平成22年5月10日知事会見記録

ID番号 N5012 更新日 平成26年1月16日

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平成22年5月10日 10時30分から11時21分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
初めに、知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
今日の発表事項は、上海万博の関係とマンガ岩手県情報誌についてです。
まず、上海万博への出展開始及びプーアル市との協定締結等についてです。私は、4月27日から5月3日まで中国の雲南省プーアル市への訪問、上海万博の共同ブース開幕式出席、そして南部鉄瓶等のトップセールスを行ってきました。
中国雲南省プーアル市との協定締結についてですが、5月1日の万博開幕に先立って4月28日の午後、プーアル市において、同市の瀋培平書記の臨席のもと、李小平市長と正式に協力交流協定を結んできました。この協定に基づいて、5月18日から20日までプーアル市代表団が岩手県を訪問します。4月28日午前には、プーアル市が属する雲南省の省都昆明市に立ち寄り、雲南省政府を表敬して曹建方副省長と雲南省と岩手県の連携交流を活発化していくことで一致しました。
次に、上海万博への出展開始についてですが、5月1日の上海万博全体の開幕日に岩手県、プーアル市、そして上海大可堂茶業有限公司の共同ブースをオープンさせました。私とプーアル市の瀋培平書記、上海大可堂の張奇明会長、何作如名誉会長、そして谷藤裕明盛岡市長、小沢昌記奥州市長、及川敬岩手県南部鉄器協同組合連合会副会長が参加して共同ブースのオープンに立ち会いました。共同ブースが入っている総芸ホールは、日本産業館や万博博物館があるDゾーンというところの1号門正面にあり、外から入り口ゲートに入りますとちょうど真正面に直径4メートルのLEDディスプレイが大きく光って見えます。ブースは、朱色を基調とした鮮やかな色で、そこに「中国普●・日本岩手」と太い字で書かれており、とても人目を引きつけるロケーションであります。
総芸ホールでは、中国の茶文化をテーマとした雑技団のショーが毎日4回上演されておりまして、ショーを見に来たお客さんがホール入り口近くにある共同ブースも見るという相乗効果が期待されます。
南部鉄器で入れたお茶はおいしい、また体にもいいと言われています。上海万博の全体のテーマが「より良い都市、より良い生活」ですが、岩手県としては「南部鉄器でより良い生活」をアピールしていきたいと思います。県民の皆さんも上海万博に行かれる際には、是非、当ブースに足を運んでいただきたいと思います。
次に、南部鉄瓶の販売契約についてですが、5月1日には奥州市の及源鋳造と上海大可堂との第2回目の販売契約調印式にも立ち会いました。前回昨年9月の契約の際は、既存の伝統的モデルの鉄瓶が対象でしたが、今回は大可堂側の詳しいオーダーを受けて、中国仕様のオリジナル製品2,000点を製作、納品することが決まりました。
今回の万博出展とプーアル市との協定の意義についてでありますが、岩手県が歴史ある万国博覧会に出展すること自体が大変意義深いものでありますが、今回は、地方政府が中央政府を介さずに独自のネットワークによって実現したものであり、地域主権改革の先導的な取り組みと言えるものと思います。
在上海日本国総領事館の横井総領事からも、岩手県が中国で文化的に大きな位置を占めている“お茶”に着目し、有名企業の上海大可堂とプーアル市と組んで、人の集まる総芸ホールに共同出展したことは大変な功績だ、との評価を得ました。岩手県こそが地域主権改革の旗手であるという意識を持って、今後も実績を積み上げていきたいと思います。
今後の取組についてですが、この万博出展を契機に南部鉄器をはじめとする本県特産品の知名度向上が図られ、さらには岩手県自体の中国での知名度の向上も図られ、県産品の販路拡大や観光客の増加が期待できるものと考えています。ブースを訪れた中国等の一般のお客様へのアピール、またバイヤー等との商談の促進、さらには本県地域産業の海外展開の促進につなげていきたいと思います。
発表事項の2番目、マンガを活用した岩手県情報誌の出版についてですが、岩手県と株式会社講談社が連携をして一関市在住の漫画家、飛鳥あるとさんの作画による「ゴーガイ!岩手チャグチャグ新聞社」のマンガ5話と岩手県の観光グルメ情報20ページを掲載した新しいスタイルのマンガ情報誌を出版します。5月13日から全国の書店で発売されます。こうした都道府県レベルの地方自治体と大手出版社発行のマンガが連携した取組は全国初めてです。平泉や遠野などを舞台にしたマンガの後に、周辺の観光グルメ情報を掲載しています。また、わんこ兄弟の紹介や県民が勧める観光スポットなど盛りだくさんな内容となっており、観光ガイドブック的な活用や、観光客がお土産品として購入することなども想定したつくりになっています。発売に合わせて、講談社では首都圏の書店でPR活動を予定しています。また、5月14日には県庁で飛鳥あるとさんから私に単行本の贈呈が予定されています。
今後もマンガを活用したソフトパワー的な新しい発信に取り組んでいきたいと思います。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項について、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
マンガ情報誌の出版ですが、知事の期待とか思い入れとか、そういった気持ちについて、もうちょっとお話ししていただければと思います。

知事
マンガは、メディア媒体として非常に浸透力があり、また普通の活字だけの本を買わないような人でもマンガは買うというような読者層の拡大ということにも役立つと思っており、県も観光をはじめとする県の情報の発信ということは、いろんな形で常に行っているのですが、新しい広がりと新しい深まりということが期待されると考えています。

記者
岩手県とマンガということについて、知事の方からアピールしていただければと思います。

知事
岩手県は、去年、地元美術館がマンガ企画展を開催したところ、ゆかりの漫画家で53人くらいいることが分かり、いわば漫画力をかなりの程度持っている、そういう岩手県であります。岩手の良さというのは、今までもいろいろな形で発信されてきたのですが、非常にマンガになじむような岩手の良さ、自然と人が一体となったところに醸し出される独特の雰囲気のような、そういうマンガによって効果的に表現できる良さというのが岩手にはかなりあると思っています。そういう意味でマンガを活用した岩手県情報の発信というのは、なかなか期待が持てるのではないかと考えています。

記者
確認したいのですけれども、この雑誌は飛鳥あるとさんお一人の作品を5作品ととらえていいのですか。

知事
はい。普通であれば単行本コミックスとして出るようなものに対して、県の方でいろいろな情報を提供して、それを挟み込みながら一冊の本にまとめるというものであります。

記者
昨年度聞いていたお話だと、ほかの若手漫画家による体験ルポ作品ですとか、あとマンガコンテストの最優秀作品ですとかを入れたいというお話を聞いていたもので、想定していたものと違うなと思ったのですが、それはどうしてだめになったのでしょうか。

知事
それはまた後で出します。それとこれは別であり、県の今年度予算の事業で出す「コミック岩手(仮称)」については、まさに今コンテストも募集中ですし、書いてくださる漫画家さんへの依頼も今ちょうど進めている最中であり、年度の後ろの方で発行するようなタイミングになると思います。

記者
このマンガですが、出版前に知事がもしお読みになっているのであればその感想を伺えればと思います。

知事
実は断片的にしか読んでないのですが、キャラクターが非常に格好よく描かれていて、背景も岩手の自然がリアルに写真のように書き込まれていて、まず見てすごくきれいな感じがするし、またキャラクターもよく動いていてというか、マンガ評論の世界みたいですけれども、キャラクターの動きとかも良くて、引き込まれるようなマンガになっていると思います。

記者
ほかにありませんか。
本日は、幹事社質問の用意がありませんので、これ以外の質問がありましたら、各社さん社名を名乗ってからお願いします。

記者
宮古病院をめぐる医師法違反事件について伺います。
土曜日に循環器科に着任予定の男女2人が医師免許がないのに医師を偽ったということで、1人は逮捕されて1人は取り調べを受けています。動機は定かではないのですけれども、医師不足につけこんだ重大な犯罪だということで、知事は今まで医師確保に懸命に取り組まれていたかと思いますが、まず、これについてどう受け止めているのかをお聞かせください。

知事
地元の皆さんを含め岩手県民の期待が裏切られたということで、非常に残念なことだったと思います。質問にあったように、動機は不明ではありますが、決してやってはいけないことであり、私としても憤りを感じています。
また、今、医師不足の解消、医師の偏在の解消ということについては、個別の病院の努力やその病院にいる個々のお医者さんの個人的なネットワークを通じた働きかけ、そして県の担当による全国行脚のような、スポーツのスカウトのような働きかけ等々で対応しているわけでありますが、思い出すのは3年前に安倍内閣で緊急医師派遣事業が行われて、時の政府与党が国を挙げてお医者さんを集めて困った地域に派遣しようという一大事業が鳴り物入りで企画されたわけですが、6病院に対して7人の派遣しか集められなかったわけです。そういうところがやはり背景として非常に問題だと改めて思っており、この医師不足対策、医師の偏在対策ということについて、もう少し公的に、全国的に、是正していく仕組みをきちんと作っていかないとだめだという思いを強くしました。そういう趣旨の政策提案は、去年既に政権交代後の内閣に出してあり、その後、鳩山内閣も地域ごと、また診療科ごとに何人必要だというガイドラインを作るという作業のベースになるような情報収集調査には着手しているところなのですが、早く一定のガイドラインを定めながら、その数字を実現するような政府の施策が策定されるよう、更に働きかけを強めて私もいろいろ努力していきたいと思っています。

記者
今回の宮古病院の対応なのですが、診療に当たる前に阻止したという一面がある一方で、招聘に当たっては200万円程度投資したという事実があります。今回宮古病院の一連の対応は適切だったのかどうか、どういう評価でしょうか。

知事
質問にもあったとおり、いわば水際で阻止できた、無免許で県立病院において診療を行うということを防ぐことができたのは良かったと思っています。
また、医師不足、医師の偏在を解決するために、それぞれの関係者がいろいろな努力や工夫を行っていることに対しては、私はそれを多としたいと思います。

記者
今後の医師招聘に関して、今回のケースは極めて異例なケースとはいえ、今後の教訓にしなければいけないと思います。再発防止に向けて、医療局はどのような対策を講じるべきとお考えでしょうか。

知事
今やっているように必死にあらゆる「つて」を使って、とにかく人を探し、働きかけていくということをやり続けるしかないと思っていますが、事態を抜本的に改善していくためには、先ほど言ったような全国レベルで医師の偏在を是正していくような公的な仕組みをきちんと作っていくことだと思っていますので、そこへの働きかけをより強化していきたいと思います。

記者
医師不足解決は、抜本的なところは国がやらなければいけないということですが、現場レベルでこういった不正を事前にチェックするような仕組みとかはどうでしょうか。

知事
普通にやっていれば今回みたいに免許の確認を通じて、最終的に無免許診療は封ずることができると思っています。

記者
宮崎の口蹄疫がなかなか終息しないということで、お伺いします。宮崎までは離れているとはいえ、県内の各研究機関等も警戒レベルを上げているようですが、宮崎では、県レベルでの対応はそろそろ限界に来ている。例えば、処分する土地がないとか、医師も獣医師も足りない。それから、現場で働く職員も疲弊しており、ここまで長期化するとは想定されていなかったようです。そういった意味で、実は事前準備が大事ではないかという意見もあるのですが、県の方では、例えば今後要請があれば支援等の対応とか、場合によっては県内で万が一に備えて対応の見直し等はご検討される予定はありますか。

知事
まず、宮崎県には、既に岩手県からも専門家を1人派遣して協力支援をしているところです。
それから、岩手県は東日本最大最強の畜産県でありますから、やはり今回の口蹄疫対策も今それぞれ外から入ってくる牛等に関して一つ一つの牧場等でちゃんとチェックできるように関係者に徹底し、水際対策をしっかり実施しているところです。
危機管理の観点からすると、やはり単独の県で対応しきれなく、そうならないよう、そうさせないのが最善ではあるのですが、今の宮崎のような状況になってきた場合には、他県からの支援にも限界がありますので、東国原知事も政府に国レベルの危機管理体制の発動を求めたと聞いており、やはりそういう国からの支援が必要になってきている局面ではないかと考えます。

記者
ここまで長期化した場合、県としても国の支援ということは、当然想定に入っているわけですよね。県の危機管理対策としても。

知事
はい。

記者
県立宮古病院の医師法違反なのですが、水際で阻止できたのは良かったとする一方、過去3回、院長が容疑者と会って、その折に公費を使って大阪まで出向き、そして身分の確認を直前の着任2日前までできなかったということに対しては、そのチェック体制はどう思われますでしょうか。

知事
医師個人個人への働きかけの仕方はいろんなやり方があって、病院としてのアプローチ、個々のお医者さんからのアプローチ、また県の医師支援推進室からのアプローチ等々いろいろあるのですが、今の日本の仕組みでは、お医者さんの側が職業選択の自由があり、居住移転の自由があり、どこでどういう形で働くか、あるいは働かないかというのが自由なわけです。交渉する際にも相手側が同意するような形での交渉しかできないわけであり、その点では同じ免許を持っている教員が、きちんと教育委員会の下で把握されて、そして働く場所が決まっていくというのと決定的に全然違うのです。だから、本当に人と人との、人間対人間との関係の中で話を進めていかなければならない局面もあると思っていますし、そこに今回みたいなリスクが生じるというのは、今の制度の中では、やむを得ないことだと考えています。ただ、無免許の医師というか、医師免許を持たない人が、県立病院で診療するなんていうことはあってはならないわけで、そこを食い止めるためのチェック機能は働いたと思っています。

記者
関連してですけれども、知事は先ほど全国レベルの公的な仕組みをつくる必要があると、そのとおりだと思うのですが、ただ一方でかなり厳しい医師の誘致、招聘を迫られている現状があると、皆さんかなり必死になって一生懸命お医者さんを連れてこなければならない状況が背景にあると思います。ただ、全国の病院の中には、地域医療を目指す志の高いお医者さんが自ら集まってくるような病院づくりをしている地域もあるわけで、岩手もそれを目指すべきではないかと。先日、一部報道で白光さんの話も出ましたが、地域医療をしっかりしているところには無理な招聘をしなくても来てくれるという話もあると思うのですが、やはりそういう市町村と県と、もっと協力して、しっかりした良い地域医療の環境づくりをすることも取り組むべきではないかとは思うのですが、国は国として、県と市町村の取り組みに関してはどう思われますでしょうか。

知事
そこは県、市町村という行政はもちろんですが、県民の皆さんには県民みんなで支える岩手の地域医療の運動を展開していただいています。また、市町村の中には、さまざまなボランティア団体がどんどんできていて地域医療に対する思いの深さ、強さということについては、岩手県は他県に決してひけをとらず、そういうことが統計データでもはっきり不要不急の救急利用が減っているというデータも出ており、そういう受け入れる体制ができていると思います。病院やお医者さんや、また、県、市町村のそれぞれの取り組みによってすばらしいお医者さんに来てもらっているということは、実はそういう良い例の方がたくさんあるわけであります。また、研修医も全国から岩手にたくさん来てくれていて、岩手に残る率も大変高い。そこら辺は全国的にもかなり良い方だと思いますので、更に発展させていきたいと考えます。

記者
医師法違反の関係なのですが、今回直前で防げたというところと、本人確認のところで、お願いする立場というところでなかなか詰め切れなかった難しさというのがあったと思うのですが、県独自の、例えばローカル・ルールではないのですが、例えば着任どれぐらい前までに免許の確認ができなかったら採用しないとか、そういうルールづくりをする意思があるかどうか、知事の考えの中にあるかというのと、あと都道府県別の人口10万人対医師数でいうと全国平均よりも岩手県はお医者さんの数が少ないというところで、今回現場に焦りがあったというようなご認識はあるのでしょうか。

知事
はっきりさせておきますけれども、私はこういう環境の中でどんなことをしてでも一人でも多くのお医者さんを岩手にという現場の努力に対しては、これはもう本当によくやってもらっていると思っています。

記者
私の質問としては、例えば今回チェックをするルールづくりとか、そういうご意思があるかどうかと、現場に焦りがあったかどうか、その2点なのですが。

知事
ルールについては、まさに現場の中での工夫かも知れませんが、ただ相手が締め切りを設けたときに、その日には出せない、その次の日にはちゃんと用意できるとか、そういうときに必ず切って捨てるようにするのかというと、今はやはり必死で一人でも多くきちんとという中では、むしろ柔軟な対応の方が望まれているような状況だと思っています。
それから、焦りというのは非常に抽象的で主観的な言葉であり、また否定的なイメージがありますので、ある意味で岩手県民全員が医師不足という状況について焦っているといえば、それは135万県民焦ってない人はいないのではないかと思いますが、医療現場については焦っているという表現は不適当であって、必死になっているということが適切な表現ではないかと思います。医師の確保について、必死になっているということです。

記者
知事が中国出張中に陸山会の違法献金事件で小沢一郎民主党幹事長の検察審査会が起訴相当という決定をしました。この件に関しまして、知事のご所見、出張中はいただけなかったので、改めて伺いたいと思います。

知事
言われていることについて、特定企業が何かヤミ献金をしたということはなく、政治管理団体が土地、建物を購入する際、政治家本人が一時立て替えをしたことを秘書の判断で記載しなかったという事実関係が特に変わるわけではないと思います。

記者
事実関係は変わらないというのはどういう意味でしょうか。国民の代表で選ばれた人たちがそういうふうな決定、そういう結論を出したことに対してのご所見を伺いたいのですけれども。

知事
務めを果たしたということでお疲れ様でしたと思います。

記者
内容に関してはいかがでしょうか。

知事
内容については詳細には読んでいないのですが、典型的な検察審査会の役割としては、交通事故の加害者が無罪というか、起訴にならなかったのだけれども、遺族が新しい目撃者を発見し、実はあの時の信号は赤だったというような新しい事実が発見されて、これなら起訴しなければ、さらには有罪にならなければおかしいというときに検察審査会が機能するのが典型的だと思うのですけれども、今回はそういう新たな事実関係が出てきたわけではなく、文章の中には絶対権力者とか、司法関係の文章に出てこない政治的な文章、政治的な主張の文章に出てくるような文言、文体というか、調子が見えるような文章が出て来たなと思います。

記者
検察が1年間かけて調べた事実を検察の評価と検察審査会の評価が分かれたということだと思うのですけれども、その分かれた理由に関してはどのようにとらえておられますか。

知事
どこがどう分かれたのでしたっけ。

記者
検察は結局起訴しなかったわけですけれども、検察審査会の方は起訴すべきだというようなスタンスに立ったわけですよね。知事がおっしゃったように、新たな事実というのが出たわけではなくて、同じ積み重ね、範囲の中で最終結論が違ったと思うのですけれども、その違いに関してなぜそうなったのか、知事の見方を教えていただければと。

知事
検察審査会の資料を詳しく読んでいないので、報道されているところからの印象では、何か新しい事実などの客観的な事実に基づいた主張というよりは、感じ方の違いによる主張かなという感じがしました。
司法としての文章に関する正式なコメントについては、その文章を私は読んでないのでコメントできません。

記者
夏の参院選からインターネットを使った選挙運動が解禁される公算が高まっておりますが、知事はこれについてどう評価されるというか、受け止められていて、具体的に何かご自身でお考えがあれば、こうあるべきだみたいなことも教えてください。

知事
インターネットには光と陰の部分がありますので、陰の部分で問題が生じないよう、光の部分でより良い選挙になるように工夫されていけばと思います。

記者
知事がおっしゃっているのは、全面解禁というか、一部解禁で慎重にやるべきだというご意見だと受け止めてよろしいですか。

知事
全面といってもネットでできることというのはどのぐらいあるかというと、どんどんそれは拡大しているものなので、全面というのが何を意味するのかというのは日々変わりゆくものだと思うのですけれども、多分なかなか法律だけで規制していくのは難しいと思います。ネットというのは、参加する人たちの自主的な倫理観のようなものがないとうまくいかない世界ですから、そういうネット社会の成熟と合わせながら、より良い形にしていければいいのではないかと思います。

記者
普天間移設についてなのですが、大阪の橋下府知事が全国知事会として、改めて見解を示すべきだと最近考えを示したのですが、知事の考えを以前伺いましたが、改めて府知事の考えに対して。

知事
国民としての議論を進めていかなければならないところだと思うので、そういう議論は国会を中心にして行っていくのかなと思います。都道府県のあり方という点から、国の論理をある程度外して、とにかく個々の地方公共団体の論理、国益という観点を外して、いわば都道府県益とでもいいましょうか、そういうことで考えたときには地方公共団体の中に外国軍基地は置くなというような結論になってしまうのではないでしょうか。特段外国軍基地に来てほしいとか、外国軍基地を置きたいという地方公共団体があれば別ですが、そういう地方公共団体は今の日本で多数は占めてないと思いますので、詰めていくと統一見解を出そうとすると地方公共団体に外国軍基地は置くべきではないとかいう結論になってしまいそうな気がします。ただ、それは日本国のあり方というところからすると、全然、議論にはなっていなくてどうなのかなという感じがしますが。

記者
まずは、国会で安全保障というか、大きい視点で議論した上であればまだそういう都道府県レベルで話が出てもいいけれども、それにはなじまないのではないかということですか。

知事
そうですね、国会を中心に国民的な議論ということなのですけれども。私は、鳩山総理は民意の最大公約数的なところを現実の形にしようということで大変努力されていると思います。沖縄の負担を軽減させたいというのはほとんどの国民の意思でありましょう。ただ、全部国外にという劇的な米軍プレゼンスの低下ということを今の国際環境で行うことには躊躇というか、今この段階の日本国民の民意からすると大体その辺にあって、ある程度国内に残すのはむしろその方がいいのではないかという民意というのは、それほど外れてはいないのだと思います。そうすると、あとは県外でどこかということで、そこを模索するというのは今現在の民意の最大公約数に合わせて決めていくという観点からすれば非常に的を射ているというか、それ以外にないというようなことをやられているのだと思っています。ただ、私が一国民として個人的に考えるのは、日米安保50周年でもありますし、日米安保体制というのは冷戦時代のものですから。スローガン的に言えば日米安全保障条約ではなくて、国際平和維持協力協定みたいな形に変えて、国際平和維持協力条約という国連憲章に基づいて国際の平和と安全を維持していくための日米の協力のあり方というような条約に変えて、そういう国連憲章の下でのいろいろな紛争の解決、紛争の防止といったことに日米が協力して行っていく際に米軍が日本の国土をどう活用するかという観点から全体的に見直していくという作業を今やらなければならないのではないかなと思っています。

記者
ちょっと話が戻って、もう一度検察審査会のところにいきます。先ほど知事がおっしゃったとおり、新事実が出てないのに起訴相当とされたということがあると思います。新政権になってから検察審査会の権限が強化されたのかなと、2回で強制起訴になってしまうということがあります。ただ、明石の事件もそうでしたし、JRにしてもそうでしたけれども、今までの司法の常識では、ちょっと起訴というのはあり得ないようなところでも今回のような結論が出る。それは、やはり民間の感覚、市民の感覚を司法に取り入れなければならないということでなされた改正であったのか、その成果がこれであると。今回また小沢さんも市民の感覚、国民感覚としてこのような決断が下されていると。国民にそういうような厳しい民意を浴びているということに対して、どう考えるかというのが1点。
それからもう一つが、この検察審査会のあり方です。より国民の感覚を司法に取り入れようとした検察審査会のあり方について、どう思うか、合わせて2点お願いします。

知事
犯罪ということを含めた権利の侵害に対して強制力を持って対応していく司法の仕組みというのは、国によっていろいろなルールを工夫して行っていくわけで、今の日本の検察審査会の制度もそういうルールの一つだと思います。それはあくまで権利の侵害の回復とかの手段として行われるものであって、それはあくまで司法の中の手続の問題で、それをもって日本の政治をどうこうしようとするのは、また別の話だと思います。
検察審査会の目的は、あくまでそういう個別具体的な事件の司法的な処理の一部であって、それに比べれば新聞の世論調査のほうが民意を把握する目的で行われているものであり、民意を把握する目的で検察審査会があるわけではないのだと思います。むしろ世の中にはこういう声が多いので、この人については司法的にこういう扱いをすべきだとかというのは、ちょっと司法のあり方としてどうなのか。市民感覚というのは、普通に真面目に生きている人たち個人個人の生き様として、これはこう思うという判断が期待されているのであって、新聞やテレビがこんなふうにやっているのだから、この人はこう扱うべきということが検察審査会に求められているわけではないと思います。そういう意味では5人か10人の人たちそれぞれの個人的な生き様の中でそういう判断をしたということを淡々とルールの中で取り扱っていけばいいことだと思います。

記者
確認ですが、先ほど政治的な部分が入っているのではないかというような話もありましたけれども、その人たちの生き様の中で、そういう部分があればそういう部分が反映されることもまたそれは然りであると。

知事
それは、個人の責任においてこう思うというように発言してもいいですし、みんなで話し合って、決めていいという仕組みなのですから、結果としてそうなっているということだと思います。

記者
今朝の庁議終了後の経済・雇用対策本部会議の件で2点教えてください。
1点目は、今の現状、状況をどのように分析なさっているか。
もう一点は、今回の会議で何か決定した事項があるか、また変更した事項があるか、お願いします。

知事
いろいろな数字は徐々に良くなってきているのですが、例えば有効求人倍率が1年2カ月かぶりで0.4を超えたところですが、ただ0.4というのは、やはりとても低い水準であり、決して全体としていい環境になったとは言えない。回復しつつあるけれども、まだまだ厳しい経済・雇用情勢だということには変わりがないというのが現状だと思います。
今日は、そういう中で高校新卒者の皆さんの就職状況あるいは未就職の状況のきちんとした数字が確認できましたので、それに対応するフォローアップを改めて確認しました。
それから、ハローワークと県、市町村が連携してのワンストップサービスについて、去年の年末に実施したようなことを、この5月から6月にかけてまた実施するということを確認したところであります。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は5月17日(月曜日)の予定です。

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