平成22年5月24日知事会見記録

ID番号 N5008 更新日 平成26年1月16日

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平成22年5月24日 10時30分から11時01分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
初めに、知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
今日の発表事項の1番目は、宮崎県での口蹄疫発生に対する本県の対応についてです。
口蹄疫が平成22年、今年の4月20日、宮崎県で確認されて以来、これまで県では、家畜保健衛生所が3月以降に九州地方から導入された牛について、農場に立ち入り、健康検査を行い、本県で飼養されている牛、豚等の偶蹄類家畜の飼養者に電話で聞き取りを行い、全頭異常がないことを確認してきました。
また、家畜飼養者や関係機関・団体、観光牧場の方々には、農場や車両の消毒、発生地域からの家畜導入の自粛、毎日の家畜の健康観察と異常発見時の速やかな連絡などをお願いしてきました。そうした万全の対策を講じているところであり、現在、本県では口蹄疫は発生していません。また、畜産業への大きな影響も出ていません。
宮崎県においては、口蹄疫が続いており、国からも改めて注意喚起がありました。生産者や県民の皆様に、本県が行ってきた防疫対策をお知らせするとともに、その徹底を図るために先週21日の金曜日、県内市町村、関係機関、団体の皆さんを対象に「岩手県口蹄疫対策連絡会議」を開催しました。県では、防疫対策の万全を期すために、消毒薬の全戸配布を行うこととしました。家畜飼養者等の皆様には各農場はもちろんのこと、家畜市場や観光牧場など、家畜や多くの人が集合する施設での消毒の徹底など、引き続き本県の畜産を守るため、侵入防止に全力で取り組んでいただきたいと思います。
口蹄疫は、ヒトには感染しないものです。県民の皆様には、風評による被害が発生しないよう冷静な対応をお願いします。
宮崎県では、懸命な防疫活動を行っており、本県からも家畜保健衛生所から3名の獣医師を派遣して防疫活動を支援しているところです。宮崎県の発生地域の皆さんには大変厳しい状況にあると察していますが、一日も早く終息することを願っています。
次に、発表事項の2番目、提案公募型県民協働モデル事業の公募の開始についてです。「いわて県民計画」の基本目標である「いっしょに育む『希望郷いわて』」の実現に向けて、地域経営の考え方に基づいて県民との協働による取組を展開するため、提案公募型県民協働モデル事業を実施することとし、今日から公募を開始しました。
この事業は、県が提示するテーマに沿って、NPOから事業を公募し、企画立案から事業実施までをNPOが県と協働し、相乗効果を発揮しながら推進していくモデル事業として実施するものです。公募テーマは、「いわて県民計画」アクションプランの政策推進目標のうち、喫緊の課題として、特に重点的に取り組むこととしている「雇用環境の改善」、「県民所得の向上」、「地域医療の確立」、「人口減少の歯止め」に関するものをテーマとして設定しました。公募対象は、県内に事務所を有するNPO、これは法人格の有無を問いません。又は、これらの複数の団体から構成されるグループとなります。公募は、今日5月24日から開始し、6月末まで募集を受け付けます。多くのNPO団体からの応募を期待します。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただ今の知事の発表事項について、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。

記者
口蹄疫の防疫対策についてですけれども、消毒薬の全戸配布ですが、配布する時期と経費と財源を教えてください。

知事
それは、直接担当の方に聞いてください。

記者
では、宮崎県のこれまでの状況を見た上で、岩手の防疫体制に生かさなければならない部分は何かありますでしょうか。

知事
やはり家畜から家畜あるいはヒトなどを介して拡がっていく、それを最小限度で食い止めなければならないことが最大の課題だと思いますので、まず水際対策的に岩手での最初の発症を食い止めることが大事だと思います。仮に1頭でも見つかった場合には、それが拡がらないように情報の共有や意思の確認などを徹底していくことが重要だと考えています。万一の場合の初動体制の徹底については、私からも担当部局に徹底するように言っているところです。

記者
今のに関連してですけれども、宮崎県ではスーパー種牛と呼ばれる非常に優秀な種牛が感染して大きな衝撃を広げているのですけれども、本県も畜産研究所種山研究室でしょうか、あそこに前沢牛の親になっている優秀な種牛をかなりの数保有していると思うのですが、宮崎では例えば種牛の避難、移動だとかで国との間で問題が生じたりして遅れたとか、万が一本県で発生した場合に備えて、そういう貴重な種牛を守るための対策を県の中で協議したりとか、国と事前に相談しておくお考えは今のところございますでしょうか。

知事
かなりしっかりしたマニュアルが既に出来ていますが、宮崎で問題になったのは、多分移動制限に該当しているにもかかわらず移動させたという話だと思うのですが、マニュアルの言葉に変にとらわれて、そこで守ろうとしている実態を守らないことになってしまえば、それは本末転倒なわけです。きちんとマニュアルを通じて守ろうとしている実態をきちんと守れるように、必要な準備とか、あるいは検討しなければならないことがあれば検討するように、今朝の庁議でも担当部局から報告があり、いろいろ議論もしましたので、その際に私の方からさっき言った趣旨のことを伝えておいたところです。

記者
国とは何かお話しする予定は今のところはありませんか。

知事
実際には、さっきのケースみたいに、いざそういうことが起きた時にマニュアルどおりで大丈夫か、特例措置を講じなければならないのか、ということを瞬間、瞬間に検討して決めていかなければならないと思うので、問題意識を持って、いざそうしなければならない時の準備はしっかりするようにと言っていますが、起こり得るすべての仮想のことについて、個別に国と協議するというのは、今の段階では考えていません。

幹事社
ほかにありませんか。
本日は、記者クラブを代表して幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があれば社名を名乗ってお願いします。

記者
自動車関連についてお伺いします。5月11日にトヨタが決算説明会で、国内外の生産体制の再構築を表明いたしました。カローラなど輸出向けの量産車は海外にシフトして、国内は新技術、新工法に取り組む拠点にしていくという方針でした。一方で、東北では産官学でつくる東北自動車産業集積連携会議が世界に向けた完成車拠点を目指す姿勢を打ち出しております。
そこで、連携会議の代表幹事である知事にお伺いいたします。
まず、トヨタの生産戦略再構築などどのようにご認識なさっているか、そしてもう一点は自動車産業集積に向け、岩手、東北が取り組むべき将来像というのはどういったことかお伺いさせてください。

知事
世界全体を視野に入れて、車を必要としているところに必要とされている車がきちんと届くようにということで、生産体制も含めて企業として責任ある体制でいこうということは、大変結構なことだと思っております。そうした中で、この岩手を含む東北が、完成車の組み立ての更なる強化ということを柱にしながら、日本の生産拠点の一つとして成長していくこと、岩手においては関東自動車工業に開発部門がつくられたりして、世界のマザー工場として発展していく、そういう方向性も出ていて、そういったところについてはトヨタさんの新しい生産体制の中でも変わらないのはもちろん、一層発展の方向性が強化されるのではないかと期待しております。開発部門と連携したマザー工場的な機能を、より効率的な生産のラインの組み方のモデルになるような工場、関東自動車岩手工場は国際的な品質管理のベストの賞もとっていますし、そうしたモデル工場、マザー工場として発展していく可能性もあり、それを支える人材もどんどん岩手県内に育っていますので、そういう意味ではトヨタさんの全体の方向性の中で、岩手を含む東北が名誉ある地位を占めるという方向にいけるのではないかと期待しています。

記者
12月に東北新幹線が青森まで延伸になりましたが、青森延伸で岩手の観光並びに事業誘致など、産業にどのような影響があるとお考えになっておりますか。また、もし影響があるとすれば、どのような対策を現時点で考えておられるかお聞かせください。

知事
いろいろメリットがあると思います。まず、青森延伸の中で、東京・盛岡間の時間が更に短縮されていくと聞いています。ますます首都圏に岩手が近くなっていくと思いますし、北東北全体が力をつけていくというのは本当に大事なことであり、北東北全体が成長していけばその中で岩手も多くのメリットを受けます。また、この北東北の交通の要衝である盛岡とか、青森に近い県北や秋田と直結している県南の方も含め、岩手全体が北東北の拠点性を持っていますので、北東北全体が発展していくことは岩手にとって大変大きなメリットだと思います。新幹線の青森延伸が、それを加速していくことを期待します。

記者
確かに近くなり、首都圏からも来やすくなるということはありますが、一方で逆に青森まで延伸してしまい、更に函館が近くなるということで、岩手が通過点になってしまうのではないかというのがあるかと思います。その辺はどのようにお考えになっていますか。

知事
今まで岩手に来ていた人たちが岩手に来なくなるということよりも、今まで北東北とか函館の方に来なかった人たちが来るようになるという効果の方が大きいのだと思います。そのように函館、北海道と北東北のパイが全体として大きくなる中で、岩手もそれをチャンスとして発展していくようにしていけばと思います。

記者
参議院議員の任期満了まであと2カ月ちょっととなりました。各陣営も事務所を立ち上げて、選対本部を立ち上げています。そこで2点知事にお伺いします。
鳩山政権支持率大分落ち込んでいますけれども、県内で風がどのように吹いているか、吹くかということをどのようにお考えになっているかということが第1点。
過去の選挙、国政選、首長選でも知事が民主党候補の応援に行かれていますけれども、今回はどのように応援に行かれるかということをお伺いしたいと思います。お願いします。

知事
私が日々県民と接する中で感じているのは、経済・雇用対策的なことについては、一定の成果が上がっているという評価があると思います。それから生活を守るセーフティーネットとしての子ども手当とか、高校の授業料無償化とか、そういった中で生活に直接良い影響がある政策についても評価されていると思います。ただ、セーフティーネットについては、ほかにもいろいろと年金とか、介護や医療といった大きな分野があり、経済関係についてもきちんと一定の成長軌道に乗っていくのかということについては、まだまだ確かにはなっていないので、そういう暮らしや仕事の現場について、国全体として国民の期待にきちんと応えていく政治につながる参議院議員選挙になっていけば良いのではないかと思っています。
去年の政権交代という政治的な大きな出来事以降、生活本位の暮らしや仕事の現場を良くしていこうという政治の流れは一つできていて、今回の参院選で、それが堰き止められてしまうとか、方向がぐるりと変わってしまうという感じは今のところはしていないのですが、私としては政治家個人として、そうならないようにあってほしいという思いがあります。一方で、いろいろと個別に応援してほしいとか、何かしてほしいとかということについては、その都度、その都度判断して、行動していきたいと思っています。

記者
県の行政委員の報酬について、お伺いしたいと思います。先日、市民団体の市民オンブズマンいわてが県に監査請求をしたのですけれども、現在月額で支払われている報酬は、日額に換算しますと4万円から21万円と、ちょっと高過ぎるのではないかという指摘があるのですけれども、知事としては、この月額の金額での支払いというのは適切とお考えでしょうか。
もう一点、岐阜県などもそうですけれども、最近自治体で報酬の支払いを見直す動きが広がっているのですけれども、知事としては見直す考えをお持ちでしょうか、お聞かせください。

知事
報酬については、会議に出席しているなどの実働時間のみに対する報酬というよりも、日頃からお願いしているテーマについて勉強したり、また自分でいろいろ考え、そして発言の準備をするとか、そうした仕事の中身全体に対する報酬であり、そういう基本原則に従って報酬を決めていますので、適切な報酬だと考えています。ただ、岩手県も行財政改革については、絶え間なくいろいろな見直しをしていかなければならないと考えていますので、その行政委員の報酬についても、改善する余地がないかどうか検討をしていかなければならないと思っています。

記者
今週木曜日から3日間、知事を団長とする訪問団で高知に行かれると思うのですが、現地では石川啄木と坂本龍馬に関する対談とか、岩手ゆかりの地を訪問されるとか、地元の方々と交流会を開いたりすると聞いております。この訪問団に関して、知事の思い入れとか抱負、それから期待する成果などお聞かせください。

知事
今年は、岩手県は上海万博に出展をしたわけでありますが、高知県では今年1年を龍馬イヤーとして、そして「土佐・龍馬であい博」という高知県全体を舞台にした博覧会など、いろいろな事業をやるということで、そこに岩手県も参加するという趣旨で今週後半の私の高知訪問があります。これも国に頼らず、地方自治体が自ら主体的に地方自治体同士で協力し合って、それぞれの県民の暮らしや仕事の向上を図ろうという、一種の地域主権的な試みだと思っており、そういう政策理念で同じ方向を向いているということを尾崎知事と確認し合いながら、具体的に龍馬と啄木の合同企画展であるとか、今年から来年にかけて物産展を相互に行うとか、いろいろ具体的な協力、連携についても確認をしていきたいと思っています。
坂本龍馬というテーマについては、岩手県でI援隊運動という行財政改革の一環として取り組む運動にも活用しているわけですが、その坂本龍馬や海援隊が切り開いた新しい日本のあるべき姿や、土佐の板垣退助の自由党、それに先立つ自由民権運動といった近代デモクラシーの流れというのが岩手でも盛んで、盛岡の鈴木舎定とか歴史に名を残している人もいます。また、原敬さんの政治的なスタンスというのも自由民権運動、土佐自由党の流れの延長上にありますし、そういったつながりも今回お互い確かめ合って、それぞれの地域を良くすることと同時に、日本全体を良くしていくことについても、それぞれまた貢献していこうと話していきたいと思っています。

記者
昨日、鳩山総理が沖縄県で普天間の移設に関して辺野古の表明をしまして、27日の全国知事会で沖縄県の負担軽減に向けて、県外への訓練の一部移転の受け入れを協力要請していくということなのですが、それについての知事の所見をお聞かせください。

知事
まず、今の日本の世論、民意を伺いますと、アメリカと事を荒立ててまで国外へ、アメリカの領域であるグァム島とかに、沖縄の米軍の施設とか人員を移すということについては、それをやれやれというデモ行進などは起きていないし、世論としてあまり出てきていません。一方で、うちの県が引き受けるべきだとか、そういう運動についても、一部テレビに出るような人の発言などはあっても、民意の盛り上がりとしてそういう主張は起きていないという中で、日本全体の民意を、前にも最大公約数的にとらえるとこうなるという話をしましたけれども、今の現状での日本国民の民意をかなりそのまま反映したような方向に取りまとめようとしているのかなと感じております。
ただ、ではそれで本当に良いのかと突き詰めますと、またそれで本当に良いと思っている人が少ないということが政府に対する不満として出ているところもあって、本当は日本の安全保障の根幹をアメリカに頼るようなあり方で良いのか、そういう負担を沖縄に集中させて良いのかということについては、実は日本国民全体として忸怩たるものがあり、そういうコンプレックスが今、政府に対する不満のような形でも出てきているのだと思います。
フォーリン・アフェアズというアメリカの外交関係の雑誌があるのですが、その最新号で巻頭特集が中国封じ込め論だったのです。かなりリアリストというか、タカ派的なのかも知れないのですが、中国は、陸に海にドンドン拡張してくるから封じ込めなければならないというような趣旨の論文が冒頭にバンと出ていたのですが、その論文の中ですら、日本の米軍基地に頼り続けることはできないだろうという趣旨のことが書いてあり、今回鳩山首相が見直しを言ってきているのは、これはもう数年前に言われていてもおかしくなかったのだと。日本にある米軍基地というのは第二次大戦のレガシィ、遺産であって、時代遅れだと。アメリカとしては、中国封じ込めにはグァム島をはじめとするオセアニアのアメリカ領域内にあるような島々を結ぶ線で中国封じ込めを図るのが合理的だということが書いてあり、米軍を相手にしていれば、軍というのは役所で官僚ですので決めたとおりにやるとか、今までどおりにやるということが強く出てくるのだと思うのですけれども、アメリカの有識者とか、広く国民的な議論をすれば日米安保条約から50年経って、今のような在日米軍のあり方ではなかろうというのが結構多数なのではないかと思います。ですから、せっかく日本でも米軍基地問題に関する議論や、苦悩に満ちた施策が深まったわけですから、21世紀、冷戦が終わって久しい今日のアジアにおける日本の安全保障の基本方針とか、アメリカとの協力の仕方については、もう一回根本からじっくりと考え直す作業をアメリカと共同でやるチャンスだと思っています。
そういう時期であり、今週というタイミングで沖縄以外の都道府県において、今ある沖縄の米軍施設をどこに持っていかなければならないかということについて、あまり詰めた議論はする必要はないのではないかと思っています。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は5月31日(月曜日)の予定です。

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