平成22年12月27日知事会見記録

ID番号 N4962 更新日 平成26年1月16日

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平成22年12月27日 10時30分から10時58分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表はございませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
それでは、幹事社から県政記者クラブを代表して質問いたします。いよいよ今年最後の記者会見となり、1年間、いろいろな喜怒哀楽があったかと思いますが、1年間を振り返ってみて知事の印象に残った出来事3つと、その理由をお願いします。

知事
1つ目は「岩手の魅力の発信」、2つ目は「地震災害からの復興」、3つ目は「岩手の中・高生のスポーツ・文化面での活躍」ということを挙げたいと思います。
まず、1つ目の「岩手の魅力の発信」については、具体的には上海万博への出展とか、その関係でプーアル市と友好協定を締結し、秋にはプーアル茶祭りに参加したこと、それから龍馬であい博を1年間実施していた高知県と交流しながら坂本龍馬と石川啄木のコラボ企画などの活動を行ったことが印象に残っており、岩手として新しい方向性を出すことができたのではないかと思っています。
2つ目の「地震災害からの復興」については、岩手・宮城内陸地震で通行止めになっていた国道342号須川・真湯間が開通したことは、本当に地域の喜びであり、県にとっても大事なことだったと思います。そして今月、祭畤大橋の新橋が完成し、まず復旧・復興が一段落して、地域が明るい将来に向かって一歩を踏み出すことができたと思います。
3つ目の「岩手の中・高生のスポーツ・文化面での活躍」については、まず今年の1月、ノルディックスキー世界ジュニア選手権大会複合個人スプリントで小林潤志郎選手が優勝したことに始まり、全日本中学生ホッケー選手権大会で女子が優勝と準優勝、そして全日本中学校陸上競技選手権大会女子200メートルで土橋智花さんが日本中学校新記録で優勝、全国中学校水泳競技大会男子200メートル背泳ぎで陣ヶ岡君が優勝、全国高校総合文化祭では将棋個人戦で男子は中川君、女子は小山田さんがそれぞれ優勝ということで、去年の花巻東の甲子園での活躍に続いて、県民が大いに元気づけられたと思っています。

幹事社
それでは、この質問に関連して各社から質問があればお願いします。

記者
最初の岩手の魅力発信で新しい方向性を出すことができたというところで、改めて新しい方向性というのはどのようなものかということと、それが来年以降にどうつなげていければ良いと考えているのかという点をお願いします。

知事
成長著しい中国を舞台に海外に発信ができたこと、それから日本国内での地域間交流は過去にもいろいろありましたが、テレビ、出版等で坂本龍馬ブームが起こっている、そういった時期にかなり一定長期間、何種類かの分野において総合的な連携を高知県と展開することができたこと、国内の地域間協力の新しいあり方を一つ示すものだったと思います。

記者
来年度以降、その方向性を生かすことについての所見をお願いします。

知事
まずは今年度、来年早々には「コミックいわて」の発刊という、また新しい試みもありますので、任期中いろいろ新機軸のものを次々とできるだけ取り組んでいきたいと思っています。

幹事社
ほかにないようであれば、各社から質問があればお願いします。

記者
2点お伺いします。関連にもなると思うのですが、まず1点、今年の民主党政権を1年ご覧になって、どのように今見ているかと、あともう1点、農業問題について米価の下落とか、TPP問題とか、さまざまな問題があったと思うのですが、それについての所見をお願いします。

知事
農業問題について、まず今年は、春になかなか暖かくならなかったことと、夏に猛暑になってしまったことで、自然の猛威、普段と違う自然の大きなありさまに対して、農業の持っている本質的な難しさというのが表れた1年だったと思います。
一方、B-1ご当地グルメグランプリが非常に活況を呈して、去年までは一部の話題だったものが、今年は国民的な話題にもなったと思うのですが、生産から加工、そして消費者の口に入るまで、1次、2次、3次の合わせて6次産業化の試みというのが、地域や草の根から自然に大きく育ってきて、新しい農業の可能性というものが見えてきた1年だったと思います。
それから、今年1年の民主党政権のあり方については、夏の参議院議員選挙の結果が一つの民意として大きな疑問符が突きつけられたと総括して良いと思います。去年の衆議院議員選挙で示された民意の負託にきちんと応えてないということが大きいのだと思いますが、せっかく国民が自分たちで政権を変え、そして自分たちで日本の政治を動かしていくという新しい日本政治の段階に入ったわけであり、ぜひきちんと国民に働きかけて、国民と一体になって日本を良くしていくという機能をしっかりと果たしてほしいと思います。

記者
もう1点お願いしたいのですが、今年の県内経済について、なかなか厳しいものもある反面、例えば一関の方で誘致企業がどんどん入って来るなど、明るい兆しなどもあると思うのですが、その点についてもお願いします。

知事
製造業の関係でリーマン・ショックにより大きく落ち込んでいた生産が回復されてきて、リーマン・ショック以前の自動車産業の完成車50万台体制というのを中心とする新しい時代に入っていくという前向きな動きが出てきているのだと思います。それから、先ほどB-1グルメグランプリの話をしましたが、岩手県内もその全国大会に出た北上コロッケはもちろんですが、そのほかにもさまざま岩手町の焼きうどんとか、最近話題なのは大船渡のサンマラーメンとか、そういう地域資源を発掘・育成して、6次産業的に展開していくということが本当にたくさん出てきていると思います。そういったところが経済の足腰の強さにも結びついていくと思っており、それにより数字上も国民所得と岩手県民所得の格差が縮小してきたりとか、人口流出に歯止めが掛ってきたりとか、大きい統計数値にも表れてきていると思います。

記者
昨日の政府予算の関係でお伺いします。IGRいわて銀河鉄道のJR貨物の線路使用料の制度の見直しが決まり、岩手県としても長年要望してきた内容がほぼ認められた形だと思うのですが、まずこれについての受け止めをお願いします。

知事
約10年間にわたって要望を続けてきて、なかなか動かなかったことなのですが、それがついに制度を見直すということで実現し、本当に良かったと思います。代々の県の担当者含めて関係者の努力の積み重ね、尽力で実ったと思います。

記者
IGRも含めて三陸鉄道など地方の鉄道は、依然こういう制度の見直しがあっても経営状況は厳しく、将来的にも沿線人口の減少などで厳しい状況にあると思うのですが、今後の県の財政支援も含めて支援のあり方について、どのようにお考えでしょうか。

知事
地域住民のいわゆる足として、沿線地域からの存続への要望は、しっかりしたものがあるわけで、そこにはきちんと応えていかなければならないと思います。医療、福祉関係の連携とか、いろいろな新機軸とか、そういう地域に根差した路線ならではの工夫も見られてきており、三陸鉄道の方は観光関係のさまざまな新機軸、物販関係でもいろいろ出てきていて、そういう地域に根差したなりの良さというのはあると思います。
一方で、鉄道網というのは国全体の交通政策の一つの大きな柱であり、県境を越えて移動する人たちの移動を支えるインフラという側面もあり、国は地域に丸投げ、完全に押し付けてしまうのではなくて、国政の観点からの関与、支援をきちんと行ってもらわなければならないと思います。

記者
来年4月の北上市長選挙について伺います。現職の伊藤市長がさきに今季限りの勇退を表明しました。来る4月の市長選挙で、社民党県連合の小原宣良代表を擁立する動きが出ています。小原氏は、県議5期を務めて非自民的な立場で政治活動されてきた方だと記憶していますが、この動きに対する受け止めをお聞かせください。それから、告示日は知事選の投開票後、翌週4月17日となる予定ですが、市長選挙で小原氏と連携を図る考え、あるいは可能性があるかお聞かせください。

知事
私は、知事になってから市町村長選挙についてのコメントを、こういう場ではしてこなかったという記憶があります。公の議会であるとか、記者会見であるとか、そういう知事の公的発言の場の中で特定候補を応援するようなことは、突き詰めれば政治的に自由なことではあるのですが、自ら自粛、制限してきたような経緯もありますので、北上市長選挙についても、改革の政治、草の根の政治、そして21世紀にふさわしい新しい政治を一緒に目指そうとしている同志や仲間の皆さんと一緒に一政治家として関与したりする可能性は否定しませんが、今こういう知事記者会見、県と記者クラブ共催の場ではあまりコメントはしないようにしたいと思います。

記者
では、北上市というのは、岩手にとってどういう存在で、次期リーダーとすればどういった手腕、人材が必要とされているかというお考えをお聞かせください。

知事
すべての市町村が岩手を構成する不可欠のかけがえのない地域であり、どこかの市町村が、他に比べて特にどうとかいうよりも、まず知事としては、すべての市町村がきちんとその特性に応じ、住民の民意に応じて守るべきところを守り、そして良い意味で発展していくことを県として支えることができれば良いと思っており、あまりこういう場で市町村の特性をあれこれ言うのは、特に選挙との関連でいろいろと誤解を受けてもいけませんので控えさせていただきたいと思います。

記者
最後に伺います、これとは全く別な話なのですが、明日で御用納めになりますが、知事は先ごろ18日に次期知事選に再選出馬を表明されたということで、政務の方も忙しいのかもしれませんが、夏休みには海に旅行されるなど、いろいろされたようですが、年末年始の過ごし方はどうなさいますか。

知事
基本は、実家の仏壇を拝みに行ったりとか、家族でお年越しとか、年越しそばを食べたりとか、年が明けたら初詣とか、普通に過ごしたいと思っています。

記者
小沢一郎民主党元代表が強制起訴された場合に、自主的に離党するよう勧告すべきだということを仙谷官房長官はじめ声が上がっていますが、知事はそのことについてはどのように考えてらっしゃいますか。

知事
西松問題とか陸山会問題とかは、基本的には村木事件もそうですが、民主党による政権交代をさせないようにというような旧体制的なムード、雰囲気の中で検察が普段であれば逮捕しない人を逮捕し、起訴しないような人を起訴し、村木事件の場合のように、逮捕、起訴すべきない人を逮捕、起訴し、結局は無罪になるといった可能性が、小沢氏の秘書や元秘書などの関係にもあると思われます。政府与党としてすべきなのは、そういう検察の暴走の実態を明らかにして、調書の作成におけるさまざまな問題であるとか、あるいはこれは局長まで行かなければならないとか、政治家までつなげなければならないといった見込み捜査や、あるいは決めつけ捜査というのが検察の中にずっとあったのではないか、今でもあるのではないかということを解決していく、「検察改革」を政府与党はしっかり行っていかなければならないのだと思います。そういう中で、小沢一郎さんの離党うんぬんというのは、それに逆行することであり、日本の民主主義を悪化させ、そして検察を不信と機能不全のままに置いていく方向に持っていこうとすることで、間違ったことだと思います。

記者
世論調査で菅内閣の不支持率が高まっていますが、これについて知事の考えはどうですか。

知事
人間の精神の働きには知、情、意という、知識、感情、そして意思の3つに分ける考え方があるのですが、民意というのは意思であって、選挙の時にどこに投票するといった行動となって表れるのは意思です。世論調査の数値というのは、いまだに知とか、情とか、自分が得られた情報から判断するとこうだとか、今の気分からするとこうだということだと思います。政治というのは、心に働きかけて意思を動かしていく、少数から多数に変えていくために有権者に働きかけて投票行動に持っていくよう意思に働きかけていく、そういう国民の意思、国民の心に働きかけて意思を動かしていくというのが、今の政府与党に足りないのだと思います。例えば税制の改正とか予算の策定についても、もっと全国にある党組織とか、国民的な議論の中で今やらなければならないのはこうだというような、まさに民意をつくって、それに基づいて物を決めていくということを行えば、世論調査の数字はもっと良くなるのだと思います。そういう国民の心への働きかけ、国民の意思に変化を引き起こしていくのだというところが足りないと思います。

記者
この世論調査に関連してなのですが、先ほどの小沢さんの問題も含めてリーダーシップが発揮されていないと知事がお考えになる首相の小沢元代表の問題に対するリーダーシップの発揮の仕方、こうしたら良いのではないかと、もし提案的なものがあれば教えてください。

知事
政治というのは、人の心に働きかけて、人の心を動かし、自分が信じる方向に向けてみんなにその気になってもらって、そして、みんなでそういう方向を実現していくということなので、人の心に働きかけて、その気になってもらうということを丹念に行っていきさえすれば、政治というのはそうそうおかしくはならないのだと思います。

記者
一番初めにあった魅力の発信部分にかかわってくると思うのですが、今年1年、知事が言ういろいろな場面でのトップセールスというのがありましたが、今年は先ほどもおっしゃられたように、農業がかなり問題に上がる1年でしたが、来年以降、県産品のPRの場でどのように岩手の農林水産物を絡めて紹介していくのか、お考えがありましたらお願いします。

知事
日本全体の農業が非常に苦しくなっている大きい原因は、日本経済全体の調子が悪く、デフレ傾向で農産物価格も下落基調にあり、農家の収入・所得も下がり気味ということが大きいと思っており、そういう意味では日本経済全体の回復というのがやはり農業のためにも大事だと思います。
一方、岩手の農産物に関しては、東京のいろいろなホテルやレストランが岩手フェアを開催すると非常に高い値段でも売れており、そういう新機軸がどんどん増えてきていると思います。そういう実績がどんどん上がっていますので、岩手の生産者の皆さんには本当に自信と誇りを持って生産をしてほしいと思いますし、その生産物がきちんと高付加価値を持って消費者の手元に届くような、そういう工夫を、これは県も知恵を絞り、体を動かして大いに取り組んでいくところですが、そういう方向でみんなで力を合わせて取り組んでいけば、そうそう悪いようにはならないと思っています。

記者
もう1点、上海万博への出展という話もありましたが、今後、例えば中国の市場などへ岩手県の米や農林水産物の売り込みを図っていくお考えはありますか。

知事
これは大連の岩手経済事務所をベースにして、常日頃から取り組んでいることですが、上海万博で岩手の知名度や好感度が更にアップしたと思うので、それを弾みにしながら、いろいろな物を中国、そしてアジアから世界へと売り込んでいきたいと思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は1月4日(火曜日)の予定です。

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