平成21年4月13日知事会見記録

ID番号 N11773 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年4月13日 10時30分から11時25分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
幹事社質問は2題あります。それでは県政記者クラブを代表して質問します。1点目は、北朝鮮のミサイル発射についてです。誤探知による誤った発射情報の伝達も含め、今回の政府の対応についてどうみていますか。
また、岩手県及び県内市町村や消防など、関係機関の対応をどのように評価していますか。
2点目が平泉世界遺産登録についてです。さきの推薦書作成委員会で達谷窟、白鳥舘遺跡、長者ケ原廃寺跡、骨寺村荘園遺跡の4資産について、次回の推薦から外すべきとの見解がまとまりましたが、知事はこの見解をどう受けとめているのでしょうか。
今後奥州市、一関市に対してどのように説明するのでしょうか。
段階的に追加登録をしていく方針について、どの程度実現性があると考えているのでしょうか。

知事
まず、北朝鮮のミサイル発射についてですけれども、ミサイル発射そのものが国際ルールに反する許されないことであり大変遺憾であるということをまず申し上げたいと思います。
政府からは、このミサイルの発射の関係の情報が適時に県のほうにも提供いただき、その情報をきちんと県内においても伝えるべきところに伝えることができたと思っています。
誤報問題については、誤探知というのは探知された瞬間にはわからなくて、探知された情報の伝達ということについては、危機管理の原則として不利な情報はできるだけ早く届けたほうがよく、訂正が必要なら後から訂正すればよいという原則がありますので、誤探知という機械が探知したという事実について、早く伝えるということについては悪いことではないと思うのですけれども、米国の衛星が情報をキャッチしたわけではないのにキャッチしたかのごとき情報が流れたということについては、これは人間的な誤報、ヒューマンエラーとしての誤報であって、これはあってはならないことだと思いますので、そういうふうに受けとめています。
一方、岩手県内におきましては、県内の自衛隊、また消防、警察、報道機関等々、関係機関とも連携協力がしっかりできて、そして県、市町村それぞれヒューマンエラー的なこともなく、しっかり伝えるべきことを伝えることができたので、大変よかったと思っています。
次に、平泉世界遺産登録関係のご質問に対してですけれども、推薦書作成委員会の今回の見解については、非常に重要な見解を示されたものと考えています。今後この推薦書作成委員による審議をベースにしつつ、県としては文化庁、関係市町と十分に相談して進めていかなければならないと思っていまして、引き続き関係機関と連携を図りながら、平泉の文化遺産の世界遺産登録に向けて最大限努力をしてまいりたいと思います。
奥州市、一関市への説明については、国、県、関係市町との協議は既に開始したところであり、その中で十分に意見交換を実施しながら、世界遺産登録に向けたよりよい方向性を生んでいけばよいと思っています。
段階的に追加登録していく方針の実現性については、世界遺産の中にそういう例が色々あると承知していますし、また推薦書作成委員からもそういう可能性といいますか、そういう段取りについて発言、意見があったということを聞いています。推薦書の作成方針と同様に、文化庁、県、関係市町で協議を行って決定していくことと考えていますが、いずれにせよ世界遺産登録に向け最大限努力をしていきたいと考えています。

幹事社
この質問に関連して各社質問があればお願いします。

記者
北朝鮮のミサイル問題での政府の対応なのですが、市町村からは政府が明確な指示を出してくれないことで、住民への周知などに迷いもあったと聞いているのですけれども、そういった点について知事はどうお考えでしょうか。

知事
それは、官房長官はふだんどおりにしましょうと言っていたのだと思います。ですから、どういうところを困ると言っているのかよくわかりません。

記者
市町村が住民に周知するかどうか、対策本部を立ち上げるべきかどうかということに具体的に指示がなく、市町村に判断がゆだねられたということで迷いがあったようなのですけれども、そういった政府の対応についてどうお考えでしょうか。

知事
県の場合は、国からの指示や情報が来る前の段階で既に私と関係職員とで話し合い、まず情報収集管理の体制が必要だとか、昔、釜石に米軍機が落ちて毒性のある燃料が広がり、消防団の人が近づいて危なかったことがあったので、万々が一そういうことがないようにしておかなければならず、万が一何か落ちてきたときにはそういう体制をとりましょうとか、基本的に国から言われなくても、県で大体やるべきことは決めていたところがありますので、市町村においても住民の命を守る、安全を守るという観点から、主体的にやらなければならないのだと思います。地方自治体にも住民の安全を守る責任はあるので、それをやっていくために必要な情報については、どんどん国に質問したり、情報を求めていけばよいと思うのです。武力攻撃事態の場合にはもっと国あるいは防衛当局から色々な指示のようなことが出ると思うのですが、特に今回は武力攻撃事態ではななかったわけです。

記者
文化庁は世界遺産委員会終了直後には9資産でいきますという方向性を明確に発言されていましたけれども、それに伴って県としてもある程度それを見越した上での活動をしてきたと思うのです。今回の推薦書作成委員会の方針を受けた県の活動に対する影響は、どの程度ある考えていらっしゃいますか。

知事
9資産で浄土思想を基調とする景観というテーマで提出したところ、ユネスコの世界遺産委員会で、これではすぐには登録できないという結論があり、資産の数も含めて考え直せ、再検討せよという指示が国際機関から出ているという中でどう対応するかということだと思います。世界遺産というのは、最終的には国際機関が決定することなので、いかにそこできちんと、かつスムーズに、延期とかいうことなく、2年後にきちんと登録という決定をしてもらえるのか、そのために地元も県も市町も汗をかくということなのだと思います。

記者
関係してなのですけれども、文化庁なり県教委が基準に合わせて遺産の形を変えるということについてはどういうふうに思われますか。つまりあるべきものが価値があるから登録されるということではなくて、登録の基準があるからそれに合わせて遺産の形とかを変えるという考え方についてはどういうふうに思われますか。

知事
私個人的には、平泉で大事なのは共生の理念といいますか、生き物や自然、そしてもちろん人間も大事にする、その心がきちんと国際機関に認められて、世界の人たちにそれを知ってもらうきっかけになればよい。世界の人たちにそれを学んでもらうきっかけになればよいと思っていますので、そのためにどういう説明、論理構成をしていくのかというやり方には色々あるのだと思います。

記者
先ほど今回の資産から漏れた部分について、いずれにせよ最大限努力していきたいという知事の答弁でしたけれども、県として漏れた資産について復活されるための具体的なアクションのお考えはありますでしょうか。

知事
アクションについては、去年5月に登録延期の案が世界遺産委員会のケベックの総会に出るということが決まった後に、国際機関の意思決定というのを変えてもらうための働きかけというのは外務省の近藤ユネスコ大使と連携とりながら色々やってみました。ただ、あの状況で様々なことをやっても成功しなかったという教訓はありますので、そういう意味で、県にできること、しなければならないことということについては、その教訓を生かしながら考えていきたいと思います。

記者
一関市、奥州市とも、これまで相当の予算を使って積み上げてきたわけなのですけれども、それで両市ともに今後の復活に対する期待はかなり大きいのですが、知事として両市との協議を深めながら、どのような形で復活したらよいかという具体策を協議していくようなお考えはありますでしょうか。

知事
去年、平泉の文化遺産が世界遺産になったら、「いわて平泉年」を1年間やると、その中で世界遺産に直接登録された資産だけが平泉精神を体した文化遺産なのでなくて、例えば盛岡の厨川柵だとか、陸前高田の金山跡だとか、あるいは沿岸の義経北行伝説のそれぞれゆかりの地だとか、そういったところも平泉の文化遺産なのだということを大々的に自分たちが確認しながら外にもアピールしていこうということで準備をしていたのです。ですから、平泉という文化遺産というのは、そうやって外へ外へと広がっていく性質を持っていて、特に地域振興、観光でありますとか、物産でありますとか、そういうことの関連からいきますと、県としてはオール岩手が平泉の文化遺産なのだというような形で、しかもそういった運動を未来永劫続けていくということが基本にあると考えています。
もう一つ、世界遺産というのは何かを勝ち取るものではなく、むしろ地元が世界に対して与えていくものであって、しなくてよいような保存や管理に関する苦労をあえて地元が引き受けて、そして世界の人たちに資産を知ってもらい、また活用してもらうという犠牲を地元が払っていくのだという覚悟を持って取り組むのが世界遺産というものの本質だと思っています。そういう意味で過去の地元の皆さんの払ってきた犠牲とか、重ねてきた苦労というのは決して無駄にはならず、今までにも世界の人たちに大きな貢献をしてきたと思います。そしてそういう世界に対する貢献という実態と、国際機関のルールに従った手続的な段取りとがうまく組み合わさったときにそこが世界遺産に登録されていくと、あるいは追加登録されるところもあると思うので、その根本のところを見失わないでやっていく限り、苦労が無駄になるということは決してないと思っています。

幹事社
ほかに質問があればお願いします。

記者
2点伺いたいのですけれども、1点は今後知事が地域医療の関係で住民との懇談会に出席されるということなのですが、既に4月1日から県立病院等の新しい経営計画がスタートしているのですけれども、改めてその全体の考え方をご説明になるのか、それとも空きスペースの利用などの今後のことについての説明に重きを置かれるのか、どこら辺を重視して説明しようと思われているのか教えてください。
もう一点は、先日追加の経済対策が発表され、失業手当をもらえない人への職業訓練とか、子育て支援など色々盛り込まれたのですが、一方で国債をかなり大量に発行することになります。知事として今回の景気対策をどのように評価されているかお伺いします。

知事
地域医療の関係については、さきの県議会において、私も病床休止となる地域診療センターの関係の住民の皆さんに心配、不安を抱かせたことについて大変申しわけなく思うと申し上げまして、そして議会の終わる前に計画は正式決定をしたわけでありますけれども、その新しい経営計画が決まった後でもそうした心配、不安は残っている。知事本人が議会が終わった後にでも出向いていくべきではないかという指摘を議員の方々からもいただいたことを踏まえて赴くものでありまして、まずそういう心配、不安というのが実際どういうふうになっているのか、直接見聞きしたいということが原点です。
そして、県が去年策定した新しい医療全体の計画の重点は、地域における医療連携なのです。病院、そして診療所、そして開業医、民間の医療関係機関、さらに介護や福祉の施設や人たちとの連携で、一種地域包括ケアというようなことを実現していかなければならない。今回の診療センターのあるところというのは、そのいわば最前線のようなところでもあるのです。ですから、そういう住民の皆さんの心配や不安というのを根本的に解決していくには、地域包括ケアのシステムをどう確立していくかということだと思うので、そういう問題意識を持ちながら、それぞれの地域の現状をきちんと把握していきたいと思っています。
経済対策については、本当は去年のうちにやるべきことをきちんと決めて、そして解散総選挙をやって、国民の信託をきちっと受けた体制によって、今年からどんどん実行していき、足りないところがあったらつけ加えていくということを強力にやっていくのが望ましかったわけです。そういう意味でとにかくもっと早くやるべきと思うところです。ただ、それがきちんと県民生活の実態、例えば職を失った人の数が減っていくとか、中小企業がきちんとやっていけるとか、そういうことに直接効果が出てこないとだめなわけですが、まだそういう効果が出ているという実感は残念ながら感じていません。
それから、国債の問題についてですが、国債の借金というのは、これは信頼と表裏一体の関係にあります。国からの支援のお金を中小企業が借りる際にもきちんと事業計画などを示して、将来的にはこれで返済できますというような見通しを示して初めて中小企業はお金が借りられるはずでありますから、今は、国は見通しがないまま借金を増やしているという感じはしています。ですから、きちんと将来の見通しが見える、その見通しというのはただ増税の予告をするだけではなくて、日本が力強い経済、社会になっていくという見通しを政府は示す必要があると思います。

記者
先週、農水省が発表した耕作放棄地の件ですけれども、県内に6,952ヘクタールあり、普代村や矢巾町に相当する面積があるということです。そのうち約4割弱が再生不能になっていることについてどのようにお考えになるかということと、今後その解消に向けて県としてどのような取り組みをしていきたいと考えているかお伺いします。

知事
大変もったいないと思います。食の安心、安全がこれだけ注目されていて、そういうニーズもあり、また職を失う人が増えて雇用の受け皿としても農業が注目されているときに、耕作放棄地がたくさんあり、また増えているというのは、非常にもったいないことだと思います。ですから、そういったところを活用して稼げば食べていける、幸せになれるという形をきちんとつくっていかなければならないと思います。そういう意味で6次産業化とか、物を生産するだけではなくて加工、流通のところもあわせて生産者あるいは農業従事者というのでしょうか、所得がきちんと向上する仕組みをつくり、若い人たちがどんどん担い手になっていくような仕組みにしていくことが非常に重要なのだと思います。そういった担い手、強い経営体の育成ということは、希望創造プランの農業政策の柱の一つでありますし、あとは家畜のえさを外国からの輸入に頼るのではなくて、地産地消できるように、耕作放棄地にどんどん粗飼料を植えて活用していくとか、そういう技術的な指導にも既に取り組んでいるところですが、ますます力を入れていかなければならないと思います。
ほかに技術的な話では、稲の直まきの研究が進んでいまして、田植えをせず種を直接まく稲作というのが実用化段階に入ってきています。そういうことでコストや手間などをどんどん省力化させていくことで耕作放棄地解消を進めていければよいと思います。

記者
2つあり、1つは直轄事業負担金の関係なのですけれども、先週東京で知事会の主催する会合でかなり激しい議論もあったかと思うのですが、本県分についても庁舎の整備のために県の負担金が使われているという実態があって、特に胆沢ダム管理庁舎については20年度から22年度の事業ということで21年度も負担金が使われるであろうというふうに思われるのですけれども、県としては今のところ21年度分についてはどういう形で臨もうと考えていらっしゃるのか。
もう一点は、教育長がおおむね月に1回今まで定例会見をやってきているのですが、21年度に関しては今のところスケジュールに入っていなくて、できればやらない方向でいきたいというお話のようです。教育委員会というところであるわけですけれども、我々からすると情報を積極的に発信していく場所を自らやらないというのはちょっといかがなものかと感じているところなのですが、それについて知事はどのようにお考えなのか教えてください。

知事
教育長の記者会見については、何かあったときに随時開いていくほうが的確に情報のやりとりができるということで、そういう方向に見直したいという教育長の意向だと聞いていますが、そこは教育委員会事務局と色々と相談をしてうまくやってもらえればよいと思います。
直轄事業負担金の問題については、基本的には廃止する方向で見直しをしていかなければならないと思います。ただ、現在法律に基づいて、形式的には違法ではない形で予算が使われて、また県に対して負担金が求められており、それに対して返還請求とか取り消しなんとかということは今のところは考えていませんが、全国知事会でもかなり長い間、国に訴えてきた問題が最近国民的な注目も得て国のほうでも見直しせざるを得ないという、廃止に向かって議論していかなければならないという感じになってきているので、この方向で進めていくことができればと思っています。

記者
負担金の関係で、県としては21年度については制度上従って支出していく方向かと思うのですが、ついては何か注文をつけるとか、こういうところがないと容易に納得できないとか、そういった点はあるのでしょうか。

知事
県でも今までも国の担当と事前に色々と相談をしながらやってきたということなので、今後についてはもっとしっかり事前に相談してやっていくようにしたいと思います。幾つかのことについては今回調べて、改めてわかったというような新事実という感じのところもありますので、そうではなくて県として知っておくべきことは事前に知った上で協力すべきところに協力するというようなやりとりをきちんとやっておかないとだめだと思います。

記者
昨日、秋田県の知事選挙が行われまして、組織自体は単純に民主対自民ということではないような感じだったのですけれども、一応自民党が推す佐竹さんが当選して民主が推す川口さんが敗れました。これについての知事のご見解と、北海道・北東北、あるいは北東北、さらに東北全体の知事同士の連携について、今後の方向性をお聞かせください。

知事
佐竹新知事は秋田市長として、また全国市長会の会長にもなって、そういう行政手腕を発揮されてきた方ですし、知名度プラスそうした行政手腕というところが評価されたのではないかと思っています。
川口候補も、小坂町というのは昔鉱山で、それが廃れて非常に町全体も寂れていったのですけれども、それを新しい環境関係のリサイクルの一大拠点、そしてまた近代産業、文化の一大拠点として再生させた実績、手腕もあるのですけれども、そういったことが浸透する前に投票日が来てしまったのかなという感じがしています。
北東北三県の連携については、そもそも秋田は隣の県でありますし、岩手との関係は非常に重要だと思っていますので、色々な地域課題についてしっかり連携をしてやっていきたいと思っています。

記者
連携の部分についてなのですが、もちろん人で判断するということではないと思うのですけれども、今までの寺田知事との関係と、佐竹さんとの関係で変わる部分というか、何か臨むところで違うところありますでしょうか。

知事
まず、行政の長としての役割というのは政治スタンスとは切り離して、そこはしっかりやっていかなければならないというのはいつも言っているとおりですし、それはできると思っています。
あとは寺田知事から恐らく引き継ぐべきことはきちんと引き継がれるのではないかと思っていますので、その点で何か大きく変わるようなことはないのではないかなと思っています。

記者
秋田知事選の関係なのですけれども、構図が複雑だったというのもあるのですが、例えば今回の結果をもとに国政への影響とか、民主党でいえば小沢代表に対する党内外からの、例えば責任論的な話とかが出るかもしれないのですけれども、そういったことについてはいかがでしょうか。

知事
選挙結果について分析をして、そして色々な意見はあるのだと思いますけれども、国政の方向性について大きな影響は出てこないのではないかと思っています。

記者
出ないと思われる理由というのは、先ほどおっしゃったようなことになるのでしょうか。

知事
そうです。

記者
お互いの知名度とか浸透度という部分で差があって、どちらかというと政党としての対決ではなかったということでよろしいのでしょうか。

知事
そうですね、私も最初に知事選に立候補するときに、前の年の夏、お盆のころに出馬宣言をして、そこから準備をしていたわけでありまして、そのくらい準備期間を設けないとなかなか大変なのだと思います。

記者
岩手競馬について伺いたいのですが、今年も開幕しまして、2年連続で黒字が続き、3年目は対外的にも重要な年になるのではないかと思うのですが、その点について知事のお考えをお伺いします。

知事
2週終わったところで計画達成率が100%を超えていますので、3年目も黒字スタートと言ってよいスタートなのだと思います。ただ、計画はきちっと達成しているのですけれども、去年の発売額に比べるとやはり減っているわけで、そういう意味で決して回復基調になっているわけではないと、底が近いような感じにはなってきているのですけれども、これが底割れしないようにきちんと地に足のついた改革、改善を行いながら、好スタートと言ってよいと思いますので、これを1年間続けていけるように頑張っていきたいと思います。

記者
地に足のついた改革、改善ということをよくおっしゃられるのですけれども、昨年度は民間委託の話があって、今年は組合直営が基本になるとは思うのですが、その辺は今どんなお考えなのでしょうか。

知事
1年前と色々比べてみますと、1年前は民間委託公募の準備とかに追われて今年ほど薄暮開催を充実させるとか、おもりをつけるハンデ戦を増やすとか、具体的なアイデアというのが実は1年前はあまり出てこなかったのです。それに比べると、今年は民間委託公募の準備とかに手間暇を割かれない分、かなり競馬の開催運営そのものに色々なアイデア、工夫が盛り込まれるような格好になっています。去年の場合ですと、その後の色々な交渉、やりとりにもかなりエネルギーを割かれて、他の中央競馬をはじめ、他の地方競馬とか、他の主催者との連携、協力のほうに手間暇を割けなかったところもありますので、今年はそういったところにも丁寧に対応しながら、そういう意味で地に足のついた改革、改善ということで県民の信頼にこたえ、ファンの期待にこたえる岩手競馬を実現していければと思います。

記者
最近の政治の状況についてですけれども、先ほど知事は秋田知事選ではあまり政党対決という感じではないということでしたけれども、西松建設の関係で東京地検が小沢代表の秘書を逮捕したことによって、それ以降がらっと潮目が変わって、千葉知事選もそうですし、今回の秋田知事選もそうです。一方で、自民党、与党のほうは経済対策を理由に次々と大型の工事を復活させるとかといった動きも見せています。西松問題を機に、今までは民主党が政権交代前夜というような感じで盛り上がっていたのが一気に自民党が元気なころの昔に戻りつつあるような感じもするのです。最近のそうした政治の状況を知事がどう見ているのかと、それとあと半年以内にある衆院選への現在の見通しについて、一時期の民主優勢というのがだんだん崩れてくるのか、それともまたここで民主が息を吹き返すのか、その辺の見通しについてお聞かせください。

知事
西松問題について、報道で取り上げられることが大分少なくなってきたと思います。入れ替わるようにして総理大臣の問題発言など、西松問題以前に取り上げられていたようなことがまただんだん取り上げられるようになってきていると思います。また、西松問題についても検察のあり方についての様々な批判が色々まとまった形で紹介されるようになったり、そういう情勢を踏まえたネットアンケートとか、テレビアンケートなどを行うと半分以上の人たちは、小沢代表は辞任をしなくてよいというふうに答えています。一方で、確かに一時期西松問題に国民の関心が集まり、そこから何一つ決定的な結論が出てきたわけではないのですけれども、全体として小沢代表のイメージが悪化し、民主党のイメージも悪化し、総体的に総理大臣や内閣のイメージが総体的にアップするということが起きていたと思います。しかし、一種最悪というか、そういう期間はもう終わってきているのではないかと思っていまして、政府与党側の色々な問題についても指摘される度合いが強く、報道の中に見えるようになってきていることと、あとは西松問題について深く考える、深く分析するような報道が出ていること、そうしたことが相まって進んでいけば国民がきちんと判断をして投票行動に向かっていける、そういう兆しは出ていると感じています。
ただ、それはあくまで兆しに過ぎないところでありまして、例えば政治と金の問題について本格的に国民的議論をしていくとすれば、やはり西松問題という狭いくくりだけではだめなのでありまして、ある企業のメンバーが政治団体を立ち上げて政治活動をする、寄附をすることの是非ということであれば、実は日本のほぼすべての業界において政治団体を作って寄附をするとか、政治活動をするということは行われているし、特に自民党の職域支部という団体などになっているケースが多いのですよね。ほぼあらゆる業界に自民党の職域支部というのがあって、そこから党費という名目で業界のメンバーがお金を寄附している。形式的には党費だから寄附には当たらないわけでありますけれども。
今度、参議院議員選挙を自民党さんの方で推薦発表を行う候補は基本的にそういう業界団体ごとに候補が立てられて、そこに人やお金、莫大なものが動員されていくわけであります。経団連もまた、経団連から1人候補を立てて、そこに莫大なお金や人をかけている。そういう全体像の中で、日本の政治と金の問題が議論されていかないと全然だめだと思っています。
私は、今の現状は法律的にはセーフだと思っています。そういう自民党の職域支部というのが張り巡らされて、軍人恩給をもらっている皆さんも軍恩支部というのがあって、税金から恩給、それがそのまま党費になっているわけではなく、それぞれの財布に入って別途党費として出ているという格好だし、そういう軍人恩給をもらっている人たちの団体が基本的に丸ごと政党支部になっているのも建前上はそれぞれの自由意思でそうやっているわけでありますから、私は直ちにそれが逮捕とか、摘発の対象になるとは思っていないのですけれども、ただそういう自由が認められるのであれば、企業に属する人たちが別途政治団体を作るということも法律的にはセーフではないかと思っています。
法律的にセーフなことが、政治的あるいは社会的に好ましいことかというと、それは人によって見解が違ってくるのだと思います。だから、そこには国民的な議論が必要なのであって、そういう中から全部疑わしいという意見などがあれば企業・団体献金を全面廃止しようかという議論もあり得るのだと思います。
ですから、企業・団体献金廃止すべきかどうかというのはすごい大事なことだと思います。それは西松問題があったからというだけではなくて、そもそも今の日本の政治の本流部分というのは企業、団体のものすごい人とお金の動員で成り立っているという構造の本質がそこにあるのであって、それを変えるかどうかという議論を国民的に行っていくのが大事だと思っていますが、まだまだそこまで議論が進んでいないので、もっと進めばよいと思っています。

記者
胸元のネクタイの牛のマークは特注でしょうか。

知事
これは農林水産部流通課がつくってみたモーモープロジェクトの金べこネクタイです。今日はそれをしています。

記者
しばらく続けるのですか。

知事
あちこちにつけて歩こうかなと思っています。

記者
ちょっと胸元がうるさい感じになっているような。

知事
私は好きです。中国語圏では丑年のことを金牛年と言うのです。「チンニュウニェン」と言うのですけれども、金の牛の年というふうに言うのだそうで、中国語圏では丑年の牛というのは金の牛なのだということになっているそうなので、台湾に行ってもそういうことをアピールしながら岩手を宣伝していきたいと思っています。

記者
小沢さんの秘書の逮捕の影響について、先ほど知事は国民がきちんと判断して投票行動をするという兆しが出始めているとおっしゃっていたのですけれども、解散総選挙は5月という話も出始めていますけれども、知事としていつが望ましいか、回復の兆しというか、影響がなくなる時期と申しますか、その点等を踏まえてお伺いします。

知事
選挙は早ければ早い方がよいのです。それは去年から、あるいは一昨年から選挙は早くやった方がよいと申していることには変わりありません。そして、オバマ政権が期待を持たれているのは、選挙で選ばれたばかりの人が力強く取り組んでいるから期待が高まっているわけでありまして、日本もやはりそういう体制で経済危機に臨んでいくべきだと思います。
それから、色々な疑惑、スキャンダル的なことが出ていて、それが選挙の時期との関係でどうかということについては、選挙が本当に行われるということになれば、これもまたモーメント・オブ・ザ・トゥルースでありまして、そういう切羽詰まったときにこそ真実が見えてくるということもあるので、私はむしろ国民が本当に究極的な判断を迫られるという切羽詰まった状態の中で、本当に正しいことが見えてくるということを期待したいと思います。
最近ニューズウイークの英語版でも小沢一郎特集みたいなのがあって、それで今そういうスキャンダルがあって大変だという話なのですけれども、やはりそのスキャンダルが本当かどうかはわからないという前提で小沢代表の対米政策、あるいは安全保障関係の今までの発言などを紹介して、こうした政策が実現されるとすれば、それは日本を大きく変えることになる、果たしてそういうことになるだろうかという、政策本位の記事になっていました。やはり切羽詰まっていくとだんだん関心はこの人がリーダーになると日本がどうなるかという、そういう中身の問題に移っていくのではないかと思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は4月20日(月曜日)の予定です。

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