平成23年4月15日知事会見記録

ID番号 N4910 更新日 平成26年1月16日

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平成23年4月15日 16時00分から16時31分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんが、幹事社から質問させていただきます。
国の復興構想会議に出席されました。その所感と、それから知事は現場に答えがあるといつもおっしゃっていましたが、被災県の方で会議を開催してもらうというような考え方というのはありますか。

知事
まず、最後の質問についてですが、私からも関東大震災の教訓ということで、後藤新平ほか内閣、国会議員たちが迅速に対応できたのは被災地にいたからだと、答えは現場にあるということを言い、会議の開催をこちらでとまでは言わなかったのですが、現場でこそ政策形成や意思決定を行うことが好ましいということは言いました。私以外に被災地でこの会議を開催した方が良いという人がいました。
それから、所感ですが、報道されているように会議の持ち方自体さまざま議論があり、また党派に偏らない国民的な議論をするということが一番最初にあって、何でわざわざそういうことを強調するのかと思っていたら、要は野党の人たちの復興策についても、その会議で紹介してもらおうという話が議長からあり、どういう進め方で行くのか、まだ良く分からないところもあるのですが、昨日の委員の皆さんが一言ずつ言うという中では、東北出身の人たちがほとんどで、かなり東北の風土とか歴史とかに根差した意見が多く、私も坂上田村麻呂以来の日本国家による東北経営の歴史を振り返りながら、その東北経営がおかしかった時、それは日本全体がおかしくなった時だと。今回もやり損ねてはならないという趣旨のことを言ったのですが、そういうことはとても多くの皆さんが発言し、かなり炎立つというような雰囲気が会場に満ちてきて、そういう意味で会議の持ち方とか準備されたこともいろいろあるわけですが、そういう想定を越えた何か東北の風土や歴史からにじみ出てくるものが、会議の中でどう膨らんで広がっていくかが楽しみだと思いました。
最後の質問にもかかわりますが、私としては現場で起きていること、現場で考えていることを会議でどんどん出していくことが私の務めだと思っており、次回会議は岩手、宮城、福島3県知事からそれぞれの実情を報告するということなので、しっかり発言をしていきたいと思っています。

幹事社
では、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
先ほどの復興構想会議のことですが、知事は、坂上田村麻呂の話もされたということでしたが、具体的に何か知事の方から復興に向けた提言というか、そういうお話はあったのでしょうか。

知事
私からは、まず入口の議論として、次の4つの視点が必要であろうということで、1番目に追悼、慰霊を復興の起点にすること、これは言い換えると、心の復興、魂の復興ということで、大きな犠牲、大きな被害、それを国民的に自覚して被災者支援から復旧・復興に向けての国民的決意を共有していくことが必要だということです。
2番目は国際的復興、国際協力事業として復興に取り組むべきだということで、岩手においても外国からの緊急援助隊に来てもらい、外国からの物資をたくさん頂いています。これは、私としても驚くほどに海外からのさまざまな応援、お見舞い、また具体的な支援が岩手にも来ているので、そういう国際協力の中で復興にも取り組んでいくべきで、特に福島の原発対策についても、これは人類共通の課題に対する取組として、国際的な協力の中で取り組むべきという話をしました。
3つ目は、歴史的な事業としての復興という視点で、これが坂上田村麻呂以来の日本国による東北経営の歴史というものを反省しながら、一方、平泉という成功例がある。平泉の100年間は、地方豪族と中央政府と、その間にあった関東の武士団というものが調和して平和と繁栄の100年間が実現したので、その平泉の精神を今回の復興にも生かすべきだと発言しました。そして、平泉の精神とは、人と人との共生、人と自然との共生である。それは、縄文以来育まれた東北の風土が平泉で花開いたものだという話をしたところ、斜め前に座っていた縄文時代に詳しい縄文関係の本をたくさん書いたご年配の方が「うん、うん」と力強くうなずいていました。
そして、4つ目が関東大震災の教訓を生かすべきということで、これはイコール後藤新平流でいこうということであり、綿密な調査と緻密な分析に基づいて大風呂敷を広げたのが後藤新平で、また先ほど言ったように被災地にいたからこそ当時の政府や国会は迅速に対応できたので、その答えは現場にあるということを踏まえて対応していくべきと話をしました。
あと最後に、関東大震災の教訓の最後でもあり、全体の最後でもあるのですが、積極的な財政金融政策が必要ということを述べました。これは、別途、今週の金曜日に北海道・東北地方知事会議、新潟も入っていて8道県で作った要望書をみんなに配り、その中には国債の日銀引き受けということも入っています。岩手の現場の感覚からすると、被災地はもちろんですが、津波の被害を受けなかった内陸においても、生産や消費の落ち込みから経済先行きに非常に不安視されているので、かなり思い切った財政金融政策が必要ということを述べました。
議長の話の中で復興税というのも財源調達の1つの可能性として示されてはいたのですが、増税により財源調達することは緊縮型の財源調達だと思うのですが、積極型の財源調達、思い切ってそういう財政政策とか、金融政策もやっていかなければならないという発言は私のほかにもあり、そういう流れも結構議論の中で大きくなるのではないかと思いました。

記者
新しい話として、復興税の話が昨日出ましたが、復興税という新税の創設に関して知事としてはどうですか。

知事
そもそも財源論をどこまで復興構想会議の中でやるのかということがあると思います。復興のためにこういうことが必要ということであれば、その財源調達は政府の財源部門、財政部門を中心に、必要なものは確保するということが政府のあるべき姿であって、さまざまな財政金融の技術的な話をどこまで構想会議でやるのかというのはどうなのかと思っています。北海道・東北知事会議でまとめた要望書の趣旨は、思い切った財政支援ということであり、そこは被災地の各県は基本的に共通して積極財政を求めていくという形になると思いますので、議論をしていけばそういう流れの方が強くなると思います。

記者
県の復興委員会についてお聞きしたいのですが、知事がよく例えに出します後藤新平ですが、後藤新平は満州時代に午前8時の男を登用すると、つまり30代、40代の若手を登用して成功しましたが、県の委員の顔ぶれを見ると女性や若手の登用が少ないなと思うのですが、この辺について知事の所見をお聞きしたいと思います。

知事
経済、社会、それぞれの各分野を代表して幅広い意見を委員の方々にお願いしています。さまざまなフレッシュなアイデアとか、斬新なアイデアというのは、さまざまな方法で集めていかなければならないと思っています。インターネットも活用しながら、後藤新平の時代にはインターネットというのがなかったわけであり、そこはどんどんそれを活用しながら、昔であれば集められなかったような意見とか、アイデアとかもどんどん集めていきたいと思います。

記者
各沿岸の被災地の方なのですが、今、大船渡や釜石の方では雇用問題について、がれき撤去など、そのようなものに被災者を雇用するということが各市町村で打ち出されました。市町村の方では、財源的な裏付けが、国では補助すると言っているようなのですが、なかなか裏付けがなく、動き出しにくいという市町村もあるようです。県として、被災地の雇用というのは、今、非常に大きな問題だと思うのですが、知事としてどのようにお考えでしょうか。

知事
裏付けは、さまざまあるはずであり、この前も厚生労働省の2人の副大臣が岩手に来た時に、雇用の問題についても、復旧・復興のために働くことで雇用を確保するということが国の1つの雇用政策の柱であり、それは県も我が意を得たりであり、そこはさまざまお金を調達する仕組みがあるので、それでどんどん働いてもらえばいいと思っています。

記者
市町村ごとに、今、取り組んでいますが、県として何か方針を打ち出したりということは必要とも思うのですが、そのあたりはどうでしょうか。

知事
これは国の方と、両副大臣と議論する機会もあり、さまざま意見交換とか情報交換をしていますが、雇用というのはさまざまなメニューを用意して、雇用者サイドにお金が行って、それで雇えて、雇われる本人にお金が行く。これは失業手当というものもあります。また、役所が直接雇う。民間部門で雇ってもらうことの方が望ましいのですが、それで足りないところは役所が補うというように、さまざまな違う方向性を持った政策を組み合わせて、全体として多くの雇用を実現しようというのが雇用政策の基本的な構造になっていますので、そこがともすれば分かりにくい。一人一人からすると多様なメニューがあって、どれを使えばいいのか。これは、市町村の現場にとっても、どれをどう紹介していけばいいのかというのは、常に分かりにくくて難しいということが平時でもあったのですが、それが更に特例措置を、どんどん雇用について政府で決めて実施していますので、それを逐一現場に徹底して、今最新のメニューをすべて示していくというのは容易なことではありませんが、雇用政策の基本がどうしてもそういう複雑な体系になってしまうので、そこは県も市町村と現場ときちんと連携して、要は結果として、一人でも多くの人が一日でも早く働いて稼ぐようになるということを、市町村、県、国が協力して取り組んでいくということだと思っています。

記者
発災から1カ月以上が経って、知事もいろいろな現場をご覧になっていると思うのですが、その上で今の沿岸での住まいのあり方について、どうお考えでしょうか。例えば、防浪ビルというようなものについても、提案していると一部の報道では聞いていますが、その辺についてお聞かせ願えればと思います。

知事
提案というか、現場を歩く中でそういうアイデアを耳にし、またそれが可能であるようなヒントを発見したと、陸前高田の(鉄筋コンクリート構造の)ホテルが残っているとか、そういう意味で言っていたのですが、さまざまな専門家が持っている意見、そして被災現場を調査、分析することで得られる科学的、技術的な裏付けのある可能性を検証し、そこからさまざまなその土地、その土地に合ったメニューのようなものを用意できればいいと思います。場所によっては選択肢があまりない、ここはこれしかないというところがあるかもしれませんが、住まいの仕方については、本当にさまざまな可能性があるのではないかと思っており、できるだけ被災者の皆さんがまず故郷で暮らしたい、働く場所のそばにいたい、にぎわいのある町や村を作りたい。もちろん高台で安心、安全を最優先に落ちついた集落を作りたいという希望であればそういう方向でいけばいいと思うのですが、そういうそれぞれの望みがかなうような形で進めていければいいと思っています。

記者
先ほどの復興税の関係ですが、知事のお話しですと、積極財政の方がより良いのではないかというお話しだったと思うのですが、復興税だと緊縮型だということで積極財政と比べて、それぞれどちらがメリット、デメリットがあるとお考えなのでしょうか。

知事
その詰めた議論については、マクロ経済の専門家のような知見が必要で、だからこそ復興構想会議の守備範囲なのか疑問ということを先ほども言ったのです。ただ岩手の中で、岩手において被災者支援や復旧・復興に取り組む中で感じるのは、まず岩手で増税などされてはたまらないということがまずあると思います。岩手以外のところならいいのかという時に、首都圏ならいいのか、西日本ならいいのかということについては、むしろ岩手から今、全国に発信しているのは、岩手のお酒を飲んでお花見をしてくださいとか、岩手の物をどんどん買ってください、そういう意味で被災地を支援するような消費の力を、普通は増税をすれば消費は低下しますので、もし被災地の物を買ったり、被災地にさまざまな応援、支援をする余力を全くそがない増税の形があるのであれば、その可能性は検討されるべきでしょうが、岩手の側としては、そういう岩手の物を買う、岩手に来てさまざま手伝う、そうしたことをそがないような財源調達を考えてほしいということだと思っています。

記者
今日の本部員会議の中で、沿岸振興局から(津波)浸水区域への建築をどうしたらよいかという問い合わせがあったのですが、知事自身としては、制限とか、規制とかはどのように対処すべきと考えていますか。

知事
先ほど県庁に帰ってきたばかりで、朝の会議の報告はまだ受けてなかったのですが、一般論としては、その市町村が権限を持つ町づくり、村づくりについては、その市町村において判断していくというのが基本だとは思っています。県としても、県の責任で整備しなければならないさまざまな構造物が各市町村の中にもあり、それとの関係、また全体的な復旧、復興の進め方の中で、ああした方がいい、こうした方がいいということについては、助言はしていきたいと思っており、そういう意味で浸水地域をこれからどうしていくかについては、やはり市町村の自由度が高いような形にしておく方がいいだろうと思っています。

記者
震災対応や原発問題の対応で、民主党内からも菅さんのことについて、批判とかが高まっています。改めて知事は、菅さんの対応について、どのように考えていますか。

知事
簡単な話で、基本的に今、政府の動きについて、あれこれと批判する立場にはないと思っています。むしろ、いろいろとお願いをする立場にありますので、日本の政府の震災、津波関係、原発も含めた対策や対応が、より強力なものになっていくことは大歓迎です。

記者
そうした中で、小沢さんは、一方で倒閣と見られるようなことも考えているような報道も一部にありますが、それについては、そういう場合ではないとか、やむを得ないとか、そういう意味ではどうでしょうか。

知事
誰が誰と何をやるにせよ、政府をより強力な形にして、被災者支援、復旧・復興をより強力に進めていくことができるようになるということは、被災地として大歓迎なことだと思います。

記者
大連立について、知事のお考えはどうでしょうか。

知事
政府、また国全体の力を高めていくためには、いろいろなやり方があるのだと思いますので、政治的リーダーの皆さんがさまざまな工夫をしているところだと思いますが、より強力な体制で、より強力な被災者支援、復旧・復興を国、政府が行うようになることについては大歓迎です。

記者
岩手競馬について伺います。岩手競馬は、今回の震災、本震、余震も含めて10億円以上の被害が出ていると聞いています。水沢競馬場はかなり被害が甚大だということで、開催のめどが今の現状では立っていないという状況だと思います。今回、地方競馬全国協会に支援を要請しているようですが、仮に支援が決まって復旧が始まったとしても、なかなかこの状況で売り上げがどうなるのか、実際、もう既に延期されて、売上げ自体の大幅な減少は、やはり避けられないと思うのです。そういう中で、収支均衡ルールもあると思うのですが、知事はどのように対応しようと考えているのかお聞かせください。

知事
阪神・淡路大震災の時に、地方競馬場が壊れたのを地全協が大々的に支援して直したという例があるので、今回、そういうことを行ってもらえないかどうかを調整しているところです。
それから、売上げの見通しについては、他のさまざまな条件との兼ね合い、どの程度直し、どの程度使うのかということとの兼ね合いもありますので、そういった23年度全体の収支見通しというか、計画の見直し作業を今行っているところであり、これは早くしなければならないと思っています。

記者
知事としては、収支均衡ルール、赤字になれば即廃止というルールは、絶対に守らなければいけないというお考えでしょうか。

知事
そのルールの下で行うということが民意であり、知事がどうのこうのという話ではないのではないかと思っています。もう少し丁寧に答えると、岩手競馬に対して、更なる公的資金イコール県民の税金を投入してはならないというのは、かなり強い民意だと思っています。大災害の被災者支援や復旧・復興を行っている時にそれが変わるかというと、強まりこそすれ、変わらないことだと思っています。

記者
収支の見直しなり、地全協の支援が受けられるかどうかを今協議しているという話でしたが、今年度のレースをいつから開催して、どのような体制でやるのか、いつごろまでにまとめられそうな状況でしょうか。

知事
5月の盛岡競馬が始まる予定になっている日が、1つのめどだというスケジュール感で作業は進めています。

記者
5月14日の開幕というのはどうでしょうか。見通しとしては、間に合うというお考えでしょうか。

知事
新しい計画を作らなければ駄目なのですが、その新しい計画がきちんと県民に負担をかけないものになるためには、かなりの調整等が必要であり、今そそ部分を八方手を尽くして行っているところです。

記者
このように県全体で震災対応をしている中で、その最中で競馬というのはいかがなものかという議論も、その是非も出てくると思いますが、こうした中で競馬ということについては、そういった意見についてはどのようにお考えでしょうか。

知事
昔、一関市が競馬組合の構成団体だったことがあります。それは、カスリン・アイオン台風の被害があり、競馬法にも、そういう災害を受けた市町村は、競馬をすることができるというハードルを低くする規定があり、競馬法の趣旨としては、災害があった時には競馬をすることができるというのが競馬法の趣旨です。ただ、なぜそうなっているかというと、競馬法の背景にあるのは、競馬はやれば利益が上がり、それが財政競馬として市町村に還元されるというのが背景というか、大前提としてあったわけです。ですから、ムード、雰囲気もさることながら、競馬開催が被災地に対する財政支援につながるかということが、競馬法の趣旨からすると大きいのではないかと思います。

記者
仮に開催して、被災地の復興なり、黒字を出して被災地の復興に役立てるような競馬ができるというようなお考えもありますか。

知事
そこは今、数字を詰める作業と、八方、さまざま調整する作業をしているところです。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は4月18日(月曜日)の予定です。

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