平成23年7月25日知事会見記録

ID番号 N4882 更新日 平成26年1月16日

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平成23年7月25日 10時30分から11時01分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事、お願いします。

知事
岩手県県民栄誉賞の授与についてです。
サッカー日本女子代表、岩清水梓選手は、FIFA女子ワールドカップドイツ2011において優勝の快挙を成し遂げ、岩手の誇りとして県民に深い感動を与えたので、「岩手県県民栄誉賞」を贈り、その栄誉をたたえることとします。
岩清水選手は、その成績・実力が卓越していることに加え、日頃から郷土岩手に思いを寄せ、特に東日本大震災津波以降は、本県出身者として、被災者の一日も早い復旧・復興に向けた熱い思いを胸に試合に臨みました。その姿及び活躍は、県民に広く敬愛されるとともに、広く全国、世界にも知られるところとなり、本県に大きな感動と明るい希望を与えました。まさに県民栄誉賞を授与するに値するものです。
なお、表彰式の日時及び場所は、岩清水選手の意向を踏まえた上で決定します。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項について、各社から質問があれば、社名を名乗ってからお願いします。

記者
改めて、「なでしこジャパン」の活躍と岩清水選手のプレーについて、知事の感想をお願いします。

知事
世界一というのは本当にすごいことであり、みんな期待はしていたが、予想はしていなかった一大快挙だと思います。ベスト8、4、準決勝、決勝と、どんどん日本中が盛り上がる中で、岩清水選手を通じて岩手においても、どんどん盛り上がり、被災地の被災者の皆さんにも大きな励ましになったというふうに聞いています。岩手においても、被災者支援や復旧・復興を進めていく上で大きな力になったと思います。決勝戦での身をていしてボールを止めるなど優勝に直接貢献もしていて、本当に素晴らしかったと思います。

幹事社
今日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社からほかに質問があれば、社名を名乗ってからお願いします。

記者
牛肉のことについてお聞きします。
先週の火曜日ですが、県内の畜産農家で暫定許容値を超える放射性セシウムを含む稲わらが与えられていたことが、あるいはその疑いがある農家があることが分かり、そういった農家から肉牛が県内外に出荷されていたという発表がありました。その後、そうした流通した牛肉から暫定基準値を超える放射性セシウムが、牛肉の中にも含まれているものがあったということがありました。そこで、このことについてのご所見をお伺いしたいのと、それから今後どのような対応をされるのか、お聞かせ願えますか。

知事
稲わらにあれだけのベクレル数のセシウムが吸着しているということは全然予想していなかったことで、まず大変な驚きでした。
一方、基準値を超えるベクレル数の飼料を牛に与え、その結果、基準値を超えるベクレル数の牛肉が出荷されてしまったことは遺憾に思っています。こういうことが再発しないように、まずは岩手県内における稲わらの使用状況をきちんと調べ、これは先週、国からの依頼もあり大体調査は終わって国に報告しているのですが、今日の午後、国で全国を取りまとめた結果を発表すると聞いています。それにしっかり対応して、疑わしい稲わらを食べさせた牛については、きちんと検査等行って基準値を超える肉牛が二度と市場に回らないようにしっかり対応をしていきたいと思っています。
また、他県においても同様のことがあり、他県で生産された肉牛からもベクレル数、基準値を超えたものが全国に出回っているということで、その流通経路、トレースできるものについては岩手県においてもきちんとチェックしているところであり、これも今後、消費者の口に入らないようにしっかりと対応していきたいと思います。
更に言うと、稲わらからこれだけの高いベクレル数が検出されるということは、この3月の11日過ぎや14、15日あたりから21日とか22日のあたりにかけて、東電の原発から放射性物質が広く拡散した際に、岩手の宮城県境の地域にもそれなりの降下物があったということですが、そうしたことに対する国の警告のようなものはほとんどなかったわけです。これは、岩手だけではなく宮城、さらに福島はもっと深刻だったと思われるのですが、半径20キロ、30キロの人たちに対する避難とか、そういうケアはありましたが、もっと遠く離れたところにいる国民に対して、そういう降下物の危険性等について国がほとんど警告を発しなかったというのは大きな初動ミスだと考えています。そういう警告があれば、当然稲わらを外に出しているのもまずいということが、その時分かったのだと思うのですが、全然そういうことに思い及ばないような格好に放って置かれたわけです。一方で、今回の稲わらの問題をきっかけに、一関市とか奥州市とかは、独自にさまざま線量測定して、原発に近いところに比べるとはるかに低い線量ではありますが、岩手の北の方に比べると高めの線量が出たりしているところもあるので、県も当該市町村と連携しながら、県民の安全をきちんと確保できるように、この放射能問題に対する体制を強化し、もう一歩踏み込んだ対応をしていかなければならないと思っており、その旨、今朝の庁議で指摘し、速やかに更に強力な体制をつくり、いわば「岩手丸ごと安全作戦」というようなものを進めていくよう指示をしたところです。

記者
今のお答えに関連してもう一つお願いします。消費者の不安を解消するという意味で、先ほど知事も出回らないようにというお話しをされましたが、福島県と宮城県の知事は出荷される牛の全頭検査をやりたいという考えを示していますが、達増知事はこれについてはどうお考えですか。

知事
生産の現場から、これは全頭検査をやってほしいという声が上がっていますので、まずそれをきちんと国に伝えていかなければならないと思っています。また、国でも今、全頭検査をどこまでやるか検討中ということなので、ぜひ全国的にやって、牛肉の安心・安全を確保してほしいと考えています。
一方で、岩手県内の稲わらの使用状況は、具体的な数字は午後に国から発表されますが、90%以上の畜産農家は使っていないので、ほとんど関係がないという実態をきちんと明らかにして、そして、稲わらを使った農家の牛がどうなっているか、牛肉にどのくらいセシウムが含有しているかということをきちんと調べて明らかにしていくことで、実質的に岩手の牛は安全だということをかなりアピールできると思っています。

記者
今日で県知事選の告示1カ月前ということですが、今のお気持ちと、今後どのように県知事選に向けて準備をなさるかということをお聞かせください。

知事
今考えているのは、復興の基本計画ができつつあり、8月には臨時議会を開いて議会の承認も得る予定になっていますので、その内容を説明しながら、被災者支援、そして復旧・復興が岩手においてどう進んでいくのかを県民の皆さんにお知らせし、そして力を合わせて進んでいこうと。そして、復興への取組がひいては既に策定されている「いわて県民計画」、希望郷いわてを目標とする県民計画の実現にも資するものということで、県民計画の「ひと・つながり・ゆたかさ」という視点をはじめその内容も説明しながら、岩手が一丸となって大震災を乗り越えて県民一人一人が、希望を持てる県にしていくということに、県民の皆さんの同意を取り付けて歩くような選挙をしていけばいいのかということを今考えているところです。

記者
先ほどお話しありました岩手丸ごと安全作戦を一歩進めてやっていくという、具体的にはどんなことを今しようと思っていらっしゃいますか。

知事
まず、県組織における体制づくりも含めて、それぞれの部局に検討しているところですが、大きくは稲わらの問題をはじめとする農林水産物の安全の確保の問題、そして、もう1つは住民の立場から、岩手に住む人たちが放射線を浴びずに済むような住環境の確保の関係の大きく2つの柱に沿った対応をさまざま工夫していくということになると思います。

記者
先ほどの知事選の関係だったのですが、知事のこれまでの会見では、災害対応に集中するということでしたが、先ほどの発言は、多少気持ちの変化があったのかと私の方では受け止めたのですが、やはり告示1カ月となって、知事ご自身、心境として変わった点があったのでしょうか。

知事
いろいろと記者会見の場などで聞かれますので、どのように選挙運動をしていけばいいのかということは、やはり考えるようになり、考える中で復興関係の仕事から時間やエネルギーを割いてしまうような形での選挙運動にするのではなくて、むしろ復興を進めていくことに資するような形で選挙運動の機会を活用していくという方向で取り組んでいけば良いのだろうということを最近考えていますので、その旨を先ほど述べました。

記者
牛肉の件なのですが、安全性を確保する、明らかにするのは大事なことだと思うのですが、それはそれとして、牛肉全般に対する消費動向というのは、価格暴落が進んでいるという日本全体の問題になると思うのですが、その辺のことについてどのように考えていますか。先ほど国の対応うんぬんということがありましたが。

知事
BSEの時に比べると、いわゆる狂牛病というのはイギリスで人間もそれらしいものに感染し、クロイツフェルトヤコブ病と言いましたか、それで脳がおかしくなって死んでしまうという。そのように人が死んでしまうという可能性があるというのは、これは重大な事態であり、そのリスクをゼロにするために消費する側もかなり慎重に買い控えたりしたと思います。今回の問題は、今報告されている中で一番高いベクレル数の肉であっても、一度口にしたくらいでは健康に影響はないと報道されていると理解していますので、長期間にわたって食べ続けることがないようにしていけば、そこはBSEとは違う問題なのだと思っています。また、長期間食べ続けて、1年間ずっと食べ続けたとしてがんにかかるリスクが何%か上がるということも、それはたばこ喫煙の習慣のリスクよりは低いということも報道されていると思うので、そういう理解が進めばBSEの時のパニックのような形にはならないのではないかと期待しているところです。
一方で、生産の現場からは、BSEパニックの時のようなことにならないようにするためには全頭検査が必要だという声もあり、そこは消費者の動向との兼ね合いというところもあるのだと思うのですが、私としては、やはり消費者の皆さんには冷静な対応、事実関係をきちんと見極めた上で適切な消費行動をとっていただきたい。夏にかけて、夏バテを防ぎ、夏を乗り越えるためには牛肉というのは大変良い食材であり、また家族のだんらん、さまざまな人とのつながりを深めていくのにも牛肉料理というのは非常に良いものですので、どんどん利用していただけるように県でも対策をきちんとやっていきたいと思います。

記者
生産農家の方が農協を含めて出荷を見合わせ、価格暴落により経営的に影響を受けているところもあります。そういうところで、今補償という問題が政府の方で出ていますが、補償のあり方について畜産を振興していくという観点からどのようなものが必要だと思いますか。

知事
今の価格の暴落は異常な現象であって、早く普通に戻ってほしいと思っているのですが、長期化するようであれば、これは明らかに畜産農家に対する打撃となり、経済的損失がはっきり出てきますので、補償、賠償ということを国の方でも検討を始めているということですが、岩手県からもきちんと国に求めていきたいと思います。

記者
また知事選の話で恐縮なのですが、もう少し具体的にお聞きしたいのですが、実際の運動については、先ほど震災対応に支障のない範囲で復興に資するような運動を訴えしていきたいというお話しがありました。具体的に、例えば選挙期間中、これまでどおり選車を使って全県を回るような運動をされるのかどうかということと、あとマニフェストの件なのですが、知事選マニフェスト、先ほど復興基本計画を県民に説明したいというようなお話しがありましたが、復興基本計画が実質、事実上のマニフェストということになるのか、それとも別なマニフェストを考えているのか、そのことをお聞かせください。

知事
災害対策の関係で、県内あちこちを3月11日以降も回っているのですが、まだ沿岸の方で回り切れていないところもあると思っていますし、また内陸の方でも回りたいと思っているところもあります。そして回りながら、3月11日以降、県としてどういう対応してきたかということを改めて説明する機会もあった方がいいのではないかと思っています。そして、これからどのようにするのかということも県民の皆さんに直接私から説明して歩いた方が良いのではないかと。それは広く県内回って歩くような形でやろうかと思っています。
そして、その際にそういう復興関係のいろいろな事実関係をまとめたものや、これからの見通しを説明するもの、理念的なところの県民計画との関係、希望郷いわての実現に向けたところとかを分かりやすく説明するようなものを用意して回って歩くのかと思います。

記者
あと民主党県連は、県議選に向けて単独過半数の獲得ということを目標に掲げています。それで、知事選との連動を図りたいという意向ですが、知事としては県議選との連動について、どのようにお考えでしょうか。

知事
推薦もいただいていますので、そこはいろいろと相談しながらやっていきたいと思っています。
ただ、一方で盛岡市長選挙のように、国と県と市町村が一体となって、行政がフルセットで被災地、被災者に寄り添うという一大方針を私は3月11日からずっと言っていて、そういう意味で盛岡市長選においてもそういう形をつくりやすくする方が良いのではないかと民主党に持ちかけて、そのようになったということもありますので、知事候補としては国、県、市町村一丸となって被災者支援から復旧・復興に当たっていくという形をより強力なものにしたいというのが私からのポイントであります。そういった中で、まさにそのとおりだ、私たちも全面的にそれを支援しましょうと先頭に立ってくれているのが民主党会派なので、そこは一緒に協力してやるのですが、普段から私は政治というのは赤勝て、白勝てのように、組織と組織、党と党の戦いということではなく、あくまで政策実現のために政策や理念を訴える人たちがそれを訴えて、有権者の投票の結果、選ばれた人たちが、ある時は競争し、ある時は協力をしながら物を決めていくというのが政治だと思っています。こういう時期における政治というものは、競争も大事だと思うのですが、かなり協力という要素が強まった方が良いのではないかと思っていて、盛岡市長選に関してもそういうアプローチをしたところです。ですから、そういう政党との連携というものからもう一段次元の高いやり方をしなければならないのではないかと思っています。

記者
次元の高い連携ということなのですが、具体的に選挙運動が始まれば民主党県議の候補の例えば個人演説会とかに行ってマイクを握ったりという従来型の協力の運動をされるということはあるのですか。

知事
今の段階では白紙状態です。

記者
先ほど言われたように、復旧・復興を進めるためには民主党の連携というか、強力に進めるための強い基盤が必要だというお話しもありましたが、やはり民主党会派の協力が一つ重要になるというお考えもありましたが、県議会で単独過半数を民主党がとるということの意義は大きいとお考えでしょうか。

知事
国の復興に関する復興構想会議の提言は、私も関与して決めたものですが、国には復興構想会議の提言があり、県には復興基本計画があり、そして市町村もそれぞれ今、復興に向けて中身を練っているわけで、それをきちんと連携させながら強力に進めていく体制をより強いものにしていくことが、今回の選挙を通じてできれば、県民にとって非常に良いことになると思います。
県議会のこの間の議論の中で、例えば平泉とか、ILC国際リニアコライダーを復興と関連付けることは良くないのではないかという意見を出してきた人もいますし、それから県としては放射性廃棄物の最終処分場を岩手に誘致するということは全然考えていないのですが、岩手もそういうことを考えないとおかしいのではないかという意見を言った人もいます。ですから、そういう国、県、市町村がそれぞれ出しているものと全然違う発想でこういう復興をしようとか、岩手はこういうことをしていくべきだという人たちがいれば、そこは競争的な関係になっていくと思うのです。ただ私は、そういう人たちも含めて協力的に持っていく工夫はできるのではないかというようには思っていますし、またそうしていかないと変にどたばたして復興が遅れたりするのもまずいですから。私としては、復興本位で選挙というものにアプローチしていかなければならないと思っています。今のところ民主党会派の皆さんは、そういう路線をはっきり明確に、それで良いと支持してくれているというところが一つの特徴ということです。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は8月1日(月曜日)の予定です。

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