平成23年8月1日知事会見記録

ID番号 N4880 更新日 平成26年1月16日

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平成23年8月1日 10時30分から11時03分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
最初に知事から発表があります。
それでは、知事、お願いします。

知事
原発放射線影響に係る当面の対策について発表します。
原子力発電所事故に伴う対策を行うため、先週、原発放射線影響対策本部会議を開催し、当面の対策を取りまとめました。
まず第1に、全庁的な体制を強化するため、特命チームを設置します。また、専門的な見地からの技術的な助言をいただき、効果的な対策を講じるため、放射線や放射線医療、農林水産業関係分野における放射線の影響等に精通した学識経験者をアドバイザーとして委嘱します。
第2に、県内全域で放射線影響対策を強力に推し進めていくためには、市町村や各種関係機関・団体との連携強化を図る必要があり、まずは県南地域の市町村との連絡会議を早急に開催します。
第3に、放射線量測定に係る対応方針や放射線量低減に向けた取組方針を策定するなど、放射線対策に万全を期します。
第4に、地表面の放射性物質の分布状況を確認し、的確に放射線影響対策を講じるため、岩手県全域を対象として国の第2次補正予算に盛り込まれた航空機モニタリング調査を早期に実施するよう、文部科学省に強力に要請します。
第5に、放射線の影響を受けやすいとされる子どもの健康を守るため、県内全域で小・中・高等学校や保育所、幼稚園等における放射線量の測定を行います。市町村等が行うものについては、要した経費の一部を助成します。
第6に、この測定により、放射線量が一定基準を超えた学校等における土壌の除染作業を実施します。市町村等が行うものについては、要した経費の一部を助成します。
第7に、今、問題となっている肥育牛については、7月27日に発表した緊急対策を実施するとともに、今後の状況の推移を踏まえながら、対策の強化を図ります。
第8に、他の農林水産物についても測定対象を拡大するなど、県で生産される食の安全・安心の徹底と風評被害の防止を図ります。
そして最後、第9に、放射能に関する不安を解消するため、啓発セミナー等を開催するほか、分かりやすい啓発資料の作成、配布を行います。
これらの放射線対策に係る経費に関しては、既配の予算で対応するほかに追加で必要となる経費については、8月県議会臨時会に提出する補正予算への計上に向けて、現在、最終的な調整を行っています。なお、対策の基本方針については、別途配付している資料のとおりです。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項について、各社から質問があれば、社名を名乗ってからお願いします。

記者
今、知事が発表された8番に関連するのですが、農水産物ということで、先日6月末に県産野菜については検査して、不検出という結果が出ているかと思うのですが、県内ではもう少しすると米の収穫時期を迎えるかと思います。千葉県並びに栃木県では、米についても検査をするという方針を決めたようですが、米は県では畜産と並んでの主力産品だと思われますが、これについて知事はどのようにお考えになっていますか。

知事
今後の農産物に関する放射線測定等については、生産者団体と協議をすることにしており、その中で品目とかやり方を決めていきたいと考えています。

記者
7番で県産牛肉の安全安心の確立とありますが、これで状況の推移を踏まえて、更なる対策を講じて、強化を図るということを話されたかと思いますが、状況の推移という点であれば、まだ正式発表にはなっていませんが、今日にも国で出荷停止を指示するのではないかと言われていることについて、どのように考えているのかと、対象地域について県全域ではないかとも言われているのですが、これについての是非ということ。それから、ここに書かれている更なる対策を講じるというのは、具体的に何か考えていることがあるのかを教えていただければと思います。

知事
県としては、先週7月27日に発表した、岩手型の全頭検査方式、県内から出荷される牛について簡易(検査と)、精密(検査を)合わせて全頭検査するということ、県外においてと畜される牛についても、全戸の検査をきちんと行った上で対応していくという、この原発事故後の稲わらを給与した牛の出荷自粛を基本としながら、場合分けをし、きちんとチェックをしていくというやり方で、十分安全を確保することができると思っています。それに加え、国による出荷制限が検討されていることについては残念に思っています。今後、国の動きも見ながらではありますが、基本的には安全を確保して安心をアピールする体制はできていると思っており、国とのやりとりの中でその体制を見直す必要があれば見直すということになっていきます。

記者
国に対してアクションを、例えば実際にそういう指示が出る前に、そういうものは必要ないのではないかという申し入れなり、何かをするとか、そういうお考えがあるのか。それとも、(指示が)出てからということなのか、その辺を教えてください。

知事
今日の午後の会議で結論が出て、そこに出される原案は何かもう決まっているようなことを耳にしていますが、県でやっている7月27日に発表したやり方については、県の担当から国の担当に丁寧に説明しているところであり、まずはそれを理解してもらった上での国の判断になることを期待しています。

記者
今の牛肉の関係ですけれども、仮に出荷停止になった場合、今もう出ていますが農家の経営にかなり影響が出ることが更に増えると思うのですが、補償の問題が全然はっきりしない中でそういう停止処分みたいなところが進んでいますが、仮に停止となった場合の補償の範囲のあり方というのは、どのように知事は考えていますか。

知事
春先に関東で野菜の出荷停止が相次いだ際に、やはり出荷停止というのは補償とセットで行われていましたので、牛肉に関してもそういうものであるべきだと思っています。

記者
具体的に、こういう範囲まで補償してほしいというものが知事の方であれば、お聞かせ願いたいのですが。

知事
これは野菜の被害と同様に、最終的に国と東電の間で調整してもらうわけですが、まず国において、きちんと補償をしてもらう必要があると考えています。

記者
今の補償のことに関連してですが、福島県では、国よりも早く県で補償対策を打ち出しましたが、国の動きが鈍い中で、岩手県としても独自に何か考えていく部分というのは今のところお考えはありますか。

知事
福島の先行ケースがあり、それに次いで宮城県があり、今は岩手だけではなく岩手ほかの複数県についての出荷制限指示を同時検討しているとも聞いて、報道されているのですが、補償についても、そこはそれなりにきちんと検討されていると理解しています。決定をきちんと見てみないと分からないのですが、そこは出荷制限という趣旨からいって安全を確保するためにやむを得ず国としてとる措置であり、いわば公共の福祉のために私権を制限される生産者に対しては、それなりの補償があると理解しています。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社の質問の用意がありませんので、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
政府の復興基本方針がようやく決まりましたが、知事としての所感をお願いします。

知事
国の基本方針の内容には、岩手県として提案をしていた三陸縦貫道等の緊急整備や太平洋岸と東北道をつなぐ横断軸の強化であるとか、漁業経営再開、地域水産業の復旧のための支援、また基金による債権の買取りを通じた二重債務問題の解消、土地利用の再編等を速やかに実現できる仕組み、そして「復興特区制度」の創設などが盛り込まれており、基本的には評価したいと思います。
ただし、「復興道路」や「水産業の再生」に関してなど、「復興への提言」に比べても記載内容が抽象的になっているものが多くて、その具体性に欠けるところが物足りないところです。
そういう意味で、具体的な内容の詰めについては、今後、予算化という形で事業の中身が詰められていくということだと思いますので、そこをとにかく早く国としてやるよう、県の方からも更に働きかけていかなければならないと考えています。

記者
財源確保策について、明確な部分は先送りにされた感もありますが、そちらについてはどう見ていますか。

知事
当初、春先から増税ありき、それも消費税だというような動きに対して、被災地の実態や日本経済の実態を考え、かつドルとかユーロとかの動きなども考えれば、増税をするタイミングではないという声が春先に比べるとだんだん強くなっているということは、復興構想会議等でそういう議論をずっとしてきた私からすると、我が意を得たりという感じがしています。

記者
それでは、この点については意図した方向に進んだという印象でしょうか。

知事
ただ一方、全体として抽象度が高い基本方針の割には、財源部分について妙に数字が出てきたりとかしていて、まだ増税の仕方が決まらないと歳出イコール復興推進の中身も決まらないかのごときこだわりがあるのは少し問題だと。そこに妙にこだわることで、復興が遅れることはあってはならないことだと考えています。

記者
知事選についてお伺いします。先週、県議だった高橋博之さんが出馬を表明して、これでほぼ構図が固まったと見られているのですが、県議会の中から批判勢力という形で出馬されてきて、今後、知事としてはこの出馬をどう受け止めて、どのように戦っていくお考えでしょうか。

知事
過去の衆議院議員選挙の時もそうでしたし、前回の知事選挙の時もそうだったのですが、ほかに誰が立候補しているのかと横を見ながら選挙をしていくのではなくて、あくまで正面を向き、有権者を見て選挙していく、有権者との関係の中で伝えるべきことを伝え、そしてまた有権者の声にも耳を傾けていくということが私の選挙のやり方ですので、今回もそのように行っていきたいと思います。

記者
知事選の関連で、あまり他候補は意識しないというお話しでしたが、先週の記者会見で高橋博之さんは知事のリーダーシップが欠如していると、あとは県政にかける情熱がないのではないかというような批判もされています。あと発信力がないというようなお話しもされているのですが、そのことをどのように受け止めているか、何か反論なりがあれば。

知事
直接聞いたわけではないのですが、議会の中で同趣旨のことを高橋議員本人ではなかったかもしれませんが、言われていることに対しては、いやいや、そんなことはありませんよと、ちゃんとやっていますという趣旨の答弁をしているところです。ただ、気持ちの持ちようについて、ああだ、こうだと言っても、情熱があるのに、あるとかないとかは本当に水かけ論であって、そこに時間を費やすよりも中身で評価されるべきであり、実際の仕事ぶりを通じて評価は出てくるものなのではないかと思います。

記者
今回、復興についても、まだまだ物足りないところがあるという話しもあり、知事としては、県民一丸となって復興に取り組んでいかなければいけないという立場であると思いますが、ここで非民主の3会派が擁立して知事選に出てきたと。復興を最大の争点としての選挙であると思いますが、復興を問う場合、どのようなことを訴えていきたいとお考えですか。

知事
復興に関しては2種類あり、非常に具体的にここの避難所において、こういう人たちがこういうことで困っているということは、批判の材料として言っていただくことは、それはそれでいいのですが、やはり直ちに担当に伝えていただいて、すぐその問題が解決するような形でご協力をいただきたいと思っています。そういった非常事態における喫緊の課題については、それは議論の対象というよりは、県としてすぐに動かなければならない話ですので、そういうことに関してはどんどん情報を入れていただいて、問題が解決されるように協力をいただきたいと思っています。ただ、そういう喫緊の課題ではなく、前に議会の中で話しがあったような六ヶ所村で最終処理した高濃度の放射性物質、廃棄物の最終処理、地下埋設を岩手も誘致を検討すべきだというような議論であれば、それはどんどんしていただければ良いと思っています。

記者
知事選関連で非常に事務的なことをお聞きして恐縮なのですが、8月25日から選挙戦が始まりますが、期間中、知事の職務を副知事に臨時に委任されるのか、それともご自分で選挙戦をやりながら、決裁や指示をされていくおつもりなのか、どちらでしょうか。

知事
後者です。お話しのように、知事が選挙する時に副知事なりを職務代理者に任命して知事の仕事から選挙期間中に解放されるような方法はあるのですが、岩手においては過去にそういうやり方をとった知事さんはいないということでしたので、その伝統を引き継いで、またこういう非常事態であり、いつ本部会議やさまざまな対策本部会議を私が招集しなければならないことになるかということも分かりませんので、そこは知事としての権限を持ちながら選挙をするということになります。

記者
復興基本計画が間もなくできる状況の中で知事選に入るわけですが、統一選の最初の頃にいわて県民計画を策定して、それに対するレスポンスみたいなのを県民に広く募ってマニフェストを作っていきたいということで準備されていたと思うのですが、今回ご自身として復興基本計画とか、いわて県民計画プラスアルファで独自の政策を加えた、知事候補としてマニフェストというものを、マニフェストなり公約集みたいなものをまとめて県民に問う準備というのはあるのでしょうか。

知事
春の段階で、いわて県民計画を更に膨らませるような形の希望マニフェストのようなものを作れないかということで、そういうホームページも立ち上げたりして、いろいろな人から書き込んでもらえるような、また広く意見を求めるというようなこともしばらく行っていたのですが、ほとんどが激励の言葉とか、県民計画を褒めるような内容が多く、大きく変えるとか、付け加えるというような意見はありませんでした。
さらにその後、3月11日の大震災以降、復興の計画づくりに当たっては、これはある意味、県民計画以上に被災市町村をはじめ、県内各界、農林水産業、商工業、教育、医療、福祉、そういう各界の知恵と力を総結集して策定していますので、これを何かスタンドプレー的にそれと別なことを何かぶち上げるようなことを、トップリーダーが突然個人的な思いをぶち上げて、その緊急事態対応など大事なものを混乱させてはならないみたいなことが世の中の常識になりつつあるのではないかと思います。結論的には選挙期間を通じて、今県で進めている復興基本計画や、またそれを実施していく実施計画の中身を説明しながら、それに対する理解を得ていく、それがいわて県民計画の希望郷いわての実現にもつながるのだというようなところも併せて説明していく、そういう選挙運動になるのではないかと思っています。
よく知事の権限を利用して売名行為をしたりするのはよくないと言われて、そこは4年間ずっと気を付けて行っていたのですが、選挙という自己アピールをする機会にむしろ知事としての、現職知事としての仕事をきちん、きちんと県民に対して果たしていくというような選挙期間の動きになると思います。

記者
確認させていただくと、改めて知事として、県知事としての立場でまとめた両計画以外のもので知事候補者として別な政策をプラスとしてやるとかということは今考えていないということですか。

知事
そのようにご理解いただいて良いと思います。

記者
いわゆる民主党政権下において知事選を戦うわけですが、知事としては、今の菅政権に対してかなり批判的な言動もされているわけですが、一方でその菅政権の下で知事選が行われる、このままでいくと可能性があるわけですが、現時点において菅政権の下でこれだけ復興にも遅れがあって、その下での国、県、市町村というラインの中にいる知事で戦われるということは、被災者にとってはなかなか復興が進まないことに対する批判票が、場合によっては向かってくる可能性もあるかと思うのですが、菅政権の中で知事選を戦うことは、知事候補者として考えて有利か不利か、どうお考えになって感じていますか。

知事
自分の有利、不利の問題ということよりも、繰り返して言っているように菅首相は6月2日からあまりたたない時点で辞めるという趣旨のことを発言したと私は理解していますし、そのとおりされることが日本のためだと思っています。これは松本龍さんも言っていたように、6月中に退陣ということが望ましかったと思っています。今や全国の都道府県議会議長会も早期退陣を決議するというところまでいっているわけで、そういう意味ではさすがにこの知事選の期間中に総理大臣は別の方になっているのではないかと思ってはいるのですが、早期退陣が日本のためだという考え方に変わりはありません。

記者
先月30日のテレビ番組で、民主党の安住国対委員長が被災地の首長について、国からお金もらって、自分は言いたいことを言って、できなかったら国のせいにすると、自分たちは立派なことを言うが、泥はかぶらないということをおっしゃいましたが、被災地の知事として、この発言をどのように受け止めていますか。

知事
これは、特に今回の復興のような財源の確保に当たって、都道府県が財源集めについて泥をかぶるというのは、自分のところで増税をしないということを言っているのだと思います。まず目の前の課題に即して言うと、この被災地、沿岸市町村においてはもとより、岩手全体においても増税をする状況にはないと考えますので、もし泥をかぶれというのが増税をせよという趣旨だとしたら、それは明らかに現状認識の間違いだと思います。
次に、国が増税をすることについて、知事も音頭をとれということ、あるいは借金を増やすことについても含めて言っているのかもしれませんが、私は今の国際経済情勢から言って、財政、金融、どちらも日本は緩和をすべき局面だと思っていて、国債の増発を中央銀行が引き受けるというような、アメリカがリーマンショック対策で今までやってきたようなことを日本がやってしかるべきだと考えています。それは、別に国が泥をかぶるような話でも何でもないのだと思いますが、財政政策というのは国家のありように非常にかかわる話であり、それを安易に地方が自分たちでやるべきだというのは、国としては無責任な話だと思います。国が財政について地方は好きにやれと言って、地方がばらばらに借金をして外国からもお金を借りなければならなくなったりした時に、その外国にお金を返せなくなった時、外国は港湾の租借を求めてくるとか、領土の割譲を求めてくるとか、国家がやるような財政政策を地方がやり始めれば国家安全保障に直接かかわる事態につながるわけです。景気が良くて、地方がどんどんスイスで起債して、それがふるさとボンドみたいにどんどんそこに外国のお金が集まってきて、それで投資が進んで豊かになっていくならいいのですが、特にこういう危機的な状況の中で地方を突き放すようなことというのは、それは国家安全保障にかかわる危機を引き起こしかねないわけであり、そこはやはり今の政権にはより真剣になってもらわなければならないと思います。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は8月8日(月曜日)の予定です。

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