平成23年11月14日知事会見記録

ID番号 N4864 更新日 平成26年1月16日

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平成23年11月14日 10時30分から10時58分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
それでは、幹事社から質問いたします。
再検証で継続となった簗川ダムについてですが、多目的ダムの簗川ダムは、当初、発電も入っていましたが、買電価格などから企業局が断念した経緯があります。しかし、大震災からの復興の方向性、電力制度変化の動き、原発事故など、電力をめぐる状況が、断念当初と変わっています。
そこで、簗川ダムの発電事業を再検討する考えはあるのか、その理由とともにお聞かせ願います。

知事
現時点では、水力発電の計画はありません。一方で、県としては、再生可能エネルギーを大いに振興していこうと復興計画の中でも方向性として示しており、また、今、達増県政2期目の4カ年計画に当たるアクションプランを作っているところでもあり、地球温暖化対応の県の計画も作っているところであり、そうした大きな流れとして、再生可能エネルギーの振興をしていこうということになっています。この国で新しい再生可能エネルギーの固定価格買い取り法が成立し、その内容について、政令事項がどんどん詰まってくるといったさまざまな環境の変化も見据えながら、いろいろ検討していく中で企業局でも簗川ダムの水力発電活用を検討すると思うし、県としてもさまざまな再生可能エネルギー振興の中でダムの活用についても検討していくことになると思います。

幹事社
この質問に関連して、各社から質問があれば、お願いします。

記者
質問にあった簗川ダムについて、再検討の可能性は否定しないと、全体の再生可能エネルギーを検討していく中で、水力の一つとして簗川ダムも排除しないで検討していくというような理解でよろしいでしょうか。

知事
簗川ダムを絶対もう使わないということはありませんので、そういう意味では排除をしないというように言っていいと思います。

幹事社
他に各社から質問があれば、お願いします。

記者
昨日、民主党県連の常任幹事会と総務会があり、知事選と県議選の総括が行われました。その中で、県議選の方ですが、県連副代表である平野大臣が独自の行動をして県連の結束を乱したということで、名指しで県連から批判があったのですが、これに対する知事の所感をお願いします。

知事
私は、その会議には参加していないのですが、そういう内容の総括がなされたということは聞いていました。選挙というのは、有権者が民意をきちんと表明できる非常に大事な機会ですので、それを厳しく総括するということはあるのだと思いますし、また政党の真剣さを示す機会でもあると思います。そういう真剣な総括の結果として、さらに岩手において有意義な活動をしてほしいと思いますし、また民主党岩手県連は、この岩手におけるさまざまな提案、要望を政府与党につなぐ大事な役目も持っていますので、そういったことを通じて日本全体も良くしていってほしいと思います。

記者
そういう県連の判断があったということと、知事ご自身としては平野大臣が、松本前大臣が辞任された後に引き受けたこと、あと党の代表選で小沢県連代表が推薦する候補とは別の方を支持されたことについては、どのように感じていますか。

知事
いろいろな観点から総括あるいは反省とか、評価というものがあるのだと思いますが、政党や地方組織のガバナンスの観点からの評価ということについては、私からは控えたいと思います。

記者
先日、TPPで野田総理が交渉参加を表明されて、オバマ大統領にもその旨を伝えたという報道がありました。それについての所感は、ペーパーでは出ていましたが、改めてコメントをお願いします。

知事
コメントもその日の夜のうちに出せず翌日になりましたが、翌日になってもハワイに行く前に野田総理が行った記者会見が、「TPP参加の表明だ」、「いや、あれは事前協議に参加することを表明したのでTPPそのものへの参加とは違う話だ」とか、いろいろな解釈が翌日の土曜日のみならず、2日後の昨日の日曜日も飛び交っていたようです。そういう意味で外交交渉は、それが大きな話であればあるほど、しっかりとした民意の支えをもって外交交渉に臨まないとうまくいかないと思うので、もう少しきちんと民意を取りまとめるというか、国民にきちんと納得をしてもらった上で、そして国民に支えられた形で外交交渉に臨む、あるいは外交交渉をしないという判断をするということを、もう少しきちんとやってもらえれば良かったのではないかと思います。

記者
知事の中での解釈は、TPP交渉が始まったという解釈でよろしいのでしょうか。

知事
あえてはっきりさせなかったという厳然たる事実があるのだと思います。何かこれは菅直人総理が辞める、辞めないということをあえてはっきりさせなかったという手法に似ているのですが、そういうあえて断固とした決意を持って不明確にするということはあり得るのですが、ただそれはやはり国民と政府との関係で、あまり良いことではないわけであり、きちんとアメリカとの交渉、さらに他にも複数加盟参加国がある多国間交渉においては、やはり日本が一つになって臨んでいかなければ難しいので、日本を一つにしていく努力をもう少しやってもらう方が良いのではないかと思います。

記者
改めて、TPP参加に対して反対という立場は、変わりないということでよろしいでしょうか。

知事
TPPというのは手段にすぎないわけで、オバマ大統領はアメリカの雇用を増やす、アメリカの所得を増やすためにTPPをやるのだということを盛んに内外に言っています。それは、アメリカで作ったものをどんどん日本をはじめアジア諸国に輸出して稼ぐという趣旨にとれるのですが、日本としてそういう戦略が国民には見えてきていないわけです。何をどんどんどこに輸出しようというのか、あるいはそういうことではない形で日本国民の暮らしや仕事を良くしようとしているのか。
私は、象徴的なのはB-1グランプリが同じ時期に行われていたことだと思うのですが、あのように地域資源を丹念に発掘して磨き上げて、そして零細だけれども高付加価値、規模は小さいけれども、それなりの所得を獲得してふるさとに根差した経済、社会活動を展開していけるということが、今の日本にとって大事なだけではなく、アメリカやヨーロッパにとってもそうだと思うのです。リーマン・ショックとか、最近のソブリンリスク問題、そういうギリシャ等の国家の信用問題とかで国民経済が大きく動揺するのを防いでいくには、そういうものに動かされないような地に足のついた、ローカルから国民経済を組み上げていく。アメリカやヨーロッパなどでウォール・ストリートを占領しようという運動が盛んに行われているのも、そういうマネーゲームを中心としたグローバル経済の自由市場経済の論理の行き過ぎというのが良くないという話であり、今は日本にせよ、その他の国々にせよ、いかに国内の地域に根差した経済社会をしっかり組み上げていって、それをベースに国際的な調和を作っていくかが課題になっていると思います。
復興もそういう中にしっかり位置付けられると思うのです。やはり、ふるさとへのこだわりがないと復興はできないわけです。そして、それをお互い尊重しよう、困っているところは助けようという、大規模化、効率化、自由市場経済の原理だけではないものがないと復興はできないわけですので、そういう復興の理念というのはウォール・ストリートを占領しようと運動をしている人たちが言っていることと同じ方向を向いていて、そういう格差をなくそう、困っている人を助けようという話だと思います。だから、そこにベースを置きながら、ではどういう経済秩序、国際的な経済秩序を作っていこうかという話し合いを積み上げていってもらえば良いのではないかと思います。
アメリカにもいろいろな良い地域資源とか、ローカルなおいしい食べ物とかいっぱいあるので、日米合同のB-1グランプリみたいなものが行われることの方が良いことなのかもしれません。

記者
関連してなのですけれども、TPPと今ほど知事がおっしゃった、そういったローカルに根差した経済というものが共存可能かどうか、どうお考えなのかと、現在日本政府が行おうとしているTPPの方向性が不明確で、まだ明らかになっていないところがありますが、知事として賛成されているのか、反対なのか。一部報道ですと知事は、TPPで格差が広がるというような発言もされているようですが、その点の見解を聞かせてください。

知事
TPPの内容について、はっきりしないところが問題の本質ですが、ただ自由化をどんどん進めて競争を盛んにしていこうという一般論であれば、そういうことをやればやるほど格差とか貧困の問題は深刻化するわけであり、よほどの対抗措置というか、それを補うような施策を別途とらない限り、日本も諸外国も今よりも悪い状態になっていくわけです。だから、どういう全体の戦略の中にTPPを位置付けるのかということが分からない限り、賛成はできないということですので、今の分からない時点では、協議には反対だということを言っているわけです。

記者
コメントが翌日になったということで、それは野田首相の姿勢が分からなかったので、岩手県としてはその日のうちにコメントは出せなかったということなのか、その日のうちにコメントを出して考えを発信した首長や知事もいらっしゃったわけですが、その辺はどうだったのかというのを念のために確認させてください。

知事
多分、TPP交渉、TPP協議に参加表明ということを記者会見で言うのだろうということを前提に、その時間に私は体育関係の夜の懇親会でお酒を飲む予定になっており、そういう発表が行われるだろうから、お酒が入る前にそれに対するコメントを用意して、私はお酒を飲む場に入っていったのです。ただ、それを預かった事務方でテレビの(会見を確認しようとしたところ)、またそれも(地上波では)生中継になっていないのです。総理大臣の大事な記者会見だと思うのですが。だから、かなり遅くさまざまなニュース、報道などで事務方が確認したところ、どうも交渉入りする、協議に参加するとはっきり言ったわけではないという解釈も飛び交っており、どうなのだろうということで、そこを確認して適切なコメントの形にするために夜を越えてしまったということです。

記者
ということは、国等にこれがどうだったのか確認したという意味でしょうか。

知事
いいえ。はっきり交渉入りするということに対するコメントを出すのは適当ではないということで、翌日になってから曖昧な表明に対するコメントに直して、発表しました。

記者
県として発言を精査した上で、これで良いという結論に達したのが翌日だったということですか。

知事
これで良いというか、変更したわけです。当初のコメント予定を変更しました。

記者
先日、文部科学省の放射線の航空機モニタリング調査の結果が出たと思うのですが、県南部の3つの市町村で0.23を超える値という結果が出ました。この後、汚染除去重点調査地域に指定されて、除染へという流れになっていくとは思うのですが、そういう中で県の対応、それから指定されない場所に対する県の対応というものもあると思いますので、その辺りのお考えをお願いします。

知事
最初に言っておかなければならないと思うのは、あれはもっと早くできていてしかるべきで、国の責任でというよりは、本当は東京電力が作るべきなのです。どのように迷惑をかけたのか、自分たちの原発事故の結果、どのように汚染が広がったかということは、一義的には東京電力で、行政としてはまず国がきちんとああいう地図をもっと早い段階で作って示すべきで、もっと早い段階でできていたら、稲わら問題も含めて、より安全・安心を強化できるような対応が取れていたと思っています。
そして、国の調査データに基づいて、国と地方自治体が協議して、さまざま除染などの対策を国の費用負担で行うことができるという制度が今あるので、その活用について県と該当する市町との間で相談をしなければと思っています。
ただ、この地図ができる前からいろいろ心配事がある市町とは、県は相談しながら独自の対応を一緒にやってきたところもありますので、今後、国のスキームに則ったことしかしないということではありません。住民の心配とか、住民のニーズに沿って、国のスキームがなくてもやらなければならないと思えば、県・市町が一緒に独自にやること、あるいはそれぞれが独自にやることはこれからもあり得ますが、今は国のデータを根拠にしながら、国もきちんとお金を出したり、支援をしたりするというスキームがようやく動くようになったので、そこを検討していくということです。

記者
今の質問に関連してですが、もっと早くこのモニタリングができているべきだったとおっしゃいましたが、具体的にはいつぐらいにできていれば、基準値超えのセシウムが検出された肉は流通しなかったとか、それが防げたか、知事としてはどのように理解していますか。

知事
これは、早ければ早いほど良いわけで、3月の中旬に飛散したヨウ素やセシウムにまつわる汚染のデータですから、3月、4月の段階に作成することはできたのだと思います。

記者
その段階でできていれば、牛肉の対策なども早くとれて、流通も阻止できたというご認識でしょうか。

知事
それは全くの仮定の話なので、根拠のある答えはできないのですが、いずれにせよ早い段階で重要な情報開示がなかったが故に現場が混乱したり、また、現場が困ったことになったりしたことが、多々あったということは言えると思います。

記者
マンガに関してですが、私も「ジョジョの奇妙な冒険」の大ファンなのですが、知事が先日ツイッターで、「荒木比呂彦さんに(東北復興)平泉(宣言)のポスターを描いてもらった」とツイートしたところ、大きな反響で県のホームページにアクセスできなくなったというお話を伺いました。制作に至るまでの経緯とその反響、そして、今後についてどういったお考えがあるかお伺いします。

知事
厳密には、アクセスしにくくなったということで、その時間内でもアクセスできた人もいたようではありますが、ただ、(アクセス)したかったけれども、できなかった人も出たということはあったと思います。

記者
どういう経緯で荒木先生に(制作の)お話をされたのかと、その反響についても。

知事
3年前に平泉の世界遺産登録が俎上に乗っている時に、もしその年に世界遺産登録になったならば「平泉宣言」というような宣言を出したい、その宣言のイラストを荒木比呂彦さんに描いていただきたいということを、その前の年のうちに荒木さんに直接お願いしたところ、快諾をいただいたわけです。奥州藤原氏3代、さらにその前とか後まで含めれば4代、5代と何代も続いている、そういう誇り高き血統というのが、荒木さんがここ25年ずっと描いているライフワークのようなマンガの基本構造でもあることと、あとはその「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの中で「黄金」という言葉をしょっちゅうキーワードとして使っていて、マンガ全体の一つのテーマが「黄金の心」という正義を目指す、命を尊ぶとかということを「黄金の心」という言葉で表していて、平泉の理念にもぴったりなので、荒木先生にお願いしたところ、「そのように評価していただいて光栄です」ということで快諾いただいたわけです。
ただ、イコモスが登録延期の勧告をし、本番のケベックでの世界遺産委員会でも登録延期ということで、その話は、一旦沙汰止みになったのですが、今年の世界遺産委員会の際に、登録の暁には「平泉宣言」みたいなものをやはり出したいので、お願いしますという話を復活させて、描いていただきました。実際に描かれる頃には、東日本大震災津波が既に起きていましたので、県でもそれまでは「いわて平泉宣言」というものを出そうと思っていたのですが、「東北復興平泉宣言」というものに衣替えをして出すそのイラストということで、特に「人と自然との共生」というところに重きを置いた絵(イラスト)にしていただいて完成を見たというところです。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は11月22日(火曜日)の予定です。

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