平成23年4月18日知事会見記録

ID番号 N4908 更新日 平成26年1月16日

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平成23年4月18日 10時45分から11時30分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事、お願いします。

知事
今日の発表事項の第1は、東日本大震災津波からの復興に向けた専担組織の設置についてです。
県庁内に「復興局」を4月下旬を目途に設置することとしました。「復興局」は、本県における復興計画の策定など、復興計画推進の司令塔の役割を担うほか、部局横断的又は既存の枠組みを超えた対応が必要になる分野を専担で所管するものです。具体的には、(1)防災、産業、コミュニティなど、さまざまな視点を踏まえた住宅施策や都市整備などの新たなまちづくり、(2)産業の柱である水産業を中心とした沿岸地域の産業の復興、(3)被災された方々の生活再建に向けた支援の3つの分野を主として担当することで調整をしています。
組織体制としては、局長に副知事を充て、その下に計画策定を担当する副局長、主に生活再建を担当する副局長、それぞれ1名を配置し、企画、まちづくり再生、産業再生、生活再建、総務の5課体制を予定しています。なお、「復興局」の設置と合わせて復興本部の体制も整備をします。
次に、発表事項の2つ目は、「岩手県津波防災技術専門委員会」の設置と開催についてです。「岩手県津波防災技術専門委員会」は、津波、都市計画、地震などの専門家8名から構成され、津波対策の方向性、防災型の都市・地域づくり等について検討、提言をいただき、「復興ビジョン」や「復興計画」に反映をさせていきます。第1回委員会は、4月22日金曜日の午後1時からエスポワールいわてで開催し、県から「被害状況及び技術的な考察」の報告を行って、委員から意見をいただく予定としています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項について、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
ただ今発表のあった復興局、復興本部の設置ということですが、現在置かれている災害対策本部の業務を一部引き継ぐのか、全く別物として対応していくものなのか、設置の場所、県庁内組織の再編の話なのか、現地の方に復興局が置かれるのかという点をお願いします。

知事
復興局は、今ある県庁の部局の企画関係やまちづくり関係、そして産業関係と生活支援関係の機能を移して県庁内に作るというものです。
復興本部については、災害対策本部は大体庁議メンバーであり、そこで災害対策本部から復興本部の役割も果たしていこうというもので、復興本部は災害対策本部とメンバーは同じで、災害対策本部のメンバーが復興本部の仕事もしていこうというものです。こちらの方が今の現地災害対策本部と有機的に協力、連携しながら、現地対策本部の方も復興本部的な仕事をだんだんと担ってもらうようになり、そういうラインの方がこちらの本部の体制になります。復興局は、本庁の仕事の整理として、復興関係の本庁の仕事を、早急かつ強力に進めるために専担組織を設置するという趣旨です。

記者
そうすると、今の4階の総合防災室とその奥の会議室に本部支援室という形で置かれていると思うのですが、別の近い部屋にこの40人の職員が1つに集まるのか、要はどこに情報を聞きに行ったらいいのか、どこに聞くとまとめているのか、組織がたくさんできると誰が仕切っているのか分からないということは政府でもよく指摘されている点です。そういう問題が生じてこないのでしょうか。

知事
そこは、うまく工夫をしてもらえばいいと思っており、特にマスメディア、広報的なところはきちんと行うようにします。

記者
現地対策本部、現地本部と県庁の本部と、復興(局)と3段階、4段階のように見受けられて、何か疑問を持った時に、最初にどこに行ったらいいのかということが、メディアも一般の避難者もそうなのですが、例えば釜石の避難所に暮らしている人が市役所に行ったら分かることなのか、広域振興局に行ったら分かることなのか、判断がつきません。そういう細かい視点で、例えば沿岸広域振興局で免許が切れたというおじいさんが、どうしたらいいのかと振興局員に聞くと、担当ではないらしく盛岡に行った方がいいのではないかと応対しているような会話を目の前で見たりしますが、そのようなことが起きるのでは。

知事
私も被災地で避難所に回る時、避難所にいらっしゃる皆さんと直接話しをする機会があるのですが、何かあったら係の者に言ってくださいというように言っています。まずは、すぐそばにいる係の人に何でも言ってもらうということだと思っています。その話を受けた人が、市町村マターなら市町村へ、県なら県へ、それが避難所の中でもきちんとすぐに話がつながるようにしておくことが行政としては大事だと思っています。

記者
先ごろ厚生労働省からワンストップサービスの提案がありました。例えば、それに県のさまざまな組織も加わって、1カ所でできたら素晴らしいと思います。これから検討が始まると思うのですが、要は窓口がたくさんあると困ってしまいます。被災者は(移動手段となる)足もない人もたくさんおり、いろいろなところで相談会が開かれても意見は出ないという意味合いでも。

知事
やはりそこは近くの係の人に伝えさえすれば、そこから問題解決していくということが大事で、巡回ワンストップサービスが来なくても、就職の悩みとか、それにまつわる生活支援的な行政相談とかでも、思い立ってすぐそれが行政に通るようにしていかなければなりません。それは、それぞれ避難所にいる人たちはもちろんですが、そこをサポートしている市町村や県がきちんとそうなるようにサポートしていかなければならないわけです。仕組みは二の次であり、要は被災者一人一人に行政がフルになって寄り添っていくということが大事なのであり、被災者の皆さんに申し上げたいのは、困っていることがあれば、すぐ誰か近くの人にそれを言ってほしいということです。特に、体の具合が悪いということは、その場に医師がいなかったとしても、すぐ医師を手配するということが必要になるわけで、困ったことは何でも遠慮なくそこにいる係の人に言ってほしいということを改めて言いたいと思います。

記者
人に優しく、志高くという精神を基にすると、相談に来てくださいというスタンスがいいのか、聞きに行くのがいいのか。沿岸の気仙魂の人たちは、なるべく人に頼らず自分で何とかしたいというのが人たちで、本当に自分より困っている人がいるからそちらに支援に行ってほしい、そういう生き方をしていると思います。だから、なかなか相談に来い、来てほしいと言っても、本当は困っていても相談に行かないような、そういう自立心のある地域だと思うのです。そこで、前に進んで、困っている避難者のために県は動いてくれるのかということを聞きたいのですが。

知事
どこかに行かなくても、その場所で極力問題が解決するように、市町村、県はもちろん、国の関係者も含めて、さまざま努力と工夫をしているところです。ただ、急にお腹が痛くなったら医師が必要と言っても、すぐそこに医師が来るかどうかというのは、少し時間がかかったりするかもしれません。取りあえず、医師以外の誰かそういうことに対応できる人がまず来るかもしれませんが、そこは被災者一人一人に、きちんと課題や問題が発生した時点で、その場所で解決していくようなアプローチを、市町村、県、国は一体として行っているところであり、もちろんまだまだこれでは足りないという不満もたくさんあると思います。そういうことにもきちんと耳を傾けながら、努力と工夫をしていくことが必要だと思っています。

記者
津波防災技術専門委員会でお伺いしたいのですが、この技術専門委員会と先週1回目の会合があった復興委員会との関係、そしてそもそも先日も質問があったのですが、国、県、市町村のそれぞれで復興を考えていく中で、誰がリーダーシップを発揮して、最終的な計画ができ上がるのか、そういう視点も踏まえて技術専門委員会は、何なのかということをお伺いします。

知事
復興のビジョン、復興の計画は、まず科学的、技術的な必然性に基づいて作られていなければならない。きちんとそこの地形とか、津波被害の実態とかにまず立脚して作られていかなければならない、そのあたりを技術専門委員会ではしっかりと押さえてもらえると思っています。
一方、復興というのは、あくまで人間本位にしていかなければなりません。これは犠牲になった方々の故郷への思いを継承するということも含め、その志を引き継いでいく人たちが、これから故郷をどのようにしていこうかという思い、それらは社会経済的必要性という形で整理され、水産業についてはこうしていきたいとか、農業、林業は、そして商工業は、また教育、医療、福祉については、このような形でという社会経済的必要性の部分を検討して詰めていく作業を復興委員会に期待したいと思っています。そこが大きな車の両輪になっていくわけですが、実は科学的、技術的な知見というのは日本にも、世界にもたくさんあり、また社会経済的必要性というものも、さまざまな視点からこういうものがあった方がいい、こういうようにしていきたいというものがあると思います。そこは、例えばインターネットを使って誰でも意見を寄せられるようにするとか、さまざまな工夫をしながら。この間、復興構想会議で東京に行って来て、東京の方にもいろいろなアイデアを持っている人たちがいるということを見てきました。もちろん被災地で、今、避難所にいらっしゃるような方々も、それぞれビジョンや計画の一翼を担うようなものを持っていたりもするわけであり、どんどん知恵と力を集めてプロジェクト、ビジョン、プランを作っていければと思っています。
そこで、市町村、県、国の役割分担の話ですが、法律上、インフラ整備とか社会、経済的な事柄に関して、市町村のやること、県のやること、国のやることというのは、実はかなりきちんと決まっています。国の方から言うと分かりやすいのですが、国直轄の道路や港湾は国がやる仕事で、県は県管理の道路や港湾、市町村は市町村管理の道路や漁港、そして市街地のあり方とかです。役割分担は、今ある法律の下でかなりきちんと決まっており、それぞれが責任を持って行っていかなければなりません。ただ、そこをばらばらで行うのではなくて、お互い共通のビジョンや共通の方向性を持ちながら行っていけば良いと思います。平時であれば市町村がやる仕事だが、ここは県に代行してもらいたいとか、県の方でも、平時であれば県がやるようなことだが、ここは国直轄でやってほしいとか、そもそも国がやるべきことだが、そのありようについては県からも意見を出すとか。それは、例えば三陸縦貫道については、今までのようなペースではなくて、ここは被災者支援道路、復興支援道路として、一気に整備をしてもらいたい、そうしない復興が進まないというような、国管轄のことについても県から意見を言っていかなければならないところもある。そこを市町村、県、国とでうまく連携しながら決めていけば良いと思っています。
日本の行政の仕組みから、市町村だけがやることでもなく、国だけがやることでもなく、県だけがやることでもない。つまり、複数の主体が、連携、協力しながら進めていかなければならないことで、そこはうまくやればできると思っています。

記者
国では、復興担当の省庁を作るなりして、各県単位での相談窓口等を作るような動きを見せているようにも聞いています。そうすると、そこが県、市町村も入って復興を担当する組織、岩手県の復興を担当する組織として、知事がおっしゃったような形での連携が図られていくという流れになるのか、それともそうではないのか。要は、ここに道路が1本あって、がれき撤去をしてほしい場合、国道だから国という話なのか、全部県道、市道なのか、そこまで考えて言わなければいけないのか。やはり一本化を地元の避難者は求めていると思うのです。復興局が県庁にできましたというニュースに何の意味があるのか、現地にできましたということであれば、みんな喜ぶと思うのですが。

知事
県本庁において、さまざま調整、企画をしていかなければならないことを、よりスピーディー、かつ強力に推進するための復興局なので、これは絶対被災者の皆さんの役に立つし、また復興に向けても役に立ちます。それから、国については、まだまだ不確定な状態でもあり、ほかの記者の皆さんの質問もあると思いますので、時間が余ったら考えましょう。

幹事社
専門委員会ですが、復興委員会に専門委員会を置くことができるということで、そこで技術的な話とか委員会ができるのかと思っていたのですが、これは別のようなのですが、復興委員会にそのような専門委員会を今後置く予定はあるのでしょうか。あるいは、また別個にこちらの専門委員会を立てた意味があれば教えてください。

知事
科学的、技術的な必然性と社会、経済的必要性を合わせてビジョンと計画を作っていくという中では、復興委員会と技術専門委員会は車の両輪だと思っています。そのほかに何かさまざまな分野別、専門別の委員会というのは、今の段階ではいつまでにこれを立ち上げるというものはありませんが、さまざま検討する中で必要に応じて作るかもしれないという感じです。

幹事社
これは、あくまでも復興委員会の中の専門委員会ではないということでよろしいのでしょうか。

知事
復興委員会の中にあるものです。

記者
復興局の局長の副知事は、どちらの副知事かというのが1つと、あと副局長は今いらっしゃる部長の誰かが兼任するのか、もしくは新たに副局長が新任で選ばれるのか、その2つをお願いします。

知事
復興局長は、上野副知事を充てます。そのほかは、まだ決めていません。

記者
副局長は部長クラスですか。

知事
そうです。

記者
(副局長には、)新たに昇格させて就任させるのか、現在いる部長の中からとなるのか。

知事
誰にするかは調整中です。部長級というのは、部長から選ぶという意味ではありません。ポストとして部長級ということです。

記者
新たに30人から40人程度の人員規模ですが、これはどこに置く予定ですか、場所は。

知事
県庁内です。

幹事社
では、発表事項については、これで終わりたいと思います。
幹事社から今日は1点質問があります。津波被災地の建築制限についてですが、宮城県では、市町村に2カ月とかの建築制限をかけているようなことを行っていますが、岩手県として、そのような浸水区域への建築を自重してもらうため、あるいは制限するために何か対応する考えはありますか。

知事
宮城県が指定したのは、建築基準法第84条に基づく建築制限区域ということですが、岩手県としては、建築基準法第39条にある災害危険区域の指定を行っていかなければならないのではないかと考えており、被災した市町村に対して、危険区域がどのエリアがそうなるのかの技術的データを提供して、手続がスムーズに行われるようにサポートしていきたいと考えているところです。

幹事社
39条を岩手県として選ばれた理由というのは、この間、市町村の自由というお話がありましたが、その辺の理由があればお願いします。

知事
84条の趣旨は、ざっくばらんに言うと都市計画や区画整理を行うために1カ月、2カ月で短期間の規制をかけるという趣旨なのですが、39条は防波堤も壊れ、津波の浸水もあり、災害危険区域だからそこに制限をかけるという趣旨で、その危険が去らない限りはずっと制限をかけることができるので、制度の趣旨からいってその方が良く、さまざま安全を確保しながら、未来志向の町づくりなど考えていくという段取りからしても、39条の災害危険区域指定の方が有効ではないかと考えています。

幹事社
市町村が条例を定めることになると思うのですが、県の立場として、そういう方針を市町村にどのような形で協議されているのか、あるいはこれから方針を伝えて要望、要請していく形なのか、その辺はいかがでしょうか。

知事
危険区域のエリアに関するデータをまず取りそろえてということで、そういう調査などを行っているわけですが、内々そういう調査をしているということは、市町村側にも伝わっていると思います。明確に示せるものができた段階で、正式な形で市町村には働きかけを行っていければ良いのではないかと思っています。

幹事社
県としては、浸水された市町村にはそういう条例を設けてもらい、建物を建てないようにしてほしいというスタンスということでよろしいですか。

知事
例の二大原則に戻るわけで、被災者の幸福追求ということが大事ですが、同時に犠牲者の故郷への思いをしっかり継承する、そういう中で被災した方々の自由というものを尊重しつつ、みんなで助け合って故郷を復興させていこうということを市町村が進めていくのを県は支援し、また県が単独で整備しなければならないような部分についても、市町村が復興に向けてさまざまなことがやりやすくなるように、県で決めて取り組んでいくということかと思っています。

幹事社
この件に関して各社から質問がありましたら、社名を名乗ってお願いします。

記者
県がこれからサポートするとなると、データに関してもサポートしていくということになると思うのですが、これは指定される地域の範囲の指定の仕方によっては、住民からの反発、なぜうちのところがとか、うちはそうじゃないのかという反発も予想されると思うのですが、そのあたりは市町村とどういう姿勢で調整をしていくおつもりでしょうか。

知事
突き詰めれば、それはケース・バイ・ケースで、そこでどういうことが議論になっているかによって、対策とか対応の仕方も全然違ってくると思います。一方、復興のためのビジョンや計画を作っていく中で、今、漠然とですが、まず復興させよう、津波被害を受けたところからそこを捨てて、どこか別の場所へみんなで移ってしまおうということではなくて、沿岸の被害を受けた地域それぞれを元に戻すというだけではなく、昔以上の、犠牲になった皆さんもそれぞれ志を抱いて働き、生活していたという方向性で、更に良い地域づくり、まちづくり、村づくりをしようという流れはあると言っていいと思うのです。それを具体的に、水産業についてはどのようにしていけば良いかとか、商工業についてはどのようにしていけば良いかとかということを、これから詰めて行くわけで、まずその姿勢については、「がんばろう!岩手」という言葉にも象徴されるように、個別の利害の対立の問題なのではなくて、みんなで力を合わせて、ある一つのものを作っていこうという流れが大きなものとして一つあると思うので、それに沿って対応していけば良いのではないかと思っています。

記者
もう既に、そこに家を建てて住み始めている方もいらっしゃるのですが、私権の制限という考え方から見た場合に、危険ではあるが既にそこで住んでいらっしゃる方に対して、県としてはどういうスタンスで臨まれるのかというのをお聞かせいただけますでしょうか。

知事
これは県に限らず、市町村も国も行政みんなそうだと思うのですが、やはり安全第一ということを考えて、被災者の安全、健康を守らなければならないので避難所に避難していただいたりしているわけで、まず被災者の安全と健康第一ということがあると思います。
また、私権との関係でいえば、そこはケース・バイ・ケースだと思うのですが、その方が何を欲しているのかであり、特定の体育館に寝泊まりするのが嫌だということなのか、家族だけになれるプライベートな時間が欲しいということなのか、であればこのようにすればいいのではないか、という選択肢はたくさんあると思います。一方で、だんだん危険なところを危険ではないようにしていく中で、そこに何か大きいビルを建てなければならないという話になっていくのか、あるいはそこを国に買い取ってもらったお金で高台の方に住宅地を切り開くという話になるのか、いざ何かしたい時にそれが可能になれば良いということなのだと思いますので、そこは本当にみんなで相談しながら、力を合わせて行っていけば良いところだと思っています。

記者
復興プランが出るのにも少し時間がかかると思いますし、既にでき上がっている建物に対して、39条によって撤去してくださいということは言えないということなのですが、そこにずっと住んでいらっしゃるのをお願いですからと、お願いベースで離れたところにというスタンスは特にとらないということなのでしょうか。

知事
災害対策の中で、個別の被災者の利害の調整のような側面がないわけではないと思います。ただ基本は、やはり「がんばろう!岩手」とか、「がんばろう!日本」という言葉に象徴されるように、みんなで何をどう作っていくかということが議論の中心になると思うのです。かつて役重真喜子さんが、「ヨメより先に牛が来た」という本にも書いているのですが、役重真喜子さんは、当初東和町という農村に来て、何でこんなにみんなお互いにおせっかいをし合うのだろうか、こんな濃密な人間関係の中で一人一人勝手気ままとかではなくて、助け合いの中で生きているのだろうかと、最初は馴染めなかったそうです。しかし、自分が大きい病気にかかって、近所の人たちがさまざま畑仕事を助けてくれたりとか、家の仕事も手伝ってくれたりという経験をして、実は一種の危機管理なのだと。そういう農村のコミュニティーというのは、何かあった時、決して取り残される人を出さない、みんなが助け合って、みんなが救われていくようにするための、それが文化の段階にまで高まったものが農村の生活様式なのだという境地に役重真喜子さんは達したそうなのです。こういう大災害の時だからこそ、やはりそういう公ということの本質、行政というものの本質が見えてくるのだと思うのですが、議論の対象になるのは、みんなで力を合わせて何をするかということだと思います。その中で、さまざま努力と工夫をしていけば、そうそう変なことにはならないと私は思っています。

記者
39条ですが、建築の制限なのか、禁止なのかというのが分からないのですが、どちらになるのでしょうか。

知事
その辺はまさに技術専門の方から説明してください。

理事
建築の制限又は禁止です。

記者
それから、知事が先ほどおっしゃった市町村の自由を尊重しつつということで、市町村の持ち得る自由ということは、期間や範囲になるのでしょうか、その自由は何に対する自由なのでしょうか。

知事
自由には責任も伴っていて、現行法上、やらなければならないことというのはかなり決まっているわけであり、町のありようとか、村のありようとかというのは、基本的には市町村が決められ、また決めなければならないことです。

記者
そうした場合に、県として、県内の市町村ではどれくらいがそうした制限や禁止をすべきと考えていらっしゃるのでしょうか。期間としては1、2カ月ではなく、大体どれぐらいを見込まれているのかについて教えてください。

知事
それは、まさに科学的、技術的必然性によって決まるもので、ある程度、今の段階でも粗々は言えますか。

理事
何カ月とか何年とかということは言えないのですが、今回の趣旨は、危険があるということで、防潮堤がなくなってしまったところでは、そこに対して仮応急の工事をするまでの間とかが考えられます。したがって、1カ月とか2カ月とかという単位ではないだろうと考えています。

記者
仮応急というものができるのは、そうすると数年ぐらいのイメージで、年単位ということで理解してよろしいでしょうか。

理事
それは被災した大きさにより、数カ月でできる場合、例えば土のうを積むとかという場合は数カ月でできる場合もあり、まさに何年もかかる場合もあるということで、それは対象とする市街地の大きさと、その被災の程度を勘案して考えていくものだと思います。

記者
市町村で基本的に条例化をして制限をするということで、県でも条例化できるものなのでしょうか。

知事
建築基準法の説明をお願いします。

理事
地方公共団体ということになっており、県でも市町村でもできることだと思います。

記者
県でもできるのであれば、県ではなぜやらないのかということなのですが、まさに市町村のことは市町村で考えるということなのですが、今、自治体によっては物すごくマンパワーが落ち込んでしまっているところもあり、あと前の質問にもあったように、隣はいいのに、こちらは何で駄目なのだといった声が出る。そういった時、矢面に立つのは恐らく市町村だと思うのですが、そのように市町村がすごく困っている現状の時に、県である程度示した方が、例えば条例化するのであればスピーディーに進む可能性もあるし、ある意味一定の平等性が保てるのではないかと思うのですが、その点について知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
インフラ整備に関するそれぞれの役割分担の中になりますが、県の場合、最終的というか、最初的でもあるのですが、県道とか、県管理港湾とか、そういうもののあり方についての最終責任とのかかわりで、市町村の場合には街区のあり方、市街地や、あるいは農村、集落とかの住まいや町、村等のあり方について最終的に決めていく前の段階の危険区域の指定という、その制度の趣旨から、やはりその趣旨に沿うような運用の仕方をした方が良いのだと思います。もちろん市町村の行政機能のダメージというのは非常に大きくて、市町村の行政機能の再生強化というのは大きな課題で、そこは県もしっかり支援していかなければと思うのですが、よほどの市町村が市町村として存続できない場合には、もう完全に県がその役割を果たす、これは災害対策基本法にもそういう趣旨の県の代行という条項があるのですが、そうではなく、やはり地方公共団体としての市町村の主体性で決めていくことが筋な場合には、その決定を県が支えるというのが筋だと、これは私が思うというよりは、それが世の中のあるべき姿なのではないかと考えています。

記者
これは危険からの緊急避難として制限を行うという理解でいいのですか、まちづくりとか、そういったことのためにやるということではありませんね。緊急避難ですね。危険からのということですね。

理事
その通りです。

幹事社
このほかのことで、質問があれば各社からお願いします。

記者
今日から関東自動車工業の岩手工場が再稼働しました。部品工場も含めて、県内の工場も稼働していくと思うのですが、県内の自動車産業のこういった動きについての受け止めと、半導体等まだ見通しが立ってない部門への働きかけ、いわば県の支援のあり方というのはどのようにお考えでしょうか。

知事
待ちに待った操業再開、まさに待っていたというのは、関東自動車工業にとっても金ヶ崎の工場自体は片付ければ操業できるような中で、他地域からの部品供給がなかなか再開しないために操業を待っていたという中で、ようやく操業できたというのは本当に良かったと思います。
岩手は、津波では大変大きな被害を受けていますが、地震に関していえば、あまり他の地域と比べるというのもどうかということもありますが、6弱とか5強とかの震度の割には被害が少ないと言っていいと思います。中尊寺金色堂にいたっては、びくともしなかったわけであり、そういう意味では部品工場も完成車工場である金ヶ崎関東自動車の近くにどんどん作っていただければ、地震があってもよりスピーディーな再開ができるのではないかと思います。そういう意味で、ますます操業について頑張っていただきたいし、自動車産業集積の促進ということについては、更に県でも努めていきたいと思います。

記者
半導体等、まだ稼働していない分野に関してはどのようにお考えでしょうか。

知事
これも地震そのものによる被害はそれほど大きくないと聞いていますので、今、岩手に立地している工場の活躍を期待するとともに、更なる集積の促進に県として取り組んでいかなければならないと思っています。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は4月25日(月曜日)の予定です。

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