平成23年5月16日知事会見記録

ID番号 N4900 更新日 平成26年1月16日

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平成23年5月16日 10時30分から10時50分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事長さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
滝沢村の牧草から基準値を超える放射性物質が検出された問題で、知事の受け止めと今後の対応について、改めてお考えをお聞かせください。

知事
大変驚きました。それで、まず周りの市町村の、岩手県南の県農業施設では基準値を上回っていませんでしたので、基準値を上回った県畜産研究所がある周辺市町村において、どうなっているかをきちんと調べることが大事だと思っています。

記者
これから具体的に調査とか対策会議ということをされていくということですが、関係する自治体や団体に対しては、どのような指示とか、今後の対応の方向性について説明されるご予定でしょうか。

知事
県で関係市町村と打ち合わせをしながら、今週中にスピーディーに(牧草の)測定(調査)をしていきます。

記者
今のセシウムに関連して調査ポイントですが、今後、県南まで含めて全県に対象を広げて実施していかないのかを、まずお願いします。

知事
県南にある県農業関係施設において基準値を上回っていないという結論が出ているので、まずは基準値を上回ったところの周辺をチェックするのが先決だと思っています。

記者
今回出たのは牧草ですが、今後、畑、農作物であったり水田、あと水産物だったり、いろいろ検査対象は広げていくお考えはあるのでしょうか。

知事
今回、牧草で基準値を上回りましたが、359というのは口に入れる野菜に関しては500が基準値となっています。念のため調べたレタスからは、放射性物質は検出されませんでした。発災以来、空気と水と降下物については、県で(環境)モニタリングをしていますが、健康に影響を及ぼすような数値は一貫して出ていません。状況に何か大きな変化があれば、それにきちんと対応していかなければならないと思いますが、まず今やらなければならないことは、牧草に関して県畜産研究所の周辺市町村の牧草をチェックするということだと思っています。

記者
今のセシウムに関して、牧草で出たということだけでも風評被害は、ほかの野菜とか農作物、農畜産物で出てきかねないと思うのですが、そういうものが出ないように県としてどういう発信、呼びかけをしていきたいと思いますか。

知事
事実をきちんと出していくことが大事だと思っており、県畜産研究所で359、金ヶ崎の農業大学とか種山の研究所では低い数字ということをきちんとホームページでも分かりやすく見られるようにしています。事実関係を離れた評価、風評的なものを防ぐには、事実関係をきちんと発信していくことだと思っています。

記者
震災の関係でお伺いします。先週の金曜日に、県の3回目の復興委員会があり、その中であくまで案ということですが、復興に向けた具体的な取組の案が示されました。これまで3回、知事はこの議論をお聞きになっていて、先週の金曜日も国の復興構想会議よりもスピーディーで具体的に検討が進んでいるとおっしゃっていました。
そこでお伺いしたいのですが、知事は復興構想会議と両方の議論をお聞きになっている立場として、例えば岩手県のこうした取組であれば何か範を示せるのではないか、国全体でのモデルになるのではないか、もちろん、それ自体が範を示すことが目的ではないと思いますが、今の段階で、もしそういうものがあるとすれば教えていただきたいのですが。

知事
国の復興構想会議としての構想とか計画には、なるべく政府、具体的には内閣であり各省庁ということなのですが、そこをあまり関与させない形で(構想や計画を)作っていこうとしているような感じがするのですが、政府が何をすべきかを決めるわけで、早い段階から政府、具体的には各省庁から報告をさせ、また委員の人たちの疑問点などに政府側がどんどん答えながら、一緒に作っていく感じで行った方が良いのではないかと思います。岩手県は、県庁、事務方と委員の皆さんが、双方向でやりとりをしながら、ある場合には一緒に視察に行ったりして、一緒に県が何をすべきかを作っていく。それは県だけではなくて、各団体とか、企業とか、広く県民として、何をやっていかなければならないかを一緒に決めていくような格好になっているので、国もそのように進めれば良いのではないかと思います。

記者
先週の金曜日には300近い項目で取組案がありましたが、これはというものはありますか。

知事
あれは、そのまま国でやってもらえばいいと思います。岩手として、こういうことに取り組んでいかなければならないという項目は、県から国に要望を出している15ぐらいの項目の要望として出しているのですが、別添の付録に省庁ごとの要望事項が付いていて、数え方にもよるのですが、大体300ぐらいの要望事項になっていて、それは県としてやらなければならないということと平仄(ひょうそく)が整っているような格好に作っています。ですから、岩手としてやらなければならないと思っていること、そして国に要望していることをそのままやってもらえれば、それは復興全体に関しても良い内容になると思います。

記者
今の関連ですが、国の復興(構想)会議で政府とか各省庁をあまり関与させないでというような話しがありましたが、これによる弊害とか、これはちょっとどうかと感じることがあれば教えてください。

知事
かなりすぐにやらなければならないこととかあって、例えば仮設住宅のあり方については、一昨日の土曜日の会議でもかなり議論になっていたのですが、ただもうそれぞれの県では発注が大体終わっていて、半分あるいは半分以上建設中になっています。仮設住宅をどうこうした方がいいというのは、4月中旬、最初に集まった時から出ていた話で、出た瞬間すぐ対応できることは政府で対応しなければならなかったのです。けれども、まず議論は議論でやっていくという中で、一昨日の議論で仮設住宅については、いろいろな工夫が大事だということが終わった後に議長からも報告があったと思います。ただ、今からそれに基づいて、政府で何かをするといっても遅いのです。ですから、すぐ何かしなければならないことについては、すぐ政府が動くというようにしなければならないと思います。委員がそれぞれ問題意識を持って発言していることについては、議論が重なっていくのですが、医療とか、委員に専門家がいない分野については、全然取り上げられないわけです。それでいいのかということもあって、県は医療についても、きちんとこのようにしてもらわないと困る、こうした方が良いと政府への要望の形でやっているのですが、復興構想会議の中では全然話題にならない。ですから、こういう論点もある、こういう問題もあるというものは、県は政府に説明しているわけで、政府がきちんとそれを確認して、論点の中にきちんと整理していく必要があるのではないかと思います。

記者
取組案の関連で、5月10日に知事が構想会議に提出された3つの項目があると思うのですが、これは重点的な項目として考えていいのかということと、ほかの被災地にも当てはまるようなモデルにもなり得るものとして、知事は考えていらっしゃるのかどうか。

知事
基本的には、およそ300の項目はどれも大事なのです。二重ローンに苦しんでいる皆さんに対しては、二重ローン対策はものすごく重要で、そういう人たちは多く、大事なのです。一方できちんと医療が受けられるようにしていくとか、介護がきちんと受けられるようにしていくことは、そういうことを必要とする人たちにとってはやはり死活的に重要なことであり、特にこれが重要という考え方ではなく、300なら300の全部が重要なのです。ただ、医療、福祉は、さすがにプロフェッショナルのネットワークで全国的に支援しなければとか、医師会とか、病院関係とか、赤十字とかのネットワークで、それなりにきちんと動きがあるので良いのですが、二重ローン対策のスキーム作りという点については、やはり岩手から強く発信していかないと流れができていかないので強く発信しているというところがあります。漁協を活用した水産の復興というものも、岩手から発信しておかなければというところですし、まちづくりをやりやすくするような制度と財政支援をきちんとということは、これも現地から聞こえてくる悲鳴のようなものを、県としてきちんと主張しておかなければならない。そういう全体の議論を運んでいく中で、特に県として強く主張しなければならないのはどこかということを、戦略的にその時その時で見定めて訴えているということです。

記者
たくさん大事なものの中で県が主張された3つということですが、これらの要望が実現に近い形になったら、復興というものも早くスピーディーに進んでいくのでしょうか。

知事
まちづくりと水産業は、復興全体にとって必要不可欠で、二重ローン対策もしっかりやらないと形式的に復興しても、中身がない復興になる危険性があり、人と地域がきちんと支援されていく中身のある復興になるためには、二重ローン問題の解決というのは必要不可欠だと思っています。

記者
先ほど、水産業の復興が不可欠だとおっしゃっていました。岩手県は、漁協を活用した、核にしたということをおっしゃっています。一方、隣の宮城県は、漁港に関する特区という提案をしていて、この点で宮城県の提案は、もちろん県内でもいろいろ異論はあるようですが、知事はどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。

知事
全然違うことを言っているわけではないと思っています。宮城県の場合も大きい一つの漁協でほとんどやっているので、その中でお金が足りない、あと宮城の漁協は遠洋漁業とか業種別に分かれているとも聞いているのですが、その場合、企業経営的な部分での強化が非常に必要なので、そういうところを強調しているのかと思います。岩手の場合、遠洋漁業、沖合漁業もそれなりにあるのですが、やはり多いのは養殖と沿岸漁業であり、そこは津々浦々、コミュニティー単位くらいのところで協力し合って行われているので、そういったところをきちんと再生、復興させていかなければならないということを岩手からは特に強調しています。

広聴広報課
これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は5月23日(月曜日)の予定です。

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