平成23年6月6日知事会見記録

ID番号 N4894 更新日 平成26年1月16日

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平成23年6月6日 10時30分から11時00分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事お願いします。

知事
今日の発表事項は、東日本大震災津波関連補正予算(第3号)についてです。
東北地方太平洋沖地震及び津波による災害によって被害を受けられた方々の支援を引き続き全力を挙げて取り組むとともに、被災地の復旧・復興を更に加速するために、4月補正予算に引き続き、6月8日に招集する岩手県議会臨時会に平成23年度一般会計補正予算(第3号)を提案いたします。
お手元に配付している資料をご覧ください。補正予算の規模は、約1,850億円となります。その主な内容は、まず、「暮らし」の再建として、被災者の方々への生活支援として、避難所の設置運営、食品、飲料水など生活必要物資の供給を引き続き行うほか、民間賃貸住宅の借り上げ戸数を拡大します。緊急雇用創出臨時特例基金を活用した事業を更に拡充し、4月補正予算と合わせて、沿岸地域を中心に約1万人の雇用の場を創出を目指します。また、応急仮設住宅等における介護サービス等の提供体制の構築、避難所で生活される方々や児童・生徒の心身のサポートの充実、仮設診療所の設置など医療提供体制の整備のための取組を推進します。教育面では、各界の皆様の善意により寄せられた寄附金を原資として、被災した児童・生徒などの修学支援や教育の充実等を目的とする「いわての学び希望基金」を設置するほか、学用品や給食費の給付など市町村が行う修学援助のための取組を拡大します。
次に、「なりわい」の再生、産業の復旧・復興関係ですが、まず、水産業では、本年度の漁獲時期や次年度以降の漁業資源の確保など的確に対応できるよう、流失・損壊した漁船をはじめ、養殖施設・産地魚市場・水産加工施設等の復旧整備や、ワカメ、ホタテ等の種苗の確保を行うなど、幅広い分野での水産業の再生に向けた取組を重点的かつ迅速に実施します。農業においては、被災した農業共同利用施設の復旧や農業機械の整備等への支援を、また、商工業分野では、事業協同組合や被災地の中小企業等が一体となって行う施設・設備の復旧について支援していきます。
次に、「安全」の確保についてですが、被災した道路、河川などの公共土木施設や海岸保全施設の復旧工事を進めるほか、幹線道路に係る交通信号機などの交通安全施設の復旧を行います。また、津波により機能が喪失した釜石警察署の仮設庁舎の整備や、破損した警察施設の復旧を進めます。
今回の補正予算は、国の1次補正予算に対応するとともに、この1次補正予算では不足する部分にも踏み込んで編成しています。被災地の復旧・復興を更に加速するため、国の2次補正予算等に県として先行した事業や実施すべきと考える提案を反映させるよう、県を挙げて、更に強力に要請や提案を行ってまいります。また、今後も適時適切に補正予算を編成していくことによって、被災地の方々が希望を持って生活やなりわいの再建に歩み出すことができるよう関係機関が一体となって支援をしていきます。
それから、補正予算関係の資料の最後に添付している「東日本大震災津波に係る寄附金の活用について」ですが、国内外を問わず多くの皆様方から温かいご支援をいただいているところですが、県に寄せられた寄附金は、被災された方々への義援金とは別に、被災地の復旧・復興のための事業に活用することとし、予算編成の際に具体的な寄附金の活用事業及び活用額を公表することとしました。
具体的には、(1)被災者生活支援や住宅の再建、(2)被災者雇用確保・産業の復興、(3)教育の再生・充実、(4)被災孤児等支援等に活用させていただく予定であり、今回の補正においては6事業に対し9億4,500万円を活用させていただいています。なお、現時点におきましても、多くの方々からの寄附の申し出やお問い合わせをいただいておりますので、さらに一定の額が取りまとまりましたならば、活用事業を整理して公表したいと考えています。引き続き、多くの方々からのご支援につきまして、よろしくお願いいたします。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項について、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
先ほどの補正予算についてですが、前回の補正予算はがれきの撤去とか、仮設住宅とか、生活再建なり緊急的なものが多かったと思いますが、今回の補正予算は「なりわい」の再生ということで、特にも水産業について非常に手厚く盛られていると思いますが、その辺の基本的な考え方をお聞かせ願います。

知事
今回も緊急的なものが多いと思いますので、本格的な復興に向けては、国の2次補正予算以降の早い(予算)措置をしてもらわなければならず、まず国の1次補正に対応したものプラス2次補正を若干先取りしたような今回の県の補正予算です。

記者
特に水産業の振興について、浜の方では、水産業は夏漁を前に、なかなか設備もなく漁船もないといったことで県の支援なりを求めているところも多いと思いますが、今回、相当規模を水産に振り分けていると思いますが、水産に限ってはどうでしょうか。

知事
この魚のサイクル、捕れる季節とか、時期とか、そういうものは逃すと大きなチャンスを失いますので、まず漁船、養殖施設、そして捕った魚を売る市場、また基本的な水産加工施設等の復旧整備、それからワカメ、ホタテの種苗の確保ですが、そこをまずできるだけやっていくということです。

記者
あと財政の問題についてお聞きしたいのですが、国の復興構想会議でも国の方に手厚い支援を求められていますが、これから随時補正予算も編成していきたいというようなお話しもありましたが、今回の予算を見ても財調を取り崩すなど、持ち出しも多いということでなかなか厳しいところもあると思います。国への要望も含めて、今後の補正予算や財政運営をどのようなお考えかをお聞かせ願います。

知事
財政調整基金を今回取り崩しており、残高見込みが約87億円になってしまうのですが、同時に水産業の復旧のための事業等国の2次補正を見込んで85億円国庫補助金として予算計上しているため、これは国の2次補正で出してもらわないと困るというもので、国の2次補正が速やかに行われない、あるいは2次補正において水産業に予算が付かないと、もう県の財政調整基金は底をつくというような状態です。県の公債返済のピークは数年後に迎えることになり、そこに向けて本当は数百億円の財政調整基金は積み上げていかなければならないという問題意識を3月11日前には持っていたわけですが、そういう県の過去債務に加えて更に県債発行して財源を調達しなければならないという、いわば県の「二重ローン問題」のような事態に直面しているということですので、国からの地方財政に対する措置というものが不可欠な状況にあります。これは市町村も同じ事態に直面していくということです。

記者
今回の補正予算ですが、これはまだ見通しが立ってない国の2次補正予算を見込んでの予算編成になったと思います。これは、国会の対応が現場に追いついてないというような現状があると思うのですが、これに関する知事のお考えをお聞かせください。

知事
今回、特に水産業の復旧・復興なくして三陸の復旧・復興なし、東北の復旧・復興もなしなのですが、魚の生態のサイクルがありますので、この夏にもさまざま船を出したり、漁業施設を整備したりしていかなければならないというところに対して、十分な国の予算措置はまだないという状況ですので、これは本当に一日も早く追加的な予算措置をしてもらわないと、復興全体もなかなか緒に就かないというところだと思います。

記者
具体的に国の対応の遅れについては、どのようにお考えでしょうか。

知事
遅れていると思います。

記者
今回提案された補正予算案が可決されれば、年間の県の一般会計の総額が、岩手県として初めて総額で1兆円を超えることになるというように聞いています。1兆円を超えることになるということについてはどうお考えですか。

知事
必要に迫られてやることであり、そういう意味ではいかに災害の被害が甚大であったかということだと思います。これで済むというわけでもなく、更なる補正予算を検討していかなければならないと思っており、また、今年前半限りで終わることでも全然なく、中長期的に被災者支援から復旧・復興ということを更に進めていかなければならないので、先に行けば行くほど行財政的には厳しくなっていくという感じを受けています。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

知事
先週、知事が上京されている日に首相が退陣を表明され、その後もまた退陣の時期をめぐってだいぶ国政は混乱しているわけですが、知事としては永田町の混乱の状況をどのようにご覧になっているのか、つまり退陣時期が非常に定まらないことによって、2次補正とか、あるいは復興基本法ですら今のところめどが立ってない状況が続いているということについての所感を伺いたいと思います。

知事
やはり去年の参議院議員選挙で大敗してねじれ国会という状況をつくってしまったその時の総理大臣が、そのまま総理大臣を続けながら、ねじれ国会を切り盛りして政権を運営していくということに無理があったということだと思います。
過去、宇野総理とか、橋本龍太郎総理とか、そういう参議院議員選挙で大敗してねじれ国会という状況をつくってしまった総理は即時退陣をして、参議院も過半数を形成できるような体制をその後の新しい総理大臣のもとでつくり、さまざまな難局にも対応しているので、それが王道、基本なのかと思います。
安倍晋三総理の場合には、そういうねじれ国会を参院選の大敗でつくりながら居座ってしまった結果、結局、最後は行き詰まって辞めざるを得なくなったという状況に今回は近いパターンなのかと思います。
総理大臣がそういう民意、いわば去年の参議院議員選挙で既に民意の不信任を受けていた総理大臣が民意を尊重して身を引くことで、その民意を受けて躍進した党の人たちとその前の衆院選で圧倒的勝利を得た民主党とが話し合い、工夫をして、より強力な政府をつくって被災者支援から復旧・復興をスピーディーに、強力に進めてもらえれば、それは被災地としても歓迎すべきことだと思っています。
なお、総理が退陣を決められたのであり、本当は民主党幹事長、国対委員長とかが、すぐ自民党とかに飛んでいって、内閣不信任案はおろしてください、もう総理は辞めると決めたのだから、辞めることを採決にかけるのはもう不必要ですと。その替わり復興基本法案と公債特例法案については、速やかに可決してくださいということをセットしなければまずいのです。やらなくてもいい不信任案の採決をしてしまったから混乱をしているわけですが、早く退陣を決めて、それからかつて菅直人さんが年金問題で退陣した時に、当時も岡田幹事長だったわけですが、岡田幹事長が周旋をして話し合いで後継を一本化して、即決めた例があるわけですから、そうやってすぐに後継を決めてしまえばいいのだと思います。ただ、その人が総理大臣になっていいかということはまた別問題であり、民意の不信任を受けた総理のもとで自民党の政策だった消費税引き上げを突然民主党のメーンの政策にしたり、全然民主党として政策になかったTPPを突如メーンの政策にするとか、あとは小沢切りみたいな、そういう党内で敵を作って野党の支持をとりつけようとするとか、そういう一種邪道に邪道を重ねるような政権運営が続いて行き詰まったわけですので、民主党はそういうところを大いに反省して、こういう非常事態でなければ下野も当然ぐらいのことを民主党はしてきたと思います。ですから、民主党以外から総理大臣を立てることも視野に入れながら、早く新しい代表が自民党などと相談をして新しい政権を一日も早くつくってほしいと思います。

記者
関連して、さきの参院選で躍進した人たちと、衆院選で勝利を得た民主党が話し合って強力な政府をつくって復旧・復興を進めてもらえればということで、大連立の動きが今出てきているわけですが、知事としては被災地として歓迎するということでしょうか。

知事
復興連合政権のようなものをつくるべきだと思います。被災者支援から復旧・復興を力強く進めていこうという人たちが連合して内閣をつくるということです。それが望ましいと思います。

記者
間もなく震災から3カ月になるということで、改めて今の知事のお考えを3点伺いたいのですが、まず、復興のイメージについてですが、方針について知事は、以前から市町村のまちづくりを尊重するというお考えでしたが、それは今も変わらないということかということが1点。もう1点は、市町村の地区の再生方法で高台移転ということが、今、有力な考え方として挙げられています。その高台移転の手法に賛成か、反対か、お伺いします。

知事
復興については、科学的、技術的な必然性というものに従いながら、経済社会的な必要性を満たしていくような復興を住民本位に作っていくことが基本だと思っています。そういう中で、やはり市町村が主体になっていくという格好だと思います。一方、県や国もそれぞれの専門や広域的な調整について、直接タッチしなければならない県道の整備とか、港湾の整備とかは県が主体的にやらなければならないところもあり、国は国で、国管轄の道路の整備とか、国として主体的にやらなければならないところがあります。また、情報なくして計画なしですので、さまざまな専門的、技術的な情報とか、あるいは最先端の知見については、オールジャパンあるいは国際的なとこから情報を仕入れなければならない、そういうところはむしろ国、県が、市町村に対してどんどん支援していかなければならないというところだと思います。そのようにして行政が一体となって、被災者に寄り添いながら復興についても進めていけば良いと考えていて、高台移転についてもそうした中で、それがきちんと科学的、技術的な裏づけに基づいて、かつその地域と住民の経済社会的な必要性にマッチするのであれば、そうすればよく、そのほかにもいろいろなアイデアがあるでしょうから、そちらが良いのであればそうすればいいということだと思います。

記者
高台移転に関しては、賛成、反対という立場にはとらわれずに考えていくという方針でよろしいでしょうか。

知事
何かある種のスローガンありきで事を進めていくのではなく、あくまで実態に基づき、かつ地元の人たちの意向に沿ってやっていけば悪いようにはならないと思います。スローガンとは違うのですが、命を守るとか、そういう原理原則は大事にしていかなければならないと思っているのですが、そうやっていけば良いと思います。

記者
最後にもう1点ですが、復興に向けて、今いろいろな課題が山積しているわけですが、知事が最もこれは課題だと思われていること、例えば財源の問題、法整備の不備などいろいろあると思いますが、そのあたりを伺います。

知事
やはり二重ローン(債務)問題で、それでやる気と能力があり、かつ実績もある中小企業経営者の人たちがフル回転で再生に向かっていきにくい状況にあるというのは、非常にもったいない話であり、そこを早く克服すると、それぞれの地域の復興の方向性も非常に勢いがついていくと思っています。

記者
応急仮設住宅の建設用地は、今、どのような状況になっているのですか。

知事
基本的に必要数のめどは立ったというように理解しています。

記者
今回被災した岩手、宮城、それから福島の中では、岩手が一番そういう意味では進んでいるのですか。

知事
ほかの県については、よく承知していません。

記者
めどがついたということについて、知事は今どのようなお気持ちでいらっしゃいますか。

知事
避難所生活が長くならないようにということで、仮設住宅の用地確保、そして建設を急いでいますので、本当に早く避難所生活から仮設住宅に移ってもらいたいということと、それでもまだ少し時間がかかりますので、すぐに移れない方々については、内陸への一時避難ということもまだまだ体制は確保されていますので、とにかく自分の安全と健康を被災者の皆さんが確保できるようにと県もやっていかなければならないと思っています。

記者
延期されている知事選、県議選のことについて伺いたいのですが、県選管では9月22日の延期期限までに実施するということで準備に入る方針を決めていると聞いています。それについて、ご自身の選挙のこともありますが、それについてのお考えというか、ご所感をお聞かせ願います。

知事
これはもう選挙管理委員会マターということで、市町村選挙管理委員会と連携、協力をしながら、きちんと行ってもらえばと思います。きちんと行ってもらうというのは、無理なく、しかし、民主主義の要請にきちんと応えていってもらえればと思います。

記者
9月実施に向け、県選管でも人的支援とか技術的な助言とか、強力に支援していきたいという意向のようですが、県としてもそういったところは支援していきたいというお考えもあるのですか。

知事
県は、被災市町村の損なわれた行政の体制や行政の能力を補うことについて、さまざまな分野でしっかり行っていかなければならないと思っています。選挙に関する連携とか、協力とかについては、選挙管理委員会同士の関係と理解しています。

記者
最後に、9月に実施されるとなると3カ月ぐらいしかないわけですが、知事は今は震災対応、復興業務に非常にお忙しくされていると思いますが、ご自身の選挙に臨む上での、3カ月ぐらいしかないとする場合、どのようなスタンスで今後、臨んでいかれるのでしょうか。

知事
全然考えていませんでしたし、今すぐに思い付きません。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は6月13日(月曜日)の予定です。

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