平成23年6月20日知事会見記録

ID番号 N4888 更新日 平成26年1月16日

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平成23年6月20日 10時30分から10時54分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事、お願いします。

知事
今日の発表事項は、平成23年度一般会計補正予算(第4号)についてです。6月30日招集の岩手県議会6月定例会にこの補正予算を提案します。
平成23年度の当初予算は、統一地方選挙の実施を踏まえて、いわゆる骨格予算として編成をし、肉づけ部分を6月補正予算で対応することとしていたわけですが、東日本大震災津波被害を踏まえて、本年度の新規政策的な事業について、緊急性等を勘案の上、今回、厳選して予算計上することとしました。
お手元の資料に基づいて説明しますと、補正予算の規模は136億円余になります。この結果、6月現計予算額は1兆1,071億円余となります。しかし、東日本大震災津波関係予算などの災害対応分を除いた23年度の予算額は、6,952億円余であり、22年度当初予算対比で35億円、0.5%の減というようになっています。
補正予算の主な内容は、まず公共事業関係で緊急的な対応が必要な交通安全施設の更新、交通隘路の解消、河川改良等に要する経費について措置します。
公共事業以外の分野では、東日本大震災津波からの復旧・復興に向けた地域の再生等に係る市町村の取組への支援、上海中心部に情報発信拠点を設置し県産品の販路拡大や企業誘致の更なる促進、児童虐待防止対策の強化、へき地医療の充実、県立学校の耐震化工事の推進などです。
現在、東日本大震災津波への対応に県として全力で取り組んでいるところですが、県民の「仕事」と「暮らし」を支える施策について着実に実施していきます。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項について、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
上海中心部への情報発信拠点の設置が、今回、緊急性のあるものとして盛り込まれたわけですが、それは平泉の世界遺産登録も見込んで緊急性があると判断されたのでしょうか。

知事
上海万博からのつながりで、その関係を生かして上海万博の余韻冷め切らぬ間に南部鉄瓶をはじめとする岩手のPRという意味で、今年度の事業にふさわしいということです。

幹事社
ほかに質問がなければ、発表事項については終わります。
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がございませんので、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
本日午後の参院本会議で、復興基本法が成立する見通しになりました。内容としては、復興庁を創設することになっており、これは知事がかねてから主張されていた東北復興院がようやく一歩進む形になるのですが、一方でこの基本法の成立までに100日あまりかかっており、阪神大震災の時は2カ月で成立したことと比べると、非常に時間がかかっております。この点で基本法の成立についての知事の所感をお伺いします。

知事
関東大震災の時も(発災後)1カ月くらいで、確か復興院はできていたと思うのですが、国として東日本大震災の被害の全貌をきちんと把握しながら、何が起こっているのかを把握して、そして何をしなければならないのか、どんどん手を打っていく、また、この東日本大震災というものが日本全体にとって一言で言ってどういう災害なのか、そして、この災害を乗り越えていくということが日本にとってどういうことなのかという国家意思の発揮のようなものがあまりなかったので、「Better late than never.」ということわざがありますが、全然やらないよりは遅くてもやった方がいいので、しっかりやってほしいと思います。

記者
一方で、菅総理が退陣を表明しておきながら、その時期が明確にならないことにより、1.5次補正あるいは2次補正とか3次補正についても、なかなか具体化が進まない状況にあるのですが、この状況を被災地からどのようにご覧になっているのでしょうか。

知事
6月2日の代議士会での菅首相のいわゆる退陣表明を聞いて、自ら身を引くことで参議院でも過半数をきちんと確保し、強力な体制でさまざまな政策を進めていくような、新しい政治の枠組みづくりを総理が決断して行っていくのだと思って期待をしていましたが、あれからだいぶ経ちますが、全然そのように進んでいないということはおかしなことだと思っています。
今となって振り返れば、結局総理は震災や原発の対応のめどが立てば辞めると言ったわけですが、裏を返すとめどが立たないうちはいつまでもやるという意味だと。今の総理の発言やさまざまな対応を見ていると、めどが立ちそうもないからいつまでもやるというような感じになっているわけですが、形式・論理的にはめどが立ったら辞めるということと、めどが立たないうちは辞めないでいつまでもやるというのは、等価・イコールなのかもしれません。では何のためにそういう発言をしたのかということを考えれば、それは内閣不信任案の提出に際して、やはりここで辞職すべきだ、辞任すべきだという声が党内にも少なからずわき起こったことに対して、辞めますから内閣不信任案には今回は賛成しないでください、いずれ辞めますから、ということを伝えたくて代議士会の中でそういう発言をしたと。それを裏付ける鳩山前首相の発言に対して、何らの修正も加えられなかったわけですから、そういう中で、めどが立ったら辞めるイコールめどが立たないうちは辞めないという論理を振りかざすのは、人としてどうかと思わざるを得ないと思います。そういうことが、国の最高中枢のところでいつまでも認められるようであっては、およそ政治に対する信頼、国に対する信頼、日本に対する信頼が大きく低下して、本当に取り返しのつかないことになる危険性がある。大震災や原発問題を乗り越えるために、今まで以上に日本は、強く、たくましく、賢くなっていかなければならないのに、その逆方向に向かって一直線に進んで行っては、本当に亡国、国が滅びるような危機に今の日本は直面していると思わざるを得ません。

記者
平泉の世界遺産登録関係で、今度、世界遺産委員会に知事も出席されると思うのですが、その意気込みをお聞かせ願えればと思います。

知事
基本は、平泉が世界遺産登録に見事にそうなって、それに対して地元としてきちんと遺産を守り続けていきますということを関係者の皆さんにしっかり伝えながら、お礼を言うということをしたいと思っています。併せて、平泉を復興の象徴として位置付ける、今回の東日本大震災津波からの復興の象徴として位置付けるということを国際的にきちんとやれればと思っています。東日本大震災に関して世界中から寄せられている関心、支援を平泉という存在と結び付けることで、より高い理念の下に復興が進み、より永続的な国際的広がりの中で復興が進んでいくようにできればと思っています。

記者
関連付けとして、知事ご自身としては、こういったところがポイントになるとか、スピーチで考えていらっしゃるところはありますか。

知事
平安時代に戦乱で荒廃した東北の復興の中心に平泉があったという、そういう歴史的事実を確認すること、またこれも歴史的事実ですが、敵味方を越えてあらゆる人間、さらにはあらゆる生き物の命を大事にし、死を悼むという供養願文の理念を確認できれば、そういう人と人との共生や、人と自然との共生という理念の下で、今回の大震災からの復興の中心にも平泉があるのだということを確認できると思います。

記者
今回の震災に絡めて言えば、供養願文のお話しというのは多くの人の協力を得て、それから大きな被害をもたらした津波、地震の被害に負けないようなまちづくりを進めるという観点でしょうか。

知事
供養願文の文章をそのまま読んで、そして後世に伝えていく。そこからどのように復興について学んでいくことができるかは、一言で言えば、復興においても人と人とが共生していく、そして人と自然とが共生していくという理念の下に、復興を進めていくことが大事だということになると思います。

記者
先週ですが、東京都の石原知事が再び東京に五輪を招致したいということを表明されました。石原知事は、理由の一つとして復興の一助になればというような趣旨のことをおっしゃっていますが、そのことについて知事のお考えをお聞かせください。

知事
復興を促進するために、いろいろなアイデアを考えてくださるということはありがたいことだと思います。なお、東京都として五輪招致するかどうかは、東京都民の民意を踏まえて、東京都において詰めていくことだと思いますので、その行く末を見守りたいと思います。

記者
これに関連して、東京都の石原知事もしくは都の事務方レベルで、復興ということで今後JOC等に申し入れる時に、都としては被災地の方も合わせてというようなことを考えているようですが、何かしら招致に関して石原知事もしくは都から県や知事に対して、協力要請等はあったのでしょうか。

知事
私が、読んだり聞いたりするところには、まだ及んでいません。

記者
完成した県内の一部の仮設住宅で、雨漏りといった不具合が出ていることについて、入居された方から苦情が一定程度出てきている。やっと入居したのにという被災者の方々にとっては、新たなストレスになるかと思うのですが、このことについて知事はどうお感じになるのか。また、今後、県としてどういう対応をしていきたいかをお願いします。

知事
仮設住宅に入っていろいろな不自由とか、不便とか、困ったことに直面された皆さんには、大変お気の毒で、かつ申し訳ないと思います。直すべきところは、どんどん迅速に直して、仮設住宅において安全と心と体の健康をきちんと守れるような状態を確保して、生活の再建に向けて進んでいけるように、県としても力を尽くしていきたいと思います。

記者
高速道路についてですが、今日から料金改定ということで、昨日で休日上限1,000円が終わりました。今日から被災地に向けて、罹災証明、被災証明があれば無料で乗れるということが始まったのですが、内陸部と沿岸部ではかなりの温度差があり、沿岸部はまだそんなことを考えているところではない一方で、内陸部では今日の朝から自治体に証明を求めて並んでいるという混乱が生じているような感じにも見受けられます。この件について、多分、政府のやり方がまずいからこのような混乱が生じているのかと思うのですが、そのことについての所感をお願いします。

知事
今回の大震災対策としても、そもそも東北、被災地全体において、高速道路を誰に対しても無料化すべきという政策論が政府与党内にあると聞いています。しかし、まず被災者とかトラックなど、特定の車両に関しての無料化にするということで、そういう中で国として制度の趣旨の線引きをきちんとしていないというところが問題なのだと思います。
私は覚えているのですが、高速道路無料化というのは、民主党と自由党が合併した直後の衆院選の公約として、菅直人代表の下で公約になりマニフェストに採用されて、その時かなり党内で議論した上で、私も地方の活性化にも役に立つし、大変良い政策だと思って賛成した経緯があり、今でも基本的に良い政策だと思っています。
だから、そういう意味で、原則すべての人に高速道路を無料で利用してもらおうという市町村の判断があるというのはなるほどと思います。ただ制度上、国としては高速道路の全面無償化と今回の措置は違うのであって、あくまで被災者に便宜を図るための措置だと国は言っているのだと思います。実際、現実問題としては権利の乱用のようなことはあまり問題にはならず、内陸においてもかなり経済的に大きな被害を受けて、高速料金を負担できないくらい被害を受けている人たちがさまざまいると思いますし、必要な人がきちんと理由があって高速道路を無料で利用するという趣旨に沿って利用者の良識が働くというようになれば、さほど大きな問題は起きないのではないかと思っています。

記者
先週末、海江田経済産業大臣が現状において、原発の問題なのですが、定期点検中の原発の運転が可能だということで事実上の安全宣言を示しましたが、これについて賛成か反対か、その理由も併せてお願いします。

知事
原発を持っている県、立地県においては、県の中に大学の原子力学科を卒業した職員などもいて、地元の原発という現実の例をきちんと踏まえた上で、国の政策の妥当性について判断し、必要に応じて国にいろいろ申し入れる仕組みがあるのですが、岩手にはそういう体制がなく、県としての正式なコメントは今の段階では用意していません。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は6月30日(木曜日)の予定です。

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