平成23年4月28日知事会見記録

ID番号 N4904 更新日 平成26年1月16日

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平成23年4月28日 10時45分から11時13分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表はありませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
幹事社から質問がありますので、よろしくお願いします。
平泉の文化遺産ですが、前回の登録延期から3年が経ち、早ければ5月6日にも順調にいけばイコモスの勧告が出るとされています。勧告を控えた現在の所感と、その後震災等も起きましたが、世界遺産登録の意義について改めてお聞かせください。

知事
今回の推薦においては、前回の世界遺産委員会やイコモスから指摘された事項などを踏まえて、丁寧に推薦書の改訂を行いました。良い結果になることを期待していますが、どのような勧告であっても6月の世界遺産委員会に向けて、気を引き締めてしっかりと対応していきたいと思います。
世界遺産登録の意義ですが、そもそも世界遺産登録は人類共通の宝を未来につなげていくことを大きな目的としており、登録されることは将来にわたってかけがえのない遺産を守り伝えていく、それを世界に約束することです。文化遺産を保護し、管理していく活動によって、地元のそれぞれの地域の宝が再認識されて、郷土への愛着が深まり、改めて先人への尊敬の気持ちを確認するなど、地元の私たちの心を育む効果もあります。
また、平泉は、かつて東北の首都だったところでもあり、今回の東日本大震災津波が東北に大きな被害をもたらし、そこからの復興を目指すに当たって、平泉は非常に象徴的な役割を果たすと思っており、平泉が世界遺産登録で世界から強い関心を持って見てもらえることは、東北、東日本の復興にも今世界から寄せられている関心と相まって世界全体と協力をしながら、平泉の持つ人と人との共生、人と自然との共生という、この理念をも広く共有して復興を進めていくことに大いに資すると思います。

幹事社
この件に関連して質問があれば、各社からよろしくお願いします。

記者
人と人との共生、人と自然との共生で復興をという話がありましたが、知事のおっしゃっているキーワードで人間本位の復興というキーワードもあると思うのですが、この人と自然との共生というテーマは、何度も津波を経験しても沿岸で生き続けてきた人にとってみると物すごく深い意味合いがあるのではないかと個人的には思っています。人と自然との共生、津波の被害を受けても、自然と共に生きていくというすごく深いメッセージがあるように思うのですが、こういう平泉の理念をもっと大きくうたって平泉の文化遺産登録、そしていろいろな運動と復興を一緒になって行っていくような方向性というのは考えられないでしょうか。

知事
国の復興構想会議でも平泉ということが、日本が今取り組もうとしている東北、東日本復興にとって重要な意義があるということを、会議の委員プラス総理大臣や内閣官房長官、副長官にもきちんと説明をしたところです。それから近藤文化庁長官も非常に深く理解してくださっていますので、もうオールジャパン、日本全体で平泉の意義を確かめ合いながら、復興に生かしていくということをしていきたいと思います。

記者
仮に登録されればの話なのですが、いわて平泉年とかいろいろな宣言等を行う当初のスケジュールだったと思うのですが、その辺の復興プランとの兼ね合いについてはどのようなお考えでしょうか。

知事
晴れて世界遺産登録になれば、世界遺産委員会でお礼のスピーチをすることができると聞いています。これに関しては、災害対策でまだ対策本部長としての役割がありますので、そうそうパリに行けるかどうかは詰めてみないと分からないのですが、可能であれば今度の世界遺産委員会はパリで行われますので、今回の災害について本当に世界中から支援をいただき、またお見舞い、激励をいただいていますので、この平泉の地元からイコール東北、東日本から世界全体にお礼のメッセージ、そして東北、東日本、平泉の精神を生かしながら復興を進めていきたいという、そういう東北・東日本・平泉宣言的なことをパリでできれば良いと思っています。

記者
平泉との絡みで沿岸の景気支援で内陸からの応援という部分の意味合いというのがあると思うのですが、具体的に何かイメージされるところがあれば教えてください。沿岸の景気を内陸から支えるという意味で、平泉の登録というところの持つ意味とか、そういったところについて何かお考えは。

知事
そこはいろいろな工夫が可能だと思います。

記者
例えば、沿岸は渋滞しているとか、そういったところがあるかと思うのですが、平泉から、盛岡とか、県北の方に観光客を回すという意味で、これまでの取り組みプラスの部分などがあれば、もし何かイメージされているところがあれば。

知事
交通渋滞対策と平泉という観点からは、私としてはあまり考えていませんでした。

幹事社
この質問に関連してほかに質問がなければ、各社から質問をお願いします。

記者
今日、労働局の方で有効求人倍率が0.47倍と、せっかく順調に回復しつつあった倍率が落ち込む結果となりました。まさに震災の影響です。震災復興に向けて雇用対策、補正予算いろいろ組まれて可決しましたが、改めて有効求人倍率の低さを受けて、雇用についてのお考えをお示しいただきたいと思います。

知事
災害により雇用の場が多く失われていますので、まず雇用の場を回復させる、産業そのものを回復させていくことを進めていかなければなりません。ただ一方、時間がかかるところもあるので、当面は被災して職を失っている方々が働いて稼ぐことができるよう、これは県や市町村が直接雇用するということも含めて昨日可決いただいた県の補正予算にもそういったことが盛り込んでありますので、力強く進めていきたいと思います。

記者
関連して、補正予算1,001億円が仮設住宅ということで、この辺も雇用につながればということで県の方で仮設住宅の県内事業者を募集していますが、4月18日から5月2日までという期限でいろいろ業者さんとかに聞くと、スケジュール的になかなかできないというような話も耳にしたりします。例えば、坂本龍一さん代表の「LIFE311」というプロジェクトで、義援金を集めて木造の住宅をというような民間の動きもあって、既に今日の段階で700万円以上の義援金が集まっています。これは3億円を集めて100棟造るというプロジェクトなのですが、岩手県産木造仮設住宅というのが注目されつつあります。現状の公募のスケジュールだと、恐らくなかなかそういう提案が県内事業者から少なくて、要は県外の業者、プレハブ関係のところに結局落ちついてしまうようにも見えます。こういう木造仮設住宅を含んだ県内の雇用に仮設住宅建設につなげていくような発想はありますか。

知事
国の予算を用いて行われる仮設住宅建設については、とにかく早くという国の一大方針があります。県も当初半年で9月までにという目標を掲げていたのですが、それでは遅いということで国と調整した結果、7月までという目標の前倒しを行ったところです。したがって、国との調整においては、まずスピーディーにやらなければ駄目だということなので、そういう要請の中で国として全国のプレハブ協会に依頼しており、その加盟の企業が施工を行っていくという大きな流れがあります。そういう中でも雇用については、現地の人を雇用することはできるという形であり、また施工主自体についても岩手において2,000戸分は県で独自に公募するという枠を確保することができています。あとは国の予算に頼らない建物づくりについては、どんどんそれは地元の人が働けるような工夫をしていけば良いと思います。また、国の予算以外で有志の皆さんからのお金でさまざまなことをやるのは、あらゆる分野で雇用の創出にもつながると思いますので、I援隊的にそういう力の活用にどんどん努めていきたいと思います。

記者
県産木材を活用しようというようなところまでのメッセージは今のところ発していないのですが、その辺についてはどうお考えですか。

知事
平素から県産木材は、どんどん使おうということで、それはこういう災害の時でもそのとおりです。国の予算を使って行う仮設住宅の建設については、国としてとにかく急がなければ駄目だという一大方針があり、国としてこういったところを使うようにという一つの流れがあります。そこから大きく逸脱することができないし、ただ早く造るためには、なるほど確かに国の方針に沿ってやる方が一日も早く、また一分一秒でも早く仮設住宅に移りたいという被災者の思いからすれば、そういう国の方針に沿ってやることが望ましいと思っているのですが、県産材の振興というのは、これはこれでとても大事なことですので、仮設住宅の建設の中にそういう独自の県の公募枠を設けたところです。今後、さまざまな分野で県産材、またチップ、ペレット等バイオマス的な燃料という側面もあります。さまざまな形で岩手の木を、森を生かしていく、これは県の森林組合連合会とも連携をしながら、しっかり取り組んでいきたいと思います。

記者
経済活動の低迷ということで、自粛ということが今までも言われてきたのですが、明日から大型連休が始まります。本部員会議の方でも商工労働観光部長から話がありましたが、今まで自粛というところを引きずってきた中で、被災地の知事として、この大型連休の過ごし方について、ぜひメッセージのようなものをもらえればと思います。

知事
全国的には自粛問題だと思うのですが、被災地、被災県にあっては、かなりよんどころない事情でさまざま消費が抑制されているところがあると思っていますので、それを補って余りあるくらいの積極的な需要創出、消費を促進する活動が求められていると思います。今朝の災害対策本部員会議でも私から県幹部に対してさまざまなイベントを通じた活性化について言いましたし、昨日の庁議では昼休みに防災服を着て外食してもいいし、歓送迎会等が行われなかった分、ミーティングなどを外で会食しながらやっていいということ、これは年度が変わる時に実は県幹部には言っておいたのですが、それを昨日の庁議でまた確認したところです。私も第九師団長を伴って昼休みに防災服と迷彩服で街に出て、御飯を食べるというのをやってみせたりしたところです。
また、沿岸(地域)を励ます会とか、被災企業を励ます会、またディナーショーのような形で、岩手を応援するために有名な皆さんが岩手に入ってきてくださっています。このような会費制のパーティーはどんどんあっていいと思っていますし、招かれれば私が乾杯の音頭とったりして、促すのにやぶさかではありません。このようにして経済的な力を高め、被災者支援と復旧、復興をより力強く行うことができるようにしていけば良いと思います。

記者
今の質問に関連しまして、東北新幹線の件で、知事も先日話していましたが、ようやく明日から東北新幹線全通ということで、7日の余震がありながら4月中に開通するということで、(東北新幹線は)地震に強いということです。特に今の質問に関連すると、やはり県内はどうしても被災者とか、なかなか消費ということにも難しいところもあり、そういう意味で県外からの流入というか、観光客も含めて、来ることが非常に県内経済にプラスになるかと思うのですが、その辺に対して、全国に対してどのような呼びかけをしたいというようにお考えになりますか。

知事
さまざま観光でいらしていただくためのアピールは、「そばっち」の着ぐるみを使ったりして首都圏にアピールするとか、さまざま工夫をしていきたいと思います。岩手の観光関係者の皆さんでどんどん活用していただければ、一定パーセントをそこから寄附に回すという、そういうつながろうキャンペーンも展開していて、「そばっち」の頭にイクラを乗せて、あれは沿岸12市町村の12の数だけイクラを乗せてはらこそばになっている「そばっち」のイラストをJR貨物の車両に張ってもらうとか、そういうキャンペーンもしています。NHKでは「どんど晴れ」の続編も放映されますし、実はかなり首都圏、西日本の方うから岩手が見えるような企画は出てきているので、こういったものを活用しながらどんどんアピールをしていきたいと思います。
おかげさまでいわて銀河プラザ、銀座にある岩手のアンテナショップの売り上げも前年比で1.5倍ぐらいの伸びを示していて、品ぞろえがなかなか滞り気味な割には、出した品物は買っていただいているという状態です。強い関心と、また何かしてあげたいという思いを岩手県外の皆さんに持っていただいているので、そういう思いがきちんと岩手の経済につながっていくように、更に工夫や努力をしていきたいと思います。

記者
新幹線が明日から通ることでの期待感を一言お願いします。

知事
かなりがらっと変わると思います。やはり行きたいと思ってさっと出かける、手軽に東北、岩手に足を伸ばすということが新幹線の開通で非常にやりやすくなりますので、今まで抑えてきた分、抑えられた形になっている分を取り戻すくらいに大きな人の流れが東北、岩手の方に向かってくれることを期待します。

記者
自粛ムードの関連で、いわて国体の関係です。地元の被災自治体とか、経済団体などから復興の目標として、やはり開催すべきではないかという声が出ていますが、知事はどのように受け止めていますか。

知事
自粛との関連でいえば、さまざまな企画を作っていくことだと思っています。県内の消費を活性化する、先ほど言ったようなさまざまなパーティーやディナーショーのような企画、中央から人を呼んでくるような企画も復興、被災者支援と切り離して、どんどんさまざま行っていくことができると思います。さらに、被災者支援や復興と絡めて、こういう時だからこそ大勢集まってもらえる。担当の方には、私からさまざまな地域での県人会で岩手に里帰りとか、戻ってきてもらうような企画とか、またこういう時だから同窓会をやろうと、みんなで岩手に戻ってこようとか、そういう仕掛けをどんどんやるように言っています。
一方、国体開催は自粛とかの話とは関係なく、やるからにはきちんとやりたいということであり、もう何年かすれば、ある程度復興が進めばそこから5年後、立派な国体をやれる態勢になるわけであり、そういう方向で関係者と調整していかなければならないという状態に直面しているということです。

記者
前回の会見でも質問が出たと思うのですが、関係団体との協議、調整ということと結論ですが、この日程的なめどはいかがでしょうか。

知事
財政的、人的な県の態勢について、この4月中にさまざま事業を見直すという流れの中で、記者会見の形でいち早く県当局の事情を発表した形ですが、そういう作業の流れから関係機関への説明とか、調整というのはこれからの話ですので、週が明けて、昨日議会も終わりましたので、どういう段取りで説明するかはもう既に準備、アポ取りとかをしているところなので、週が明ければ本格的にそういう調整が進んでいくと思います。

記者
岩手競馬の開催について、現時点で知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

知事
大震災の発生により、さまざまな施設が被害を受け、それによって4月の水沢開催ができないでしまったこと。その一方で、JRAや地方競馬全国協会から、さまざま岩手を支援したいという声もいただいているので、具体的な支援について調整をしているところです。そうした中で、収支見通しを修正しなければならず、その作業を今やっているところで、管理者副管理者会議という、岩手競馬の最高幹部会に上げるところまで数字が詰まってきており、数字を詰める最終段階に入っているというところです。

広聴広報課
以上もちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は5月9日(月曜日)の予定です。

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