平成23年1月17日知事会見記録

ID番号 N4956 更新日 平成26年1月16日

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平成23年1月17日 10時30分から10時53分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表はございませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
それでは、まず幹事社から県政記者クラブを代表して質問させていただきます。
滝沢村の柳村村長が、単独での市への移行方針を表明いたしました。そのための課題などを検討するため、村の行政体制調査研究会の初会合が明日18日に開かれ、その場には県からも担当職員がオブザーバーとして参加すると聞いています。ただ、市制移行に関しては、要件のうち幾つかのものは満たしているか微妙なものがあると聞いています。県として、滝沢村の市制移行についてどのように対応していくのか、お伺いしたいと思います。

知事
県としての対応は、まさに今、質問の中にあったように「滝沢村行政体制調査研究会」へのオブザーバー参加ということです。私としての印象、感想的なことをお話しすれば、滝沢村がそういう行政体制調査研究会を作って、自分たちの自治体のあり方を検討するというのは大変良いことだと思いますので、県としても情報提供などでしっかり支援していきたいと思います。

幹事社
この質問に関連しまして、各社から質問があればお願いします。

記者
市制移行への要件として、以前数年前に検討した時、県の条例で移行には少し難しい課題があったのですが、その要件について今、条件が合っていれば問題はないと思うのですが、もし条件が合わなくても市制施行に足る行政能力があれば進めた方が良いと思うのですが、その辺の県条例の絡みで障害と思われるところの見直しも今後検討されていく考えはあるのかどうか、基本的な考えをお願いします。

知事
「滝沢村行政体制調査研究会」にオブザーバー参加していくということは、入り口の段階で「君たち、そういうことはやめたまえ」というようなスタンスは取らないということであり、ある意味、滝沢村の地域の未来を一緒に考えながら、制度に関して今決まっているルールの解釈とか、あるいは調整とかをどう行っていけば良いのかも一緒に考えていこうというスタンスかと思っています。

記者
そうすると、知事としては、市制施行へ向かって進むことについては、その方向が実現するような支援をしていきたいというスタンスでよろしいのでしょうか。

知事
今はまだ滝沢村において、検討が明日から始まるというところだと思いますので、そういう意味では結論ありきではなく、滝沢村の歩みにまず県としては寄り添っていこうということです。

幹事社
ほかになければ、各社からこの質問以外の質問があればお願いします。

記者
14日に12月22日、23日の大雪災害、暴風災害と、年末年始の大雪被害の現状での被害状況が発表されましたが、合計78億円ということで、今後知事が、チリ地震津波の時に要望に行かれた経緯もありますが、今回はどのように対応される予定でしょうか。

知事
今週中に政府与党の方に私から直接、情報提供プラス要望をする線で調整をしています。

記者
具体的には何日というのは決まっていますか。

知事
これは相手もあることであり、今週中(に実施する方向で)で調整中というところです。

記者
県としての今後の被災者への支援というのはどのようにお考えでしょうか。

知事
いろいろな共済とかそういう制度も含めて、既存の枠組みで対応できるところについては、早急に対応できるように関係者といろいろ調整しながら進めているところであり、また状況を把握しながら県単独での救済措置であるとか、あとは国に対する要望であるとか、そういった中身についても並行して検討しているところです。

記者
現時点で具体的な内容というのは決まっているものはありますか。

知事
予算が絡む話ですので、現場部門限りで決めるわけにはいかないので、今、検討中というところです。

記者
本日の報道にもあったのですが、TPP問題についてお伺いします。全国の県と政令指定都市のうち、7割が反対もしくは慎重対応を求めるという意見が出ているのですが、このことについての知事の受け止めと、知事としてTPP参加についてのお考えをお願いします。

知事
一言で言うと、政府が進めようとしているTPP参加というものの絵が描けていないことが問題なのだと思います。よく「絵に描いた餅」という言葉がありますが、絵に描いた餅にすらなっていない状況ですので、真剣に考えれば考えるほど、すぐ賛成というわけにはいかない。まず絵を作ってもらう必要があるし、その中できちんとした検討も進められるのだと思います。というのは、韓国とアメリカのFTAのように米(こめ)は例外、牛肉についても韓国が満足できるような条件でというような形でTPPを考えているのであれば、そういうものとしてはっきり示してほしいし、逆にそういうものの関税を撤廃していくなら、そういう絵として示されなければならないのだと思うのです。よく言葉では、関税を撤廃してもそれに耐えられる日本の農業をつくるということが言われるのですが、それがまたどういう絵、ビジョンを意味しているか。
アメリカやオーストラリアと対抗できる日本の農業をつくろうという時に、例えばアメリカのカリフォルニア州は62ヘクタールの区画が田んぼの基本だそうで、それを個々の経営体が複数持って行っている。100ヘクタールの田んぼに飛行機を使って5時間で種まきが完了する。それと競争して勝てるような同じようなものを実現しようとするのか。経営体が62ヘクタールの田んぼを持つようにということであれば、今の日本の農地の平均は大ざっぱに言って1ヘクタールで、62ヘクタールに大規模化しようとすれば、62ある経営体のうち61には農業をやめて市場から退出してもらい、それを1つに絞っていくということを日本が政府として進めようとしているのか、そういう絵が見えてこない中で、今言ったようなことも可能性の中に入っているとすれば、それは賛成できないということになるのだと思います。
絵が描けていない中で開国、開国と言うのですが、平成の開国、あらゆる分野を自由化していくというのは、例えばマスコミだってアメリカやイギリスのメディア王が日本のマスコミを自由に買収して、日本の大手メディアをどんどん外国資本にしていこうとか、地方の新聞社を外国が保有できるようにしようということも開国の図式の中には入っているのか。具体的にアメリカが言ってきた話では、郵政民営化の成果を外国企業が十分使えていないということで、あれは日本国民が爪に火を灯して貯蓄した郵貯のお金をサブプライムローンへの貸し付けみたいなところにもどんどん使えるようにという話で、これはTPPの絵の中に入っていることなので、なかなか賛成はできないのでしょうし、さっきのマスコミの自由化については、これは論理的には入り得るのでしょうが、そういう絵が具体的に描かれていないわけで、その辺をきちんとTPPというものの絵が描かれないと、もろ手を挙げて賛成ということはなかなかできないということだと思います。

記者
そういった意味で、菅総理は今年の6月をめどに判断したいということなのですが、半年間ぐらいしかないわけですが、その中で国民的な合意とそういった絵が描けて、農業が騒がれていますが、理解が得られるような状況になるのかどうか、そのめどとしてもう少し深い議論するにはもっと時間が必要なのではないかという意見もあるようなのですが、知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
絵があれば、いつまでにこれは判断ができるなということも分かるのですが、絵がない状態では判断できません。だから、いつ絵が描かれるのかということだと思います。
一方、日本経済とか日本の農業を良くしていこうという戦略については、既に成長戦略というのがそれなりにできていて、かなり良い内容だと思います。環境ビジネスとか観光をどんどん発達させようとか、それをしっかり進めていくことは、どんどん行っていかなければならないし、農業についても今全国、地方の中できめ細かく行われているそれぞれの特産品を活用した地産地消的な動き、6次産業化、農商工連携、そしてB級ご当地グルメのような動き、産直などもそうですが、そういうものを丁寧に進めていくことが、国民が望んでいる日本農業強化の方向ではないかと思っています。

記者
年末年始の大雪に関して、先ほど政府の方に情報提供と要望をされるとおっしゃっていらっしゃいましたが、要望というのは激甚災害への指定ということでよろしいのでしょうか。

知事
細かくは、個々の農業、林業、水産業、それからインフラ等の被害について、きちんと国の制度に基づいて、できること、やるべきことはやってくれということが趣旨になりますので、それをどういう具体的な文言にしていくかということは、今担当部局で検討しているところです。細かい個々の国の制度とか、法令に対応した要望の内容を詰めていくことも大事なのですが、一方、今回の豪雪、強風、波浪災害というのは、(本県の状況について全国的に報道されておらず)「見えざる災害」というところがあり、岩手で去年の津波を上回るような被害、去年の津波も大勢の人が避難をしなければならなかったりとか、長期通行止めが国道45号線で起きたりとか、かなり広く県民生活にかかわる災害だったのですが、今回、それに勝るとも劣らぬ多くの人たちが大変な目に遭っており、またこういうことが鳥取とか島根とか日本のあちこちで起きています。局地的に物すごい災害が、日本のあちこちで起きているという図式が、いまひとつ国として把握できているのか。また、国民的にそういう認識が広まっているのかというと、そうでもないような感じがしているので、きちんと国民的にそういう状況だということを理解してもらい、その理解をベースに国として政策を実施していくという形に持って行かなければならないと思っています。

記者
先週の12日ですか、仙台厚生病院が医学部の新設構想を表明されました。長期的には、医師の確保という意味では期待を持てる話ということもある一方で、医学部をつくるために医師の引き抜きがあるのではという懸念も出ていますが、知事のご所見をお伺いします。

知事
どういう内容の計画なのかが良く分からないので、今、情報収集中というところです。一般論としては、医師不足の解消ということは、いろいろな地域偏在の問題とか、結果として地域が良くなり、地域医療にプラスになるように、その結果、日本全体として良くなるようにという中で対応されていく必要があると思います。

記者
構想の中で、医学生の半分は東北枠、岩手で10とか20とか、そういった形で生徒の受け入れを考えているということがあるのですが、実際そうなった場合に、県として今の奨学金制度とかを拡大するようなお考えというのはあるものなのでしょうか。

知事
具体的にどういうことが想定されているのか、まずは情報収集に努めたいと思います。

記者
先週末に発足した菅再改造内閣なのですが、私たちの会社の世論調査では内閣支持率が8.6ポイント上昇という結果についての所見と、あともう一つの世論調査で、小沢一郎民主党元代表が強制起訴された場合に58.7%が議員辞職要求という、厳しい数字が出たのですが、この2つの数字について所見を伺えますか。

知事
その世論調査については、消費税とかTPPについて賛成か反対かということも問われていて、その結果も見ましたが、調査全体を見て感じたのは、ちょうどその結果が載っていた新聞の別のところに書いていたのを見て、頭の中で結びついたのですが、「進撃の巨人」という漫画がはやっています。「進撃の巨人」という漫画のタイトルを知っている記者の方はいますか。「進撃の巨人」という漫画は、新聞にも載っていたし、すごく話題になっていますが、中身を読んだことある人はあまりいないのだと思いますけれども。非常に不条理で残酷な内容の漫画なのですが、今の日本が置かれた状態にその本質が一致しているということで、去年出た漫画の中で「この漫画がすごい!」とか、そういうランキングの中で1位を独占しているような漫画なのです。かなり民心がすさんでいるというか、リーマン・ショックからの回復ということもまだリーマン・ショック前まで戻っていないし、またそもそもリーマン・ショックがなくても景気と雇用の長期低迷の中にあり、格差社会化的な状況がある中で、ともすれば“自棄(やけ)のやん八(ぱち)”みたいな、総理大臣が攻撃するものに対してやれ、やれと言って、一緒に攻撃する。かつて小泉総理の下で郵政民営化選挙があった時に、刺客作戦にみんなが熱狂したのと共通するムードが今あるのだと思います。当時、郵政民営化という言葉がひとり歩きしながら、とにかく何かやれば世の中が良くなってくれるだろうという中で根拠のない支持が広がり、それと同じようなことが今回の世論調査の数字にも出ているのだと思います。かなり厳しい経済社会情勢の中で、ともすれば自棄のやん八に走りがちな、そういう世論の結果だと思います。ただ、何とかしてほしいというような切実な、何かやりようがあるのではないかというような切実さがにじみ出ている数字でもあるので、やはり総理大臣をはじめ公の仕事に携わる人たちは、自棄のやん八的な方向に走っていくようなことはしないで、きちんとそういうところは抑えて、一方で希望の芽については、真面目に誠実に世の中を良くしていこう、そうしていかなければならないという切実さということも世論の中から見て取れるので、そういう民意を着実に伸ばしていくことをしっかり行っていくことが大事な局面なのだと思います。

記者
そうすると、菅再改造内閣が上昇した支持率というのは、知事は一過性のものと見るのか、続くと見るのか、どちらになりますか。

知事
「進撃の巨人」に対応して言えば、今度、1月28日には「コミックいわて」が出版されますので、まず全国民の皆さんに「コミックいわて」を読んで、感性を和らげて、そして知性を高めていただくのが良いのではないかと思っています。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は1月24日(月曜日)の予定です。

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