平成24年2月6日知事会見記録

ID番号 N4844 更新日 平成26年1月16日

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平成24年2月6日 15時30分から16時14分

広聴広報課
ただ今から、記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事、お願いします。

知事
それでは、まず発表事項の第1、いわて県民計画第2期アクションプランの策定についてです。
いわて県民計画に掲げる「希望郷いわて」を実現するため、平成26年度までの今後4年間に重点的、優先的に取り組む施策や目標などを盛り込んだ、いわて県民計画第2期アクションプランを策定しました。
政策編では、政策推進目標としてこれまでも喫緊の課題と位置付けてきた、人口、県民所得、雇用環境、地域医療の各分野の取組に加え、発災を踏まえ、新たに再生可能エネルギーと防災の分野の取組を掲げています。また、各政策項目には、復興計画に掲げる具体的取組の内容も盛り込んでおり、個々の施策については、復興との関連性や優先度を考慮しながら、全県一体となって推進することとしています。
地域編では、内陸地域の活力が沿岸地域の復興を支えるという観点から、被災地域の復興支援に資する取組についても記述しています。
改革編では、震災後の状況変化を踏まえ、復興を支える人材育成、限られた財源や人的資源の効果的活用、新しい公共の推進など、震災からの復興を支える「財政運営と人・組織、仕組みづくり」に重点を置いています。
こうした取組を進めることによって、大震災津波からの復興と、その先にある「希望郷いわて」の実現を目指していきます。
次に、発表事項の第2、平成24年度当初予算についてです。
資料としてお配りしているA4横の『平成24年度岩手県一般会計当初予算のポイント』1ページ「平成24年度当初予算案の状況」についてですが、予算の呼称は「いわて復興元年予算」です。東日本大震災津波の被災者一人ひとりの復興を支援し、地域の復興の流れを加速させていくことに意を用いながら、大震災津波からの復興を着実に推進していく積極的な予算です。
予算の基本的な考え方ですが、東日本大震災津波からの復旧・復興に向け全力で取り組むとともに、「いわて県民計画」に掲げる「希望郷いわて」の実現に向けた施策を着実に推進する予算として編成したところであり、復興計画に掲げた「安全」、「暮らし」、「なりわい」の基盤を復興する取組を迅速に実施しつつ、「復興計画」と軸を一つにした「いわて県民計画」第2期アクションプランの着実な推進を図っていきます。
予算の規模ですが、1兆1,183億円です。この予算規模は、平成23年度当初予算と6月補正予算を合わせた実質的な平成23年度当初予算に比較して約4,230億円、率にしてプラス60.9%の大幅増となりました。震災対応に要する経費を最大限措置した結果、予算額は当初予算として過去最大規模となりました。平成22年度以降の震災対応分の予算総額は3年間の累計で約1兆1,600億円になります。
具体的な歳入歳出の状況を見てみますと、2ページ目もあわせてご覧いただきたいのですが、まず歳入の状況についてですが、東日本大震災津波からの復旧・復興のため、震災復興特別交付税や国庫補助金のほか、各種基金からの繰入金の大幅な増加を見込んでいます。また、市町村から災害廃棄物処理を受託していることに伴って、諸収入の大幅な増加が見込まれます。一方、県債は、震災対応事業に係る地方負担分相当額が、震災復興特別交付税で措置されることなどから、減少する見込みです。
次に、歳出の状況についてですが、東日本大震災津波からの復旧・復興のため、災害廃棄物緊急処理支援事業や漁港災害復旧事業などの災害復旧事業費が大幅に増加しました。また、災害復興公営住宅等の早期の整備を促進するため、普通建設事業費が大幅に増加するとともに、被災した中小企業者に対する金融支援のため、貸付金が大幅に増加しています。一方で、公債費が今後数年をかけて償還ピークに達することや、財源対策として活用できる基金の残高が大幅に減少していることなどから、事業効果や効率性等を検証しながら歳出の徹底した見直しを行うなど、一層の「選択と集中」を図ることにより、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めたところです。
次に、3ページの「『いわて復興元年予算』における取り組みの概要」についてですが、平成24年度は東日本大震災津波からの復旧・復興、さらにはその先にある「希望郷いわて」の実現に向けて、「復興計画」と「いわて県民計画」を着実に推進します。まず、復興関係では、復興計画で掲げる3つの原則に基づき、復興の基盤となる取組を迅速に実施します。
「安全の確保」については、防潮堤等の復旧・整備や自主防災組織の育成強化などによる「多重防災型のまちづくり」を進めるとともに、復興道路の整備や三陸鉄道の全線運行再開に向けた取組を推進します。また、放射性物質の影響に対する県民の不安を払拭するため、学校、公共施設などの除染等を進めます。
「暮らしの再建」については、被災者が一日でも早く安定した生活に戻ることができるよう、災害復興公営住宅の整備や住宅再建に向けた国の制度への上乗せ支援、雇用対策基金を活用した雇用の場の創出に取り組みます。また、医療機関の診療機能の回復支援など被災地における医療提供体制を整備するとともに、「いわて学びの希望基金」を活用した奨学金の給付などにより、安全で安心な教育環境を整備します。
「なりわいの再生」では、沿岸地域の基幹産業である水産業については、漁船や養殖施設、共同利用施設などの復旧・整備を進めます。また、被災中小企業については、いわゆるグループ補助に加え、新たに全壊・流失した施設等の復旧への補助を行うとともに、二重債務の解消に向けた取組などにより被災した中小企業等の事業再開を支援します。本年4月からの「いわてデスティネーションキャンペーン」の実施による宣伝・誘客に取り組みます。
さらに、復興計画では、長期的な視点に立ち、新しい三陸地域の創造を象徴する取組として「三陸創造プロジェクト」を掲げており、国際リニアコライダーの東北誘致に向けた取組や自立・分散型のエネルギー供給体制の構築に向けた取組などを進めます。
次に、4ページをご覧ください。大震災津波からの復興は、岩手全体の復興でなければならないとの認識の下、復興計画と軌を一にし、「いわて県民計画」に基づく取組を着実に推進していきます。
「仕事」の分野については、自動車、医療機器関連など、ものづくり産業の集積を図るとともに、食、観光、地場産業など地域の特性や資源を最大限に生かした産業の振興を進めます。
「暮らし」の分野については、ドクターヘリの導入等による地域の保健医療体制の確保や、県内の障がい児療育の拠点となる「県立療育センター」の整備を進めるとともに、「新しい公共支援基金」を活用したNPO等との協働の取組を推進します。
「教育・文化、環境、社会資本」等の分野については、世界遺産平泉の理念の普及に向けた取組や平成28年に開催される「新しい岩手型国体」に向けた準備を進めるとともに、岩手の基盤を支える社会資本の整備に取り組みます。
次に、発表事項の第3、平成24年度の組織・職員体制の概要です。
発災以降、組織体制については不断に見直しを図ってきましたが、今回の組織改正では、震災からの復旧・復興を迅速かつ強力に推進する体制の整備を主眼に、事務事業の見直しを図りつつ、用地事務、災害復旧事業等に人的資源を重点配置するとともに、復旧・復興業務の進捗に応じて組織体制の見直しを図ったものです。
その主な事項について概要説明します。まず、全庁的な復興推進体制の整備に関わるものですが、市町村復興計画の策定を踏まえ、復興特区制度の活用や市町村におけるまちづくりの技術的支援を強化するため、復興局に「復興担当技監」を設置します。また、復興現地体制を強化するため、沿岸・県北広域振興局経営企画部及び宮古・大船渡地域振興センターに「復興推進課」を設置し、各2人を増員します。さらに、用地事務を担う一般事務職を20人程度、災害復旧事業等を担う土木技術職を40人程度増員します。
以下、復興基本計画の三原則に沿って説明すると、「安全確保」の分野においては、放射線影響対策、特に損害賠償請求事務に的確に対応するため、総務室に「放射線影響対策課長」を設置するほか、災害廃棄物対策の推進体制を一層強化するため、「廃棄物特別対策室」を17人体制で設置します。また、防潮堤の整備など復旧・復興に係る業務量が膨大な大船渡土木センターに所長のマネジメントを補佐する「副所長」を設置します。
次に、「暮らしの再建」の分野においては、「こころのケアセンター」を設置し、被災者に対するきめ細かいケア活動を実施するため、沿岸・県北広域振興局保健福祉環境部及び宮古・大船渡保健福祉環境センターに保健師各1人を増員するほか、被災児童に対するきめ細かいケア活動を実施するため、一関・宮古児童相談所に各1人を増員します。また、災害公営住宅の整備等住宅政策に係る推進体制を強化するため、建築住宅課の「住宅担当課長」を総括課長級に格上げします。
次に、「なりわいの再生」の分野については、被災中小企業の復旧・復興に向け、グループ補助金等を各種支援施策を円滑に推進するため、経営支援課の職員1人を増員するほか、漁港関係施設や海岸保全区域の海岸保全施設の早期復旧に向け、漁港漁村課の整備担当を「漁港担当」と「海岸担当」に改組し、それぞれ担当課長を設置します。
続いて、その他体制の見直しですが、国際リニアコライダーの本県への誘致に向け、関係機関との調整を円滑に進めるため、「首席ILC推進監」及び「ILC推進監」を既存の職と兼任する形で設置します。また、平成28年開催予定の国民体育大会について、市町村、民間等との協働を基本とした開催準備を進めるため、「国体室」を設置します。
最後に、職員数についてですが、第2期アクションプラン改革編に基づいて事務事業の点検を行い、出資法人等への県関与の適正化、業務の簡素・効率化や休廃止等の見直しにより、41人の減員を行いました。一方、用地事務や災害復旧事業等を担う職員の増員を図った結果、平成24年度当初における知事部局の職員数は、本年度より70人程度多い4,020人程度を見込んでいます。このような業務量の増加に対応する職員の増員を図るためには、平成24年2月議会において県職員定数条例を改正することとしています。引き続き、マンパワーの確保に向け、全国の都道府県等に対する職員派遣の要請や任期付職員の採用等を進めています。
次に、発表事項の第4、岩手県地球温暖化対策実行計画案についてです。
県では、地球温暖化対策及び再生可能エネルギー導入促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球温暖化対策実行計画を策定することとして、昨年2月に岩手県環境審議会に対して諮問し、審議をいただきました。
この間、東日本大震災津波による影響等を踏まえ、計画の基本的方向の見直しを行ったほか、計画素案について、パブリック・コメントや地域説明会、県議会への報告を行い、ご意見等を計画案に反映させてきました。
今般、同審議会における審議が終了し、答申をいただきましたので、別添資料のとおり計画案を取りまとめ、これを2月県議会に承認議案として提案します。
次に、発表事項の第5、岩手県産業再生復興推進計画の認定申請についてです。
本日午前、東日本大震災復興特別区域法(特区法)に基づき、内閣総理大臣に対して「岩手県産業再生復興推進計画」の認定申請を行いました。この復興推進計画は、本県における産業の集積等による雇用機会の確保・創出を図るとともに、地域の特性を生かした産業を振興することにより、被災地域の経済の安定化を図ることを目的としています。
県内市町村の意見を踏まえ、県として計画を作成・申請するもので、被災地の雇用創出を促進するための税制上の特例措置、地方税の課税免除又は不均一課税に伴う措置、医療機器製造販売業等に係る特例措置など、東日本大震災復興特別区域法に規定されている特例を有効に活用しようとするものです。
県内33市町村に計229の復興産業集積区域を設定し、食産業・水産加工業、自動車関連産業、半導体関連産業、医療機器関連産業などを主な業種として、産業の集積促進を図ることとしています。
本計画は、1月31日に申請した「岩手県保健・医療・福祉復興推進計画」に続く本県2件目の復興推進計画の申請となります。本県においては、この他、「まちづくり」、「再生可能エネルギー」などに関しても検討を進めており、復興に向けた市町村のニーズ等を把握しながら復興推進計画を作成するとともに、「国と地方の協議会」への新たな規制・手続の特例措置の提案を行うなど、順次、必要な認定申請等を進めていきます。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項につきまして、各社から質問があれば、社名を名乗ってからお願いします。

記者
平成24年度の当初予算は、過去最大規模と発表されましたが、この予算に込めた復興への知事の思いをお聞かせいただけますか。

知事
被災者支援、復旧・復興の必要に応じ、その所要額を計上して編成、調製した予算です。その結果として、岩手県として、今までで一番額の多い予算となったわけですが、それだけ去年の東日本大震災津波の被害が深刻であり、そして復興に関する事業が非常に多く我々の前にあるということだと思います。しかし、大きな一歩を踏み出すのに必要な予算を調製することができましたので、議会の了承をいただき、議会の審議を通じて、広く県民の皆さんにその内容をご理解いただき、また県外の人たちにも岩手の復興を具体的に理解していただいて、地域の底力と、そして外とのつながりの力によって、力強く復興を進めていく本予算としての復興の第1号予算、まさに復興元年予算となっていくものですので、よろしくお願いします。

記者
平成24年度予算のことでお聞きします。先ほど知事がおっしゃったように公債費のピークがここ数年で訪れるとか、主要3基金のうち今回財政調整基金から66億円取り崩さなければいけないということで、依然として厳しい財政状況には変わりないと思います。今後、復興事業でどれぐらい膨らむか、まだまだ見通せないところもありますが、今後の財政運営について、どのようなスタンス、考えでやっていきたいかお聞かせ願います。

知事
特に、被災者の皆さんの安全や健康を、公の力も使って守っていかなければなりません。そういう安全や健康が関わるところがあるわけであり、また、犠牲になった方々のふるさとへの思いをしっかり引き継いでいくという覚悟を決めて復興を進めていくということに当たっては、県民でまずやらなければならないことを、県外の人たちにも理解してもらいながら、そのための所要の額は確保するという姿勢で臨みたいと思います。

記者
次に、今回、震災対応分は所要の額を計上され、今後もそういう考えだということですが、一方で通常経費分は今後スリム化を進めないといけないと思いますが、そこら辺についてはどうですか。

知事
そこはかなり通常分については絞った予算になっていて、通常分だけ見れば前年度よりもかなり少ない額の予算、平成23年度6,953億円に対して6,532億円となっていて、そこは今まで続けてきた行財政の効率化、集中化を継続した予算になっています。

記者
予算について2点伺います。1点目は、例えば住宅の(建設購入に対する被災者生活再建支援金への)上乗せとか、(住宅再建のための補修に要する経費の)半額補助など、基本的に税金を個人の私有財産に資するところに補助金として使うべきではないという大原則がある中で、かなり思い切った予算だと私は思っているのです。そういったところで、やはり復興にかける、それだけの思いをかけて復興しなければいけないという知事の予算に対する思いといいますか、いろいろ伺っているのですが、もしそういうところがあれば、もう一言お願いします。

知事
衆議院議員時代、災害対策特別委員会に結構長く(所属して)いて、被災者生活再建支援法ができて発展していくプロセスをかなりそばで見ていたというか、さまざま修正案を出す作業に加わったりしたこともあります。そういう個人的な経験もあるのですが、県組織としても、今の国の被災者生活再建支援制度の基本100万円で、家を建て直すならプラス200万円は足りないと主張しており、発災以来ずっと国に上乗せを要望していたのですが、国の法律がなかなか変わりそうもないので、まずやれることを地元でやろうということです。やはり必要に応じて所要額を積んでいくということを基本に、人間本位、被災者・被災地に寄り添ったことをしていかなければならないと思っています。

記者
もう一点、先週、陸前高田に行って来ましたが、例えば仮設に入っていらっしゃる方が「5年たってもどうせ防潮堤なんてできないでしょう」とか、「県のやっていることだから」という声があり、「それは違いますよ」とその場で否定したのですが、県のやっている取組がなかなか住民レベル、被災者一人ひとりのレベルまで、まだ十分に伝わっていないとその時感じた面があります。例えば予算のことに関しても、被災者にどう伝えていくかというか、分かってもらうための知事の考えとか、より伝えるとか、分かってもらうという姿勢をどう浸透させていくかというところについてはいかがでしょうか。

知事
報道関係の皆さんも、そうやって悩んでいるようですが、昔からある課題ではあるのですが、県で工夫していることの一つとしては、県で出した(広報誌)「いわてグラフ」にも書いておいたのですが、一人一復興計画ですと。それぞれの生活を再建し、働きたい人がきちんと働いて稼いでいくことができるようになり、また、子どもが学校に通って手に職を付けていくというような、そういう1世帯ごと、さらには一人ひとりの復興計画というものを立てていきましょうという呼びかけをしており、そのために必要な情報を収集していくということにつながってくれればと思います。
本当は予算書というのは、県民の財産であって、一人ひとりの県民にとって隅から隅まで全部知っておいてもらえれば、それに越したことはないのですが、被災者の皆さんは、特に時間が大切なところもありますので、それぞれの必要に応じたところの情報をきちんと把握して、自分の計画を立てて、そして暮らしや仕事や学びの再建につながっていくように県として呼びかけ、かつ支援していくようにしています。

記者
あまり良い質問ではないのですが、今の質問にもあったように国の支援策で手が回っていないところにかなり県独自として、いろいろと今回の予算に盛り込んだと思うのですが、その中でも知事として、特にこの辺の思い入れがあるというか、この辺は非常に県として工夫したような施策はありますか。

知事
いつも総合性が大事であって、とにかく雇用が今最大の課題の人もいれば、親御さんの介護が最大の課題の人もいれば、子どもの学校が最大の課題の人もあり、それぞれに応じてということだとは思います。あえて何か一つ例を挙げるとすれば、まだ本当に最初の一歩なのですが、療育センターの事業予算を今回計上することができ、特に重度障がい児は、災害において最大弱者と言っていいと思うのです。岩手としては、そういう最大の災害弱者と言えるような重度障がい児の人たちのためにもきちんと手を打っているというところは、ひとつ全体を象徴するものと言ってもいいかもしれません。

記者
もう一点、組織の方で細かい話ですが、今回本庁の復興局には、今ここにもあるように副局長2人を1人にするということで、それに替わって「復興担当技監」を置くということなのですが、「復興担当技監」はいわゆる部長級になるのでしょうか、それとも副部長級とかになるのでしょうか。

知事
私は、実はあまり「級」とは意識せずに仕事をしているところがあり、そこは人事課に確認してください。

記者
今日、知事は議会運営委員会で宮舘副知事の後任人事の選任案として、千葉政策地域部長の起用を説明されていましたが、その後任人事の意図についてお聞かせください。

知事
来週15日の議会運営委員会の場で質問いただいて、それに答えるということになっていますので、質問に対する答えはまずそこでと思っています。

記者
復興特区の件について、今回提出された産業再生特区について伺います。いわゆる復興特区法をめぐって、いろいろな特区が被災3県を中心に申請をしていて、恐らく今後、新規参入を考えている企業にとっては、法人税が5年間免除されるという非常に有利な制度であり、いわゆる被災地の雇用の回復が進む可能性があると思います。その一方で条件としては、これはもともと用意されたメニューですので、どこも同じ状況で、岩手県でも宮城県でも同じような状況になってきていて、そうすると今後、被災地間同士で企業誘致レースというか、誘致合戦が進むと思います。岩手県としては、当然、他のところではなくて岩手県へ企業に立地してほしいという意向だと思うのですが、どうやって更にプラスアルファでその企業誘致を進めていくために被災地の手助けというか、その辺りのお考えがあればお願いします。

知事
普段の企業誘致もそうなのですが、どこかとの競争という発想で行っているというよりは、岩手県内にはこういう条件の良い土地があるとか、人材育成や特徴的研究・取組をしっかり高校、大学、またはその中間の教育機関では行ってとか、岩手の良さを説明しています。また、それも岩手全体というよりも、ここにこういう良い場所があるとか、条件の良いところがあるということを、市町村と一緒に、市町村レベルでのアピールとか、セールスとかをしていくことが基本になります。そういうところで、復興道路によって内陸と沿岸の移動も、また沿岸における移動もより便利になって、岩手をより自由自在、縦横無尽に使っていただけますとか、そういう復興計画の中身も紹介しながら、岩手の良さを説明していくことが基本になると考えています。

記者
発表事項と別なことで恐縮ですが、10日の日に復興庁が発足して、復興局も岩手・宮城・福島に置かれるわけですが、それに対する期待と、復興庁になることで、特に知事が復旧・復興に向けてどういうものを望まれているかという点をお願いしたいと思います。

知事
期待しているのは2つで、1つは被災自治体の要望・提案をどんどん実行していってほしいということで、もう1つは、さはさりながら、国家プロジェクトとして主体的に復興に取り組んでほしいということです。地元の声をどんどん聞いてほしいということプラス、やはり政府には一都道府県、一市町村が知り得ないような技術的な情報とか、いろいろな経済産業関係の情報とか、法律・制度的なノウハウとかもあると思うし、あとオール東北とか、オール東日本的な観点からの復興へのアプローチということについては、地元から上がっていくというよりも、国ならではの視点に基づいてやってもらればいいというように思っています。
かつて帝都復興院という後藤新平さんの作った組織が、ただ直すだけではなくて、日本の首都にふさわしい、よりふさわしい新しい東京をつくるのだ、そして、日本全体をより良くしていくのだというようにやっていたと思うのです。復興庁が災害対策本部、復興対策本部ではなく、復興庁という国の機関としてスタートするのであれば、東北開発庁構想というものが昔からあったのですが、いわば東北開発庁的なミッションマインドも持っていただいて、被災者支援、復旧・復興から東北あるいは東日本が、21世紀にふさわしい発展をしていくことを通じて、日本全体をもっと良くしていくということを国家プロジェクトとして進めていっていただきたいというように思います。

記者
予算のことですが、先ほど知事が今回、一人一復興計画とおっしゃったように本当に切れ目ない、きめ細かい予算配分をされ今後も所要額は確保していくという決意もありました。今回、通常分で6.1%削った中で、来年度以降もどんどんこういう見直しをやっていかなければいけないと思うのですが、さすがに限界も来るのかと思います。少し先を見据えたことになってしまうのですが、今後、どのような工夫をされていく予定でしょうか。

知事
ただ切って捨てるということではなくて、復興事業の中で発展的に解消するとか、例えば沿岸の方にさまざま人やお金が集中する分、内陸からある程度、かつてやろうとしていたことを少し減らすにしても、減らす分、何か他のことで経済社会的なマイナスは補う、より少ない予算、少ない人でその効果については減らないようにするとかといった工夫を、それぞれの部局にかなりやってもらった上での選択と集中だと思っており、そういう工夫や努力の余地はこれからもあり、できるのではないかと期待しています。

記者
例えば今後、中長期的なビジョンなどを県民に示す機会は、知事ご自身の中では計画していますか。

知事
去年、選挙を通じて、かなりいろいろなやり方で県民に、直接県の復興計画の中身を伝えるということを集中して行ったという気持ちはしているのですが、もう一回同じことをやるわけにもいかないので、「復興だより」のようなホームページ上での情報発信とか、かなり工夫はされていると思うのですが、これ以上良いものはないと決めつけないで、更なる進歩・改善を常に意識していければと思います。

記者
先ほど知事が少しお話しになりました療育センターのことについてですが、震災を経てということもありますが、多くの人が待ち望んでいた施設かと思います。今後、センターに込める知事の思いをもう少しお聞かせいただければと思うのですが。

知事
大震災前においても、宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という考え方が県民にも広く共有されているとか、平泉の「人と人、人と自然との共生」の理念とか、さかのぼれば縄文時代以来の岩手の風土の中で育まれた「共生」というありようからしても県民が望むような療育センターを実現していかなければならないということで、いろいろ準備してきたところです。今回の大震災によって、やはり重度障がい児の皆さんが非常に困難に直面し、その家族の皆さんも含めて、こういう非常事態に対応できるような療育センターをきちんと造らなければならないなという思いを新たにし、今回事業化したところです。

幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問がありませんので、各社からほかに質問があれば、社名を名乗ってからお願いします。

広聴広報課
他に質問がないようであれば、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は2月16日(木曜日)の予定です。

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