平成23年3月17日知事会見記録

ID番号 N4938 更新日 平成26年1月16日

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平成23年3月17日 17時34分から17時55分

広聴広報課
ただ今から知事会見を行います。それでは知事、お願いします。

知事
本日は2つ発表事項を用意しています。
1つ目は、天皇皇后両陛下から、このたびの「平成23年東北地方太平洋沖地震」により本県が甚大な被害を受けたことに対し、災害お見舞金を賜りました。ご報告いたします。天皇皇后両陛下の大変温かいお心遣いに感謝いたしますとともに、県民一丸となって復旧・復興に取り組んでまいる所存であります。たまたまテレビのニュースで天皇陛下のコメントを見る機会があり、改めて思ったのは、天皇陛下ほど日本の中で災害について常に心を配られている方はいないというぐらい、日本のどこで災害があっても常にメッセージを出され、皇太子殿下やご皇族の方含めてご視察もご訪問もしてくださる、そういう天皇陛下が本当に今回の大震災を重く受け止めていらっしゃるということで、今回、お見舞金まで頂いて本当にありがたいというように思っています。
2つ目は、東北地方太平洋沖地震により、尊い命をなくされた多くの方々のご冥福をお祈りし、心から哀悼の意を表すために、地震発生から1週間が経過する18日の地震発生と同時に黙祷を捧げます。これは、私の視察訪問予定の中で、その頃、宮古市田老地区に入っていますので、地震発生時刻の14時46分から1分間、明日、私は田老地区内において黙祷しますが、救出・救助に携わっている方々も同じ時間に一斉に黙祷ということを決めていますのでお知らせします。

広聴広報課
それでは、皆さんの方から質問事項があればどうぞ。

記者
今の黙祷の件ですが、関係者だけということでしたが、県民全体への呼びかけは、今回はないのでしょうか。

知事
私がこういう形でこれを発表するということは、呼びかけです。岩手県知事から県民への呼びかけとして、発災後1週間である明日の14時46分から1分間の黙祷を捧げましょうという趣旨で発表しました。それぞれさまざま大変な作業をされたり、具合を悪くされている方々もいますので、本当に無理のない形でご参加いただければということで、発表要旨で呼びかけの形にしていないのは、そういう趣旨からであり、気持ちとしては呼びかけであり、ただし無理はしないでくださいということです。

記者
天皇陛下から頂いた金一封ですが、失礼ですがおいくらだったのか明らかになるのでしょうか。

知事
担当の方に確認していただきたいと思います。

記者
今日、県の人事異動の方針について、発表がありました。原則として、予定通り発令するということだったのですが、凍結しないことによって災害対応に影響は出ないのでしょうか。

知事
むしろ災害対応を強化するような異動ということで、定例異動という形ではなく、4月1日の人事異動という形で、総務部の方からも定例という言葉は使わないようにしたと聞いています。さまざま新しいパワーが災害対策関係、今や組織全体が災害対策部署ではあるのですが、要所、要所に新しいパワーが入り、また普通であれば退職する方やこの岩手から出て行かれるような方についても、特に残ってもらうような措置も併せて行っています。そうすることによって、大事なところは2人で見るような格好にもなっていきますし、態勢を厚くしていくというような方向で異動ができると理解しています。

記者
副本部長を務めている菅野総務部長が異動になりますが、これについて影響はないのでしょうか。

知事
今日視察した大槌もそうだったのですが、災害対策のかなりの部分を教育関係が占めます。今も、本当は避難所として指定されていないような学校に事実上たくさんの人が避難されています。そうした学校をどうやっていくのか、そして大勢の子ども達が避難していて、昨日の夜の内部会議でも私から言ったのですが、教育を受ける権利の保障というのは、はっきり憲法に明記されていることなのだから、ここは本当にしっかりやらなければならないという意味で、内陸市町村長の皆さんに集まっていただいた時、難を逃れた方々が幸福を追求できて、犠牲に遭われた方々の古里への思いを引き継ぐという、いわば二大原則をお話ししたのですが、幸福追求権以上に明確に憲法に書かれている教育を受ける権利というのは、かなり大事な仕事なので菅野総務部長には大きく期待しています。実際、予算関係でも学校関係の予算が、かなりの部分を占めています。
また、新しく総務部長になる予定の加藤部長は、防災・災害対策関係の総務省での仕事の経験もありますし、今日もまた総務省から来ていただいていますが、消防防災部門を所管している総務省との連携というものを更に強化していく意味でも加藤新総務部長にも大きく期待をしています。

記者
人事異動に関してですが、予定通り実施していくことで必要な部署への人数が2倍になるということですが。

知事
2倍というのはあくまで抽象的な表現で、厳密には1つのポストには1人しかいませんが、全体として見た時にかなり態勢が厚くなるという趣旨です。

記者
発災から一週間経って、だんだん長期化していくだろうということで、阪神淡路大震災の時は半年間も避難所で実際に生活したという人も居たということで、そうすると必要なものが医療であったり、心のケアであったり、お風呂や衛生の提供であったり、もっと先にいくと避難所の自治運営であったり、その時その時に必要な人材というのが変わってきて、そういう人たちをその時にたくさん出さなければならないだろうと。先々を見据えてやるのであれば、今、動かしてその人たちが行って人が2倍になりますというより、もう少しニーズに応じた派遣体制をとれるようなことを考えるべきではないのかと思うのですが。

知事
先々を見据えるという人事ではありません。定例という言葉をはずした意味は、新年度も、その後も何度か異動をしなければならないと思っています。そういう意味では、今現在のこの状態に合うような形の異動という趣旨で、状況の変化が先に行けば行くほど、さまざまな作業量が増えていきますので、それに対応した人事異動というのは年度の途中にも、随時行わなければならないと思っております。

記者
他県では復興に当たる専門部署を新設したところもあるようですが、どうお考えですか。

知事
日本全体に関して言えば、東北復興院のような所に関係省庁から人を集めて、統一的に行っていくことには意味があると思いますが、自治体それぞれなので、実質的にはそこと同じように行っているのではないかと思っています。

記者
新設する予定は、今はありませんか。

知事
今回の人事・組織改編の中には入っていませんが、組織も年度の途中にいろいろ変えていく可能性は大いにあります。

記者
被災から7日目になりましたが、災害対策の関係での専決処分が行われました。1週間ということで、かなりスピーディーに対応されたかと思いますが、重視されたポイントをお聞かせください。

知事
迅速性、それに尽きると言って良いでしょう。明治の初めに近代法律を作るのがとにかくスピードだと言ったのと同じように、とにかくスピードがポイントなので、専決というのはあらかじめ、議長はじめ議会の皆さん、各会派にお認めいただいたという報告を受けており、そこは本当に議会の皆さんに感謝したいと思います。

記者
今日、知事は釜石・大槌をご覧になったと思いますが、大槌に関して県が大々的にサポートをしないと大変だというお話しを先ほどされました。現場では、他にも役場機能が低下していたり、家族を失った職員が家族を顧みないで業務に当たっていたりということで、かなりストレスもたまってきていると思います。そのような中で、人員が足りないという声は他からも聞こえてくるのですが、そういったあたりでの職員の派遣態勢はどうなっているかということが1つ。それと、救援物資がどんどん届いていますが、届いた物資が避難所に到着するまで必ずしもスムーズに行っていないという自治体の首長さんからの指摘も上がっているのですが、その点をどのように解消されていくかということをお聞かせください。

知事
情報処理と意思決定のキャパシティの問題なんですね。純粋マンパワーは、自衛隊さんはじめ大規模に大量に外から手伝いに来ていただいているボランティアというのもあると思うのですが、情報処理と意思決定のキャパシティというのは、行政に携わる組織のラインの部分で確立しておかなければいけないわけです。市町村職員が決定的に足りなかったり、非常に打撃を受けていたりすると、情報収集と意思決定ということが全然出来なくなるというか、目の前のニーズに対して非常にギャップが大きくなります。ですから、燃料問題もそうです。あるところにはあり、道路や港湾も回復している、あとはどういう道路を通ってどこで給油とか補給をしながら、また帰りの燃料を確保して燃料を運ぶのかという情報処理と、それを踏まえて意思決定するということができないが故に全然(岩手県に)来ていないという状態なので、それがあらゆる行政機関に共通の問題としてあり、その打撃が大きいほど、そこの市町村ほど大変なので、マンパワーというよりも、情報処理・意思決定能力の大サポートが必要なのです。そういう部分も国に求めていかなければならないと考えています。例えば、外務省から3人来てもらっていますが、それは中国国籍で沿岸で働いていて被災された方々への対応で、中国政府は強い関心をもって早い段階で北海道の中国総領事さんが私と直接会い、お見舞いと中国国籍の方々の安否の確認を出来れば現場に行ってということで、そこに関する情報処理とか意思決定というのは、やはり外務省の人みたいな情報処理能力、意思決定能力を持った、そういう外事に関して、そういう人の協力がないと、県限りの人はいても情報処理と意思決定に関するキャパシティがなければ駄目なので、そういった形のキャパシティを大々的に被災地に注ぎ込んでいかなければならないということが本質だと思っています。

記者
今の情報処理の関係にもつながると思うのですが、いろいろ関係方面から聞こえてくるのが、ある物資に関して、A担当セクションと、B担当に聞いた時、Aでは足りていると言いながら、Bでは足りていないと言う。一体どっちなんだという話で、なかなか送りたい側に関しても困惑しているという声が聞こえてくるのですが、その辺りはどのような形で解消していくとお考えでしょうか。

知事
これは、今この場で作った例だから、実際に実例があるということではなく、あくまでもこの場で作った例え話ということで聞いてほしいのですが。「今から食料を送りますが、食料はありますか。」と聞かれた時に、本当は足りない、人数分の半分しかないけれど、「食料ありますか。」と聞かれ「食料はあります。」と返事をしてしまって、「そうですか。」と言って電話を切られてしまったら、要らないそうですという情報が伝わって、それがその機関から上部機関に伝わってしまうと、その地域全体には食料が足りているというような状況になってしまうのです。だから本当にそういう情報処理を現地において、より丹念に確実に行っていくということが必要なわけです。

記者
昨日も伺ったのですが、やはりガソリンや燃料の問題が、また本日もあちこちで足りない、ほしいという声が聞こえています。その中で知事は国への要請などを通して求めているということを昨日伺いましたけれども、本日になって県として出来る範囲で何か行っていることはないのかをお伺いできますでしょうか。

知事
私は現地から帰ってきたばかりなので、最新の情報は持ち合わせていないのですが、これも例え話をしますけれども、燃料を積んだタンクローリーが、それ自身、自分の燃料を入れることは出来ないので、行く途中、行った先でまたその燃料を補給しなければならないという時に、本当にあるのかとか、それが確認できなければ出発できないみたいなことで滞っているというのが、今の停滞の本質だと思っています。だから、ある1つのことを一気に行えば全てが解決するという状態ではなく、先ほども言った電話の掛け方から工夫をしていくことをみんなが少しずつ工夫すれば、一斉に動き出すと思います。

記者
遺体の処理の問題ですが、現状ではどうなっていて、知事としてはどういった方向で対応していくお考えでしょうか。

知事
それぞれの市町村と県とが連絡を取り合って、それこそ情報処理と意思決定を一緒にやっていこうという形で、それぞれ対応が進んでいるというように理解しています。

記者
土葬も知事としても、やむを得ないと思っていますか。

知事
私が言っているのは、二大原則の後者の犠牲になった方々の古里への思いをしっかり引き継いでいくという中で、犠牲になられた方の尊厳を、難を逃れた側がしっかり受け止めるという原則の中で、難を逃れた者が自分の責任で決断していけばいいというのが原則だと思っています。

広聴広聴課
以上をもちまして、知事会見を終わります。

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