平成22年7月5日知事会見記録

ID番号 N4998 更新日 平成26年1月16日

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平成22年7月5日 10時31分から11時02分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
初めに、知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
今日の発表事項は、東京駅飲食店街での「ニッポンおいしいフェア 岩手県」の開催についてです。本県とJR東日本本社及び株式会社鉄道会館がタイアップし、7月6日から12日までの1週間、東京駅の飲食店街において、岩手の食材を使用したメニューを提供する「ニッポンおいしいフェア 岩手県」を開催します。
フェア期間中は、飲食店街の65店舗において、岩手の選りすぐりの食材によるさまざまなオリジナル限定メニューが提供されます。また、特設のイベント会場においては、本県の特産品販売や観光PR、平泉の世界遺産登録推進PRなどを行います。
各飲食店に使用していただく食材は、岩手町産キャベツ「いわて春みどり」と豚肉「やまと豚」、岩手県産「雑穀」・「山ぶどう果汁」、大船渡市産の「恋し浜ほたて」、山田町産の「アカモク」など11種類です。
初日の明日6日は、夕方からオープニングイベントを開催し、私も東京駅を利用する首都圏の皆様に岩手の食や観光をPRします。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただ今の知事からの発表について、各社から質問があれば、社名を名乗ってからお願いします。
それでは、続きまして幹事社から質問します。
関東自動車工業の岩手工場での新型ハイブリッド車の生産についてです。生産される見通しになったことを受けて、どのような波及効果があると思われますか。

知事
トヨタ側から正式な発表があったわけではありませんので、まだ報道などによる情報しか持ち合わせていないのですが、関東自動車工業株式会社岩手工場でハイブリッド車を生産するということになれば、環境対応車への関心が高まりつつある中で、大変喜ばしいことと考えます。
東北では、コンパクトカーに加えて、ハイブリッドカー等のマザー工場を目指すということになっていますので、今後、自動車関連産業の拠点化が一層進むということが期待できると思います。

幹事社
生産する上で、これまで以上の技術力というのが求められると思うのですが、県としての役割をどのようにお考えですか。

知事
今までのように、どんどん地場の企業の皆さんにも参入のチャンスをとらえていただくよう、関東自動車工業側のいろいろな先端の技術の紹介、そして地場の企業から「うちはこういうことができる」「ああいうこともできる」ということのトヨタ側への紹介を中心にしながら、マッチングの機会を増やすことに取り組んでいきたいと思います。
また、開発拠点も既にできていることもあり、それがコンパクトカーからハイブリッドカーへも広がっていくことを視野に入れながら、設計ができる人材の育成などについても一層力を入れていきたいと思います。

幹事社
では、この質問に関して各社から質問があれば、お願いします。
他に各社から質問があれば、お願いします。

記者
岩手競馬に関してお伺いします。今年も売上げが計画を下回って、現時点で3億円程度のコスト削減が必要と見込まれる状況になっていると伺っています。厳しい綱渡りの経営が続くのですが、既にコストカットも限界に近いのではないかとおっしゃる方もいらっしゃいます。今後、県としては、どのように再度盛り立てていこうとお考えなのかというのが1点。
それから、今年の2月に存廃基準の見直しについて、「民意を踏まえて考える。」というご発言をされています。今年もこういう状況になってきて、現時点で知事はその民意というものを踏まえて、どういうお考えを持っているのかお伺いします。

知事
まずは、年度を区切って、その期間ごとに売上げの状況を見ながら、きちんとコスト調整をしっかりやっていくことだと思っています。最初の第1期で、全体とすれば売上げの減少という数字が出ているわけですが、期間によって、あるいは日によっては予定を達成したこともあり、また、インターネット発売や委託発売などでは、計画を上回る実績が上がったりしているところもある。そういう意味でニーズのありようをしっかりとらえながら、きちんと応えていく競馬事業の組み立て、レースの運営をやっていくことが、ファンの期待に応えながら競馬を持続的に経営していくことになるので、それが基本ではないかと考えています。

記者
存廃基準に関してはどうでしょうか。

知事
消費税の議論と似たところがあるのですが、いろいろ現状を改革すべきところを放置しておいて、安易に増税しさえすればいいということになってはまずいと思います。競馬の問題についても、資本的な費用とか、今後の中長期的な発展につながるようなところで何か思い切ったことができないかという議論が、県議会でも、競馬の運営協議会でも、そういう意見は出ているのですが、それがコスト調整というきちんとやるべき作業を甘いものにするようになってはいけないと思いますので、今はまず厳しくコスト調整を行うというところに専念しなければならない局面ではないかと、競馬組合の管理者として、そのように思っています。

記者
先週、激甚災害の津波の関係で国から査定の基準が出ました。これは、被害の大きさにかかわらず、被害額が13万円以上のケースがすべて対象になるということで、これに関して岩手県としての受け止めと、今後これも含めて課題点がもしあるとすればお願いします。

知事
養殖の経営形態の実態や被害の実態を踏まえて、かなり使い勝手を良くするような方向で出てきたと思っていますので、これは非常に助かることだと思っています。引き続き、被害を受けた皆さんや関係の漁協の皆さんの声をいただきながら、農水省に求めるべきことがあれば求めていきたいと思います。

記者
具体的に特に求めることというのは、今の段階ではありますか。

知事
今はまず、農水省からの仕組みの周知、理解を徹底することが必要だと思っています。

記者
報道各社が世論調査をしていて、内閣支持率が続落している現状ですが、その要因は何だと考え、知事はそうした現状をどのように受け止めていますか。

知事
支持率を含め、世論調査の結果については、政治の側から働きかけて動かしていく対象であり、それに動かされるようでは本末転倒だと思っているのですが、ただ社によって内閣支持率は、不支持が支持を上回っている数字もあれば、支持が不支持の倍ぐらいの数字もあって、コメントが難しい状態だと思っています。

記者
何が原因か、知事なりの分析はどうされていますか。

知事
鳩山内閣時代から、いわば乱高下のようになっていて、何でそのようになるのかということを一言で言うのは難しいと思っています。

記者
消費税のことについてお尋ねします。消費税について、知事は先ほど競馬のところでもおっしゃいましたが、今回の参院選でどのように議論すべきとお考えか、お聞かせください。

知事
参院選で、私は政権交代以前の地方切り捨て型、格差拡大型の経済財政政策から転換して、地方を強くして、セーフティーネットを厚くして、そのベースの上に地方から日本全体の経済活動が活発化していくような新しい仕組みづくりということが去年の衆院選の争点でもあったし、その方向性を更に続けるということを国民として確認し合うというのが、今年の参院選の意義かと思っていましたので、もう少しセーフティーネット的なことの充実とか、地方経済から日本経済を立て直していくというビジョンとか、そういうことがもっと議論されればいいなと思っています。

記者
小沢前幹事長は、まず無駄を削減してからで、消費税をすぐ上げるべきではないとおっしゃっていて、いろいろ党内でもめていますが、知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
無駄の削減については、すべての国民が基本的事実として、去年の予算編成の時に、麻生内閣でつくった補正予算をまず修正しなければならないということで、政権交代直後、補正予算の修正に3~4週間、1カ月近くかかったのではなかったかと思います。それに時間がかかり過ぎて、本予算の修正に2週間ぐらいしか時間がなくなってしまったのではなかったでしょうか。今年度予算の大枠は、去年、麻生内閣で決めていました。本当は、その無駄の削減、抜本的な無駄どりをやれれば良かったのですが、2週間ぐらいしか時間がなく、かつ、子ども手当とか高校授業料無償化とか、新たな民主党としてやらなければならない、むしろ付け加える作業を行わなければならない中で、本予算における無駄の削減という作業はほとんど行われなかったということを、すべての国民が目撃していると思います。ですから、来年度の23年度予算については、各省の概算要求の段階からきちんと白地ベースで無駄の削減に取り組むということはやらなければならないことだし、それはまだ国民には示されていないことだと思います。

記者
2日、参院選に伴って県議補選盛岡選挙区が告示されました。5人の個性あふれる候補者の方々が戦っていらっしゃいますけれども、知事として、争点は何だとお考えになりますか、ご見解をお聞かせください。

知事
県民みんなでつくった「いわて県民計画」、希望郷いわての実現ということをどれだけ力強く確実に推進していくのか、それに賛成するか、反対するかというよりも、どれだけ強く推進していくかというような、プラスの方向での競争なのかなという感じがしています。

記者
推進する中で執行部と議会とともに頑張るということだと思うのですが、県議会の構成は今、民主党会派が21と、あと4議席で過半数に達することになって、盛岡、釜石両補選の欠員が4ですので、場合によっては知事にとっては非常に大きな力を得る可能性もあるのと考えています。その中で、知事も特定候補のマイクを握って応援されているようですが、それはどのようなお考えによるものでしょうか。

知事
まず、個々の議員がどの会派に所属するかとか、どの会派とどの会派が連携していくかという議会の中における多数の形成については、議員の皆さんの政治的自由、基本的な自由に基づいて行われるべきことであって、そこに知事は関係なく、県議会議員の皆さんと県民との関係で決まっていくことだと思っています。ですから、県議会の中をどうこうということで私が自由な政治活動をするわけではなく、もっと政治家個人として、大分前から生活が第一、セーフティーネットを厚くした上で個人が自由な経済社会活動を展開できるような世の中づくりということを一緒にやってきたような人たちが、更にその方向で頑張っていきたいということについて、一緒に政治活動をするという感覚で行っています。

記者
消費税の中における地方交付税についてですが、まだ何の意見もなされていない状態なのですが、知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
地方交付税は、昨年度から今年度にかけて1兆円の増額ということで、岩手県においても県予算を増額し、経済雇用対策とか、中長期的な希望郷いわての実現に向けた政策などを、かなり強力に進めることができており、そういうことを日本中で各地方が頑張って進めることこそ、日本の失われた10年、20年を逆転させていく、地方から日本を良くする、それが地域主権改革ということでもあると思います。地域主権改革を成功させるには、どんどん地域の力を高めていかなければならないので、地方交付税については全国知事会で言っているような復元という表現ですよね。岩手でいえば、1990年代の終わりごろには今より高い9割程度の県民所得水準で、今では8割程度の県民所得の率ですけれども、90年代終わりごろには9割ぐらいにまで全国との差を縮めていたわけであり、やはりそういった強い地方、活力ある地域を可能にするような地方交付税というのを基本にしていかなければならないと思います。

記者
先ほどの消費税の話で恐縮なのですが、今の民主党の中の議論を我々なりに見ますと、小沢さんは衆院選の時のマニフェストの実現と、それから4年間は増税しませんと言った鳩山さんの発言を今の段階では守るべきだと。一方、菅さんは、中長期的な財政や社会保障の話をしているから雑音はやめてくれと、こういう対立というか、意見の違いではないかと思っているのですが、改めてどちらの方に分があると、知事はお考えですか。
あと、特に消費税の問題で、例えば対象外とする年収の範囲がぶれたりとか、菅総理の発言にぶれが見えるのですが、その辺も含めて菅首相を今の段階でどのように評価されるのか、この2点を教えてください。

知事
去年の政権交代で日本の政治が大きく変わったなと思うことの1つが、国政でいえば国民の声に耳を傾け、できるだけ国民の意向を反映させようとすることです。それまでの政権に比べると、涙ぐましくなるくらいに国民の声に耳を傾けようとする姿勢が大きな特徴として挙げられると思います。普天間問題についても、沖縄の人たちの思いをできるだけ聞こうということで、それまでの政権がしなかったような幅のある議論をしてきたわけであり、消費税の問題についても財政の将来に対する国民の不安を踏まえて、今までしなかったような議論に踏み込んだと思っています。
ただ、その議論に踏み込んでみたら、菅総理が消費税の議論を始める前は、いろいろな世論調査で60%やそれ以上の国民が消費税上げてもいいと、上げるのに賛成としていたのですが、ここに来て賛成が40%ぐらいに落ちたり、また反対の方が多いという調査結果も出てきたりしています。ですから、そういう世論の上がったり下がったりに応じて、そこに耳を傾けて菅総理もすぐ上げるということではなく、これは議論をしようとすることで、国民の民意というか世論に内在するぶれをそのまま受け止め、そこに敏感に対応するという反応を、鳩山総理も菅総理もしているということだと思います。
一方、小沢一郎さんが言っているのは、去年の衆院選で政権交代、政権を負託されたのだから、その時の約束をベースに進めていこうということで、それは至極まともなことであり、菅さんと小沢さんの比較ということになれば、そこはそれぞれ全然違うリーダーシップの原理で言動をしているということで、それぞれのスタイルの問題であって、どっちが正しいとか、どっちでなければいけないということはないのだと思います。

記者
国民に内在する意識のぶれに応じて反応しているのでは、それは政治家としてのリーダーシップに欠けるのではないかという声もいろいろ聞かれるようですが、その辺りはいかがお考えなのでしょうか。

知事
ずっとぶれ続けていると、まさに鳩山内閣のようにいつかは辞めなければならないことになってしまいますので、そういうぶれをいつまでも続けているわけにはいかないと思います。

記者
2点お伺いします。内閣支持率に関しては、一言では言えないというお話でしたが、世論調査で参院選の議席改選数に関して、過半数を民主党単独では厳しい、連立でも微妙というようなデータが報道各紙で出ています。その原因に関しては、今まで出てきた消費税の問題としてとらえてよろしいのかという知事のお考えをまず1点伺いたいのと、あとぶれに関して、知事は冒頭で、政治から動かしていく対象なのだというようにおっしゃっていましたが、具体的には今後どのような形でやっていくべきなのだと、ぶれはいつまでもやるべきではないと今触れられましたけれども、どのようにやっていくべきかという知事のご見解を。

知事
去年の衆議院議員選の結果というのが、民意で、まったく新しい政治体制を日本に打ち立てるという一種革命的な総選挙だったわけです。やはりそこを原点にして、その時あれだけ民意の支持を得たマニフェストの基本的な方向性、セーフティーネットをしっかり厚くして、その上に自由な経済社会をつくっていくこと、21世紀のグローバル時代においては世の中の変化が激しくなるわけであり、高度成長の時のように終身雇用、年功序列でいろんなことを計画的に進めていくことができた、10年、20年、30年、住宅ローンだと40年近い計画が立った時代とは違うわけですので、本当に分厚いセーフティーネットを公で構築しなければならない。麻生政権や、そこに至る自民党を中心とした政権は、そういうセーフティーネットを厚くするということは社会主義だから良くない、そういう冷戦的な対立志向、右対左の対立志向の中で、左的なものは良くないということで日本は行き詰まったし、そういうのはもう止めようというのが民意だったわけで、そういう意味では元々の言葉の意味の第3の道、右と左のそういう不毛な対立の中で、本来やらなければならないセーフティーネットの強化をやらないでしまっていたことを止めて、右と左のきちんと巧みな融合の中でセーフティーネットを厚くしていくという主張をしていれば、一定以上の民意の支持は得られ、世論調査的にも良い数字が出るのだと思います。

記者
残り1週間弱ですけれども、知事はそのような主張をしていくべきだというお考えでよろしいですか。

知事
私は、衆院選までの流れから、そして、そこからそういうものだと思っているので、本質的には余り心配はしていないのですけれども。

記者
あと、世論調査の結果、議席数に関して、場合によっては連立をまた見直すような可能性も出てくると思いますが、どういった組み合わせが良いか、知事のご所見を伺えますか。

知事
まず、世論調査は世論の調査ですが、選挙の結果は民意ですので、個々の有権者の意思決定に基づく投票という行為、主権の行使に基づく結果というのは尊重しなければなりません。それに合わせて政治の形をつくっていくのが原理原則ですから、示された選挙結果を最大限反映するような内閣をつくれば良いのだと思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は7月12日(月曜日)の予定です。

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