平成22年7月12日知事会見記録

ID番号 N4996 更新日 平成26年1月16日

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平成22年7月12日 10時30分から11時00分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は、知事からの発表はございませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
幹事社から、平泉の世界遺産登録に向けた取組みについて、3点質問します。
1つ目ですが、報道では今夏から秋にかけてイコモスによる現地調査が行われるとされていますが、その時期はいつごろになりそうでしょうか。
2つ目ですが、県と平泉町、奥州、一関両市などによる現地確認なども行ったようですが、現時点でイコモスに対しどのような点を重点的に説明したいか。前回との比較を含めてお考えをお聞かせください。
3つ目ですが、7月から「いわて・平泉観光キャンペーン」を行っていますが、その取組状況などをお知らせください。

知事
まず、イコモスによる現地調査の時期ですが、これは今、連絡を待っているところです。これまでの例では、秋までに実施される予定と聞いています。
次に、イコモスに対する説明で、どのような点を重点的に説明したいかということについてですが、今年1月に提出した推薦書により、資産の価値等についての審査がイコモスにおいて開始されています。現地調査は、その審査の一環として実施され、主に保存管理関係の内容について調査が行われると聞いています。推薦書に記載の内容を踏まえながら、資産の価値や保存管理について丁寧に説明を行って、より理解を深めていただくよう対応していきたいと考えています。
現地調査については、前回も円滑に実施されましたが、今回も十分に準備を行って、気を引き締めてしっかり対応し、平泉の世界遺産登録への後押しとなる評価レポートが提出されるよう、全力を尽くしていきたいと思います。
最後に、「いわて・平泉観光キャンペーン」についてですが、その一環として、先週私も東京駅に行き「ニッポンおいしいフェア 岩手県」のオープンニングイベントを実施してきたところです。また、県内では、三陸トレインの運行初日に合わせて、7月1日、盛岡駅で出発式を行いました。また、10日、11日の土日には、花巻市を会場に「賢治のイーハトーブまつり2010」を開催したところです。同じ10日、11日には、仙台駅や名取市のショッピングモールでPRイベントも実施しました。
今後、県内各地でさまざまなイベントが開催されるほか、キャンペーン実行委員会としても期間中盤のおもてなしイベントやファイナルイベントなどを計画しているところです。

幹事社
この質問に関連して各社から質問があればお願いします。
ないようですので、ほかに各社から質問があればお願いします。
それでは、幹事社からお聞きします。
昨日、参院選と県議補選が行われました。民主党の候補、両方合わせて4人出馬されたのですが、主浜さんと高橋但馬さんが当選されて、あとの2人が落選された。工藤県連代表も落選されて、辞意を表明されたのですが、今後、議会運営など今まで民主党会派と知事が力を合わせて行ってきた部分が多かったと思うのですが、今後の県政運営についてどのような影響があるとお考えでしょうか。

知事
県政運営は、民意に従って行っていくわけですので、まず当選した新県議のお二人には、お祝いを申し上げたいと思います。県民の負託に応えて、県議会で大いに活躍していただきたいと思います。県政としては、そのお二人を含む県議会全体に対して、誠実に対応していくということは変わりませんし、それが県政を発展させていく基本的なありようだと思っています。

幹事社
全国的には、民主党が大敗したということで、消費税等に対する国民の声も厳しかったと思います。この結果について、知事はどうお考えでしょうか。

知事
先ほどの質問で、岩手から立候補した人については、選挙区選挙は勝利、比例は落選ということとも併せて答えると、まず、岩手において主浜了候補が当確一番乗り、いわば日本一の圧勝の形で勝利したことは、本当にすばらしいことだったと思います。そして、工藤堅太郎候補の落選については、1つは名前を書いてもらう選挙の難しさという要因があることと、もう一つは、全国的な民主党の比例票の伸び悩みということが、こういう結果になっていると思います。
全国的な結果についてですが、多くの新聞の1面の見出しやテレビでも、与党大敗とか、民主大敗とか言われていますが、そのとおりだと思います。これは、去年の衆院選の結果、民意によって政権を交代するという、その大事さを尊重してやっていればこういうことにはなっていなかったと思うのですが、そこからいろいろと政策的に離れたり、また党の体制として挙党一致的ではないような体制で選挙に臨むなど、やはり多々問題があった故の大敗だと思いますので、民主党にはそこのところをしっかりと反省をしてもらい、民意に沿った国政を展開してほしいと思います。

記者
先ほどのお話で民主が大敗したのは事実ということだったと思うのですが、執行部の責任はどのようにお考えでしょうか。

知事
責任はあると思います。ただ、執行部だけの問題ではなくなっていると思うのですが、まず参議院で民主以外が一致結束すれば、そちらの方が過半数を持つような状態になってしまった。これは、3年前に小沢代表の下で、民主が社民や国民と組めば過半数ということを今回の参議院選挙でぶち壊しにしてしまったわけですが、「参院を制する者、国政を制する」という法則があり、総理大臣は参議院の過半数に認められないと、どんな法案も通らなくなり、問責決議が可決されたりもします。ですから、誰を総理にするかということは民主以外が一致結束すると、そちらの方が総理を決められる力を持ってしまっているということですので、民主党はよほど深刻に受け止めなければならないと思います。そういう中で、小渕総理の時の自民党は、野中広務官房長官がひれ伏してでもということで自自連立を行ったりしたわけですが、よほど真剣に参議院の過半数を構成していかないと、およそ与党として機能しなくなるという状態になっているわけです。
そういうところから、民主党をどのように立て直していかなければならないのかということを、それぞれ胸に手を当て真剣に考えなければいけないと思います。執行部をどうこうという話は、まずは民主党の国会議員の皆さんが胸に手を当ててしっかり考える中から、どうすれば良いかということは出てくるのだと思います。そういう意味では、選挙翌日の今日とかに急にどうこうしろと焦るのではなくて、何でこんなことになってしまったのかということを、時間をある程度かけて考え、反省した方が良いと思います。

記者
今回の参議院選挙は、骨組みやアウトラインの部分は、小沢前幹事長が戦略を作って、実際にそれを執行したのは枝野幹事長ということだと思いますが、そもそも今回の敗因は戦略ミスなのか、それとも、その後の実際の選挙戦の取組みに問題があったのか、どのように分析されますか。

知事
敗因は、まず鳩山内閣時代に社民党切りをしたところから始まっていると思います。そのことが、去年の総選挙の時の枠組みを壊し始めた最初だったと思うのですが、福島大臣の罷免から始まって、菅総理になってからのいわゆる小沢外しということが更に敗因になっていると思います。やはり政権与党たるもの、一人でも多くの国民の支持を得ながら政権を運営していかなければならないので、めったやたらに切って捨てるようなことは、天下人のやることではないわけです。まして、身内を切ったり、排除したりするようなことは、国民の多数の支持を得ていくということからすると、逆行する話だったと思いますので、鳩山内閣の頃からそういう方向に向かって走り始めていたということが言えると思います。ですから、総理大臣を先頭にこの指とまれで支持を拡大していくような方向から、逆にあれも切る、これも切るみたいな感じで内向きになっていったということが、誰も予想しなかったほどの獲得議席数の少なさにつながったと思います。

記者
知事は、前回か前々回の会見でも、菅首相の消費税に関する発言のぶれが、このまま続くと鳩山さんの二の舞になるというような趣旨のご発言をされています。結果として、こういう選挙結果なのですが、今の菅政権の状態というのは、鳩山内閣の厳しかった時代に相当近づいているというご認識でしょうか。

知事
日本のような立派な、しかも大きい国の舵取りを行っていくに当たっては、その国のトップが一人で浮いているようではいけないのであって、何重にもしっかり支えられている重厚な構造の中で物を決めたり、言葉を発したり、行動したりしていくという本格的な構造が、政権の上のところにできていないといけないのです。それが、鳩山内閣においても、菅内閣においても、何か首相個人の一人の思い付きで首相が動いてしまうというような、国のあり方、成熟した民主主義国のあり方としては、非常に問題の多い、消費税の中身の問題よりもそういう構造に対して多くの国民が不安を持って、これでは良くないと思ってこうなったのだと思います。では消費税について、どうすれば良いのかとか、どういう段取りで議論を進めていけば良いのかという問題よりも、党として選挙において何か重大なことを決めたり発表したりする時の決め方といったところから立て直していかないといけないのだと思います。

記者
小沢前幹事長は、選挙戦後半、最終段階で潜られておられたようですが、秋の政局に向けて、今後どのような役割を果たしていかれるのか、見通しのようなものがもしあれば教えてください。

知事
去年の衆院選で民主党を圧勝させ、政権交代を実現した民意の大きな方向性というのは今でも生きていると思うし、またそれを生かしていかなければならないと思います。そういう方向で挙党体制的な、党内においても皆で一致結束が必要であり、さらには参院のことも考えると、党の外に対しても、この指とまれ式に多数を形成して日本にとって必要なことを然るべき手続できちんと決めて実行していける体制を作ることが、この夏から秋にかけての課題なのだと思います。

記者
小沢さんの役割というのは。

知事
3年前の参議院議員選挙で、まさに小沢一郎さんが代表として民主党の総力を最大限に高め、プラス社民や国民と連携をして、参議院で民主を中心とした勢力の過半数を実現したという実績がありますので、やはりその実績を大事にする方向で党の立て直しを進めていけば良いと思います。

記者
話は戻るのですが、今回の選挙に関して、民主党県連としては4人の候補者を出されて、そのうち2勝、半分の勝利であったことについての所感と、あとなぜ全勝できなかったのかというところ、そして、今後どう立て直していくかと、その3点についてお願いします。

知事
県連の総括は、県連の総括としてやられるのだと思いますが、私の感想とすれば、主浜候補の日本一の圧勝というのは、やはりすごかったなと思います。工藤候補の落選については、名前を書く選挙の難しさと、全国的な民主の退潮の中で大変残念だったと思っています。
それから、県議選の結果については、これはもう民意ですので、私も結果が出る前の応援については自由に行いますが、結果が出た後は、知事としてその結果を尊重するというのが基本スタンスですので、新しい議員お二人を含め、県議会全体に対してきちんと誠実に向かい合っていこうと思います。

記者
全勝できなかったという部分では、欠けたものというのは何かありましたでしょうか。

知事
党の総括についてまで、私が今の段階であれこれ言うのは差し控えたいと思います。

記者
今後、党の体制としては、どう立て直していけば良いかと、過半数割れについても国政でも県連についても、できれば両方教えていただければと思います。

知事
そういう立て直しというような問題なのかどうかということについては、そこは民主党県連の総括を待ちたいと思います。

記者
県議補選の件ですが、今回選挙で知事が民主党の候補を応援されたと思うのですが、その中で民主党の候補が達増知事を支えるという話を選挙活動の中でもされたと思うのです。ただ、そうすると、明確に言うと二元代表制で議会と知事が対等の立場で競い合うというか、適当な関係になり得ることはできないのではないかというご指摘もあるのですが、それについてはどのようなご所見をお持ちでしょうか。

知事
3年前の統一地方選の時に当選されている民主党会派の議員の皆さんも、選挙の最中、達増知事を支えるとか、達増知事とともに県政に臨むとか、そういう演説をされていたと思いますが、県議会議員の仕事の中では、県が行っていることをすべて認めて、全部に賛成ということでは決してなくて、県の行っていることについて問題提起をしたり、行っていないことについて行うべきだという指摘をしたり、また他の会派と一緒に決算の不認定とか厳しい対応をされたこともあり、県議会議員としての対応をされていると思いますので、今回当選した民主党公認の方もそこは特に心配することはないのではないかと思っています。

記者
今回、自民党の2議席をめぐり争われて、その中で1議席を地域政党が実質上自民党から奪ったという形になると思うのですが、それについては県政界のバランスというか、構造をどのようにご覧になっていますか。

知事
私としては、それぞれ個別の条例案や予算案について、どの党が与党、どの党が野党という区別なく、一人でも多くの議員の方に賛成していただけるように説明し、お願いをしていくという意味では、民意の結果の議席数、会派の議席数の関係というものにとらわれないで、誠実に対応していけば良いと思っています。

記者
先週も出たのですが、改めてこのような民主党大敗という結果になった参院選で消費税はどのように影響したか、率直な感想をお願いします。

知事
選挙の数週間前というか、1カ月とか2カ月とか前の世論調査で、消費税引き上げに賛成が60%を超えたりとか、国民のかなりの人が消費税引き上げに賛成というような世論調査の結果が出ていたかと思います。一方、選挙中の調査とか出口調査では、反対している人の方が多いという結果が出たところもあったと思います。そういう意味では、かつて郵政民営化やる、やらないみたいな割り切りの選挙があったのですが、消費税については、割り切れる形で論点が整理されておらず、争点になっていなかった。だからこそ、国民の側としても迷っているというか、どう答えていいか分からないというか、論点自体が明確化していなければ、そのことへの賛否も答えようがないというところもあり、だから議論はしなければならないということはそのとおりだと思うのです。ただし、その議論は、引き上げありきの議論なのではなくて、今の経済情勢を見ながら、やはり不況や不景気の時には消費税は上げないのが基本だということも議論の中で確認していかなければならないと思います。そういう意味では、白か黒かの選択肢になるような形で論点は整理されていないので、消費税についてはもう少し政治家の人たちが、論点整理を工夫しなければならないのですが、論点整理の前の段階、消費税に関する基本的な考え方とか、あとは日本の財政に関する基本的な考え方とかを、まずは整理する段階なのだと思います。にもかかわらず、民主党は何かそこを争点にして戦うかのごとき姿勢なのかなと受け止められたところが、敗因につながっているということなのでしょう。

記者
菅総理が、最初に消費税を上げるとおっしゃって、それから数字の方が大分ぶれて、400万、300万、200万というようになって、その結果、昨日も菅総理が、消費税をすぐ上げるのではなくて、議論をするということを言ったはずなのにうまく伝わらなかったということをおっしゃったのですが、消費税をめぐる菅総理のやり方についてはどう思われますか。

知事
ちょっと焦ってしまったのかなと思います。消費税を上げるのに賛成か反対かというところまで論点は絞れない、整理できない現状なわけですので、政府の中、あるいは与党の中でもいいのですけれども、日本の財政について研究するような場を設け、経済、財政、政府の経済財政諮問会議とかでもいいし、党の中の経済、財政の検討会議みたいなものでもいいし、そこで何で日本の財政赤字がここまで大きくなったのかというのをきちんと研究し、ちなみに私はここ20年ゼロ成長でいるという、その経済の低迷が赤字の基本的な原因だと思っていますので、経済の低迷をそのままにして増税すれば、かえって経済を悪化させ、むしろ税収は減るというデフレと財政悪化の悪循環が、今起こっているわけですが、それが一層悪くなる危険性があると思っていて、そういう日本の経済、財政状況の冷静で客観的な分析というところをまずはしっかり行わなければならないのだと思います。

記者
参院選の選挙区に関してですが、知事が圧勝と言いつつも、選挙区の得票は前回の参院選よりも減らしていると。これは、県内の民主党の基盤がまだ安泰だというふうにとらえていらっしゃるのか、あるいは危機感を持っていらっしゃるのか、その辺りをお伺いします。

知事
私は、全国での当確第1号の日本一の圧勝ということは、すごいことだと端的に思っており、また、主浜参議院議員ご本人の6年前の選挙に比べても、票を伸ばし、より差がついているので、そういう意味では基本的に高く評価できる結果なのではないかと思っています。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は7月20日(火曜日)の予定です。

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