平成23年5月30日知事会見記録

ID番号 N4896 更新日 平成26年1月16日

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平成23年5月30日 10時30分から10時54分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事長さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いいたします。

記者
沿岸の方で、浸水していない地域の土地が一部値上がりしている傾向がありますが、このことについて知事はどういう認識を持っていて、どのような対策を今の時点で考えていますか。

知事
被災者支援から復旧、復興へきちんと進んでいくために、市町村が住民と一緒に自治体としてしっかりと計画を立てて、そして実行していけるようにしていかなければならないと思っています。それがやりにくくなるようなことは好ましくありませんので、県としても、まず今あるさまざまな法律制度を使いながら状況を把握し、市町村が困ることがないようにして、必要であれば法律の改正とかを国に要望していきたいと思います。

記者
今ある法律、国土利用計画法の中で、いろいろな区域を県が指定して規制することができますが、そのようなスキームを使う考えはありますか。

知事
市町村が困らないように、やれることはやらなければならないと思っています。

記者
関連した形のような質問なのですが、災害危険区域の指定、市町村がまだあまり進んでいない中にあって、陸前高田市で作業所を建て始めている建築業者もあります。話を伺うと、半壊のような住宅からの補修依頼とかがかなりあって、対応するためには作業所を作らないといけない。県は、人命尊重の立場で災害危険区域を指定するようにと要請していますが、人命、安全と雇用、収入が被災者にとっては天秤にかけられるような状態が生まれています。どういう対策が必要か、改めて今お話しいただきたいと思います。

知事
住民の意思に基づきながら、市町村が被災者支援から復旧・復興を主体的に進めていくことができれば良く、その助けになるのであればそれは構わないし、それがやりにくくなるようであれば、調整していかなければならないと思います。

記者
いろいろ復興関係の事業を請け負っていくためには、やはり元あった場所に浸水エリアでも建てなければいけないという動きが、今後、広がることも考えられると思いますが、そういうスピード感のある対応というものが、市町村とのやりとりも必要なため進まない状況ではあるとは思いますが、スピード感のある対応については、どのように考えていますか。

知事
当事者同士できちんと頭の中身、心の中身をそろえながら、さまざま柔軟に対応していければ、その方が良いのであればそうしてもらうことがいいので、そういうところに時間をかけるのは全然構わないと思っています。

記者
別の件でもう1つ。宮城県と茨城県の沖合の海底で採取した土から、文科省の調査で放射性物質、セシウムなどが検出されたというニュースがありました。岩手で調査がこれから行われるかどうか分かりませんが、宮古で天然ワカメ漁の漁業を再開するなど、漁業の動きもいろいろ出てくる中で、例えばワカメの養殖が来年、再開された時になって、ただでさえ津波で復旧が大変な状況の中で、今後、放射能問題が漁業に与える影響も心配されますが、どのような見通し、考えを持っていますか。

知事
海流が基本的に北から南に向かって流れているということで、国でも福島県とその南に隣接する茨城県の、確か魚も調べていたと記憶しますが、そして海底の土壌も調査していると。そういう科学的根拠に基づいて、調べるべきところを調べているということであり、何か大きな事情の変更があれば、岩手においても調べなければならないのだと思いますが、今はそういうことはないというように認識しています。

記者
昨日、副知事の代理出席でしたが、政府の復興構想会議でこれまでの議論の中間たたき台的な案が示されました。復興財源に関しては、増税に関する意見や、あるいは増税すべきではないという両論併記のような形になっていますが、この中間整理についての知事の評価、認識を教えてください。

知事
どういう議論があったかということを紹介するものとして、上手にまとめられていると思っています。

記者
復興構想会議の中で、意見がまだまとまっていない状況が続いているわけですが、復興構想会議として、6月の1次提言で特に復興財源について、議論を無理やりにでも集約すべきなのか、それともこのまま意見が分かれているのであれば、両論併記のままでいくのが好ましいのか、どうお考えでしょうか。

知事
やはり被災地の復旧・復興、そしてそのための日本全体の経済の力強さ、これを目指していくためには、財源については直ちに国民負担を増やすのではなくて、国債の発行や日銀引き受けなども含め、大いに柔軟に対応するということを全会一致で、できるだけ早く決めれば良いのだと思います。

記者
今国会では、自民党、公明党ら野党の方から、不信任案を提出する動きがあり、今週にもというふうな動きもあるのですが、一方で本県選出の小沢代議士を中心とするグループの中で同調する動きがあると。被災地の側の知事から見て、このようにして政治空白ができる可能性もあるのですが、そうした動きについてどのように感じているのかをお願いします。

知事
先ほど市町村で物を進めていくに当たっても、関係者で調整してより良いものができるなら、ある程度時間をかけてもいいという話をしたのですが、これは国全体でもそのとおりで、より強力に被災者支援や復旧・復興を進める態勢を、例えば倍のスピードで物を進められる態勢を作れるのであれば、1週間ぐらい時間がかかっても全然問題ないと思います。

記者
昨日の政府の復興構想会議に関連してなのですが、中間整理の中で東北地方再生可能エネルギーの拠点とするという方向が示されました。県としては、沿岸部の復興のまちづくりに向けて、太陽光、バイオマスの活用による三陸エコタウン構想というものをビジョンの柱に据える方針ということですが、こういったエコという視点からの復興についての知事のお考えをお聞かせください。

知事
議論は途中なのですが、震災がなくても木質バイオマスの活用であるとか、あるいは岩手全体で言えば地熱のエネルギーとか、小水力などの水力とか、そういう再生可能エネルギーをどんどん活用して地域振興をというのは、岩手の将来に向けての「いわて県民計画」の中でもさまざま位置づけられ、取組が進んでいることですので、復興という中にそれが大きな柱で入っていくというのは自然な流れだと思います。

記者
県の復興計画の期間について、先日の復興委員会で6、8、10年と示されて、陸前高田市の戸羽市長からは6年という選択肢は非現実的だというような声が上がっていましたが、それに対する知事の受け止め、所感をお聞かせください。

知事
本当に陸前高田は大変なのだなと。一昨日も、民主党政調会長にして国家戦略担当大臣と一緒に陸前高田を訪問しましたが、仮設の市役所ができて、そこに初めて入ったのですが、土日も窓口を開けて被災者支援を行いながら、復旧・復興にも取り組んでいくということで、これは本当に並大抵の大変さではないなという思いを新たにしたところです。一方、県で3年、6年という数字を出すに当たっては、それぞれ仮設住宅からその次の住宅に移るまでにどのくらいかけるのかとか、水産業や商工業関係の復興にどのくらい時間をかけるのかとかいうことを、分野ごとにそれぞれ市町村の水産業関係者、商工業関係者、そして住宅関係の現場の生の声を反映しながら、3年でこのくらいまではとか、6年でこのくらいまではというように積み上げていると聞いています。ですから、もしこれに10年かけたい、あるいはこれに10年以上更にかけたいというものがあれば、どんどんそれを出していただいて、この計画というのは一定の期間の中をどう使っていくかというような、普通の5カ年計画とか10カ年計画のような枠を決めて、その中で何をやろうかという話ではなく、まず何をしなければならないかということを突き詰めて、かつそれらをできるだけ早くしなければならないという中で、現実的なものとしてこれにどのくらいかける、これにどのくらいかけると明らかにしていくような計画だと思うので、陸前高田市長も、仮設住宅に10年以上いていいと思っているわけではないでしょうから、早く終わらせなければならないものは早く終わらせると。一方、10年、20年かけてやりたいことについては、それはどんどん市の計画の中でやれることはやればいいし、また県や国を巻き込んでやりたいことはどんどん提案してもらえばいいということだと思います。

記者
久慈市で策定が進んでいる復興計画の策定方針は固まっていますが、その中で例えば久慈市であれば10年というようなことで出してきているわけで、そうなると県とか他市町村との期間設定のずれとかが生じる可能性もあり、その中で今後、調整を図っていくというような動きになるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。

知事
具体的な中身について、これはどのくらいでやるということについては、市町村、県、国、また関係者と合意しながら進めていくわけで、そういう中で頭の整理のためにそれを10カ年計画と呼ぶのか、5カ年計画と呼ぶのか、あるいは中間の数字を使うのかというのは、ある種いい意味での方便、仏教用語としての人を幸せにするための術としての方便であると思うので、そこは柔軟に対応すれば良いと思います。

記者
先ほどの不信任案の関係の話なのですが、先ほどの答えでは確か1週間ぐらい時間をかけても問題ないということだったかと思いますが、当然不信任案というのは可決されれば、内閣総辞職という可能性もあります。一方で、衆議院の解散という可能性もあるかと思うのですが、その場合1週間で済まないかと思うのですが、それでも問題ないということなのでしょうか、そこを確認させてください。

知事
数字の理屈の話で言えば、それこそ5年、10年かかることが3年、6年でできるのであれば、1年かけたって構わないということになると思います。要はより強力な態勢を作るために一定の時間をかけるということは、むしろ今の日本にとっては必要なことではないかと思います。

記者
衆議院解散となると、全国で選挙を行わなければならなく、今、知事選や県議選が延期されている現状からいっても、果たして岩手で全県的な選挙ができるのかということもあるかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。

知事
今すぐに解散された時、総選挙が岩手ではできない選挙区があるので、そういう総選挙を行うということは、いわば被災者切り捨て解散、被災地切り捨て解散をやろうという話だと思います。

記者
先ほどの復興ビジョン、復興計画の計画期間のことなのですが、知事は別な会合で、当初10年というものがあって、事務方からも8年というものが上がってきて、8年ではやはり長過ぎるのではないか。6年という選択肢というか、6年ぐらいでできないかというような指示を出されたというお話もされていましたが、今現時点で知事のお考えとして、計画期間は6年というものを想定されているのか、何年がいいのかお聞かせください。

知事
私の発言の趣旨で、また県庁内で話していることの趣旨は、10年、5年かかるということを6年、3年でやるようにしていかないと駄目なのではないかということであり、そういう意味で実際に何年かかるかということについては、きちんと積み上げて現実的な数字にしていかなければならないと思っており、当初10年だ、5年だと言っていたようなことが少しでも短くなれば、私は県の担当も頑張ってくれたと言っていいと思います。

記者
恐らく6月1日の総合企画委員会、復興ビジョンの下部組織の会合で計画期間についても話し合われると思うのですが、知事の考えをお聞かせ願いたいと思います。

知事
みんなで話し合って決めてほしいというのが私の考えです。

記者
福島の原発事故で、政府や東電の本店が把握していない海水注入を中断していなかったということがありました。今回の原発事故で、防災や危機管理の観点で改めて反省点や教訓とすべき点があればお聞かせ願います。

知事
事実関係がよく分からないところもあるので、具体的にああした方が良かった、こうした方が良かったということは、なかなか難しいところがあります。ある種の勝負なわけで、大災害、大事故が起きた直後に一番大事なことを見極め、そして、それぞれ自分がやらなければならないことを見極めて動くということが大事です。それは、現場にいる人や現場から離れた行政上の中心で司令塔(の立場)にいる人が、自分が何をやらなければならないかを見極めて、それをばりばりやっていくために必要なことは、やはり知ることです。日ごろから言っていますが、知事の仕事は知ることに尽きると言っているのですが、それは総理大臣でもそのとおり、現場にいる人もそのとおりで、だからもっとどうなっているのかを知る、分からないのであれば分かるまで、いろいろな手を尽くして突きとめる。そして、事実に基づいて現場がきちんとやっていると分かったら、現場にそのまま任せればよく、このままでは駄目という確信が得られれば、それは徹底してそうでないようにさせていく。今回の東日本大震災というのは、近代化、現代化した社会でこれだけ大きな規模の災害が起きた、そして大きな原発事故が起きたということは前例がなく、正解は誰も持っていない、誰に聞けばいいとか、誰に聞けば大丈夫というような話がない中で、正解をつかんで、そして実行に移していくということは、これは自分も含めてそういう能力を高めていく、磨いていく努力を普段からもっとしていかなければならないと。もっとまじめに一生懸命、普段から生きていくよう努めていかなければならないということが教訓かと思います。

広聴広報課
これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は6月6日(月曜日)の予定です。

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