平成24年1月16日知事会見記録

ID番号 N4850 更新日 平成26年1月16日

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平成24年1月16日 10時30分から10時56分

広聴広報課
ただ今から、記者会見を行います。
最初に知事から発表があります。
それでは、知事、お願いします。

知事
まず、岩手県再生可能エネルギー推進本部の設置についてです。
今日、岩手県における再生可能エネルギーの導入に向けた取組みをより全庁的に推進するため、部局横断的な組織として「岩手県再生可能エネルギー推進本部」を設置しました。
国においては、現在、再生可能エネルギーの利活用の促進に向け、「再生可能エネルギー特別措置法」による電力の買取価格や期間について検討しており、年度末までには明らかになる見込みであること、また、平成23年度第3次補正予算においては、被災地域等を対象に、防災拠点への再生可能エネルギーの導入に向けた大幅な予算措置がなされるなど、再生可能エネルギー導入に向けた動きが具体化してきています。
こうした動きを踏まえて、県では、年度内に策定を予定している「岩手県地球温暖化対策実行計画」の中で再生可能エネルギーの導入量や電力自給の割合を平成32年度までに現状の約2倍とする目標を掲げ、全県的に再生可能エネルギーの導入を促進することとしており、県として全庁的に取組みを推進していくための体制を整備したものです。
推進本部の構成は、知事を本部長とし、両副知事を副本部長、各部局長等を本部員とします。そして、推進本部の下部組織として、関係課の総括課長等による幹事会を設置し、必要に応じてチームを設置し、課題の検討を進めることとしています。第1回推進本部会議は1月23日に開催して、今後の取組みについて協議する予定です。
次の発表事項は、東日本大震災津波による被災土地の不動産鑑定評価の一括実施についてです。
東日本大震災津波によって被災した土地の価格を適正に算定するため、沿岸12市町村の被災地域から地点を定めて、県が一括して岩手県不動産鑑定士協会に依頼し、複数の鑑定士による多角的な視点に立った不動産鑑定評価を実施することとしました。
被災地域における土地価格の算定には、高度な知識と技術を要するため、県、市町村ともに苦慮しているところであり、特に市町村では「新たなまちづくり」などの復興事業において、土地価格に関する住民への説明が困難という問題もあるとお聞きしています。
このような状況を踏まえ、高度な専門知識を有する不動産鑑定士により詳細な調査を行うことにより、被災地域の土地価格水準を把握し、今後の復旧・復興事業で行う鑑定評価の目安となるよう、被災市町村支援の一環として実施するものです。
また、県が沿岸12市町村の評価地を一括して不動産鑑定評価を行うことによって、土地価格に影響する要因に関する考え方や判断基準について統一が図られ、公平性が確保されること、さらに、今後行われる土地価格の算定や不動産鑑定評価の指標となるなど、効果が期待されるところです。
なお、沿岸地域の土地価格に関しては、国出先機関、県、市町村及び公共公益事業者で組織する「岩手県の被災地における土地価格の情報連絡会議」において情報共有等を行い、引き続き、公平性や適正な補償を確保していくこととしています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項につきまして、各社から質問があれば、社名を名乗ってからお願いします。

記者
再生可能エネルギーについて、知事の再生可能エネルギー導入に対する意義の考え方と、取組みへの意欲を、改めて設置に当たってお願いします。

知事
昔、カスリン、アイオン台風があって岩手が大きな被害を受けた時、東日本大震災が起きる前は戦後最大の犠牲が出た災害はカスリン、アイオン台風だったのですが、北上特定地域総合開発計画を国が策定して、それは国による複数県にまたがる地域開発の第1号に指定されたのですが、その結果、国がいわゆる5大ダムを直轄事業として行い、また一関遊水地のような事業も直轄で行うこととなり、それに呼応する形で県が企業局を立ち上げて、県としての発電を行ったり工業用水を活用して、市町村が主体的に企業誘致するわけです。そのように工場誘致も大きく進んだり、また、水の管理という観点からは農業や畜産業も大いに振興が図られたりという、この災害からの復興を契機にして地域資源を活用する治水という災害対策が、そのまま水を活用した地域開発につながったという前例があるのです。今回の東日本大震災からの復興においても、大きな被害を受けた岩手の沿岸、この沿岸から北上高地というのはひとつながりであり、この岩手の半分を占める北上高地から沿岸という土地を国の直轄事業で復興道路などを行い、この地域を人や物の移動をより良いものにして、そしてこの土地が持つさまざまな可能性を生かしていく中に再生可能エネルギーの振興が大きな柱として期待されていると思います。そして、被災した市町村においても、大きな期待が持たれているとも理解していますので、県と市町村、力を合わせながら再生可能エネルギーの推進を進めていくことができれば良いと思います。

記者
地価の件です。今回、県として独自に被災地12市町村について、震災後の地価の現状について調査するということなのですが、これまでも国並びに県の方で半年に1回ずつ地価公示等で調べてきて、また先日の発表されたものでは、一応ある程度の数値を見込んで地価が発表されました。まず、国等が行っている地価公示と今回のものは、どういうところに違いがあるのかということが1点と、あと先ほど被災12市町村の中で地点を選んでということだったのですが、大体何地点くらいを想定しているのかという点について、お伺いしたいと思います。

知事
国が普段行っている地価公示の仕組みは、私はちょっと今知識を持ち合わせていないのですが、今度県が行おうとしていることのポイントは、「岩手県の被災地における土地価格の情報連絡会議」という場で情報共有を行い、複数の鑑定士の方々が情報共有しながら偏りがないよう、岩手全体として基準とか、その鑑定の仕方とかを、1つのアプローチでやろうというところに意義があると思っています。被災者の皆さんの心配は、自分の被害を受けた土地がどのくらいで売れるのかということで、厳密には売る瞬間に価格は確定するわけであって、実際売ってみないと価格が確定しないということがこの土地取引の本質です。それでは生活設計の見通しが立たないわけで、去年の終わりに全市町村の復興計画も出そろって、大体当該土地がどういう土地利用をされるかが決まってきましたので、売るとすれば幾らぐらいということをようやく鑑定できるような状況になったということで、県として一括して行おうということになったわけです。

記者
そうしますと大体、調査をいつ頃実施して、いつ頃までに12市町村の震災後の地価について公表を予定しているのでしょうか。

知事
目安としては、年度内に実施したいと思っています。

幹事社
他になければ、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問について、事前通告はしなかったのですが、2点ほどお伺いしたいと思います。
内閣の改造について所感をお伺いしたいと思います。知事のコメントでは「震災からの復興を第一に力強く進めていかれるということを希望したい」とおっしゃっていましたが、消費税増税の実現に向けて強い決意を示されたこの新改造内閣が発足したことについて、どのように受け止めていますか。

知事
発足から何日かたち、内閣からのさまざまな情報発信とか、内閣発足をめぐるいろいろな評価とかも出てきているところですが、そういうものを全体として見ると、どうも復興への力の入れ方が足りないのではないかという懸念が私の中に頭をもたげ始めています。もっと復興ということを前面に出して、まず日本が今取り組まなければならない、そしてやり遂げなければならないのは復興なのだと。東日本大震災からの復興であって、よく考えてみると日本全体の中でさまざまなところが荒廃しているわけで、日本全体のそうした荒廃からの復興、格差社会化の問題とか、貧困の深刻化とか、さまざまなそういう日本全体の荒廃を復興させていく、日本全体の復興の中で東日本の復興も果たしていくということを本当に国家目標として、そこに1億何千万かの国民(の心)を一つにしていくような勢いを持ってもらいたいと思います。
また復興と関連するのですが、放射能対策についても、原発事故は収束しつつあると政府は言っていますが、放射能問題としてはむしろ拡散している傾向があるのではないか、国民の間に不安が広がっているのではないかと思っています。(放射能問題については、)もう少し政府として気合いを入れてしっかりと解決するという姿勢を示さなければならないのではないかと思っています。
ですから、一に復興、二に放射能対策ということを国民全体として求めていると思いますので、そこをもっと内閣として前面に出し、他の政党に呼びかけるにしても、まずそこへの協力を呼びかけるべきだし、そして、政治に携わる人たち以外の協力もどんどんそこに求めていかなければならないのであり、そういう国家統合の中核として新内閣には頑張ってほしいと希望するのですが、少なくともスタート時点ではそうなっていないということを懸念します。

幹事社
2点目ですが、漁協についてお尋ねします。この週末に大槌町漁協の再建が断念されたということが明らかになり、それも債務超過によりということです。従前より知事は、漁協を核とした復旧・復興を目指していましたが、その方針に変わりはないのかということと、漁協に対して新たな支援をお考えなのかどうかをお聞かせください。

知事
過去債務を抱えながら、大震災によってさらなる債務を抱えていかざるを得ない、しかしながら、事業としての将来性はあり、資金繰りの問題について適切な対応がなされれば、なりわいとしてはうまくいくはずだということは、商工関係の二重ローン問題もそうなのですが、今回の大震災津波に関しては1つのポイントだと思います。漁協系統の金融機関としては、一旦、帳消しにするような手続をとった方が良いという金融的な判断で、今回のような処理になったと聞いています。魚はいっぱいいるわけであり、それを獲って売る、また加工したり、グリーンツーリズムとか、地域の宿泊施設や飲食店と連携とか、いろいろな可能性はあるわけで、漁協を核として水産業の復旧を図っていくのは合理性があると思っています。サンマの水揚げも去年の6、7割ぐらい回復しており、ワカメもそのぐらい回復するというように聞いており、そうした復旧について、他にもっと良いやり方があれば、常にどんどんアイデアは募集というか、受けているわけです。こういうやり方をすれば良いとか、そういうやり方については私たちがお金を出したいとかについては、常に受け入れており、ヤマト財団の寄附金も水産業に特に使ってほしいということで使ったりもしており、そういう意味では県の今の復興計画の基本的な進め方に従っていくことで、水産業の復興も果たしていくことができると考えています。

幹事社
他に各社から質問がありましたら社名を名乗ってからお願いします。

記者
今の大槌町漁協の話に関連してですが、県でこれから新しい組合を作るということに当たって、新たな支援策などというのは検討されているのでしょうか。

知事
基本的に、この大震災などがなかったとしても、漁協の再編とか、あるいは財務的なやり直しとかについては、県としてもさまざまな支援をします。また、大震災津波の復興関係の漁協を核とした復旧という方針の下、それに関するさまざまな事業もあり、そういった意味での支援も行っていきます。

記者
その他の話で2点ほど伺いたいのですが、まず先週から被災地で被災して仕事をなくされた方が徐々に失業給付が切れ始めるというような話があったのですが、それに関して知事の所感と、それから対策について特に県としてこれからどのようなことをしていきたいかということについてお聞かせください。

知事
この日が来ることは、前々から予測されていたことであり、それで年が改まったら、なりわいの再生というところに力を入れ、地元の中小企業、水産加工という漁業関連も含めて操業の再開、今まであった会社が再生していくということに力を入れていかなければならないと考え、取り組んできたところですが、それを力強く進めていくということが基本になります。もちろん新規の工場誘致など新しい雇用の確保についても、大震災以前から行っていたことですが、それも合わせて進めて、経済の復興、経済の振興ということと合わせて、雇用の回復を進めていきます。

記者
最後に、仮設住宅に関してですが、先週かなり寒さが厳しくなり水道管が凍結するということが各地で起きていたのですが、水道管凍結への対策、既に水抜きの指導などもされたりとか、いろいろされてはいると思うのですが、こうした事態が多数発生している中で、新たに何か考えていましたら、その辺りをお聞かせください。

知事
寒冷地にお住まいの皆様が、普段から行っているような水抜きをすれば大丈夫ということが基本ですので、その水抜きの仕方がきちんと普及することが大事だと思っています。なお、水抜きをしても凍結するという不具合が発見されているという報告も受けており、そこは施工に問題があったので、施工業者にきちんと直させるようにしていきます。

記者
年が明けてから、県職員、教員の逮捕事案が続きました。今年は、復興元年ということで、岩手県で心を一つに進んでいこうと知事は決意を示しているわけですが、そういう中で県民から見て、県庁はどうなっているのだと心配されるような事態が起きたことについての所感をお願いします。

知事
大変遺憾なことであり、教職員も含めて県として県民の皆さんに、みんなで力を合わせて復興を進めていきましょうというお願いをする立場にあるわけであり、自分の仕事をきちんとやった上で、更に復興にも何らかの形で関わっていくということを率先してやらなければならない立場において、そうした不祥事が起きるということはあってはならないこと。既にそれぞれ組織的に再発防止策に努めているという報告を受けていますが、県全体としても、ここは気を引き締めてやっていかなければならないと思います。

記者
福祉灯油についてですが、県内の市町村で独自の判断で行っているところもあるのですが、県の支援を求めている市町村が多いのですが、これから福祉灯油について県の支援の方向性についての所感を伺えればと思います。

知事
これも大震災がなくても、その年の経済情勢(灯油価格)とか、気温の具合などを踏まえて、県と市町村とで意見交換、情報交換しながら、県としても対応を決めていっているところがありますので、今回もそのように対応していきたいと思います。

記者
実施する方向と捉えてよろしいのでしょうか。

知事
今、さまざまそういう意見交換、情報交換を進めているところです。

記者
がれきについてですが、東京都の受け入れが開始して、いろいろな自治体の長も前向きな姿勢を示され、かなり明るい兆しかと思っていたところ、やはり住民レベルになると依然として不安の声が大きい、根強いところでもあります。この不安を払拭するために、知事に安全なのだというメッセージを出していただければと思います。よろしくお願いします。

知事
岩手から広域処理をお願いしているがれきについては、安全なものだけを広域処理でお願いしているものですので、住民の皆さんも安心して、是非受け入れをしていただきたいと思います。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は1月23日(月曜日)の予定です。

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