平成22年6月22日知事会見記録

ID番号 N5000 更新日 平成26年1月16日

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平成22年6月22日 10時30分から11時03分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
初めに、知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
発表事項の第1は、『荒俣宏・高橋克彦の岩手ふしぎ旅』という本の出版についてです。岩手の知られざる新たな魅力を発信する広報事業の一環として、実業之日本社と岩手県との出版タイアップにより進めていた単行本『荒俣宏・高橋克彦の岩手ふしぎ旅』が、平成22年6月19日に出版されました。博物学の研究など多分野で活躍されている荒俣宏先生と本県在住の直木賞作家である高橋克彦先生のお二人が、一緒に県内各地を歩き、見聞きし、隠された岩手のスピリチュアルな魅力に迫る歴史探訪本です。
いわてのソフトパワー構想の一環として、今年は「パワースポット」に着目し、岩手のさまざまな魅力、特色を全国に情報発信します。この本に取り上げられた数々のスピリチュアルな場所を、「岩手のパワースポット」として情報発信することで、岩手のイメージアップを図るとともに、県民の意識高揚にもつなげていきたいと思います。
発表事項の第2は、「いわて男女共同参画フェスティバル2010」の開催についてです。6月の「いわて男女共同参画推進月間」のメインイベントとして、「じょじょ(女女)に進む、だんだん(男男)広がる共同参画」をテーマに、「いわて男女共同参画フェスティバル2010」を6月26日土曜日、午前10時から盛岡市民文化ホール(マリオス)といわて県民情報交流センター(アイーナ)を会場として開催します。
当日は、午前10時からマリオス大ホールにおいて、開会式と県の男女共同参画社会づくりの推進に功績のあった方々の表彰を行うこととしています。開会式・表彰式の後に、父親の育児支援を行うNPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也さんによる基調講演も行います。
また、アイーナでは、県内各地で活動する団体による分科会や展示、販売を行うなど多彩な内容です。多くの県民の参加を期待します。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただ今の発表事項に関して、各社から質問があれば社名を名乗ってからお願いします。
ないようですので、1つお聞きします。
「荒俣宏・高橋克彦の岩手ふしぎ旅」の出版ですが、いろいろなスピリチュアルスポットが紹介されているようですが、知事が特にお薦め、すごく気に入っているスポットを幾つか挙げるとすると、どういうところがありますか。

知事
その本の中で直接取り上げられていないのですが、県庁前の道路をお薦めしたいと思います。県庁前の道路は、国道455号を通じて県都の鬼門の方向から鬼のエネルギーを取り入れ、それを106号線、さらには4号線を通じ、沿岸や県北、県南にエネルギーを送り出し、県道1号線で西和賀の方にも送り出しているのですが、去年は北山トンネルも開通して、その鬼門からのエネルギーの流入が増えています。岩手には、鬼との契約成立を祝い、寿(ことほ)ぐ、「さんさ踊り」というものがあり、県庁前でパレードしていただくことで、祟るかもしれないようなエネルギーが良いエネルギーに変わります。北山トンネル開通直後となる今年の「さんさ踊り」は、ぜひ盛大に開催し、全国からも来ていただいて県庁前の中央通というパワースポットを皆さん堪能し、よりパワーを高めていただきたいと思っています。

幹事社
知事ご自身も日々県庁で働きながら、そういう気というか、パワーを感じながらの仕事をされているのですか。

知事
そうですね、そうやって常に念頭に置いています。

幹事社
ほかになければ、この件以外で各社から質問があれば社名を名乗ってお願いします。

記者
いよいよ参議院選挙が、あさって24日公示と近づきました。知事は、今回の参院選の争点を何だと考えていますか。また、その選挙期間中に、例えばマイクを持つなど特定候補を支援するか、その姿勢についてもお聞かせください。

知事
ジャーナリストの視点とか、あるいは学者や有識者の視点から客観的な争点は何かという見方があるとは思いますけれども、一方、日本国民一人一人が、国の政治に対してああしてほしい、こうしてほしいという、一人一人にとってのいろいろな争点があると思っています。そういう意味では、岩手県知事としては、岩手県民が直面しているさまざまな課題が解決されて、県民の暮らしや仕事が良くなっていくような方向に政策議論が行われ、そういったところに光が当てられ、良くなるような結果が出てもらえれば良いと思います。

記者
特定候補の支援をなさるかどうかというのは。

知事
記者会見で誰それを応援します。誰それは、こういうところが良いから応援します。誰それが当選すれば、このように良くなるでしょうといったことをあまり言うと、記者会見の場を応援演説の場として利用してしまうことになるかもしれないなと思っていますので、あまり具体的なコメントは控えさせていただきたいと思っています。

記者
今のと関連してですが、国民一人一人に争点があるということですが、知事ご自身はどういった点に着目してご覧になりますか。

知事
岩手が直面する課題として、リーマンショック以降の経済、雇用の危機的状況からまだ脱し切れていないところがあります。街の景気は、まだまだ回復していませんし、雇用についても低迷のままであり、こういったところをまずしっかり改善してもらわなければならないと思っています。また、中長期的にも格差社会化や地方の切り捨てといったような状況が続いたのを是正していくというところもあって、地方の所得が向上し、そして地方の経済が活性化して、また地域医療の問題なども改善して、地域がより働きがいがあり、暮らしやすくなると。それが日本全体の21世紀の発展につながっていくのだと思っています。また、そういう地方が良くなることこそ、日本全体が良くなることという意味では、地方分権や地域主権改革といったことの進展も非常に重要であり、それが今の大事な政策的課題だと思っています。

記者
今、景気がなかなか回復していない、雇用も低迷しているというお話しでしたが、そんな中で菅総理が消費税10%に言及されました。これについて、どう受け止めていますか。

知事
私もかつて衆議院議員時代に、年金、介護、高齢者医療といった基礎的社会 保障は、消費税を充てるのが良く、必要性に見合った額の消費税率というものを国民で議論して決めていけばということを言っていましたので、消費税率をめぐる議論を国民的に行っていくということは大事なことだと思っています。
一方、消費税というのは、分かりやすい例で言うと、アメリカのニューヨーク州はクリスマスシーズンに消費税をゼロにしたりとかします。景気の動向を見ながら柔軟に税率を変えることができ、上げていくだけではなく、下げるということもできるというのが消費税率なのですが、今の日本の景気の局面からすると、今すぐ上げられる状態にはないと思っています。

記者
県議補選の関係で2つ教えてください。1つは、昨日知事は、盛岡選挙区の補選で民主党公認で出られる方の事務所開きに出席されたと思うのですが、知事としてそのような場に出られることについての見解を教えてください。
もう1つは、昨日釜石選挙区の補選も実施されることが決まりましたけれども、前の盛岡選挙区と合わせて予算措置については、いつごろのタイミングで出されるということなのでしょうか。

知事
知事は、基本的には政務、政治活動というのは自由であって良いし、自由であるべきだという考え方です。やっていけないのは、行政を不平等、不公正に行うことであって、政治活動については自由であるべきだと思っています。それは県議補選についても同様と考えています。
釜石での県議補選の予算については、今計算をしているところであり、基本的な考え方としては、議会にきちんと決めていただくことが大事だと思っています。間に合うのであれば、6月議会にお諮りをするということになりますが、間に合わないのであれば、それ以外の方法でということになると思います。

記者
今のそれ以外というのは、どういうことが考えられるのでしょうか。

知事
そこは担当に聞いてください。

記者
参院選の応援に行かれるかどうかという質問に対して、応援演説になってしまうかもしれないのでということでしたが、政治活動の今の知事の説明からすると、当然参院選の公示後もそういう求めがあれば出かけていくという従来の方針を通されるということなのでしょうか。

知事
本当は、今ここで何党の誰それさんは大変すばらしいので、応援に行くみたいなことを話すのも、これは自由ではあるとは思っているのですが、自由ではあるものの、作法として自分の個人的判断で控えておこうということです。そういう意味で、そういう自由な枠の中でどういったことを実際に行うのかどうかというのは、その時々の自分の判断で決めていきたいと思っています。

記者
農業振興について、来年度以降の農政のはっきりした形が見えてない中で、農家の方からいろいろと不安を聞くことも多いのですが、知事としては今後の農業振興について、どのような方向性なり議論を求めていきたいと考えているのでしょうか。

知事
国政レベルでということですね。

記者
今後、国への要望などもあると思うのですが、農業県としての岩手として、どのような役割があると考えているのかについても、お願いします。

知事
国の農業政策については、将来どうなっていくのかという見通しがきちんと立ち、何か変わるのであれば、その変わる内容をできるだけ早く知らされるようにしてほしいという岩手県内の農業関係者からの声は、県でもしっかり受け止めており、政府に対する要望、提案を今回まとめて、先般、県選出国会議員の皆さんに差し上げたのですが、その中でも分かりやすく見通せるようにしてほしいということは訴えているところです。
岩手は、47都道府県中、食料自給率100%を超える6つの道県のうちの一つで、食料供給基地として重要な役割を果たしていますし、また21世紀は食の時代でもありますので、岩手県民の暮らしや経済の向上という観点からも岩手の農業は非常に大事だと思っていますので、県としても農業振興にはしっかり取り組んでいきたいと思っています。

記者
先ほどの消費税の関係について、確認させてください。
知事は、今の日本経済の動向を見ると上げられる状態ではないとのことでしたが、これは時期的なものについて経済状況が回復すればという条件付きだと思いますが、一方、現政権下で次の衆院選までは上げないといった議論もあるようです。その辺の考え方を教えてください。

知事
消費税を上げなければならないという議論は、その背景に日本の財政赤字がものすごく巨大化していて、このままではいけないということがあるのだと思うのですが、ただ日本の財政赤字が巨大化しているのは、日本国民がだらしがないからそうなっているわけではないと思っています。それなりの理由、必然性があってこうなっている。
それは、1つは日本の銀行や金融機関の資金供給能力あるいは投資家の投資意欲、そういう民間部門にお金を供給していく力が圧倒的に弱いのです。昔はそれを国が補って、国が事業を起こし、公共事業等々、あるいはいろんな補助金等々でお金を民間経済に回していた。
また、そういった構造だったから、民間経済も何かやるには非常に慎重で、できるだけ政府とか、あるいは地方自治体も、補助事業とか、そういった政策的な誘導と、そこと連携してビジネスを展開しようという意向が大変強い、そういう構造がまずあると思います。そういう構造を転換せずに赤字を減らそうとして増税、負担増を行ったり、あるいは歳出の大幅カットを行ったりした結果、この20年間、アメリカの経済規模が2倍に増え、中国は7倍ぐらいに増えているに日本経済は長期低迷が続き、全然増えていない、ゼロ成長という本当に異常事態が起きているわけです。この異常事態の本質は、借金の多さに異常があるのではなく、低金利と減税状態にあって、民間部門からすれば世界でも稀に見る経済体制のはずなのに、少しも民間経済が動かないというところに問題の本質があるのです。だから、民間金融機関がどんどんお金を貸し出し、あるいは投資家が投資する、これは株を買って、株価がぐいぐい上がってとか、そうならない時に増税をしたり、公的支出を切り詰めたりしたら、失われた10年、20年が30年になっていくことは、火を見るより明らかな状態にあるわけです。
よって、何年後ならいいのかということについては、本当に民間主導の自立的経済成長の軌道に乗らない限りはだめなのです。何年かかるかということについては、本当はできるだけ早くそうしなければならないのです。ただ、そこは期限を区切ってやるというよりは、実態に即してきちんと民間主導の自立的経済成長の軌道に乗るということを判断して、政府の財政再建の方に軸足を置いていけば良いというのが今の日本の実情だと思います。

記者
今の話を聞きますと、硬直化している状況下で、まだ上げるべきではないといったお話だったと思いますが、菅総理の今回の、昨今の記者会見等も通じてそれを打破するような策というのは、知事はどのようにあったかないか、どのように受け止めていますか。

知事
成長戦略大綱が出て、それは名目3%、実質2%の成長率を実現するということなので、そうなれば良いのです。私は、まだ中身を完全に読んではいないのですが、アジアの成長とリンクして、エネルギーとか、農林水産業とか、観光とか、そういう地域に根差した産業を活性化させていくという方向性としては、良いことが書いていると思っています。
成長戦略を本当に実現していく決め手になるのは地方だと思います。やはり地方が頑張って、地方経済を活性化させていくような日本の経済産業構造にならないと、ああはいかないので、そういう意味では消費税を上げられるような、そういう基礎体力のある、希望が持てる日本の経済構造にしていけるかどうかというのは地方にかかっていて、地方行政関係者や地方経済関係者の責任は非常に大きい、そういう局面だと思います。

記者
今の消費税の話で補足して伺いたいのですが、かつて知事が議員時代におっしゃっていたのは、私の記憶が間違っていなければ、基礎的年金を税方式にして、その代わり破綻した国民年金の保険料も取らないというようなことだったと記憶しているのですが、そうだとすると今の消費税の増税論議というのは、それを何の財源に使うのかというような議論とか、それから税率アップした時に今の社会保障の負担の仕組みをどうするのだという議論が余りなされていないように思うのですが、改めてこの点について所見を伺いたいと思います。税率アップ分は、社会保障に限定すべきか、それとも基礎的財政収支であるとか、そういう国の財政の健全化にも活用してしかるべきか、というところも含めて教えてください。

知事
民間主導の自立的な経済成長軌道に乗せていくには、セーフティーネットの充実というのが不可欠です。したがって、社会保障を改革して、これでもう短期的な失業とか、あるいは何かベンチャーをやって、それが破綻したとしても怖くはない、食べていくには一生困らない分厚い社会保障のセーフティーネットがあるという中で、皆が思い切って仕事ができるようになりますので、社会保障を中心としたセーフティーネットの充実というのが非常に大事ですし、そういう意味ではそれとセットであれば消費税率を引き上げていくということが、受け入れられやすくなるのだと思います。

記者
セットということは、要するに税率アップ分の収入、税収というのは社会保障の財源に回すという理解ですか。

知事
それは非常に分かりやすいやり方だと思います。
一方、全国知事会では消費税を引き上げて、その分、地方消費税が引き上がって、地方が財源として、税財源として確保できる分を大きくしていけば良いという議論もあります。そういう意味では、地方切り捨てにならない、地方が疲弊しない。さっき民間主導の自立的経済軌道に乗せるには、地方が決定的に重要という話をしたのは、6次産業化の事業とか、今の景気対策、雇用対策的な事業とか、やはり県や市町村がきめ細かくそれぞれの企業と相談をしながら、2人、3人と雇う人を増やしていく新しい事業をやれば、これはうまくいきそうだというのを官民一体となって発掘しながら、そこに資金がきちんと投入されていくという地道な努力を積み重ねていくしかないのかなと思っています。
だから、そういう地方の財源が減らされてしまうと、いくら社会保障が充実してもなかなか思い切ったようにはならないと思います。私は個人的には、地方の税財源というのは、必ずしも消費税でなければだめということはなく、額としてしかるべきものが保障されれば、いろいろな税財源があり得るのではないかとは思っているのですが、社会保障の充実と地方切り捨てにならない、むしろ地方がより力を持つというような流れの中で消費税の活用が、あとほかの税源の活用と合わせて決められていけば良いと思います。

記者
いわてNPOセンターの助成金の不正受給問題についてですが、先週知事から司直の手にゆだねるというお話がありましたが、その後、これから具体的にどのような手続を進められる予定か、具体的にどのような罪で、いつごろをめどに告発される予定か、お願いします。

知事
担当のところで警察関係者ともいろいろ情報交換、意見交換しながら詰めているというところであり、状況把握の度合いはより高まっているのですが、まだ具体的に司法的、行政的な段取りとしてこうするということはまだ決まっていないところであります。基本的人権にかかわることでもあり、一定の慎重さは必要なプロセスですが、できるだけ早くきちんとしたアクションが取れるようにしていきたいと思っています。

記者
やはり去年の秋以降、次から次とこのような不正が出てきているということについて、官民協働という視点からも、県についてもチェック体制がどうだったのかという振り返り、それから今後このようなことが起きないように、更なる対策というものが求められると思うのですが、それについてはいかがお考えでしょうか。

知事
NPOをめぐる制度は、一種の性善説で、お互いの善意に基づいて構築されているというところがあります。そういう意味で、当事者がその裏をかこうとか、騙そうとか、悪意で行った場合には、なかなか早く発見できないとか、すぐに対応できないとか、そういう枠組みだと思います。
ただ、だからといってNPOに関する仕組み全体を性悪説的に構築していったのでは、せっかくの善意の芽生えとか、NPOの活動というのが萎縮してしまう恐れがあります。むしろ岩手のNPO関係者の皆さんには、萎縮しないで思い切って伸び伸びと、ただそれぞれやっていることについては市民、そういう外部にきちんと公的に公開をしながら、そういう人たちに見守られながら進めていってほしいと思っています。
県としては、制度自体を性悪説的に変えていかなければならないとは思っていないのですが、一種の危機管理として、いざそういう事態が出てきた時には、きちんと迅速に対応できるような工夫を今後していく必要があると思っています。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は7月5日(月曜日)の予定です。

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