平成23年11月30日知事会見記録

ID番号 N4860 更新日 平成26年1月16日

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平成23年11月30日 10時30分から10時59分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問がありませんので、質問がある社は社名を名乗ってから質問してください。

記者
花泉診療所の件ですが、県として法人側に支援はできないとお伝えしたと伺いしました。知事は専門的観点から検討するとおっしゃっていましたが、そういう結論に至った経緯と、現在の知事の所感をお伺いしたいと思います。

知事
報告を受けているのは、医療法人側から支援の要請があり、それに対して、県の方からは他の民間医療機関との均衡上、極めて難しいということ、一方で、医療連携や医療と介護との連携のための体制の構築等といった形の中でその運営を支援していくというような回答をしたのですが、それに対して法人の方は、このままでは入院患者の受け入れは困難であると。それに対し、医療局から無床診療所として使用するのであれば、来年度の契約を更新することはできかねると、そういうやりとりがあったということです。

記者
法人側では、無床化にして訪問診療というスタイルはどうかという考えもあるようですが、それについてはいかがでしょうか。

知事
もう一回、お願いします。

記者
医師と看護師が訪問しての診療スタイルはどうかと提案したと伺っていますが、それについてです。

知事
結局、有床診療所として使用する内容の賃貸借契約であることから、無床診療所として使用するのであれば、来年度の契約を更新することはできかねるというのが医療局の判断なので、そういうことだと思います。

記者
契約できかねるとなると、今後の花泉診療所をどのような形にしていくのか、診療所自体廃止という形になるのか、あるいは別の法人の委託先を探すのか、どのような形を考えているのでしょうか。

知事
契約通りやってもらえれば、それに越したことはないわけですが、有床診療所の継続が困難ということであれば、県としては一関市とも相談をしていかなければならないのですが、当初の医療局の計画通り、県営での無床診療所という形に戻すということも視野に入れながら、今後の対応を検討するということになると思います。

記者
県としては、やはり有床化が、契約継続の第一条件だということなのでしょうか。

知事
基本は医療局の計画の中では、無床診療所化ということで、まず一旦無床診療所にはなったわけです。そして、それを民間に転換するということが行われ、その背景として地域において入院できるような体制でやってほしいと。しかし、入院できる体制は県営ではできないので、であれば民間でという話の流れの中でそうなったわけですが、民間としても経営が困難であるということであれば、そうした経緯を踏まえながら、改めて県や市と相談しながら対応を決めていくということになると思います。

記者
花泉診療所に関連してですが、今後、知事は県営での無床診療所に戻すことも検討しなければならないというお話でしたが。

知事
医療局としては、そういう方向で検討するのではないかと思います。

記者
2階に特別養護老人ホームもあるのですが、そちらの扱いはどういった形になっていくと思われますか。

知事
そこも含めて、いろいろ検討されなければならないと思います。

記者
特養も撤退という形をとってもらうということも考えるということでしょうか。

知事
そこは契約の内容が大事ですので、その契約と違うことをやるとすれば、それは一からやり直さなければならない話なのですが、そういう具体的な考え方は今のところないと、存在してないという状況と認識しています。

記者
2016年のいわて国体のことについて伺いたいのですが、昨日、県内の経済団体の方から2016年の開催に向けて要望書が知事あてに提出されたと思います。その中で、人員的なもの、資金的なものについては、可能な限り協力したいというような文言もあったと思います。そういう中で今、県の方では、民間の力を借りて新しい形でこの国体を開催できないかというような検討を進められているということも聞いています。現時点で知事の国体に向けて、どのようにお考えかお聞かせください。

知事
県民の民意がいずこにあるかということを県として見定めて、その通り対応すればいいというのが私の考えです。

記者
県民の民意というと、昨日の経済団体の要望では、ぜひ開催してほしいと、それは競技団体、市町村、県議会、各界各層からぜひ開催に向けて努力してほしい、開催してほしいというような声も上がっていると思いますが、その辺りの民意についてはどのようにお考えでしょう。

知事
県の経済団体の皆さんが、昨日、そういう要望書を出してこられたことについては、経済団体としても平成28(2016)年のいわて国体開催ということが、県民の中で求められているのではないか。ただ一方で、県のお金は県民のお金で、また県のマンパワーも県民のもので、それを県民としては被災地に回してほしいという思いも経済団体は踏まえて、そういうお金や人についても経済界としてできるだけ集めて対応したいという要望を出してこられたのだと思いますので、そういう形で民意をまとめていくような試みとして大いに参考になる要望だと思います。

記者
国体について追加の質問ですが、知事の中で開催の是非といいますか、決定時期といいますか、そういったものはいつ頃を目標に考えていますか。

知事
県としては、年内に県としての考えを決めたいと思います。

記者
国の3次補正の中で、海洋研究拠点とかリニアコライダーとか、県内の知の集積という意味で予算付けがなされたわけですが、県内の復興に関する中での位置付けと、今後に対する知事の期待感についてお聞かせください。

知事
実は、チリ地震津波の直後にも阿部千一知事の下で、岩手大学の先生をはじめ有識者が集められて、復興計画の提言のようなものが取りまとめられたのですが、その中にも津波防災等研究体制を構築するということがあり、当時もそれが目指されたわけです。今回の大震災津波からの復興においても、県の復興計画の中でそうした科学研究機関の体制整備ということを盛り込んでいますが、そこが国にもきちんと伝わり、また国としてもそれが必要だという考えに立って3次補正でさまざま具体的な予算措置がされたことは大変良いことだと思います。今回の大震災津波の教訓を生かしていくこと、こういう地震や津波の中でもびくともしなかった岩盤という地域資源を活用していく、またこういう震災を乗り越えて存在しているリアス式海岸と海をこれからも活かしていく、そういう中でこの科学研究というものは大変重要だと思います。

記者
明日、知事は、釜石の仮設住宅にお泊まりになるかと思うのですが、被災3県の知事では初の試みとなるのですが、今回の宿泊のねらいを前回の復興本部員会議でもお話しされたと思うのですが、改めてお聞かせください。

知事
知事の仕事は知る事であり、仮設住宅での生活がどういうものなのかというのをやはり実際に体験することで知っておきたいということがあります。被災者の生活再建は、復興の中でも大変重要な柱であって、また仮設住宅にお住まいの方で約3万1,000人、その他の仮設住宅に準ずる民間住宅や公営住宅にお住まいの方を合わせると約4万3,000人の方々がそういう生活をされている。さらに、自分の家に住んではいるけれども、かなり壊れたところを直し、また1階でさまざまな家財道具が流された中で不自由な生活をしているという被災者の皆さんもおられるわけで、そういう多様な困難に直面している大勢の皆さんの生活再建をしていくということは、行政としても容易なことではないのです。成熟した先進民主主義国で、これだけの破壊と犠牲があったというのは、人類が初めて経験することではないかということを言っているのですが、それに行政が対応していくのも容易なことではないので、今、さまざまな努力と工夫を重ね、いろいろな議論もしながら、対応しているところなのですが、そういう対応をきちんと行っていくために直接知っておきたいということで泊まることにしました。

記者
このアイデアは、いつ頃、どのような時に、思い浮かんだものなのですか。

知事
被災者生活支援に関しては、いろいろな担当部局、復興局、県土整備、保健福祉、あらゆる部局も関係しているのですが、秘書広報室も仮設住宅で生活している方々との意見交換という企画をする中で、どういう内容にしようかと私の手元で会議を行い相談する中で、せっかくだから1泊しようということがその会議の中で決まりました。

記者
観光の関連ですが、ちょうど新青森延伸で1年となること、また、はやぶさが今年3月に出て、青森DC(デスティネーションキャンペーン)とか、観光で非常に注目が東北に集まる1年だったのですが、残念ながら震災でいろいろと観光については問題がありました。ただ、平泉が世界遺産になったということで観光客も大分戻ってきたのですが、その観光客も平泉にほぼ限定されているようで、なかなか全県的な観光になっていません。来年のDCまであと4カ月となりましたが、観光の復活にかける知事の思いをまず伺いたいと思います。

知事
まず、世界遺産平泉は、これは世界に誇る資産であって、文化資産、心の資産であると同時に観光資源でもありますので、これを大きく活用しなければならないと思っています。そして、平泉と岩手県内のいろいろな観光資源を組み合わせていくことが大事なのですが、去年、坂本龍馬と石川啄木をつなげるということを実現したわけで、あの2人をつなげることができるのであれば、岩手県内で平泉とつながらないところはないだろう、岩手県内のどんなところでも平泉とつなげることはできるはずだと私は思っています。あとは、どういうつなげ方をしていくか、それぞれ他の観光地、他の市町村で工夫をしていただいて、県としてはそこを支援していくのですが、来年のDC(デスティネーションキャンペーン)の準備段階で、いろいろとこういう旅行商品があります、できましたというものを旅行、観光関係の皆さんに提案していく機会がありますので、今回のそれを一つの大きな機会として、岩手丸ごと平泉のような形を作っていきたいと思います。

記者
沿岸の方もホテルが再建や営業再開とか、交通網もだいぶ戻ってきたということなのですが、そういう意味では、DC(デスティネーションキャンペーン)に当たっては沿岸にも人が来てほしいという意見がある一方で、やはりあれだけの大きな災害を受けたところを観光ということで、ある種表現が適正かどうか分からないのですが、土足で踏み込んでいっていいのかという意見もありますが、その辺について知事はどのようにお考えになりますか。

知事
観光も最近はいろいろな真面目な観光、お寺を巡礼するというのは本当に真面目な観光だと思いますが、そういう伝統的な真面目な観光のほかにも、勉強型の観光とか体験型の観光という、行った先の人たちと交わりながら、自分の人生のためになるような経験や体験をして帰るというタイプの観光もどんどん今盛んになってきています。そういう意味で東日本大震災津波の被災地や、そこを支援しているところを訪れるのは、その訪れる方にとってかけがえのない体験になると思いますので、どんどん受け入れられるようにしていきたいと思います。

記者
国会で3次補正が成立して、今、復興関連の法案が審議入りしていると思います。その中で、与野党で復興庁の権限のあり方について議論があると思いますけれども、復興庁は各省庁の権限を一括集約した方が良いのではないかとか、いろいろ議論になっていると思いますが、知事のお考えをお聞かせ願います。

知事
要は『答えは現場にある』、その答えを国としてもきちんと理解して、そして国が持っている力、お金の力や人の力、また全国から動員できるさまざまな力で、国としても主体的に国家プロジェクトとしてどんどん復興を進めていくと。まず、それができるのであれば、どんな組織体制でも構わないと思っています。ただ、発災当初から言っているのは、やはり関東大震災直後の復興院みたいな国を挙げて取り組むことができるような体制が望ましいのではないかと考えてはいます。復興院も当初は、副総理格の後藤新平内務大臣が復興院総裁も兼ねて、今で言えば国土交通大臣でもあり、厚生労働大臣でもあり、総務大臣でもある人が復興院総裁も兼ねるというスタイルで、それらの役所が一つになったようなものとして誕生したのですが、国会の中でそのように国を挙げて一自治体の救済をするのはおかしかろう、そういう自治体に任せれば良いのだという議論が国会の中でかなりあり、あっと言う間にいろいろな機能が東京という自治体に委ねられるようになったという経緯があります。
だから、あとは国会の中でぐちゃぐちゃになってその後に混乱するよりは、国会の中で大勢が妥協できるような形でスタートしてもらう方が良いというのも実は関東大震災の時の教訓ですので、そこは国会の皆さんにうまくやってほしいと思っています。

記者
復興庁の設置場所というか、被災3県で復興局は被災3県に置きます、出先は置きますということは決まっているようですが、その本体の復興庁をどこに置くかということも一つ議論が残っていると思います。それについてはどうですか。

知事
私は発災直後から東北に置いた方が良いと思っていて、東北の中ならどこでも良いと思っています。

記者
今の質問と一緒ですが、野田首相についてですが、当初は現地に復興庁を置きたいという考えが、その後、そういう機能を現地に持たせるという意味だったと発言を軌道修正されているかと思いますが、そういう野田首相の姿勢についてどのように思われるかをお伺いしたいと思います。

知事
要は、中身だと思っていて、後藤新平さんみたいに、今で言えば総務大臣、国交大臣、そして厚生労働大臣を兼ねたような人が復興担当大臣をやるのであれば、その人は国会、内閣周辺の東京にいなければならなく、本部がそちらということもあるのでしょうが、ただその場合には形式的にはそうだけれども、実質的に『答えは現場にある』というその答えをどんどん発見して、そして国の力が動員されるような体制を実質的に作ってもらえば良いと思います。

記者
先日の大阪市長選と大阪府知事選で橋下新市長が率いる維新の会が圧勝しました。既成政党に対する不信感というか、そういうのもあるのではないかという指摘もあります。知事としては、この結果どのように受け止めていますか。

知事
大阪を変えてほしい、大阪を変えなければならないという有権者の声が強くて、それが選挙結果に出たのだと思います。やはり、変化を引き起こすことが政治であって、変化させないのであればそこに政治は要らないのです。行政が日常のことを粛々と行っていればいいのです。大阪はやはり変化が必要だということなのでしょう。既存政党がそういう変化の担い手として、今一つ弱いとみなされてしまったというところがあると思います。
政党というのは政治の団体なのですから、どういう変化を私たちは引き起こすのか、こう変えますということを常に魅力的にアピールし続けないと政党は存在意義がないと思うので、そこはみんな頑張ってほしいと思います。

記者
今政権を持っている民主党に対しては、どのように評価されていますか。

知事
やはりこう変えるのだというところが弱いのだと思います。TPPでも社会保障と税の問題でも、何か出された宿題を解いて、いい答えができましたということを褒めてもらいたいというような感覚で仕事をしている感じがして、目の前に出された課題以外に本当に国民が困っていることを掘り起こして、そして、これをこう変えていきますという力強い政治のダイナミズムというものがちょっと弱いと思います。

記者
そこの部分を少し具体的に、例えばTPPであればどういうところがというのが何かありますか。

知事
農林水産業について言えば、長期デフレによって農林水産物の価格が低く抑えられていて、それで生産者たちも困っているわけですから、やはり国全体の経済を良くしていくような、物が高く売れるような経済政策を国で行っていかないと、それこそ農林水産業は駄目になっていくと思います。
また、B-1グランプリみたいに、地域資源を丹念に発掘して磨き上げてという努力を、御上が全然そういうことをやらなくても、民間が手探りで必死にやっているものを生かして発展させていくような工夫をしなければなりません。
製造業についても、基本はまず円高が問題なわけで、円高にならないようなマクロ政策をきちんと行っていく。円安にする一番確実な方法は、国債を増やして円の量を増やしていくことですので、そういうことをやらないと駄目なのです。TPPに絡んだ論点として、日本が直面している課題に対し、すぐやらなければならないことというのは今言ったようなことだと思います。
TPPというのは10年後にどうこうという話ですが、今困っていることについて、どんどん策を講じていかないと駄目だと思います。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は12月13日(火曜日)の予定です。

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