、それぞれで対応しているところだと思っています。そういうことについては、もう少し避難所に残りたいという人たちがいる以上は、行政もそこはきちんと責任を持って対応しなければならないと思っており、先ほどから想定外、想定外ということを強調してはいるのですが、しかしそこから目を背けることがあってはならないと思っており、現場のニーズ、課題に行政がきちんと対応していかなければならないと思います。

記者
復興委員会について、もう少し具体的なイメージを持ちたかったのですが、今日夜の委員会で示されるのかもしれませんが、各会の代表が集まっていますが、実際の作業部会のようなものが設けられるのか、それとも県の方でそういったことを行って、それをこのメンバーで諮るのか。野田市長と大井さんだけで、これだけの広域の被災地の声を全部吸い上げられるのかというと、そうではないと思うので、実際その委員会メンバー以外の活動というのがあるのかどうか教えてください。

知事
建築とか、都市計画とか、土木など、そうした技術的な専門家の皆さんにさまざま検討してもらう技術的な会議は併設しなければならないし、(併設)する予定です。
現場の声というのは、確かに市町村や県、自衛隊も含めて伺っているところであり、そういうものの集約は行政の中でかなりできるところはあると思います。それにプラスして、沿岸市町村復興期成同盟会の枠組みでもかなりそういう被災者の生の声ということの集約は可能だと思います。また、それぞれの分野でも商工関係は商工関係で、被災地の商工関係の生の声についてはかなり集めていただいていると思います。それに加えて、打ち合わせで私から指示したのはインターネットの活用です。これは、県民計画を作る時もかなり分かりやすくて、さまざまいろんな人が意見を書き込むことができるようなサイトを作りましたが、今回も必要性がかなりあると思いますので、被災地、被災者の方が直接ご意見を書き込むことができたり、あるいは首都圏、西日本、外国等々にいる専門家あるいは関心の高い人たちもさまざま書き込めるような仕組みも作って行いたいと思っています。

記者
4月7日に地震があり、新幹線がまた開通時期が未定になってしまったということで、一時は中旬くらいにという話があったのですが、東北自動車道は一時不通になりましたが復旧したということで、東京との大動脈が確保され物流は良くなったのですが、今後の復興に当たって、だいぶ自粛はやめようという声が広がってきたのですが、新幹線が通じる、通じないというのは、人の移動に大きく影響があると思うのですが、その辺の早期復旧への知事の期待と、その後、人がもう少しこちらに来てもらうために、どういうことを県としては今考えているのか、お聞きしたいと思います。

知事
今月内に東北新幹線が全面復旧というか、開通というか、これは非常に速いペースであり、観光業界から要望が上がる前に期待以上の迅速さでJR東日本には対応してもらっていると思います。今回、4月7日の余震があったとしても、むしろ地震に強い東北新幹線ということが全国に、世界に示されたのではないかと思っており、新幹線についてはそれほど心配をしていません。
指摘のとおり、もちろん新幹線の地域活性化の効果、全国と岩手、東北をつなぐ効果は大変大きいものがありますので、その回復には大いに期待するものです。

記者
もう一つ関連で、東京との間では今、花巻と羽田の間をJALが臨時便を飛ばしていますが、恐らく新幹線が開通すれば、また運休、止めてしまうのではないかというのがあります。知事としては、これは止むなしとお考えになりますか、それともできるだけ飛ばしてほしいとお考えになりますか。

知事
名古屋便についてもニーズがあるのだからお願いしますということで、利用者に応えていくのが航空会社ではないか、航空行政ではないかと言ってきているのですが、花巻・羽田便というのは3.11の大震災津波前からもそれなりのニーズがあるということを言ってあり、また大震災津波によって被災者支援や復旧、復興のための人の移動もかなり増えていると思います。これは国を挙げて、どこまで、どのように東北、東日本の復興をやっていくのかという国の姿勢にも関連するのですが、ニーズについては増える要素もあると思っており、そうしたニーズに応えるような、交通の経営とか行政とか、配慮を踏まえて行ってもらえばいいと思っています。

記者
昨日、統一地方選の前半戦の投開票が行われ、民主党には非常に厳しい結果となりました。政権交代以降の政権運営に対する批判ももちろんあったと思いますが、原発事故など震災対応に対する批判もあったというような分析もありますが、知事はこの結果をどのように受け止めますか。

知事
誰が当選したかということは大体フォローしましたが、その間の選挙戦について、何が争点で、どういう意見が戦わされ、最初は誰がリードし、後に誰が追い上げたかというようなことについては、全くフォローしていませんでしたので、責任あるコメントはできかねます。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は4月15日(金曜日)の予定です。

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