平成22年4月9日知事会見記録(臨時)

ID番号 N5020 更新日 平成26年1月16日

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平成22年4月9日 14時00分から14時52分

広聴広報課
ただ今から臨時記者会見を行います。
知事から県内建設業者に対する指名停止及びこれに係る経済・雇用対策と業界指導について発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
県内建設業者が独占禁止法に違反し、公正取引委員会から排除措置を命じる審決が出されたことを受けまして、本日建設業者76社及び1経常共同企業に対し6カ月の指名停止を決定しました。
今、本県の厳しい経済・雇用情勢を改善するために、県経済の活性化や雇用の確保に向けた取り組みを推進しています。そのような中で、本県発注工事で、初の独占禁止法違反を認める審決が出されたことは誠に遺憾なことであります。指名停止措置は、ルールに従って公平、公正に行うことが求められているものと承知していますが、今回の指名停止に当たっては、現在の厳しい経済・雇用情勢を考慮し、県行政全体の責任者として県民の暮らしと雇用を守る観点から、県として最大限の配慮を行うため特別の決定をいたしました。
県としては、今後も公共工事における入札、契約手続の透明性の確保や公正な競争の促進等に取り組み、県民から信頼される入札を進めていくとともに建設業者や建設業界に対しては、今後二度とこのようなことがないよう法令遵守や県民の信頼回復に向けて徹底的に再発防止に取り組むこと、同時に雇用の確保のための最大限の努力を行うことを強く要請します。
県民一丸となって直面する経済・雇用の危機を乗り越え、県民一人一人が希望を持って元気に頑張ることができる岩手をつくり上げていくために、何とぞ県民の皆様にもこの指名停止についてご理解を賜るようお願いいたします。
次に、この措置に関連する経済・雇用対策についてです。地域経済の振興と雇用の安定を確保する観点から、今回指名停止措置を受けた企業を含めて経営の安定や新たな分野への進出等に取り組もうとする企業に対しては、産業振興施策、金融支援施策、雇用安定施策等を活用して対応します。具体的には、新分野への進出など新たな取り組みを行おうとする企業に対しては、中小企業成長応援資金による融資、いわて希望ファンドやいわて農商工連携ファンドによる補助、建設業新分野進出等対策事業などにより対応します。経営の安定に支障が生じる企業に対しては中小企業経営安定資金、日本政策金融公庫のセーフティーネット貸し付けなどにより対応します。
企業の相談に対しては、県庁や広域振興局等において資金繰りや雇用・労働に関する相談に対応するほか、商工関係団体等にきめ細かな対応を要請します。離職者が発生した場合には、各地域の雇用対策協議会等を通じ生活支援、雇用の創出、就労支援などの分野できめ細かな対応を行います。
最後に、指名停止措置に伴う社団法人岩手県建設業協会に対する県の指導についてであります。県では、4月7日に建設業協会から公正取引委員会審決に対する業界としての取り組みについて説明を受けました。建設業協会の取り組みは、今回の事件を単に審決対象企業の問題と済ませるのではなく、建設業界全体の問題としてとらえ、取り組んでいくというものであり、法令遵守、企業倫理の高揚、体質改善、社会的責任、社会貢献、協会役員の刷新等に取り組んでいくというものであります。県は、公益法人を指導、監督する立場から、建設業協会に対し、協会の取り組みの実効性を高めるために指導、助言を行うとともに取り組み状況の報告を求めていきます。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、各社からご質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
対応の関係になりますけれども、行政処分を受けた民間企業に対する金融機関の融資等に影響があるのではないかという心配もありますが、その辺のところについて、県として対応を考えるのかどうか、その辺を教えていただけますか。

知事
課徴金、賠償金といったことについて融資をするのは困難だという、そういう民間金融機関からの話は聞いているところであります。そういったところは、それぞれの会社がしっかり自分たちで用意をしていかなければならないところだと思いますけれども、それによって本業の方の資金不足が起きるといったことについては、先ほど紹介したようなさまざまなスキームを通じた融資というものが可能だと思っていますので、県としてもそうしたところを支援していく考えです。

記者
県として、そういう制度資金の融通をきかせるのは実施していくという方針ですけれども、いわゆる民間の金融機関が、これによって貸し渋りとか、建設業者の財務体質を悪くするようなことも懸念される声もあるのですけれども、金融機関の対応について、県の方から何か要請等を行う用意はあるでしょうか。

知事
金融機関としての経営の戦略、また社会的な責任の考え方はいろいろあるのだと思います。県としては、今回のペナルティーに直接かかわる部分以外のところの経営改善でありますとか、資金繰りでありますとか、そうしたところについては、これはしっかり支援していきたいし、また民間金融機関にもそこはお願いをしていかなければならないと思っています。

記者
何点かあるので、1つずつお伺いしますが、まず1点です。指名停止の関係の措置基準の中で、特別の事由に該当する場合には半分、2分の1まで短縮できるという規定があったかと思いますが、そもそも今回の経済情勢を勘案したということですけれども、特別な事由に該当するという認識で短縮を決断されたのでしょうか。

知事
今回は既存のスキームの中にある特例措置ということではなく、全く今回限りの総合的な判断による決定と理解していただければと思います。

記者
建設業協会から、一昨日、知事に対して再発防止等々報告あったということですけれども、知事の評価をお聞かせください。

知事
役員の刷新ということから始まって、今回のことをしっかりと重く受けとめて再生に向けて取り組んでいこうという、そういう方向性は出ていると思っています。ただ、県としてしっかり指導、監督しながら、そういったことを確保していかなければならないと思っていますので、その1回の報告や文書の提出等で終わりということでなく、そこはしっかり今回のようなことの再発防止、さらに広くこの入札の公正、健全性の確保、そういったルールを守り、社会的責任を果たしていくという業界のあり方についてしっかり取り組んでいくように引き続き指導、監督していく必要があると思っています。

記者
経済・雇用対策の欄にある補助金についてなのですが、かつて談合が認定された業者から、例えば建設業の新分野に対する補助金とか、これを交付申請あった、いわゆる不正に関与したとされる業者に補助金を支出するのは不適切だということで、申請を認めなかったという事例があったと聞いています。今回の例は、今回に限った特例になるのでしょうか。

知事
ケース・バイ・ケースだと思っておりまして、今回6カ月の指名停止というのは、やはりペナルティーであり、そういうペナルティーを課す必要があると、そういう必要性は感じています。ただ、同時に、今回のことがなくても岩手の経済全体として下支え、また足腰の強い経済構成の転換という政策があり、特に建設業界というのは公共事業が減っていってもやっていける、持続的にやっていける安定した力強い構造への転換ということが求められていますので、そういう公益的な公の利益という観点と、あとその企業にとっての利益というあたりを案件ごとにきちんと見定めながら判断していくということになると思います。

記者
それから、県では近年景気下支え策として、公共事業の前倒し発注をやっていると思います。平成21年度で、上半期の6カ月で当初予算で予定する建設工事の約9割を発注したという実績があると思いますが、平成22年度は6カ月ということで、仮に建設業者の経営支援とすると6カ月の間に大体発注が終わってしまうと思うのですが、これに関しては方針を改めるお考えなどがあるのかどうかお聞かせください。

知事
今年度において公共事業の発注を前倒ししていくという方針は、これは変更しない考えであります。県全体の経済を考えたときに、やはり早目、早目に事業を発注して、仕事や、またお金の流れを作っていく必要があるという、そこに変更はありません。今回の指名停止によって、建築A級の業種では、県内の入札参加資格者の約7割を占める業者が指名停止になるということではありますが、残された県内資格者が20社以上ありますので、直ちに県内業者の参入が困難になるわけではないと考えております。ただ地域とか分野の中で会社が数が足りなくなるようなことはあるかも知れませんが、基本的な方針としては、公共事業を前倒しして発注していくということに変更はありません。

記者
知事は、公取委の審決をご覧になったかと思いますが、今回の談合が行われたと認定されたこの背景というのは、知事はどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。

知事
そこはいろんな要因があるのだと思います。公取委の審決の内容として、反論の中では、実際には受注しなかったところもあるという反論もあるのですが、実際に受注した、しないにかかわらずそうした調整をする、そういうグループを作ってはいけないし、そこに参加してもいけないということが公正取引を確保しようとする審決の趣旨であり、それは本当にその通りで、関係者はそこは重く受けとめなければならないし、今回それにかかわらなかったところも、そういったことがあってはならないということはきちんと判例といいますか、そういう前例として受けとめていくべきだと考えています。

記者
処分、県の措置に関して、業者は下請を認めてほしいということと、賠償金に関しては分割納付を認めてほしいと言っていましたけれども、この点に関してはどういうふうに対応するのでしょうか。

知事
今回6カ月の指名停止期間については、これは普通の指名停止と同じ扱いで、特に下請については免除するというような特例を設けたりはいたしません。賠償金については、これは公正取引委員会のほうの課徴金が決定されてから、その課徴金納付命令の状況を確認した上で損害賠償請求については対応していくことになります。

記者
先ほど県の措置基準の話が出て、既存のスキームにあるのではなくて、今回限りの特別な措置というようにおっしゃいました。これは、つまり現在の県の措置基準の中では、経済情勢を理由にした情状酌量は認められておりませんが、これにとらわれずに判断したというふうな意味でよろしいでしょうか。

知事
今の措置基準の特例というのは、何か発注者側に犯罪的なことがあったとか、よほどのそういう例外的なことで、今回のケースはそれには当てはまらないと考えています。

記者
となると、定められたルールから逸脱したというような判断になるということにはならないのでしょうか。

知事
実際にどういう形で入札を行い、また発注者として入札に不正があった場合、どういう事後措置をとるかということは、県当局においてしっかり決めてやっていくべきことと考えております。県は入札の適正化、そういう公正取引の確保ということについても責任はありますけれども、同時に広く県民の経済、社会、暮らしや仕事にも責任を負っております。今のような状況の中で12カ月の指名停止をこの関係者すべてに行うことで、岩手全体の経済、社会に引き起こされるであろうダメージの可能性を考えたときに、その措置をとるのはかえって責任ある対応にならない、今回はこの6カ月という指名停止を行うことが総合的に考えて責任ある対応だと判断しました。

記者
以前の定例記者会見で、この12カ月の措置を含んだルールについて、反省を担保する仕組みだとおっしゃいました。それに関連してお伺いします。業者は、一貫して公取委の審判で5年間、談合についてないというふうに否認してきました。これについてどのようにお考えでしょうか。

知事
独占禁止法に基づいて適正な反論や、また再検討といった手続が行使されてきたと思っております。そういう中で、最終的に今回の審決が出たということで、それは重く受けとめなければならないと考えています。

記者
今回半減したということなのですけれども、先ほど知事がおっしゃっていた中で、信頼回復に努めて二度と起こさないようにと業者に求めたいとおっしゃっていましたが、ルールがある中で半減することによって、また同じようなことを繰り返すのではないかという声も実際別の業者からは上がっています。その辺についてはどうお考えでしょうか。

知事
6カ月という指名停止は、決して甘い措置ではないと考えます。また、岩手県建設業協会でも今回のことにかかわる会社から県建設業協会の役員になっている者をやめさせて、役員体制を刷新するということから始まって再発防止、コンプライアンスの確保等に関してきちんとした方向性が出ているので、あとはそこを県がきちんと指導していけばいいと考えています。

記者
あともう一点、今回80社近くが対象になりましたが、業者数が少なければもっと重い判断になっていたということもありますか。

知事
当局としては、今のような経済情勢の中で、今回起きたようなことについての対応を検討するのが仕事でありますので、それ以外のことについては、特に頭の中にはありません。

記者
業者数は関係ないといったことでよろしいでしょうか。

知事
まず、起きていることに対応していくのが仕事ですので、それをきちんとやっていこうという考え方です。

記者
1つ確認なのですが、経済・雇用対策については、これは既存の制度を今回も使うということで理解していいわけですね。このために新たに何か措置するということではなくて、ここに列挙してあるのは既存のこういう制度が使えますよというのを紹介していますということなのでしょうか。

知事
この後、副知事が座長となって対策会議を行いますが、何か新しい予算措置を行うとか、今までない事業を行うということではありません。特に経済・雇用の危機を克服していくということで、平成22年度予算においてかなり手厚い企業経営支援とか、失業対策的なことが盛り込まれていますので、スキームとしては、それを使っていくということであります。ただ県であれば県の窓口において、今回の関係でそういう関係会社の方をちゃんとウォッチして、何かあればすぐ対応できるように心がけておくというところが対策になると思います。

記者
今回の県の判断を多くの市町村が自分たちの自治体での処分を決める際の判断材料にするというような声が出ているのですけれども、今回県が示す判断の持つ重みということは、今回決定に当たっては留意されたのでしょうか。

知事
それぞれの発注者がそれぞれ自分で自分のところについて責任を持って決めていくのが基本だと思っております。ただ、今の県全体の経済・社会情勢を県がどうとらえているかというようなことは、今回改めてこういった形で明らかにされるということで、そういったことはそれぞれの市町村の参考にもなるとは思います。

記者
先ほど6カ月の指名停止というのは決して甘い措置ではないというお話しでしたけれども、一方で当該業者からすれば6カ月、当初短縮を求めていたことからすれば6カ月になってやれやれというところかと思うのですが、一方でそれ以外の業者からすると甘いのではないかという声が当然あろうかと思いますし、基本的なルールを経済・雇用を理由に変えるということに対しては、当然批判もあろうかと思うのですが、その辺りについてはどのようにご説明されていくのでしょうか。

知事
ペナルティーとしては効果があると思っています。そして、個々の企業に対して寛大な措置として普通12カ月のところを半分に短縮したということではなく、考え方としては、県全体の経済・雇用情勢を見てということです。というのは、経営の破綻とか、それに関連しての失業とか、そういったことがこれだけのスケールになってくると当該関係企業だけにとどまらず、規模が広がってくれば、取引先企業とか、商店街や飲食店とか、そういったところにまで効果が及ぶ危険性がありますので、そういう最悪の事態を避けるために期間を6カ月としたところであります。その県全体の経済、社会を守るという利益とペナルティーを徹底するということは相反するところがあり、ペナルティーを徹底すべきという観点からすれば批判があり得るということは理解できます。

記者
同様に、半年とした北海道も最終的に戻したような形になったかと思いますが、そのそきの事例は今回の決定に当たっては、その当時の状況などについて考慮に入れたというか、検討されたのでしょうか。

知事
今回、北海道の例も含め日本のいろんなところで行われたそういう数の多い独禁法違反等のそういうケースについて、各種いろいろ調べた上でのこの結論であります。

記者
本事案に限定した措置ということなのですけれども、例えば再発防止策は、これまで県もいろいろとってきたと思うのですが、今後同じような経済状況で、同じような事例が仮に起こった場合は、こういう措置は6カ月にはしないで12カ月を原則とするということなのでしょうか。つまり、今回の措置は一切前例としないという解釈でよろしいのでしょうか。

知事
分かりやすい表現を使えば前例としないという理解でいいと思います。また、こういう大規模な独禁法違反が起きるということはあってはならないと思っていますし、またそういったことは今のような100年に1度という言葉もありますけれども、少なくとも10年、20年に1度のような経済情勢のもとで起こるということも考えにくいので、今回のことを前例とするわけではないという理解でいいと思います。

記者
経済状況とかを鑑みて、それでやるべきことを判断したということだと思うのですが、そうすると措置基準自体が意味をなさなくなってしまうのではないかという見方もあるかと思います。この措置基準を見直して、その時々で知事がその範囲の中で判断できるような形に改めていくというお考えはないでしょうか。

知事
今回は、措置基準自体を見直すということはせずに、あくまで今回のことについてのいろんな検討をしていたところであります。そして、入札制度全般については、これは常に見直しをしていかなければならないと思っていますが、県としての問題意識が高いのは、いわゆる低入札問題、低価格による入札という問題であり、そこをどう解消していくかというところを今いろいろ知恵を絞っているところで、それ以外の論点についての見直しというのは今のところ予定しておりません。

記者
そうすると、今後も同じようなことが起きる可能性が出てくると思うのですけれども、つまりまた同じようにたくさんの数の談合が認定されるようなときにきちんと基準をつくっておいた方がよいのではないかという声も大分業界とかも含めてあるのですけれども、今のところ知事は基準の見直しを今後の課題として考えてないということですか。

知事
まず事実として見直しの作業は行っていないし、そういう予定もありません。そして、基本的な考え方として、広く建設なら建設業に携わる会社が会を作って、その中で受注調整を行うということは、とにかくあってはならないということで、それを防ぐためには県もペナルティーをもって厳しい措置をしていくという基本方針には変わりがありません。

記者
4月7日に建設業協会さんがいらっしゃって、取組を表明されていったということですが、我々の今までの取材の中では、談合があったという審決を真っ正面から受けとめて謝罪されたというほどのところまでは団体のほうは言ってなかったのかなと思うのですが、その中でどの程度認めて、反省する姿勢を知事さんに示されたのかというところをお伺いしたいのと、あとは審決を不服として提訴しようといるところがあり、ここは談合がなかったことで、もちろん反省もしていないのだと思うのですが、そういうところに対しても今回寛大な措置を一緒に講じるということになるかと思うのですが、ちょっとその反省の心がないところに寛大な措置を出すのは県民感情としてみればどうかと思う人もいるのですが、その辺りはどうでしょうか。

知事
まず、建設業協会等の要望の中で寛大な措置を求めるという言葉は使われていますが、県としては今回寛大な措置としたというつもりはなく、やはりペナルティーとして、これは6カ月の指名停止というのは効果的なペナルティーだと思っております。それから、今まで公正取引委員会と争っていたわけでありますので、そういった反対論の先頭に立ち、指導的立場にあった会長が辞任することになり、新体制になるということは、それは全体としての姿勢の転換を示すものだと理解していますし、会長代行からの報告や提出された文書では、そうした再出発への方向性がきちんと出ているというふうに理解しているところです。それがきちんとした方向に向くように、県が指導、監督する必要があるというのは縷々述べているとおりであります。
この審決に対して、さらなる異議の申し立てができることにはなっているのですが、過去に審決が出た後で、それがひっくり返った例はないということで、万が一そうしたことが起きたときには、その時点で指名停止を停止するというようなルールはあることはあるのですけれども、そこは淡々とルール通りにやるということになると思いますが、まずは今回の審決の段階で、県としてこういう措置を決定するタイミングだということで今回決定したところであります。

記者
今回6カ月にされた理由として、先ほど今回指名対象となる企業以外にも及ぶケースを避けるというお話があったのですが、具体的に12カ月の場合と6カ月を比較して数字とか、具体的な根拠があってという判断なのでしょうか、それとも先ほど総合的というお言葉がありましたけれども、いろいろ勘案してということなのでしょうか。

知事
突き詰めれば、そこは総合的な判断というのが答えになります。なお、措置基準の中の短縮措置の規定の中に2分の1というのがあったことを参考にしたということはあるのですが、何か一定の積み上げ根拠のような形で数字を決めているというものではありません。

記者
あともう一点ですね、今回違反行為の対象となっているのは106社、県内でいえば80社になると思うのですけれども、今回は指名停止自体は76社と1共同体ということで、この審決と関係ない、審決には入っているけれども、今回指名停止にならない企業というのはどういった企業になるのでしょうか。

知事
それは入札参加資格のないところが指名停止の対象にならないという技術的な理由であります。そこがいろんな資格を取得して入札参加対象になればなった時点で指名停止の対象にもなります。

記者
原則の12カ月になった、もし指名停止した場合の影響、総合的な判断に至る前の影響度合いの予測というものはどのような予測のもとに進められたのでしょうか。

知事
これも何が起こるか分からないというような、そういう危険性でありますので、いろんな会社、研究機関というのでしょうか、そういうところが発表していることとか、いろんな経済関係の団体の考え方、これは要望書を提出された商工会議所連合会とか、農協五連とか、あとは連合岩手とか、そういったところの考え方も含めてですけれども、そういったオール岩手をカバーするような経済産業関係団体の意見とか、県のいろんな振興局等の現場の意見でありますとか、そういったものを総合的に勘案して判断したというところです。

記者
原則12カ月にした場合の影響というか、そういうものはどのように予測した上だったのかという点を、もし答えられるのであればお願いしたいのですが。

知事
個別の企業の経営ということは、例えば今回6カ月の指名停止ということについても、それで関係のすべての企業が生き残れるかどうかということについては、これは分かりませんし、それぞれの企業の個別事情によっていろんなことはあり得るのだと思います。そういう意味で、いざというときの経営支援とか、失業対策的なことも並行して強化するわけであります。そういった何が起こるか分からない、かなりきついことになるかも知れないという度合いが12カ月の指名停止では県全体にとって耐えがたい、一線を越えてしまうだろうという判断です。

記者
先ほど知事が6カ月の指名停止は効果的だということを繰り返されているのですけれども、何を根拠に効果的なのかというところを伺いたいのですが、お願いします。

知事
そもそもそうでなければ、いろいろ得られるであろう利益、ビジネスのチャンスというものが6カ月間停止されるというのは、関係する会社にとっては大きなダメージだと思います。今回課徴金や賠償金といったような、そういう直接的なペナルティーもこれはあるわけでもあり、それと指名停止によって失われる機会を合わせるとこうなんだったら、そんな受注調整なんかやらない方が良かったというような認識につながるようなペナルティーだと考えています。

記者
その県の見解の答えとして12月というのがあると思うのですが、その半分の6カ月でも効果はあると信じていらっしゃいますか。

知事
はい。

記者
関連してですが、その6カ月が厳しいペナルティーだというニュアンスは、つまり先ほど触れました前倒し発注をそのまま実施するので、実質はほとんど年間の工事が受けられないということで厳しいということなのか、あるいは厳しい経済情勢だから、6カ月耐え忍ぶだけでもきついだろうという意味での厳しいというニュアンスなのか、どちらでしょうか。

知事
制度の趣旨は、二度と談合のような独禁法違反を起こさせない、まだやってないようなところについても、やっぱりやってはだめなのだなという認識を持てるような、それがペナルティーの目的、効果だと思いますので、それは達成される水準だと思います。

記者
それから、6カ月ですと、9月補正以降の発注工事は受けられると思うのですが、そのあたりは念頭に入れて6カ月というのは決めているのでしょうか。

知事
念頭に置くというのは。

記者
当初予算で見込んでいる建設工事は、なかなかかなり秋以降は減るので受けられないですが、秋以降、仮に例えば国の経済対策などがあったとして、9月以降に補正を組んだりして事業を実施すると思うのですが、それらは受けられると思うのですが、その辺りで経済・雇用対策にはなるということで、それも想定、シミュレーションして6カ月というのを決めたかどうかお聞かせください。

知事
そういうのを詰めれば詰めるほど、ではどういう事業、何円ぐらいがその時点であるのかというのは不確実ですし、またそれを指名停止を受けたところが解除されれば落札できるのかというと、それも実は一つ一つやってみなければわからないことなので、数値的に厳密なシミュレーションというのは難しいと思うのです。したがって、マクロで大きく見たときに、やはり今の経済・社会情勢でこれだけの数の会社に1年間の指名停止というのは、これは当該企業のみならず県全体に深刻な影響を与え、一線を越えてしまうということで判断して6カ月にしたという考え方です。

記者
最後なのですが、先ほどもちょっと似たような質問があったのですが、市町村の中には、一部市町村はもう既に県の対応を待たずに措置を決定していますけれども、多くの市町村は県の対応を見てから決めるということで、今日県が短縮を決めたということで、これから県に倣う市町村がふえてくると思います。そのあたり、市町村に対するメッセージも含めて半分にしたという特例措置をとったということでしょうか。

知事
それぞれが、それぞれの責任において決めるのが原則という理解でおります。ただ、参考にしてもらう分には、そこはやぶさかではないところですので、いろんな理由とか考え方とかを詳しく説明しているところであります。

記者
先ほど1点お伺いし忘れたのですけれども、決定が2週間以上経ち今日に至った理由について教えてください。

知事
1つは、普段であれば指名停止ということについては、課長あるいは部長の決裁で行っているのですけれども、今回は知事決裁としましたので、決裁に必要となるいろんな根拠や資料整理とか、そういった詰めの作業をいつもよりも分量的に多くやる必要があったということがあります。
あとはその当事者がしっかりと反省し、今後の再発防止再出発に向けて、きちんと進んでいけるかどうかを見定める必要があったというように考えていまして、その点は4月7日の県建設業協会会長代行からの報告をもって一定の方向性が見えたと判断したので、最終的な私の決裁が今日になったということです。

記者
あと6カ月にした措置の話で、今まで上がった論点以外に、県の定めるルール、正当性が傷つくのではないかというふうな懸念、論点もあり得ると思うのです。法やルールというのは、恣意的な運用をしないためにお互いの契約関係を示すようなものとして定めるわけですよね。それがルールを定めた県自体が、ルールからある意味超越した判断をするというようなことになれば、県が定めたルールを県が則らないなら、私もそれに沿わなくてもいいのではないかというふうな論点も、乱暴ですが、あり得ると思うのです。そういう観点から、県の定めるルールの正当性が今回の決定で傷つくのではないかというように考えられるわけですけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

知事
どういう状況の下でも、ルールがあるならそのルールをきちんと守るべきだという主張はあり得ると思いますけれども、ただ状況によってルールにはなかった、新しい状況に対応した決定を行うということは、必ずしもその決定を行った主体の正当性を傷つけるものではないと考えます。

記者
建設業界に対する指導などは今後行っていくということだったのですが、今回の事案で建設業者に対する厳しい目線というか、県民の方々非常に疑問に思ったりしていると思うのですが、6カ月ということで、今後知事として建設業者が信頼を回復するためにどういったことを業者に求めていきたいか。説明をしてほしいとか、入札に対する透明度を高めるとか、県の対応をまた改めるとか、そういうこともあると思うのですが、信頼を回復するためにどういうことをしていかなければならないかとお考えかをお聞かせ願います。

知事
建設業協会会長代行の報告の中では法令遵守、企業倫理の効用、体質改善、社会的責任、社会貢献、協会役員の刷新という4項目の取り組み事項というのが挙げられていましたので、まずはこれらをきちんとやり、またそれをやっているということがちゃんと広く県民にも分かるような形で、そういう説明責任というものが建設業協会にもあると思っていますので、そういう方向で指導していきたいと思います。

記者
あと発注する側の県としても、今後いろいろな対応で、いわゆるこういう建築工事だったり、建設業者への発注については疑心暗鬼になられているところもあると思うのですが、何か対応を変えられるとか、もうちょっと説明を分かりやすくしていくとかという対応をしていくことはありませんか。

知事
最近生じているのは、談合で価格が高どまりするということより、むしろ厳しい競争入札の中で異常に低い価格に最後落ちついてしまうということがどんどん増えているというところですので、むしろそういったところを是正していくことが、今特に課題であると考えているところではあります。今回の事件は事件として、それと並行して、やはり談合を禁ずる、独禁法を遵守する、そういった働きかけは随時県の方からも関係会社や関係団体にしてきたところで、その成果は着実に上がっていると考えていますので、それを気を緩めず、こういうことでいろいろな関心も高まっていることですから、県もきちんと訴えていけばいいと考えます。

記者
審決が出る前に本年度の業務委託などで指名停止になることになった業者が業務委託を請け負うことに本年度の契約になっている業務委託があるかと思うのですけれども、それについて今回の指名停止を行うことを決めたということで、何か今年度中、審決前に契約はしているけれども、本年度の業務委託に関して何か変更する予定若しくはそれを考え直すなど方針転換することはあるのでしょうか。

知事
詳しいところについては、担当部署に確認してほしいと思います。今回6カ月の指名停止ということで、県からの発注は行わないということの決定ですので、前例もあることだと思いますので、その趣旨に沿ってきちんと対応されるべきと考えます。

広聴広報課
以上をもちまして臨時記者会見を終わります。

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