平成23年11月4日知事会見記録

ID番号 N4866 更新日 平成26年1月16日

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平成23年11月4日 10時29分から11時02分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
花泉診療所の関係ですが、平成22年の5月の定例記者会見で、知事は当時、「民にできることは民が頑張ってやるということが趣旨だ」というように医師確保の件で、そのようにおっしゃっていましたが、今後、あの診療所に関して医師確保や看護師などの人的支援もしくは財政的支援を県として行っていく可能性はありますか。

知事
まず、個々の県立病院、診療所の経営の中身については、医療局の経営の問題として、随時さまざま対応していることですので、医療局としてその場所を貸している花泉の診療所についても、まずは医療局と日常的な接触があるわけですから、そういう中でさまざま相談とか、いろいろあるのだと思っており、今の段階で県としてどうこうということは、私の段階では特にありません。

記者
今の質問に関連してですが、花泉の件で集中審査がこの間あり、結果的に今回の議会の決算は次回にとなり、3年ぶりに12月に持ち越しということで、また来月説明を求められることになると思うのですが、この決算認定がまた先延ばしになるということで、過去3年で2回も不認定になっているという事態なのですが、今の状況について知事はどのようにお考えですか。

知事
執行部としては、認定していただくにふさわしいきちんとした決算をお出ししているという認識で、監査委員にもきちんと監査していただいて、その指導もいただきながら提出しているものであり、ぜひ認定していただきたいとお願いをする立場です。特に、医療局決算は、経常損益については5年ぶりの黒字ということで、大変良い決算であり、ぜひ認定していただきたいと思います。

記者
決算の認定が継続審査になったということで、集中審査では、さまざま議論されて、知事も早期に法人側と協議が必要だというようなこともお話しになっていますが、認定に向けて12月議会で議論されると思いますが、議会側からいろいろな意見が出ていると思いますが、県としてどのようなことが求められて、今後どのような取り組みをしていくお考えですか。

知事
花泉診療所の件もそうですが、議会からいろいろご指摘をいただき、また求めがあればそれに対する報告とか説明を執行部として、きちんと行っていかなければならないと思います。
決算そのものについては、認定していただくにふさわしいきちんとした決算をお出ししているという認識であり、また医療局決算については5年ぶりの経常損益黒字という、その内容が良いからということではなく、決算の数字というのは、これは県民共有の財産であり、また県外のさまざまな皆さんが参考にしたり、いろいろ調べたりする対象ですので、認定していただくにふさわしいものとしてお出ししていますので、ぜひ早く認定をいただきたいというところです。

記者
知事2期目がスタートされて、初めての定例会で今日の最終本会議を迎え、最終盤で花泉(診療所)の問題など、いろいろ焦点になりましたが、定例会を振り返って知事与党である民主党が過半数に届かない中、不安定な議会運営も予想された中での感想をお願いできますか。

知事
まず、復興という一大テーマの下での議会で、議員の皆さんがさまざまな場で復興にまつわる質問をしてくださり、それに対して執行部が答弁した復興に関するさまざまな情報は、県民共通の財産として、広く共有されるべきものなわけですが、重要な論点についてかなり充実したやりとりが行われたと思っており、私自身もそのやりとりの経過は、手元に置いて時々参照しようとか、そういう良いやりとりが多数行われたと思っています。「岩手は一つ、復興に向けて一つ」ということで、復興に必要な補正予算も早い段階で可決をいただきましたので、大変良い議会だったのではないかと思います。

記者
議会の代表質問で、いわて国体について、知事は年内に総合的に判断して結論を出したいというお話をされていると思います。それで、市町村に対する意向調査を行い、今、集計中だと思いますが、一部競技では震災の影響で(実施)できないところもあるようですが、開催そのものについては否定的な意見は出ていないと伺っています。先ごろ、市長会からも、早期に開催に向けて結論を出してほしいというような要望も出ていると思います。その中で、「周辺的には開催してほしい」、「開催については異論はない」という意見が大勢を占めています。議会もそういう状況だと認識しています。今現状で、知事のお考え、お気持ちをお聞かせ願えますか。

知事
市町村は、個別の種目の開催地としての役割を担うということ、また、国体をオール岩手ならオール岩手で進めていく際の重要な主体として、市町村の意見、存在は大変重要ですので、その意見もしっかり踏まえて、県としての判断をしていきたいと考えます。

記者
ただ今の質問に関連してですが、オール岩手ということで、震災前の状況だとデモスポも含めて各市町村に1競技以上が割り振られていると思うのですが、知事が開催に向けてゴーサインを出す条件として、どこの市町村でも必ず1競技以上開催できるということが、やはり条件になるのでしょうか。

知事
個別の条件というのは、特に考えていません。県民の意思が、一つに収れんされていく、そこを県としてきちんと見極めて、県の判断としていくことが大事だと考えています。

記者
宮古市からがれきが東京都に向けて搬出され、広域処理の第1号ということでがれきの広域処理がようやく動き出したわけですが、ただ東京都以外、今のところ受け入れを正式に表明している自治体はなくて、なかなか広域処理が進まないというのが実態だと思うのですが、市町村あるいは都道府県同士の交渉ですと、なかなからちが明かないというのが現実ではないかと思うのですが、今後、この現状の打開に向けて、どのようにイニシアチブを発揮していくべきなのか、あるいは国にどのような対応を望んでいらっしゃるのかお聞かせ願います。

知事
東京都に受け入れていただいたのは本当にありがたいことであり、この機会にもまた東京都には御礼を申し上げたいと思います。そして、放射能に対する漠然とした不安が解消されないでいるという一種の風評被害にも似たようなところがあると思います。要は、一生涯に100ミリシーベルトの追加被曝を受けないようにするという科学的な根拠、またそれは、たばこの発がんリスクの10分の1ぐらいのリスクではあるけれども、それを避けるようにしようという意味での生涯100ミリシーベルトという一つの目安だということ。そこを基点にしながら、年に1ミリシーベルトを目標にするのだとか、食べ物についてはそれぞれ基準が設けられ、ごみとか汚泥とかについても例えばキログラム8,000ベクレルについては普通の処理場でも処理ができるのだという、そういう国で基準を設けている、そういう考え方をみんながしっかり理解していくことが大事だと思います。そのための情報発信や説明は、被災地は被災地でやっていきますが、ただ日本全体がそういう放射能リテラシーというか、放射能に関する基礎知識、基礎的な考え方を日本全体で身に付けていくことが必要で、レベル7の原子力事故が起こった国としては、やはり政府が先頭に立って国を挙げて放射能リテラシー向上を図っていかなければならない局面だと思います。そうすれば、安全に生活し、また仕事をし、外国からも日本に人を迎えていくということができて、日本全体としての風評被害を払拭するとか、日本からの食品の輸出受け入れを制限している国がまだいっぱいあるということもあるわけで、日本として放射能からの安全の確保をしっかりやっていくのだ、やれるのだということを日本全体として作っていくべきだと思います。

記者
放射能リテラシーの件はそのとおりだと思うのですが、実際、県では3年以内にがれきの処理を完了するという計画になっていて、リテラシーが3年でちゃんとできるのかとか、現実的な問題として、この間の調査でも、環境省の調査でも受け入れ先は激減しているわけで、環境省(国)に任せたままでがれき処理が広がるかどうかということについて、知事はどのようにお考えなのかというのを確認させてください。

知事
リテラシーは、適切な人から説明があれば、あるいはテキスト、紙みたいなものであれば、いわば一瞬で納得してもらえると思っています。3年以内のがれき処理というのは、被災地としても、やはり復旧・復興のためにはそのくらいのペースでということであり、また政府でも日本全体としてあれだけの大きな災害があった中で、やはり3年でがれきの処理はしなければならないという一種の国家意思の宣言というところもあるのでしょうから、そこはそういう協力態勢を構築するためにみんなが力を尽くすべき時ではないかと思います。

記者
広域処理の関係で、今現在、具体的に処理の受け入れに関して話が進んでいるところがあるのかどうかが1点と、あと他のまだ受け入れを表明していない道府県に対する知事からのメッセージという意味で一言いただければと思います。

知事
東京のケースのように協議が整えば、その時点で発表しますので、今発表されてないということは、そこまで話が詰まったところはないということですが、協議や調整等は、多方面で行っているところです。そうした中で、まず行政当局におかれては、やはりここは一肌脱がなければならないという思いと、一方で、住民の不安に応えていかなければならないということで、それぞれ板挟みに遭っているところ、これは本当に心苦しく思っています。ある意味、一緒に力を合わせて処理していこうという思いの部分については、行政当局同士ではもうあると思っており、またそれは、それぞれの自治体の民意にも支えられていて、行政当局のみならずそれぞれの自治体の住民の皆さんも力を合わせて被災地を助ける、困った時はお互いさまという思いは広く共有されていて、ただ放射能についてよく分からない、心配だという不安があるということで、これに力を合わせて乗り越えていくということだと思うので、よろしくお願いしますと言いたいと思います。

記者
7月に秋田で知事会議と併せて、ソフトバンクの孫社長を中心に自然エネルギー協議会を立ち上げられました。現状の岩手県として、メガソーラー等の設置に向けての検討状況をまず教えていただきたいと思います。

知事
県は県で、岩手県内にメガソーラーパネルをたくさん設置できるような場所の検討という作業はやっており、担当からこういうところに可能性がありますというような報告は受けています。業者側、民間とも随時協議できるような体制になっていますので、しっかり進めていきたいと思います。

記者
県では、そのように今調査等が進んでいるということなのですが、全体としてできた当時に比べると、これは私の感覚、誤解かもしれませんが、協議会とか自然エネルギーに対する熱が少し冷めてきているのではないかと感じるのですが、知事はその辺どのようにお考えになりますか。

知事
確かに報道もTPPの話とかばかりになってきていますが、再生可能エネルギーをどんどん伸ばしていくということは、これはもう全国的、国民的なコンセンサスでもあり、また岩手も含めて被災地にとっても、復旧・復興の一つの大きな柱でもありますので、そういう認識はあると思います。また、復興構想会議が提言を出して以来の初会合を近々開く予定とも聞いています。そういった中で、また被災地からの声、そして全国的な議論というものが高まっていくことを期待します。

記者
岩手としては、先ほど知事がおっしゃったように条件が整えば、メガソーラー等の再生エネルギーを積極的に導入していきたいというお気持ちには変わらないということでよろしいでしょうか。

知事
はい、そのとおりです。

記者
先日、一関市で、汚染稲わらの処理の説明会みたいなものの住民説明会があったのですが、そこで同じ市内であっても場所を移すということに対して、相当住民の方の不安に思う気持ちというのをすごく感じ、一関市でもなかなか対応に苦慮されているところあると思うのですが、まずそういう県内、広域もそうなのですが、県内で放射能汚染されたものの処理に関して、どのように住民の理解を得ていくかということもすごく大事だと思うのですが、そこは県として、市町村とどのように連携して、どのような支援を行っていこうとお考えでしょうか。

知事
キログラム当たり8,000ベクレル以下の廃棄物について、奥州市のいわてクリーンセンターで廃棄するということについては、地元のご理解も得ることができたという前例もあります。ですから、きちんと廃棄物が捨てられたところからどのくらい離れれば、どのくらいの線量にしかならないというようなことがはっきり分かること、まずこれが重要だと思っています。今、一関市で行っている住民の皆さんとの協議の中で、私が聞いている話では、国において中間貯蔵施設、さらに最終処分場という計画で仮置き場であるその地域には3年間しか置かなくていいのだと。3年以内には、きちんと中間貯蔵施設を建てると。また、中間貯蔵施設は、確か福島県以外では、想定されていなかったと。そういう意味で、仮置き場には一時的にしか置かれず、その後は国が責任を持って処分するということがはっきりすれば、かなり安心感が出てくる状況と聞いていますので、そこを国に詰めてほしいと思っています。

記者
取材をしていても、仮置き場で、かつその置こうと思っている場所から2キロ以内には人が住んでいない中では、さらに国の示しているシートをかけるというものよりも、さらにコンクリートとかを使って手厚くやるという説明をしているのですが、やはりどうしてもそれでも不安だという方がすごくたくさんいらっしゃって、安心とか安全というものが、これは絶対安全です、これは絶対安心ですというように行政もなかなか言えないという中で、どのようにアプローチしていくのかが難しいと思うのですが、そこはいかがですか。

知事
放射能リテラシーの問題ではあると思うのですが、例えば日常食べているものにも放射性物質は、実はカリウムとかが入っていて、普通1キロ当たりそれなりのベクレルの放射性物質はすべての人間の中に入っているので、人がたくさん集まっているところは、それだけ多く外部被ばくがあると。ただ、それは非常に微量であって、医療の現場で必要に迫られて浴びる線量よりはるかに少ないとか、そういった放射能をめぐる全体像のようなものが分かれば分かるほど、これは許容範囲という判断も納得できるようになっていくと思うのです。ですから、あきらめずに対話を重ねながら、相互理解で、不安な皆さんはどういうところが不安なのかということを説明する方も学びながら、プロセスを深めていくことが大事なのではないかと思います。

記者
TPPに関してですが、議会で影響額について2,410億円と少し増えた額で出されました。APECも近づいてきており、そろそろ国の方針も決めなければいけないという中で、岩手県としては、どのような立場をとるのかについて改めてお願いします。

知事
APECに間に合わせるように決めてしまえというのは時期尚早ということを、はっきり政府・与党にも伝えたところです。日本の経済プラス社会、医療、福祉とか、さまざまな社会的な面も含めて非常に多くのことが関わることですので、やはり民意がきちんと納得して、そして民意の後押しを受けて国際交渉に臨むということが必要で、大事なことや規模の大きなことほど幅広い民意の支持に基づいてやらないと外交交渉はうまくいかず、国益や国際社会の発展はなかなか実現しないと思っています。今の段階では、まだまだそういう状態にはなっておらず、そもそもどういう経済、社会の発展戦略、成長戦略があるのかということも、国民に共有されていないところがあると思います。
内需拡大についてですが、例えばB-1グランプリの季節になっていますが、ああいう零細ではあるけれど、地域資源の発掘、二子のサトイモとか、伝統文化、県北のまめぶとか、最近開発したものですが、地域の南部小麦やキャベツとか、そういうものを生かした岩手町焼きうどんとか、ものの付加価値を高め、日本国民同士でこれはなかなか良いものだ、こういうものも利用しようということで、2、3%需要が増え、それに対応して2、3%頑張って生産量を増やし、そういうものに対応していけば、日本全体として2、3%の成長軌道には乗るわけです。そういうきめ細かい、丁寧な丹念な内需拡大ということが、実は80年代から日本において求められていて、いまだにそれが実ってない。何で実らないかというと、農産物価格、魚の価格もデフレでどんどん下がってしまって、そういうきめ細かいことをしていこうという人たちが暮らしにも困り、仕事をしていてもなかなか大変という状況が20年間続いてしまい、内需拡大的な政策が進まないでいる。それを補うために日本経済の2割ぐらいの輸出により、内需をカバーしようというのも分かるのですが、実はここ10年間、そういう内需の低迷を輸出がカバーして日本経済は、全体としてはいざなぎ越えの成長軌道というのを達成していたのですが、これは中国とか、インドとか、新興国への輸出で達成したわけです。(このことは)TPPとか自由貿易とは、全然関係ない世界(の話)であり、それが大変うまくいっているものだから、いかに新興国に売り込もうか、岩手も干しナマコとか南部鉄瓶を中国にということをやっていたわけです。
だから、日本国民のいろいろな産業に従事する人たち、またいろいろな消費生活をする人たちが、どこに力を入れてみんなでやっていけば日本全体として良くなるのかという中に、TPPがきちんと位置付けられないと、よしやろうということにはならないわけであり、そういう絵を政府は描いていかなければならないのだと思います。

記者
昨日、三陸鉄道の工事が野田村で始まり、ずっとあの現場では予算の見通しが立たないということで、当初以来工事がストップしていて、ようやく再開したわけですが、国の3次補正を含めて予算のめどがついた中で、2014年春の最終的な全線復旧という見通しについて、何か前倒しとかも含めて変更なり意見があればぜひお願いします。

知事
国の大々的な財政支援がなければ、平成26年の全線再開は無理だ、大変だという議論だったわけですが、かなり国からの支援も見通しがついてきたので、平成26年の全線再開はかなり現実的な話として、昨日はそこに向かった大きな一歩を踏み出すことができたと思っています。

記者
話を最初に戻すようで恐縮なのですが、花泉診療所の件に関して、一昨日の集中審査で知事と医療局で早々に会って橋本会長の発言の真意を確認しなければいけないという旨の発言があったと思うのですが、その確認ができたのかどうか、またできてない場合はいつ頃までをめどに確認をとるのかというのをお聞かせください。

知事
そこは、それぞれ担当のところで先方と、いわゆるアポ取りというような調整をしているところだと思うのですが、いずれにせよ入院できるような本来あるべき形にしてほしいという県や医療局の意向を軸にしながら、きちんと担当のところで調整していってほしいと思っています。

記者
先ほど、支援は現段階で考えていないという発言でしたが、指導に関しては、有床診療所として求めていくというスタンスは、県としては変わらないということでよろしいですか。

知事
基本は医療局の経営の問題であり、自分で直接ではなくて場所を貸しているわけですので、その中で経営判断としてこういう助言をした方が良いとか、あれをした方が良い、これをした方が良いというのは、医療局の経営判断としてまずあるのだと思います。医療局経営を超えた、県としての支援という部分については、まだそういう話には全然なってないというように理解しています。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は11月14日(月曜日)の予定です。

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