平成23年12月26日知事会見記録

ID番号 N4854 更新日 平成26年1月16日

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平成23年12月26日 10時30分から10時57分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
それでは、県政記者クラブを代表して2つお聞きしたいと思います。
今年1年を振り返りますと、いろいろなことがありました。今日が今年最後の記者会見ですので、改めてこの1年を振り返って、知事が印象に残っていること2から3、また、その理由もお聞かせください。これがまず1点。
それともう1つ。平成24年の仕事始めについて、年頭の知事訓示を沿岸広域振興局で行うということですが、そのお考えも併せてお聞かせください。

知事
まず、今年1年を振り返って印象に残っていることを2、3ということですが、やはり東日本大震災津波、そして平泉の世界遺産登録、それから女子サッカーワールドカップ「なでしこジャパン」の優勝とそこでの岩清水選手の活躍を挙げたいと思います。
東日本大震災津波は、今年1年を規定するような、それは大変悲しい悲惨な出来事でした。また、県民の底力が引き出され、そして県内、県外さまざまな新しいつながりが生まれてきている。今までになかった新しいことが岩手で起きている。大変大きなスケールでそういうことが起きているということでもあり、なかなかその全貌を一言で表現するのは難しい。何年か経ってみないと、その意義が本当に見えてこないぐらいの大きなことであったと思います。
平泉の世界遺産登録は、長年の地元はじめ関係者の皆さん、そして県民すべての努力や願いが実を結んだということで、大変良かったと思います。また、世界遺産登録後、さまざまな形で全国的に報道とか、特別番組とか、特集記事とか、いろいろな形で取り上げられ、観光客も増えているということで未来につながる良いことが起きたと思っています。
それから、「なでしこジャパン」の岩清水選手の活躍。これは県民栄誉賞というめったに出ないものを出すことができて、大変県民にとってもうれしいことだったと思います。今年は他にもインターハイが北東北三県で行われ、弓道で優勝、準優勝を岩手の福岡高校、福岡工業高校の選手が独占したり、重量挙げで岩谷堂高校の艾(よもぎ)選手が3冠を獲得するなどスポーツ関係、さらに言うと全国高校総合文化祭の将棋では岩手高校が優勝するなど、高校生のスポーツ、文化の活躍もあった年だったと思います。
次に、仕事始めについてですが、知事訓示をはじめ仕事始めでは、県職員に対して知事からいろいろとあいさつや激励、叱咤をするわけですが、県職員全体として、やはり沿岸に思いを寄せ、また沿岸から物事を考えていかなければならないのではないかというムードがある中で、秘書広報室の職員とも相談して知事訓示を沿岸で行おうと決めたものです。松の内でもありますので、沿岸を訪問するのですが、訪問先についてはあまり迷惑が掛からないように県の機関を中心に回ることとしています。いわば「一年の計は沿岸にあり」ということと、年明けから復興というテーマで進んでいかなければならない新しい年ですので、復興元年のこの一年の計を沿岸でという趣旨で仕事始めを沿岸からスタートしたいと思います。

幹事社
この質問に関連して各社からご質問あれば、お願いします。

記者
来年の話を一言だけ。今もお話がありましたが、今年を踏まえて来年はこういう年にしたいという辺りをもう一言お聞かせいただけますか。

知事
復興元年というような、年明けから復興ということで進んでいかなければならない年であり、復興をしっかり進めていく年にしていかなければならないと思います。

幹事社
これ以外のことについて、各社から質問があれば、社名を名乗ってからお願いします。

記者
24日に国の政府予算案が閣議決定されました。既に知事からコメントは頂いているのですが、改めて知事のお言葉で岩手県としての受け止めをお願いします。

知事
まず、地方財政対策については、前年よりも金額的にプラスになったことについて、一定の評価ができると思っています。そして、東日本大震災津波関連予算についても、まだ全国、全体の数字だけが出ていて、個別の箇所はまだこれからというところもあるのですが、復興道路や湾口防波堤、三陸鉄道、そして水産業関係、商工業関係等々、まず地元で復興にきちんと動いていくことができる予算が措置されていると思いますが、その箇所付けされる予算については、きちんと働きかけていかなければならないと思っています。
放射線影響対策については、それなりの予算が決定されているのですが、まず1つ理念の問題として、本来、東京電力、そして国の責任においてさまざま進められるべき事柄であって、地方に対する補助金などがいろいろ付いたり、交付税措置などがありますが、自治体の本来業務ということではなく、あくまで国が進めていく、その中で自治体が既にさまざま緊急避難的に行っていることや当面やらなければならないことについては、それを財政的に無理がないように国が支えるというような考え方をもっときちんと整理し、そして必要な予算を確保するようにしてほしいと考えます。

記者
今日、大槌町が復興計画を議会で承認すれば、岩手県内すべての市町村で復興計画の基本計画が決まることになります。まず、このことについて一言お考えを聞かせていただけますか。

知事
この市町村ごとの復興計画というのは、住民の皆さんと行政とが相談しながら決めていかなければならないことで、容易ではないことなのですが、それを今年中に深刻な被害を受けたところも含めて策定できたことは、本当に市町村の住民の皆さんと、行政当局に改めて敬意を表したいと思います。
県としても、そのプロセスにおいては、専門的、広域的観点からかなり支援をしてきましたが、これからいよいよ計画を実行に移す段階になって、県としてもこれからも市町村と一体になって復興を進めていきたいと思います。

記者
その意味では、今日、復興(特区)プロジェクト・チームが県で立ち上がりました。やはりこれから復興するに当たっては、特区をいかに活用するかが市町村の課題になると思います。復興(特区)プロジェクト・チームが始まったこと、それから、どう市町村を支援していくのかをお願いします。

知事
復興特区の制度は、自治体の中でも県というより市町村をベースにした制度になっており、専門性、広域性の観点から、やはり県もしっかり一緒に取り組んでいかないと必要なものをきちんと作っていくのは難しいと考えていますので、県でもプロジェクト・チームを作って市町村と協力しながら、この特区の制度の中で復興をさまざま進めていけるようにしていきたいと思います。

記者
先ほど知事がおっしゃった中で、年明けから復興を進めなければいけないという決意をされましたが、特に震災からの復興では、どういうところに力を入れていかなければいけないと2012年は考えていますか。

知事
復興の作業は、たくさんの分野にわたって、数え方にもよりますが、300とかそのくらいの取組事業がありますので、それはすべて大事ですから、総合的にまずしっかりやっていかなければならないと思います。
そして、仮設住宅にお住まいの人で3万1,000人、そして仮設住宅類似の施設や、また自宅に住んでいるけれども、生活困窮していたり、不自由だったりしている被災者の皆さんを含めれば、5万とか6万という一人一人が、それぞれ重大な困難に直面していますから、そういったことを解決していけるような一人一人に寄り添うミクロな視点が必要であることと、同時にオール岩手、さらに東北、東日本といった視野の中で、平泉に象徴されるような観光振興、地域振興、また、ILC国際リニアコライダーに象徴されるような先端科学研究機関の整備といったような、スケールの大きなマクロな視野も持って進めていかなければならないと思います。

記者
年明け早々にはDC(デスティネーションキャンペーン)も始まりますが、知事としては、この辺はどのような意気込みで臨まれるのでしょうか。

知事
ほとんどイコール復興支援と言ってもいい事業だと思っていますので、県内外、特に全国、世界という県外とのつながりの力を強めていくことに資するように観光振興を大きく進めて、そして、その力が被災地支援、復興支援につながっていくようにしていければと思います。その時、DCも宮城のDCがその後に続いたり、今年は青森のDCがあったり、オール東北の視点も大変大事で、六魂祭が盛岡で行われるような話で調整中ということも聞いており、オール東北の視点も大事だと思っています。

記者
それで、そのようにオール東北でということは、一年中そういう意味では東北が常に注目されているような状況が続くと思うのですが、それは復興支援にとっては大きな追い風になると捉えていますか。

知事
そうですね。平泉世界遺産登録を記念して、私の方で作ったメッセージの名前が「東北復興平泉宣言」とあるように、やはり復興というのは、オール東北で進めていかなければならないことでもあり、平泉を象徴とする観光は、オール東北に非常になじむ取り組みだと考えます。

記者
先ほどの特区のことをもう少し伺いたいのですが、岩手は10の岩手復興特区ということで、10の特区を掲げていると思います。実際の特区の申請は、1月下旬ぐらいからとも聞いていますが、具体的にまず先にこういう特区を実現させたいというものがあればお聞かせ願えますか。

知事
10の特区に関係しては、それぞれ担当ごとに実際に成立した特区法の制度に合わせて、どういう形で申請できるかを検討してもらっていますが、同時に市町村と相談しながら、市町村にとって必要な特区という観点も重要で、そういう中で申請できる形ができ次第どんどん申請していくということになると思います。

記者
政治向きの話なのですが、1月3日に小沢一郎民主党元代表が沿岸を回られるということですが、知事は同行、同席されるのかお聞かせ願えますか。

知事
民主党岩手県連の主催で、沿岸の市において復興をテーマとした特別の会議が行われるということで、知事と市町村長には招待が出ていると聞いており、私のところにも招待が来ていますので、調整してそれぞれに出席できるようにしたいと思っています。

記者
その中で、小沢先生が初めて沿岸被災地に入られるわけですが、小沢一郎さんにこの復興に向けて、役割として期待したいことというのは、どのようにお考えですか。

知事
既に東京にあっていろいろと政府に働きかけたり、仲間の議員と一緒に党を通じてさまざまな復興関係の貢献をしてくれていると思っていますので、この調子でやってもらえればと思っています。ただ、年末年始の国会や政党も動きがない時期に、ようやく地元、被災地に入られるというのは大変良いことだと思っています。現地の生の声も聞いていただいて、更に復興に向かってさまざまな貢献をしていただければと思います。

記者
小沢一郎さんも言っていますが、来年は衆院選で解散総選挙があるのではないかというお話もされていますが、復興に向けて国政の動きも非常に重要になってくると思います。来年の国政は、どのような形になるのか、知事のお考えや希望も含めてお聞かせ願えますか。

知事
発災直後から言っている話なのですが、やはり復興を強力に進めるための強力な国の体制が望ましいと思っており、それで今よりも強力になるのであれば、さまざまな変化があって良いと思っています。抽象的には、復興の旗を高く掲げ、その下に志ある人たち、力のある人たちが結集して、いわば「復興党」というような形の政治の勢力の結集があって、それに基づいた復興内閣というようなものが強力に復興を進めてほしいと思うし、またそうしなければならない局面にあり、そういう内閣は世界にとっても期待されている内閣だと思います。

記者
その時は、民主党という政党にはこだわらないということなのですか。

知事
やはり今欲しいのは「復興党」だと思います。

記者
今の野田内閣は、年内に税と社会保障の一体改革の取りまとめを目指している状況で、復興の旗の下に掲げて、そこに政治勢力を結集したいと考えている被災地の側から見て、知事はかねてより慎重な意見だと思うのですが、その一方で、この世界的な金融情勢の動きを含めて、この野田内閣の税と社会保障の一体改革、いわゆる消費増税に向けた動きについて、どのようにご覧になっているのでしょうか。

知事
復興構想会議の最後の会議というのを開いた時、野田総理はそこに来られて、復興が内閣の最重要課題ということを言っていたので、復興内閣なのだという趣旨のことも言っていたと思うのですが、一方で復興と違うこと、あるいは復興に逆行するかもしれないようなTPPとか消費税増税とか、それをあたかも内閣の最重要課題であるかのごとく扱っているようなところもありますので、そこは少し落ち着かない気持ちです。
復興が最優先課題、復興こそ最重要課題ということを、もっと分かりやすく示しながらやってもらえれば良いと思っています。また、この岩手において、内陸の発展なくして沿岸の復興なしという、復興はオール岩手のことだとやっているように、東日本大震災からの復興というのはオール日本のことなはずです。日本復興というように言っていいと思うのですが、そういう日本全体が東日本大震災津波からの復興にオール日本で取り組むことで、日本全体が今まで以上に安心、今までより安全、そして今までより豊かになっていくという日本全体の復興ということを、日本みんなが一つになって取り組んでいける形をもっと分かりやすい形で作ってほしいと思っています。

記者
先ほどの復興党とおっしゃっていたところだったのですが、これは民主も自民も関係なく全国会議員が協力してというような受け止めでよろしいのでしょうか。
あと、もう一点が、知事が就任されてから毎年総理大臣が代わっているような状況ですが、復興を強力に進める国の体制とはほど遠いのではないかと感じるのですが、そこら辺はどのように受け止めていますか。

知事
ケネディ大統領が昔、冷戦が厳しい頃、西ベルリンを訪問して、「Ich bin ein Berliner 私もベルリン人だ」と言ったように、復興が一番大事なのだ、復興こそ日本の最優先課題だと思って行動する人は「復興党」の党員であり、そういう人たちが集まれば、そこに「復興党」があると思っていて、私自身も復興党員だと思って、そういう自覚で考えたり、行動したりしており、そういうことです。
それと、「参議院での多数の支持を得られない総理大臣は、日本では総理を続けられない」の法則があるが故に、どんどん交代しているので、一に参議院の支持を取り付けられるような形できちんと進めれば良く、さらにそれを安定したものにするには参院選でどんなことをしてでも、石にかじりついてでも参院選で勝利するという力と迫力のある政権を作りさえすれば、今の制度でも力強い政府を作ることはできるのです。ただ、政治家にその力量がない場合には、今の制度はネガティブに働くのはその通りですので、ねじれ国会というものが生じないように参議院の権限を低くして、権威の良識の府にしていくというような参議院改革をするとか、あとは一院制にするというのも一つの選択しかもしれません。そういうことができれば、ねじれが起きにくくなる、起きなくなるというのはその通りなのですが、ただ、今の制度のままでも政治家たちに力量があれば強力な政権は作ることができると思いますので、まずはそうしてほしいと思います。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は1月6日(金曜日)の予定です。

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