平成23年8月22日知事会見記録

ID番号 N4876 更新日 平成26年1月16日

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平成23年8月22日 10時30分から10時53分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
最初に知事から発表があります。
それでは、知事、お願いします。

知事
東日本大震災津波関連補正予算について発表します。
牛の出荷制限に関する追加対策としまして、関係団体による出荷遅延牛の「実質買上げ」を支援、また暫定許容値を超える牧草等の処分を進めるということで、関係予算を計上します。本日、平成23年度一般会計補正予算(第6号)を専決処分しました。
補正予算の規模は22億円余。内容は、まず牛の「出荷制限」に関して、8月臨時会で安全・安心な牛肉を提供するための検査の実施、安全な飼料を確保するための飼料の放射性物質の調査の実施、畜産農家の経営安定のための利子の補給、風評被害の防止のための情報の発信などに取り組むこととしました。
現在、牛の「出荷・検査方針」の早期承認を得るべく、農林水産省や厚生労働省との協議を急いでいますが、「出荷制限」に伴う出荷の遅延が、肥育農家の経営に重大な影響を及ぼしています。また、「出荷制限」の解除の協議において、より徹底した飼養管理が求められているところでもあります。
このため、牛の「出荷制限」に関する追加の対策を講じることとしました。まず、肉用牛肥育経営緊急支援事業費補助ということで、肥育農家の出荷遅延牛を対象に支援金を交付する方法で「実質買上げ」を行う関係団体に、この事業に要する原資を供給するものです。支援金は、対象牛の販売時、東京電力による賠償時に返還してもらう仕組みです。事業実施主体には、社団法人岩手県畜産協会を予定しています。9月初旬には支援金の交付が開始できるよう準備を進めています。
次に、利用自粛牧草等処理円滑化事業費補助ですが、これは粗飼料の暫定許容値を超過した牧草や稲わらの処分に要する経費について、市町村に対して助成するものです。
最後に、県産牛肉安全安心確率緊急対策事業費、これは農家ごとの牛の出荷制限の解除に係る全戸検査及び全頭検査の対象の拡大に伴って、放射性物質の検査委託料などを増額措置するものです。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項について、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
牛の出荷停止のことですが、同じ時期に停止を指示された宮城県はもう先週解除されましたが、岩手県も計画の内容としては、そこまで変わる部分はないとは思うのですが、その辺少し時期がずれていることについて知事のご所見をお願いします。

知事
今回の稲わら・牛肉問題は、稲わらの多くが宮城県内で生産され、かつ宮城県から全国にそれが出たということで、農林水産省、厚生労働省も宮城県における稲わらの実態、生産や販売の実態を踏まえた稲わら管理を出荷条件の基本に据えており、宮城で大丈夫なような仕組みを作れば他県でも大丈夫という流れの中で、まず宮城におけるルールを決め、岩手県も状況を随時調査しながら宮城における政府が認めるやり方と同様の検査計画を出す形で政府と調整をしていますので、その流れからいって日を置かず岩手においても出荷制限解除になると思われます。

記者
制限解除を目指す時期としては、いつ頃までにと要請していくのでしょうか。

知事
これは早ければ早いほどよく、そもそも出荷制限がなくとも岩手型の全頭検査によって岩手の牛の安全は確保され、安心も大丈夫という姿勢でいましたので、とにかく早くということです。

幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があれば、社名を名乗ってからお願いします。

記者
知事選告示前、今日が最後の庁議になったと思うのですが、今、専決処分の話もありましたが、知事がある程度不在になる間の震災関係あるいは放射線関係で、特に指示されたことはどのようなことか教えてください。

知事
選挙期間中、県内を広く移動することになりますので、その間の連絡等についてきちんと行っていこうという趣旨のことを確認しました。なお、放射能関係の問題については、基本的にほぼリアルタイムで知事に情報が入るようにということを、秘書課経由で関係課に伝えることにしています。

記者
8月の臨時会で、県の復興計画が可決されました。主要会派も賛成ということで、共産党さんだけが反対で、ほぼというと共産党さんに失礼ですが、全会一致の形で可決されたということで、他県に先駆けて復興に向けた推進ができる体制が整ったと思うのですが、それについて知事の所感をお願いします。

知事
あれは、県としての事業計画になるものであり、また、市町村が復興計画を作る上での羅針盤になるものであり、そして、国の復興関係の予算措置に対する提案になるものということで、それを岩手から早い段階で作って出すことができたというのは非常に良かったと思います。これは、市町村と県がしっかり連携しながら、市町村が納得できるような県の計画に基づいて、市町村もどんどん進んでいけるようなものを市町村との連携でしっかり作ることができたということと、さまざまな関係団体の代表の皆さんに計画の委員会委員になってもらい、経済社会分野から満遍なく意見を頂きながら作ることができたことが大きいと思っています。あとはもうこのまま政府で予算措置をしてもらえば復興は進むというような内容になっていますので、国における一日も半日も早い予算措置を求めるところです。

記者
自民、社民、地域政党なり他の会派が賛成しての可決だったという点について、民主党の方から、賛成したにもかかわらず、3会派が擁立した(知事選)候補が、復興を争点だと言うのはおかしいのではないか、筋違いだというような声も出ていますが、復興計画を事実上のマニフェストにしたいと考えている知事としては、どのようにお考えでしょうか。

知事
(今回の選挙は、)復興計画を県民の皆さんに理解いただき、そして岩手が力を合わせて復興を進めていくという体制を作るための選挙だと思っていますので、賛同できる方はどんどん私たちの運動に参加していただいて、総力を結集して復興を進めていく形を作っていくことができればと思います。

記者
2点質問があります。知事選の告示まであと3日に迫りましたが、この4年間で知事としてどのようなところにリーダーシップを思うのかという点が1点と、あとは知事としてリーダーに求められる条件というのは何なのか、その考えをお聞かせください。

知事
結果を出すことだと思います。それで、さまざまあるのですが、分かりやすく、一番大事だと思う一つの結果を申し上げると、人口減少に歯止めがかかったということです。私が知事に就任した時、岩手の人口流出は年間6,700人規模で、これは1990年代において人口流出は1,000人を切っていたこともあり、数百人しか岩手から人口流出してなかった時期もあるのですが、今世紀に入ってから国の地方切り捨て型の政策が続いたりしたこともあり、人口流出の数は1,000、2,000、3,000、4,000、5,000とどんどん増えて、私が知事に就任した年には6,700人になっていた。それを翌年6,600人、今世紀に入って初めて人口流出に歯止めがかかり、その翌年には5,900人、そして去年は四千百数十人というように人口流出の数が減ってきています。これは、岩手・宮城内陸地震があったり、またリーマンショックがあったりする中で、そうしたかじ取りをするのは非常に大変だったのですが、今世紀に入って県の予算が一貫して減り続けていたのをまず横ばいにして、県の予算を減らさないようにして、その中で雇用対策とか、農林水産業振興、商工観光振興、また県北・沿岸振興や医療、福祉、教育、文化の政策も合わせて、そういう人口減少に歯止めをかける政策が成功したというところにリーダーシップの発揮を見ていただければと思います。
どういうリーダーシップが必要かというと、やはり結果を出すということで、情勢を分析しながら力を合わせるべき人たちとしっかり力を合わせて、結果を出していくというリーダーが求められていると思います。それは危機の時ほど、そういうリーダーが求められると思います。

記者
危機に関連してなのですが、震災(対応の中)で、どういうところにリーダーシップを発揮されたと思われますか。

知事
まず、一人でも多くの命を救うという人命救助から始まり、一人でも多くの被災者の皆さんにきちんと衣食住に不自由しないように生活をしていただく。そして、被災者支援からやがて復旧・復興という流れの中で、それぞれ仮設住宅、がれきの処理をできるだけ早く進めながら、復興の計画もできるだけ早く作っていくというところです。

記者
民主党の代表選が8月の末に迫っていて、今のところ野田財務大臣とか、あるいは馬淵元国土交通大臣、それから小沢鋭仁さん、鹿野さんなどの名前が挙がっていますが、ちょっと小ぶりあるいは軽量級ではないかというような指摘もあるのですが、知事からご覧になって、今、名前が挙がっている方々の中で、この方ならという方あるいは今の顔ぶれで気になる点などあれば、ご所感を。

知事
あまり誰が良いということを考えないようにしているところがあるのですが、そもそも何でこんなことになったのかと感じています。任期途中で総理大臣が退陣しなければならない、内閣総辞職をしなければならないということは、異常なことであり、それは民主党がおかしくなっているからそうなっているわけであり、そこをきちんと反省しないで、あたかも夏の定期人事のような感じで現職が退き、次は誰みたいに軽々しく行うと、ますますこの先政府・与党は悪くなっていくと思うので、もう少し、特に民主党の国会議員の皆さんは、それぞれ胸に手を当てて何でこんなことになったのか、どうすれば良いのかを深く考え、その中で誰が代表にふさわしいかという流れを作っていくことが必要な局面ではないかと思います。
特に、誰が良いかという人選びの問題の中で、被災地の今の苦境とか、復興のために何をしなければならないかという話が全然話題にならなくなっているところは良くないと思っています。復興を進めるには、被災者支援をきちんと行うにはどういう体制にしていかなければならないか、思うに、やはり生活が第一ということが震災対策、復興にも言えるわけです。地方切り捨てとか、弱者切り捨てとかで格差社会が広がり、貧困が深刻化した流れを2年前の政権交代で逆転させようし、かなりの程度逆転できたわけであり、やはりその原点に立ち返り、被災者支援や復興をきちんと進め、日本全体に対しても地方切り捨て、弱者切り捨てにならないような真の改革を日本全体で進めていくため、誰が代表になれば良いか、どう代表を支えれば良いかをきちんと考え直してほしいと思います。

記者
併せて、ちょうど知事選の期間中に代表戦が行われることになるわけですが、知事選に関しては、どのような影響を及ぼすことになると候補者として感じていらっしゃいますか。

知事
むしろ岩手の知事選で、私は今言ったように、こういう国難の時こそ生活が第一の原点に立ち返って強力に地方を守り、そして理不尽に困難に直面している人たちを救うという政策を強力に進めなければならないということで、民主党代表選にもそういう人が選ばれるよう影響を与えていきたいと思っています。

記者
復興経費についてお聞きしたいのですが、県の復興計画が策定されて、本格的に国に予算措置など要望する時期になっていると思うのですが、宮城県で復興経費が20兆円超という数字が出ていると思うのですが、岩手県内で復興経費はどのぐらいになっているのかをお聞きしたいのですが。

知事
いろいろ計算をして、政府との間でもいろいろな仮置きの数字をやりとりしているのですが、まだ災害査定が終わってないなどの意味で、誰もが納得できるというか、完成された数字を出せる状況にはないというところにはあります。例の藻谷浩介さんが勤めている銀行が出した試算で、岩手県の場合に4兆円とか5兆円のインフラの損害に、さまざまソフト的な被害とかを付け加えていけば、岩手における損害額イコール復興に必要な経費の数字のおおよそはつかめるというところだと思います。

記者
枠としては、大体10兆円を超えるか超えないかというと、どの程度になるのでしょうか。

知事
私は、あえて天井を付ける必要はないと思っています。というのも、今、円高株安になっており、これは世界中でお金が余っていて、行き場を失ったお金が円買いに来て、円が高くなっているというところがあり、こういう局面では国債を発行して、日本国内でどんどん事業をしていく。復興というのは、世のため、人のためになる何はばかることもない大事業であり、そこにお金をどんどん注ぎ込んでいくことで、円安を誘導し、かつ日本の株価の上昇、景気が良くなるということですから。そうすれば、日本にとって良いだけではなく、今、世界中が事業の不足に悩んで、世界同時不況みたいになっているわけですから、この東日本大震災の復興をてこにして日本経済を守りつつ、世界経済にも貢献する一大チャンスなのです。だから、「まず増税をしなければならない、増税していい金額に合わせ、復興の予算は何兆円以下に抑えよう」とかという発想でアプローチするのではなくて、この際、必要なことは何でもやり、プラス世のため人のためになるようなことであれば追加的にどんどんやるという姿勢で、この復興財政を考えていくべきと考えています。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は9月13日(火曜日)の予定です。

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