平成23年2月15日知事会見記録

ID番号 N4948 更新日 平成26年1月16日

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平成23年2月15日 10時29分から11時17分

広聴広報課
ただ今から記者会見を行います。
本日は知事からの発表はございませんので、幹事社さんの進行によりまして、皆様方からの質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、進行をお願いします。

幹事社
まず、幹事社から県政記者クラブを代表して質問させていただきます。
岩手県における自殺対策のことなのですが、今年度の岩手県内での自殺率が全国ワースト1位になると県が予測しているというような一部報道がありました。それに関連して、まず県内の自殺率が高くなっている要因など、現状について知事としてどのようにお考えになっているのかをまずお聞きしたいと思います。その上で、県は来年の組織改正で保健福祉部の障がい保健福祉課に自殺総合対策の特命課長を配置すると先日発表されましたが、自殺防止に向けた今後の県の取組について、併せてお伺いしたいと思います。

知事
自殺率は低くなっており、平成22年の岩手県の自殺者数は、警察庁の発表によると467人、これは前年の512人に比較して45人の減少で、10万人当たりの自殺者数である自殺率は34.8(人)になっていて、前年の38.2(人)から減少しています。467人という自殺者数は、平成15年以降で見ると最少の自殺者数です。一方、秋田県、青森県の自殺率の減少幅が岩手県より大きくなった結果、岩手県がワースト1位になるのではないかというような状況になっているわけです。
自殺率が高い、自殺者数が多い、そういう原因は、個々人の状況の違いから一概に述べることは難しいのですが、警察統計によると「健康問題、経済生活問題、家庭問題」が多くなっていて、高い水準にある要因としては、近年の経済雇用情勢の悪化が考えられます。
個別具体的な一つ一つの自殺のケースについては、その解釈とか評価は人によって分かれたりするものなので、自殺全体に対して岩手県としては、地域や県全体としての取組によって減らすことができるという実績があり、その中で減らしていこう、自殺を防止しよう、そのための取組をしていこうということで、そこは方向性が決まっていると言っていいと思います。
そういう中で、岩手において取り組めば取り組むだけ効果があったのだし、また秋田、青森のように自殺者数が多く、自殺率が高いところも取組によって減らすことができているのだから、岩手県も更に自殺防止対策を強化していこうということだと思っています。
そこで、来年度の県の内部体制についても(仮称)自殺総合対策本部というものを設置することとしていて、その事務を所管する特命課長の配置を含む2名の増員を行って、自殺対策の推進体制を強化することとしています。また、平成18年から県自殺対策推進協議会を設置して「自殺対策アクションプラン」に基づく取組を進めてきましたが、このアクションプランの見直しを現在行っており、新しい「自殺対策アクションプラン」を策定し、更なる取組を進めていきたいと考えています。

幹事社
それでは、この質問に関連して質問があれば各社からお願いします。

記者
秋田、青森が大幅な自殺者数の減少ということで、今回本県がワースト1になる可能性が出てきたわけですが、秋田、青森の取組から本県が今後学べるところとか、生かせるところとして挙げられる取組、もしくは本県に今後必要な取組としては、知事はどのようにお考えでいらっしゃるか、そのご所感をお聞かせください。

知事
いろいろな地域、また専門分野別にいろいろな皆さんに議論をして、また検討してもらっているところですので、その成果を生かして取り組んでいければと思います。

記者
地域での取組についてはいかがでしょうか。県だけではなくて各市町村での取組として必要な部分は。

知事
久慈地域で顕著な自殺率の減少を見た経験もありますので、そういうことを各地で進めていくことが大事だと思っています。

記者
今回、専従チームの設置及び総合対策本部の立ち上げが新年度になった理由をお伺いしたいのですが。というのは、知事は4年前のマニフェストで自殺率の全国平均以下ということを確か挙げていらっしゃったと思うのですが、それから考えると今回のワーストという結果は矛盾しているのかという思いがあったもので、ご所見をお伺いしたいのですが。

知事
地域事情や、また岩手の社会事情に即した丁寧な取組を着実に進め、その成果は出てきていると思っています。組織の体制変更については、基本的に年度の変わり目に行うものですので、今回の年度の変わり目の機会に、更に体制を強化していくこととしたものです。

記者
過去3年間、知事として自殺対策をどのようにされてきたのか、お伺いしたいのですが。

知事
それぞれの地域での努力、また専門家の皆さんの助けによって、かなり自殺対策の意識が県内に浸透して、その結果、平成15年以降で最少の自殺者数というところまで来ていると思います。これを更に進めていくことが大事だと思っています。

記者
その一方で、一昨年までは増えたという事実があり、あと県内の保健医療関係者の中でも、岩手県は秋田県のように自殺対策の課とかそういった部署がないという声も以前から出ていたのですが、それについては知事ご自身で自殺対策について、どう取り組み、リーダーシップをどのように発揮されてきたのか、お伺いしたいのですが。

知事
毎年の自殺防止キャンペーンの際には、私もそこのイベントとか開会式等に参加して、県内の地域の代表あるいは専門家の皆さんと連携しながら、自殺に取り組んでいくという県の姿勢を示してきたと思います。その結果、平成15年以降最少の自殺者数というところまで来たのだと思いますが、取組によって数を減らすことができる、自殺防止ということができる、そういう考え方に基づいて取組を進めていくことが更に必要だと思っています。

幹事社
ほかにないようであれば、各社から質問があればお願いします。

記者
民主党役員会が、小沢一郎元代表の党員資格停止を常任幹事会に幹事会に提案することが了承されました。今日、提案されると思うのですが、そのことについての知事の所感をお願いします。

知事
「arbitrary」という英単語がありまして、恣意的と訳すのですが、気まぐれというようにも訳せますし、また独断的、専制的、専制政治の専制という訳にもなり、ほかのTPPとか、消費税率の引き上げとか、あるいは防衛省からの通達の問題もそうなのですが、菅政権を一言で表すのにちょうどいい言葉で、今回の処分についても「arbitrary」だなという印象を持っています。と言うのは、いかなる正義を実現しようとしているのかが分からないのです。その対象となっている行為は、政治資金規正法上の報告である年の契約をその次の年の登記という解釈でいたことに疑いを持たれて、前の年に届け出をしておくべきではなかったかという疑いを持たれているということなのですが、資金の移動を報告しないでしまったという申告漏れというのは、毎年何件も起きています。民主党の国会議員にもそういうことがあって、訂正の届け出が出るたびに新聞に載りますので、毎年たくさんそういう訂正が行われているのを見ているのですが、申告漏れの非を自ら認めて、その訂正をしたということについておとがめなしで、そもそも訂正の必要がなく、申告漏れに当たらない、不正確な申告とは言えないということを裁判で争っていることについて処分するというのは、どう考えてもおかしいと思いませんか。もしそういう疑いを持たれて、裁判で争わなければならなくなった時に党員資格停止ということになるのであれば、何万円ももらったのに申告漏れしていたということが発覚した時には、もっと厳しい処分にしなければならないということになってしまいます。ですから、全然論理的に説明できない処分だと思います。

記者
そういった意味では、知事としては、この問題について菅内閣というか民主党に対して、執行部に対して、どういった対応を期待されているのでしょうか。

知事
そもそも、起訴されているではないかという話なのですが、たくさんもらったお金を申告してなかったという申告漏れですら、訂正の報告をすればオーケーとされているのにもかかわらず、1年ずれたということで逮捕、起訴されることこそがおかしい、異常なことなので、そこをやはり民主党としては追及すべきなのだと思います。しかも、それが石井一さんとの関係で厚生労働省の村木局長が不当な逮捕、起訴されたこととも合わせて、一昨年の政権交代前の時点から小沢一郎さんの秘書が逮捕、起訴されたという、その逮捕、起訴自体がどう考えたって不当なわけであり、そういうところからスタートしていることなので、その異常さを追及していくことを民主党は行うべきだと思います。

記者
異常さの追及というのは、これは検察当局に対してという理解でよろしかったですか。

知事
そうですね。

記者
それと、各種世論調査でも小沢元代表の説明を求める意見も多くありますし、識者もまずは小沢元代表が国会で説明する必要があるのではないかと、いまだに指摘する声があります。知事は、国会での説明の必要性について、改めて現状でどう考えていらっしゃるか教えてください。

知事
先ほど私が言ったとおりで、そもそもは不正確な届け出を訂正しなければならないのであれば訂正すればいいだけの話で、そもそも訂正しなくていいのではないかということが争点になっているわけなので、それについて政倫審だ証人喚問だという理由は、私には理解できません。

記者
最後の質問ですが、仮に常任幹事会で党員資格停止が決定された場合は、県連代表や総支部長も解任されることになろうかと思うのですが、そうした場合の統一地方選への影響を知事はどのように考えていらっしゃいますか。

知事
民主党が本当に統一地方選を真剣に戦おうと思っているのであれば、岩手に学べ、岩手の民主党に学べ、小沢一郎県連代表の岩手民主党に学べ、ということを全国にハッパを掛けていくのが当然だと思います。それに逆行するということは、ある種民主党政権として自爆装置にスイッチ入れてしまったようなものだと思います。岩手以外は、これでもうめちゃくちゃになるのではないでしょうか。ただ、岩手の民主党は、西暦2003年の民由合併以降、生活者本位、生活が第一という新しく強くなった民主党の本流をしっかりとつくり、育て、国政での躍進のみならず地方自治の場においても、民主党の理念、政策をきちんと進められる、いわば2003年に新しく強くなった民主党の本家と言っていいのが岩手民主党であり、そこはそこできちんと行っていけば良いのだと思います。

記者
今の質問と関連なのですが、知事選挙が1カ月後に迫りました。対抗馬が出てきまして、構図は固まりつつあります。そういった中で、今、民主党が自爆装置にスイッチを押したと話されました。一方で知事は、民主党の推薦を受けて立候補されようとしています。そのような中で、民主党の今の菅改造内閣ができた時も政権交代反対内閣、つまり政権交代の趣旨と逆行した内閣であると話されました。そのような中で、民主党の政策、今の民主党が進めている政策とどのような整合性をとった形でマニフェストを公表されるのかということと、今の民主党に対してどのようなスタンスで主張をされて選挙戦を戦おうとされているのかお聞かせください。

知事
私のマニフェストは、基本的には「いわて県民計画」をしっかりと進めていくということですが、民主党の戦い、岩手の民主党の選挙に臨む姿勢とすれば、それは2003年以来、岩手において培ってきた理念、政策と、そして実践というものをベースにしながら、岩手の知恵と力を結集したものをマニフェストとして訴えていけば良いのだと思います。「いわて県民計画」も岩手の英知を結集し、県民みんなで作り上げたものですから、それを着実に進めていこうということが私の知事候補予定者としての基本方針です。そういう中で、国の今の政府の理念とか政策とか、いろいろな手法とかが岩手から発信していこうということと逆行するのであれば、それにはもう正面から戦いを挑んでいくのが筋だと思いますし、スローガン的には岩手から民主党を立て直すみたいな姿勢でいくのが基本かと思います。

記者
そうしますと、簡単に白黒はつけられないかもしれませんが、やはり菅内閣の政策は、基本的にはノーだというスタンスで臨まれるということでよろしいでしょうか。

知事
そうですね、「arbitrary」ということを言ったのですが、原理原則なしに、勝手気ままに、かつ決まったことには従えという異常なやり方になっていて、民主主義的な論評に値しないような状態になっています。ですから、何か基本的にはもう放っておくしかないという感じだと思うのですが、戦う局面になれば正々堂々と戦って負かしていけば良いと思っていますし、戦いの構図にもならないような支離滅裂さですから、そこにこだわって無駄な時間やエネルギーを費やすよりは、きちんと県民本位の、住民本位の活動と、あとは頭を巡らし世のため、人のためになるような活動をきちんと行っていけば良いのだと思います。

記者
最後です。仮に小沢元代表の処分がこのまま突き進んで、もう一方では菅内閣の知事が批判される政策を進めていった時に、例えば知事選で民主党の推薦を返上するというようなお考え、可能性はありますでしょうか。

知事
2003年から積み重ねてきた岩手における民主党の活動は、これはどこに出しても恥ずかしくない誇るべき活動で、かつ全国の見本にできるような活動だと思っていますので、そういう民主党の旗の下で選挙をしていくということについては、世の中が乱れたとしても行っていきたいと思っています。

記者
知事選に関連して質問します。知事は、インターネットのブログでマニフェスト作業を進めているかと思いますが、いつごろまでに、今後どのような方向でまとめていくというように今の時点ではお考えでしょうか。

知事
選挙中の選挙広報とか、法定ビラとか、そういった正規の書面の作成に間に合えばいいと思っています。一方で、「いわて県民計画」の推進ということから大きく外れることはないと考えており、そういう意味では、知事の公務としても県民計画の浸透、遂行ということを今も日々行っているのですが、立候補予定者の準備活動としてもやはり「いわて県民計画」の周知、普及ということが基本になると思っています。

記者
ブログではコメントも投稿できるようになっているのですが、県民の声はどのように取り入れて作り上げていく予定でしょうか。

知事
今のところ応援メッセージみたいなコメントは頂いているのですが、具体的にああした方がいい、こうした方がいいという意見は頂いていません。思えば、「いわて県民計画」を作る時に知事ブログを半年くらい行って、そこで県民計画の中身について、ああした方がいい、こうした方がいいという意見も頂きながら作った県民計画でしたので、今のところそれを変えようという声があまり出てきていないということだと思っています。いろいろと県民の声を選挙期間中に聞いていくことになるのですが、今のような状況だと選挙戦の本番が始まらないと、有権者としていろいろと声を上げようというようなムードにまだなってきてないのかもしれません。

記者
前回のマニフェストで、数値目標に関して、お考えがあってそんなにたくさんは盛り込まなかった経緯があると承知していますが、今回、数値目標をどれだけ盛り込むかということについては、今のところのお考えはいかがでしょうか。

知事
4年間知事をやってみて、マニフェストというのは、もともとイギリスの二大政党制の下で7,000万人ぐらいの国民が政策決定に関与するチャンスとして2つあるマニフェストのどちらを選ぶかということで、そこに有権者の主権が発揮され、そうであるからできるだけ詳しく数字も上げてという仕組みになっているわけですが、岩手県130万人余の人口、そのイギリスの7,000万人に比べればはるかに少なく、かつ日々県に対する意見というのはさまざまな方法で出すことができますし、実際に頂いているところです。
長期計画のスケジュールとの関係で、当初4年間の計画として作った「いわて希望創造プラン」を2年目で見直して、長期計画のアクションプランという形にバージョンアップする機会があったのですが、そういう4年間の任期中の計画においても途中で見直して、県民の声を反映させながら政策に当たっていくことが可能であり、かつ効果的だという印象を受けていますので、イギリスのマニフェスト選挙のように選挙の時にしっかりとした数字を出し、そこで投票で決めてもらって、あと4年間動かさないという手法はとらない方が良いのではないかと思っています。

記者
私からは最後ですが、知事選の争点として、どのようなものを想定されているか。今、おっしゃった本来の岩手県の民主党の是非なのか、あるいは雇用情勢なのか、県民計画の是非なのかとか、頭にいろいろと思い浮かびますが、知事としてはどのようなものが今のところ争点になるとお考えでしょうか。

知事
私は、「いわて県民計画」の推進というものを前面に出しつつ、地域資源の発掘、磨き上げということが岩手にとって非常に大事な課題だと思っていますので、それぞれこの地域ごとにどういう地域資源があって、それをどう磨き上げていけばいいかというようなことを選挙の準備と選挙戦を通じて、そういう議論を盛んに行って、選挙が終わった段階で選んでいただければ、選挙を通じてみんなで確かめ合った地域資源の発掘、磨き上げということを県の組織をフルに活用して、県民とともに地域ごとにきめ細かく推進していくことができれば良いと思っています。

記者
知事選の関連で1つだけお願いします。小沢元代表の件で、民主党あるいは国政がこれから混迷を深めていく可能性は否定できないと思います。そのような中で、一方では大阪とか、あるいは愛知とか、民主党が混迷を深める中で首長新党が躍進する状況も出ています。そういう中で、例えばですが、達増知事が県内で、同じようにベクトルが共通するような首長に声をかけてそのようなグループを作って統一選を戦うとか、そういうお考えはないでしょうか。

知事
まず、小沢問題というのは、菅内閣があらゆる領域で「arbitrary」になっていることの一つの例にすぎないことだと思っていて、例えば先ほども言ったのですが、自衛隊の行事に民間人が出てきて政府批判するのはけしからんとか、その発言をコントロールしろという通達を出すことの方がよほどまずい、政権の信が問われるようなことだと思っています。そういうことが、ほかにもたくさんあるから混迷、迷走ということになるのだと思うのですが、そういう世の中に立ち至った場合、地に足をつけて、まず自分たちの住んでいるところを良くする、つながっている人たちのつながりをより良いものにしていくということがまず基本だと思います。また統一地方選ということでもありますので、まず岩手がしっかりしてさえいれば、岩手の中がそう悪くはならないし、またその岩手が希望となって、日本全体を良くしていくということもできるだろうと思います。その中で、自然体で、私もそうだし、岩手の民主党関係者も何か特別で異常なことをしようとしているわけではなく、人の道に沿った当たり前のことをやろうとしているというところもあるので、愛知県だとか、名古屋市だとか、あるいは大阪府かもしれませんが、当たり前のことを地に足をつけてきちんと行っていこうとする人たちとは、いろいろな連携の可能性はあると思います。

記者
昨日の大規模事業評価専門委員会で、国の補助ダム事業の検証となっている津付ダムと簗川ダムの事業について、現行ダム案が妥当という判断がなされましたが、それについての知事の所感と、今後、事業をどのように進めていこうとお考えなのかお聞かせください。

知事
その委員の皆さんには、非常に一生懸命検討していただき、議論もしていただき、そのような結論を出していただいたことをありがたく思っており、基本的に妥当な結論が得られたと思っています。確か2月24日頃の庁議で、県として事業継続について正式に決める段取りと記憶していますが、委員会の結論を基にしながら、県としてきちんとした対応をしていきたいと思います。

記者
検証作業としては、以前の会見でもお聞きしたと思うのですが、地元の反対住民の方の意見とか、流域住民の方以外の直接的な意見聴取というのは行われないという方針だと思うのですが、その点については今後改める予定というのはありますか。

知事
県民の意見は、どんなことについてでも、どんな地域の人の意見でも、常に県として聞いて、返事が必要であればきちんと返事もしており、そういう中でダムの問題についても取り組んでいければいいと思っています。

記者
2点あります。1点目は、商工労働観光部の職員が出張先の東京で酒に酔って女性に抱きついたとして、警察に逮捕されてしまいました。正直また職員の不祥事かという感が否めませんが、知事の所感と再発防止策があればお願いします。

知事
総務部長名で全庁的に飲酒や外での県職員の行動について、厳しく自制をし、今回のようなことがないようにということを各部局の課、職員一人一人に至るまで徹底をしているところですが、私はその旨報告を受けつつ、やはり県職員として県民のためにきちんと仕事をしていかなければならないのだから、今回のようなことがないよう、しっかり取り組んでいくように総務部長には言ってあります。職員憲章というものを、いわゆる不適正経理問題の時に作り、県職員の意見を集めて、自主的に身を律して職務に精励しようというものを作ったわけで、やはりその原点に立ち返って、一人一人が県民のために働いていくという原点を忘れないようにすることが大事だと思っています。

記者
もう1点は、NHKドラマ「どんど晴れスペシャル」の撮影が始まりました。4月の放送を予定しているのですが、撮影、放送への期待があれば一言お願いします。

知事
平成19年、「どんど晴れ」が放映されていた時というのは、ちょうど私が知事に就任した時と重なって、舞台になっていた盛岡、遠野、八幡平はもとより、岩手全体に大変いいムードが広がっていたことを思い出します。また、あのムードが岩手に広がって、岩手の良さを県民が確かめ、それを対外的に発信していける契機になればいいなと思います。

記者
知事選関連で、13日に共産党の推薦候補が出馬を表明されました。一方で、自民党は難航しているようなのですが、チャレンジャーをチャンピオンとして、現職として受ける知事として、ご所見をお伺いしたいのですが。

知事
どんな選挙でも、立候補の自由というのは憲法が保障していますし、また立候補しない自由というものもあるわけです。そういう中で、自分としては、ほかに誰が立候補しているのか横を見ながら選挙に臨むのではなくて、あくまで真っすぐ前、有権者の方を見て選挙に臨んでいくというスタンスをどんな選挙でもとっていくべきと思っていて、今もそういう考えです。

記者
あと別件なのですが、先日、佐賀県で原口前総務大臣が維新の会を地元で作って、今の政権の財政至上主義というものに対してアンチテーゼ的に地域から発信すると、またそれを日本維新の会というものが広げて、発信していきたいということを表明されたようなのですが、知事としてはどのように受け止めていらっしゃいますか。

知事
原口さんは民主党Aという考え方を公にしていて、何かどうも民主党の中で本来の民主党のあるべき姿ではないような混乱が生じてきているから、あるべき民主党、民主党Aというのをきちんとつくっていかなければならないというようなことをおっしゃっていると理解しているのですが、そういうものなのかなと思います。それは、私が先ほど言った、岩手こそ民由合併後の本家民主党と言ってもいいということからすると、どちらも民主党Aということで、そこは平仄(ひょうそく)が合った動きなのかと思っています。

記者
そうしますと、今後、十分に連携は考えられるというとらえ方でよろしいのでしょうか。

知事
草の根的、自然発生的、自立的な動きですから、そういうところに良さがあるのだと思いますが、そういう中で同じ方向を向いての運動だと思いますので、協力とか連携の可能性というのも、それはあるのだと思います。

記者
先週、自由報道協会主催の小沢さんの記者会見で、今の日本にどんな取組が必要かという問いに小沢さんは教育と答えていました。知事も前回マニフェストで教育の充実をうたっていらっしゃったと思います。この4年間でどれだけ充実し、地域を担う人材育成が進んだのか、自己評価といいますか、お願いします。

知事
いわて県民計画で「いっしょに育む『希望郷いわて』」という基本目標を目指すに当たって、生き生き働き、安心して暮らし、そして楽しく学ぶという、普通は経済、社会、そういう仕事と暮らしという二本立てであるところに学びも第三のフィールドとして設けることができたということは、県民的に学びが大事だという理解の下で決めることができたと思っています。それぞれ児童生徒たちも学力向上で頑張っていると思いますし、スポーツ・文化でも頑張っていると思いますし、そして平泉のことや、あるいは早池峰神楽のような伝統芸能・郷土芸能でも地域ごとに、また全県的にさまざまな生涯にわたる学びというものが、この4年間でもどんどん成長、発達してきていると思います。ぜひこの調子で、更に将来にもつなげていきたいと思います。

記者
個別的な話ですが、例えば少人数学級も、たぶん希望創造プランとかを読むとそういう文句も上がっていたと思います。確かマニフェストにも少人数学級を進める的なことがあったと思いますが、民間の30人学級を進めようという市民団体などは東北各県と比較して岩手県は少人数学級への予算が著しく少ないとか、いろいろな指摘をしています。少人数学級についての取り組みは、どのように考えていらっしゃいますか。

知事
都市部でないところでは、必要に迫られ少人数学級状態にだいぶ前からなっていて、それは岩手らしい少人数学級として地域にも支えられて、うまく軌道に乗っていると思っています。都市部における少人数学級については、これは直接教育を担当している市町村ときちんとすり合わせながら進めていく必要があり、いろいろな財政的な要因もあってそう簡単に先生を増やせないとか、あるいは今いろいろと取り組んでいることがあり、急にそれを変えることはできないとか、さまざまな市町村のそういう声も尊重しながら、無理のない形で進めることができたと思っています。それに追いついてくるように国で政権交代が起きて、少人数学級が可能になるよう人を増やそう、予算も増やそうと、ようやく来年度予算から本格的にそうなってきますので、岩手で無理のない形で進めてきたやり方を更に進めていけば良いと思っています。

記者
県民計画のマンガ版の中で、私が印象に残っているのは、一人一人が岩手の主人公なのだと。それぞれの希望を持って、例えばテレビ局に入ってお笑い芸人をいっぱい呼んで番組を作りたいというような、そういう夢もマンガの中に出てくるのですが、現実問題としては、特に岩手大学はじめ県内大学の内定率が非常に厳しい状況で、夢や希望を持って岩手で学んできても、岩手でその夢や希望が実現できそうにない環境に今なっています。そんな中で、平泉をはじめ国際的な活躍ができる農業関係の輸出も含めて、岩手が国際的にどんどん世界に発信していく、岩手に来てもらうというイメージもありながら、岩手で国際的に生きるとか、岩手で普通に就職できるという、具体的なイメージが若者や学生も持てるような雰囲気もあるのですが、持てない、実際は持てていないのではないかと思います。そういう状況をどのように考えていらっしゃいますか。

知事
昔は、家庭の豊かさでどの学校まで行けるかということが大体決まって、上の学校に上がらない人たちは中学卒業の時点で、集団就職で東京へと進路が決められていくような時代だったと思うのです。今は、世の中が成熟してきて、一人一人が自分の進路を選べるような時代になってきています。そういう中で、昔のこういう条件だったら集団就職してさえいれば大体うまくいくとか、上の学校に行くなら成績に合わせて行けばうまくいくというような、こうしておけばうまくいくという万人共通の答えみたいなものが存在しない時代に今はなっているわけです。
一方、成功するためのやり方というのは、非常にたくさんの可能性があるという時代でもあります。産業でもそうで、米袋に「萌え系美少女」イラストをつけて飛ぶように売れるようになったというのが秋田県であるのですが、あれをみんながやればいいというわけではない。ただ、いろいろな工夫によって、自分の産業を成長させていくことができる。だから、そういう自分なりの答えを見つけられるかどうかがポイントだと思っており、岩手においては、県民一人一人が自分なりの答えをきちんと見つけられるように配慮した政策を県がしていけば良いと思っています。答えを見つけられるということが、イコール希望を持てるということだと思っています。そういう意味で、情報の共有、マッチング、これは地域にどういう就職先があるのか、どういう企業があるのかという情報が地域の中あるいは学校の中に浸透していくということは、この4年間で大分深まっています。リーマン・ショックのせいもあり、県外就職が総体的に非常に難しく、一方で県内就職の内定率が高まったりとか、県内志向が強まったりしているのです。ですから、世界経済に端を発する国の経済社会の動乱とか、いろいろな動きの中で、その時その時にきちんと答えを見つけていけるような事業を展開したり、サポートをきめ細かく行ったりということを県がしていけば良いと思っています。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は3月1日(火曜日)の予定です。

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