平成23年6月30日知事会見記録

ID番号 N4886 更新日 平成26年1月16日

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平成23年6月30日 10時30分から10時55分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事、お願いします。

知事
「東北復興平泉宣言」の発表についてです。
平泉の文化遺産が昨日までパリで開催されていたユネスコ第35回世界遺産委員会において、世界文化遺産に登録されました。東北地方初の文化遺産であり、東日本大震災津波で大きな被害を受けた岩手県をはじめとする東北地方に住む人たちにとって、復興に向けた大きな希望の光となるものです。
そこで、7月3日の日曜日、中尊寺で開催される「平泉世界文化遺産登録、東北復興祈願金色堂参拝」の機会に私も参加し、東日本大震災津波に対して国内外から東北地方に寄せられた支援に対する御礼、平泉の理念、復興への決意などを盛り込んだメッセージとして「東北復興平泉宣言」を発表します。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項について、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
今の宣言とつながるのですが、パリ(で開かれた世界遺産委員会)にご出席され、平泉が世界遺産に登録されましたが、岩手に今帰ってきて、郷土の人たちに改めて一言喜びとか登録に至る経緯について、知事の感想をお聞かせください。

知事
世界遺産登録ということは、本当に素晴らしいことです。世界遺産会議、これはその委員国だけではなく、すべての世界遺産条約加盟国、これはユネスコ加盟国、国連加盟国とほぼ重なるわけですが、すべての国が集まって、そこで決められます。正面の大スクリーンに中尊寺、毛越寺はじめ平泉の文化遺産が大映しになって、そしてイコモスからなぜこれが世界遺産にふさわしいかという説明がとても丁寧に行われ、芭蕉の「夏草や」の句が英語で紹介され、本当に感激でした。そこまでして世界中の専門家、各国の代表が平泉を世界遺産に選んでくれるのだということで感激しました。
正式決定した後、そのお礼と、大震災への支援のお礼も含めて私からステートメントしたのですが、大きな拍手と、周りにいた数カ国の代表の皆さんが、どんどん手を差し伸べて握手を求めてくれました。平泉の世界遺産登録が世界に大歓迎されていて、それが東日本大震災への関心、共感、何かしたいという世界中の思いと重なって、熱い思いが、平泉、岩手、東北に向けられているということを実感してきました。岩手県民の皆さんには、ぜひ誇りを持って世界遺産が岩手にあるということを自覚していただいて、そして平泉という世界遺産を通じて世界と確かにつながっているのだということを、深くそこに思いをいたしてほしいと思います。

幹事社
ほかに質問がなければ、発表事項については終わります。
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
昨日、県の選挙管理委員会から知事選の日程が9月11日になるということで方針が決まったという発表がありました。知事は、まさに震災に向けて陣頭指揮を執られていますが、知事選日程が決まったことと、ご自身の対応について、今率直にどのように思っているのでしょうか。

知事
まず、選挙管理委員会には、公正に、また民主主義の理念に基づいて、しっかりと仕事をしてもらえば良いと思っています。自分のことについては、震災前の状態から何か大きく変えるとか、そういうことを含めて特に何も考えていません。

記者
今は復興に向けた仕事に全力で取り組むという意味でよろしいでしょうか。

知事
良いと思います。

記者
選挙のことですが、今現在、復旧・復興に向けて全力を尽くしているということですが、既に震災前に出馬表明されて、その後に震災があって延期されたということですが、今回の選挙でどのようなことを、復旧・復興というのは非常に大きな争点になると思いますが、知事としてはどのようなことを訴えたいというお考えでしょうか。

知事
今のところ、何か新しいことは特に考えていません。

記者
震災の影響ということで、前回の選挙のやり方と今回で何か変わるようなところはあるのでしょうか。

知事
特に新しいことは、何も考えていません。

記者
渡欧された時に、平泉の関係のほかにセルン(CERN)を訪問されましたが、本県もリニアコライダーの誘致に向けて動いてきていますが、これからの取組とか、セルン(CERN)を見ての感想などについてお聞かせください。

知事
セルン(CERN)については、15年以上前からいろいろ読んだり聞いたりして、その後の活動についてもフォローし、知事になってからもまた新しい観点から勉強していたのですが、実際に行ってみて、アトラスという一番大きな機械(実験装置)のオペレーションを行っているコントロールルームも見せてもらい、加速器科学というもの、大型加速器を使った研究の実態というものを肌で感じることができたことは、とても良かったと思います。
岩手県において、またオール東北の枠組みでさまざま勉強したり、検討したりしていますが、そういう方向性は間違っていないということを改めて思いました。地域のみんなが、加速器科学とか素粒子物理というものは、どういうものかを勉強する機会を作ったり、今、東北加速器基礎科学研究会では国際学術都市のあり方を研究しているのですが、そういう取組が大事だということを改めて思いました。

記者
ILCとの関連ですが、例えば今回沿岸被災地の方に特区の条項の中でも防災とか、海洋研究の拠点化というようなことも触れられていますが、内陸のILCと沿岸部の新たな研究拠点というものを合わせて、岩手県への知の集積というところで非常にこれから地元も含めて、国内外という意味でも期待感が高まっていると思うのですが、そこら辺についての知事のお考えと、これからどのように進めていくか、国とのやりとりという部分をお聞かせください。

知事
科学研究についても充実強化を図っていくべきだということは、もう国の復興構想会議でそういう方向性が出ており、県と国とのやりとりの中でも大体合意を得ていると言っていいと思います。
では具体的に、どういう施設をどこにどう造るかということは、これからなのですが、そういった中に防災研究、海洋研究とともにILCも視野に入っていると言っていいと思います。
復興のための一般論として、地域資源をフルに活用していくということが大事だと思っており、それは水産資源とか、農林資源とか、ものづくり産業の人材や体制等々、いろいろな地域資源があるのですが、世界有数の固い岩盤、古生代から形成されている地層も大きな地域資源であって、その活用という観点からもILCは復興の中できちんと視野に入れていきたいと思っています。

記者
今日も対策本部員会議に出ていらっしゃいましたが、今回新しく復興基本法に基づいて対策本部というのができて、津川祥吾政務官が岩手の対策本部長として赴任されるわけですが、今後、新しい国の復興対策本部とどのように連携をとっていくのかということと、松本大臣が復興担当大臣、岩手県選出の平野副大臣が兼務するわけですが、この人事について、もし所感があればお聞かせください。

知事
今まで災害対策に携わっていた政務三役の皆さんが、引き続きやってくれるということで、いろいろと話が早くて良いのではないかと思っています。そして、国・県・市町村、市町村・県・国と行政が一体になって被災者に寄り添う形で、被災者支援から復旧、復興と進めていくことが必要と思っているのですが、そういうことができる体制ができたと思っています。この体制を活用しながら、「答えは現場にある」であり、被災者が直面している課題を解決することが、復興にもつながっていくわけであり、かなりの部分はもう県の基本計画の取組としてまとめています。それを中心にしながら、国の政策等々を活用し、必要なところの実現を図り、市町村のほうも復興のための計画をどんどん作っていく段取りになっていますので、そこでいわば県の基本計画を羅針盤にしながら、市町村から国まで足並みそろえてさまざま取組を実行していく、緊急にやらなければならないことはもうすぐ実行していき、まず計画を作るという部分についてはそれをきちんと作り、固めていくということをしていけば良いと思っています。

記者
2点伺います。まず1点目は、政務官の一本釣り人事です。知事がパリに行っている間にいろいろあり、それによって国会の補正予算審議が滞っているという事態を招いています。2点目は、菅さんがエネルギー政策を焦点とした解散・総選挙をにおわすような発言をしています。この2点について、知事はどのように思われているか、率直なところをお聞かせください。

知事
まず、最後のことについて、私は菅首相は解散について、におわせていないと思っています。あれは解散に言及しているとは言えないと思います。ということで、そのことについてはあまり心配というか、考えなくて良いと思っています。
あとは去年の参院選以降ずっとある課題として、いかに衆参の過半数の支持を得ながら強力に政策を実行していく内閣をつくっていくのかというテーマが、日本の政治全体に課せられているわけで、その中でさまざまああすれば良い、こうすれば良いという工夫がいろいろな政治家や政治集団からなされてきている中で、今回のいわゆる一本釣りということがどう働くかというと、それで問題が解決するわけではないという感じです。

記者
解散・総選挙はにおわせてはいない発言だと今おっしゃいましたが、その理由というのは、額面どおり受け止めればそういう印象だということですか、それとも他に何かありますか。

知事
注意深く、「全然、解散とかを言ったわけではない」という形に持っていけるような言い方をしていて、むしろ比重はそちらにあるという感じがします。つまり、一見ほのめかしたように見える形にはなっているが、実はそうではないというような文言にすることの方に、より意が用いられていると言って良いと思います。

記者
震災から100日余りが過ぎて、被害の全貌も徐々に明らかになってきています。県として震災の初動についても、だんだんと検証が進んで今後の災害に生かしていくようになると思います。そこで伺いたいのですが、知事は、震災発生時の3月11日の午後2時46分、どこで何をしていましたか、登庁は何時ごろだったか、教えてください。

知事
議会の最中で、知事公舎の執務室の執務机で向かいながら、さまざまな議会関係の資料を読んだり、勉強をしていたところに地震が発生し、そして電話で秘書課長と連絡が取れて、記憶を今思い出して、思い出した部分を話しているので不正確かもしれませんが、迎えの車をすぐに出すと。それで、迎えに来てもらい車で県庁に駆けつけて、そして発災後1時間くらいたった頃に最初の災害対策本部会議を開き会議の主催をしたということが、最初の基本的な動きというように思い出します。

記者
知事は第1回の災害対策本部員会議から出席していたという理解でよろしいでしょうか。

知事
はい。

記者
今回の震災は、津波の被害と、そして原発も挙げられると思うのですが、先日、海江田大臣が安全性の確認ができ、適切と判断したということで原発再開に向けて動き出しているようですが、この件について知事の見解をお伺いできますか。

知事
安全性が非常に重要なので、そこは専門的な知見に基づいて、遺漏なきようにきちんと安全性の判断をしてもらわなければならないと思います。
次に、一定の基準の下に安全だと判断された後に、実際動かすかどうかということについては、今の法律だと多分安全なら動かす、経営判断として電力会社が動かした方が良いと思うのであれば動かす、という整理になっているのかとは思います。ただ一方で、国全体として、電力の必要性という要素と、そして安全のためにどれだけ慎重にやるかというところをしっかり突き合わせた形で、こことこことここは動かすことにしますというような結論を出すような、何か分かりやすい説明があった方が良いのではないかと思います。

記者
原発の運転再開へ向けて、必要であれば自治体に要請するというような話もありますが、知事としてはどのようにお考えでしょうか。

知事
いろいろな情報、報道やネット情報とかを見ていると、一つには原発を動かさなくても日本の電力というのは、停電なしで賄えるのだという主張があります。一方には、いやとんでもない、原発を動かさないととても電力需要は賄えない(という意見もあります。)。電力需要に関しては、やはり被災者の生活支援とか復興には、それなりの電力が必要であり、病院とか、人の命にかかわる停電とか、あってはならないようなところも多々あるわけであり、どちらが本当なのかということはやはり分からないわけです。だから、そこはきちんと国において、説明をして納得いくような形で進めてほしいと思います。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は7月13日(木曜日)の予定です。

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