平成21年5月11日知事会見記録

ID番号 N11763 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年5月11日 10時30分から11時00分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
今日は、初めに知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
新しい長期計画の策定についてです。お手元に配付した資料のとおりですけれども、グローバル化の急速な進展や人口減少・超高齢社会の到来など、社会経済情勢が大きく変化する中で、本県の長期的な将来展望や進むべき方向を県民の皆さんと一緒に描いて、希望あふれる岩手を実現していくために、県民の総力を結集し、推進していく指針となる新しい長期計画の策定を進めています。
この新しい長期計画の基本的方向については、昨年10月に総合計画審議会に諮問したところですけれども、これまでに延べ10回の部会が開催され、熱心に審議を進めていただきました。今後審議会からの中間答申を踏まえて、6月中旬をめどに計画素案を公表いたします。素案公表後は、県民の皆さんから広くご意見をいただき、一緒に計画を練り上げていきたいと考えています。
この長期計画については、県民計画としての性格を持たせたいと考えています。具体的にはこの計画を県民の皆さんと一緒に描いていくため、これまで県政懇談会をはじめ作文・論文コンクールやアンケート調査でありますとか、専用ホームページの開設などを実施してきました。素案の公表後におきましてもパブリックコメント、地域説明会、それぞれ段階的に2回ずつ実施するなど県民の皆さんからきめ細かくご意見をいただきながら一緒になって計画を練り上げていきたいと考えていますまた、この計画は単に県の行政運営の基本方針であるだけでなく、配付資料の裏面に県民の皆さんからいただいた「いわて希望メッセージ」の例を載せていますが、希望あふれるいわての実現に向けて、県民の皆さんと一緒に行動する指針にしたいと考えています。
さらに、この計画を多くの県民の皆さんに手にとってしっかり見ていただけるよう、簡素でわかりやすい計画にしていくこととしています。内容的にはグローバル化の進展や人口減少・超高齢社会にどう対応していくかがポイントになると思います。グローバル化のさらなる進展や人口減少・超高齢社会の到来を大きな課題としてとらえ、予想される問題に長期的な視点に立ってしっかりと対応し、岩手の特性、強みを十分に生かしながら岩手のあるべき姿を目指していく、そういう計画にしたいと考えています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いします。

記者
長期計画の策定をこれまでしてこられたのは存じ上げているのですけれども、この段階でこういう形で発表した意図を教えてください。

知事
10年に1度の大きな、また大事な、しかも県民を挙げての取り組みになりますので、6月中旬にいきなり素案を出すということではなくて、ある程度県民の皆さんにも心の準備していただいて、改めて策定の段取りでありますとか、また内容的なポイントをお示ししておくのがよいと思い発表しました。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんが、私から1つ質問させていただきます。
国内でも新型インフルエンザの感染者が確認されました。ペーパーなどでは対応等々お示しなされていますけれども、この状況をどうとらえていらっしゃるかということと、今後の取り組みについてどうお考えになっているかというのを改めてお伺いします。

知事
日本においても水際で患者が認められたわけでありますけれども、早目に発見して早目に治療をすれば普通のインフルエンザ並みの危険性といいますか、命にかかわらないような形で治すことができる、そういうものだということもだんだん見えてきていると思います。国内に広げないということについて、県としても協力していかなければならないと思っていますけれども、国内に感染者が広がった場合、岩手県においても対応が必要になってくるわけでありますけれども、発熱外来などの準備をしっかり進めながら、もし患者が発生しても早い段階で適切に診療、治療をすることですぐ治ってもらう、そして岩手県内に極力広がらないようにする、そういうところをしっかりやっていきたいと考えています。

幹事社
これまでの国の対応をどのように評価されますか。

知事
関係国から到着した飛行機の中に入っての検疫というのは、諸外国と比較してもかなり徹底した水際対策だと思います。それによって、これだけの長期間、国内の発生を抑止できているということは、かなりうまくいっていたのではないかと思います。検疫官はじめ現場の皆さんは本当に一生懸命必死の努力で効果を上げているので、リーダーの皆さんが慌てず、騒がず、落ちついてリードしていただくことで被害を最小限にとどめられるのではないかと思います。

幹事社
今のリーダーというのは何を指しているのですか。

知事
それはそれぞれのリーダーです。

幹事社
現場ということですね。

知事
現場というよりも医療政策とか、検疫体制とかをつかさどるようなトップの人が慌てず、騒がず、しっかり取り組んでいけばよいと思います。

幹事社
それでは、各社から質問がありましたらお願いします。

記者
明日、JTの本社に工場存続等の要請行動に行かれると聞いています。改めて今回の閉鎖計画についての知事の考えと、県内経済、雇用等における同工場の存在意義の考え方を聞かせてほしいのと、あと実際に明日はどのようなことを要望したいと考えているかを教えてください。

知事
県内の雇用を一人でも守っていきたい、一人でも多くの県民に雇用の機会を確保したいという思いがまず基本にあります。そして、こういう厳しい経済情勢ではありますけれども、JTさんの場合には国が半分以上の株を保有しているという公的な性格が強い会社でありますから、普通の民間企業以上に地域経済や地方の雇用などへの配慮をお願いしたいと考えていまして、そういった観点から明日もお願いをしようと考えています。

記者
具体的に要請の項目的に挙げるとすると、第一には閉鎖計画の撤回なのかなと思うのですが、その確認と、あとほかに考えている要請項目というのはどういうものでしょうか。

知事
鳥取県さんとも調整して一緒に要望をしようと準備しているところですけれども、基本的には今回の工場閉鎖を撤回してもらいたいということ、そしてあとは原則論的なことですけれども、今働いている皆さんの雇用の確保ということ、働いて食べていけるということについて責任ある対応をしてほしいということが基本になると思います。

記者
別な話なのですけれども、盛岡市での定額給付金の支給が早いところは14日からです。知事も受け取るというご意向を示していますけれども、家族とかで使い道について検討されて、こういうものに使おうということが決まっていれば、差し支えなければ教えてください。

知事
私は、市から案内の手紙が来て、すぐに申請を出しました。何に使うかは、家族会議が継続中で、まだ結論は出ていないのですけれども、ただ、会議をしながらも連休中に地元で食事をしたり、子供が欲しがっているものを買ったりしており、自分への投資、家族への投資、そして地域への投資ということも含めて、必要な投資は定額給付金の額にこだわらず、それを超えてやっていかなければならないと思っていま。「買うなら岩手のもの運動」の一環ということも念頭に置きながら、積極的に自分と家族と地域に投資をしていきたいと思っています。

記者
そうすると一部は、支給する前に先行投資したと考えてよいですか。

知事
はい、そうです

記者
新型インフルエンザの関係なのですけれども、今回想定外の豚からの発生ということで、今回の事態でこれからも色々なところからの発生の可能性が示唆されたと思います。県のタミフル備蓄計画で、9年度から11年度までに計画している33万5,000人分のタミフルの増加について、前倒しで進めるというお考えがあるのかどうかお伺いします。

知事
どういう事態が生じるのかということを予測して、それにぴたりと当てはまるような数をそろえるというのは難しいのですけれども、ひとつ極端な議論として、そもそもタミフルの備蓄なんて要らない、無駄だという議論もあったと思うのですけれども、今回そういうことは全然ないので、やはりタミフルの備蓄というのは有効だということが教訓として得られたのだと思います。
一方、どれだけ用意するのかということについては、今回の教訓という意味では、まだ今後の推移も見ながら、今の基準では足りないのかどうかということは、まだちょっと結論は出せないと思っていますが、今回のことも教訓にしながら合理的な備蓄体制を進めていきたいと思います。

記者
今の新型インフルエンザ対策に関連してなのですが、国が今年の2月に行動計画を改定していて、県もそれに合わせて計画を改定しなければならないと思います。県の場合は2006年に新型インフルエンザ対策の対応方針を一度出しているのですけれども、この全面改定を今年の秋をめどにやるという方針のようですが、こういう事態があったので、できればもう少し早めたほうがよいのではないかと思うのですが、そこら辺知事はどのようにお考えになっているか教えてください。

知事
6月中をめどにできるだけ早い時期に原案を策定して、そしてインフルエンザ対策の連絡協議会がありますので、その会の構成員である関係機関の皆さんの意見を聞く、そういう関係機関との調整をするというプロセスは必要でありますので、それを早目にやれるように原案も早い時期に策定、提示していきたいと考えています。

記者
そうなると秋ごろをめどという見通しというのは変わらないと理解してよろしいのでしょうか。

知事
ちゃんとよい原案ができて、関係機関の賛同を早目に得られれば早く最終決定するということになると思います。

記者
新型インフルエンザの国内での感染者発生ということで、先週と局面が違ってきていると思います。先ほどは県としての対策についてのお話が中心だったのですが、県民に向けてはどういったメッセージが今必要と考えていますか。マスコミの側でも極力余計な不安をあおらないよう気をつけて取材しているところですけれども、例えば濃厚感染者が青森に1人いるということが朝から報道されていて、そういったところも不安の要素の一つかと思うのですが、県民にどういう対応を呼びかけますか。

知事
今まで基本はふだんどおりということ、普通に仕事であれ、勉強であれ、レジャーであれ普通にということを申し上げてきていますけれども、ただその中で新聞、テレビ等、報道には注意して、海外渡航先とか、そういったところは慎重にと申し上げてきたところです。今回の事態を受けて、国内においても慎重さについて一定程度高めるといいますか、より慎重になる必要はあると思います。ただ、それによって本当にやらなければならない出張をやめたり、あるいは勉強をやめたりとか、そこまで普通のことを普通にできない緊急事態かというと、まだそこには至ってない。慎重の度合いは高めなければならないけれども、基本的には普通に対応していただくということだと思っています。

記者
今後県内でも発生ということになってくると、知事もマスクをつけたり様々な対応を考えていくのでしょうか。

知事
私もうがい、手洗いについては、今回の新型インフルエンザ発生以前以上に丁寧に手を洗ったり、まめにうがいをするようにしていますけれども、まだ県内を歩くときにはマスクはしてないのですが、だんだんに県内で患者さんが発生ということになってきたら、その辺も高めていくことになると思います。

記者
発生予防という意味のマスクということで、発生してから使用するとなると微妙なタイミングなのかなと思うのですけれども、その辺を考えていただければと思います。

知事
そうですね。専門家の皆さんは、最初からマスクは予防によいということを言っていたので、私もマスクする必要はないとは言いません。そこは色々と仕事の兼ね合いとかで、今マスクはしてないのですけれども、今マスクはしなくてよいという段階だとか、するなという趣旨ではありませんので、そこは専門家の皆さんの意見、これは県や医師会とかのパンフレットには、うがい、手洗いと並んでマスクの着用というのが予防のためには極めて有効というのはちゃんと書いてありますので、そういう意味で今の段階でマスク着用を否定するものではありません。

記者
2点伺いたいのですけれども、まず先ほども質問のありました県の行動計画についてなのですが、最初はたしか対策連絡協議会で部会等を開いて、並行して幹事会、協議会を開いて策定していくということだったと思うのですが、先ほどの知事のお話ですと先に原案を出して、そこからコンセンサスをとるような手順に変わるということなのでしょうか。あと、時期については秋より前ということだと思うのですけれども、早ければいつをめどにというのはございますでしょうか。

知事
そこは担当部長から説明をしてもらいます。

保健福祉部長
今のお尋ねでございますけれども、当初考えている手順としては、協議会の専門部会とか、幹事会に白紙の状態でご意見を聞くのではなくて、あくまでもたたき台をお示しして、そこで意見をちょうだいしながら固めていくというな手順でいきたいということで、それについては今時点でも考え方は変わっていません。ただ、一つのめどとして連絡協議会全体の中で、最終的な原案といいますか、それを示すタイミングとしては、先ほど知事から申し上げたところです。
具体的な時期につきましては、まだ申し上げることはちょっと難しいと思っています。

記者
あと1点なのですけれども、先ほどの知事のタミフルの備蓄に関するお話を聞いていますと、やはり色々な専門家も言っていますけれども、今回の新型ではなくて、先にはH5N1が新型になった場合、つまり強毒性の新型があらわれた場合を見据えてお話しされているように感じるのですけれども、今回の新型発生が予行演習というか、本当に強毒性が来る前の訓練的な意味合いでとらえている部分というのはあるのでしょうか。

知事
いや、今直面しているのは本番そのものであって、他の目的の手段とは全然認識していません。先ほど普通のインフルエンザ並みの危険性に抑えられるというようなことも言いましたけれども、普通のインフルエンザでも少なからぬ死亡者は出るものでありますし、今回のものも油断するとやはり死亡につながりかねませんので、そこは本当に今回も油断なく全力で当たらなければならないと思っています。

記者
話題が変わるのですけれども、地域医療センターの無床化の関係の住民への懇談会の中で、知事が地域医療は市町村の責任だというお話を聞くと、市町村としては受けとめ方として色々な戸惑いとかがあるようです。それについての真意と、今日一部報道にありました医師の退職がかなりのペースで増えていることについての感想なり対策とかをお聞かせください。

知事
市町村が地域医療に関して責任があるというのは、これはもう至極当然のことで、何の不思議もないことだと思っています。これは、市町村がそれぞれ必ず病院経営をやれということを言っているわけではなく、住民に一番身近な基礎自治体として住民がどういう医療環境の中にあるのか、地域の中にどういう医療機関があり、またそこでどういう医療を受けているのか、また最近は医療というものが介護や保健、福祉、衛生等々とも一体、地域包括ケアという言葉がありますけれども、特に地域包括ケアという観点からすれば医療、保健、福祉、衛生等を、そういう分野を越えた住民サービスといいますか、住民本位の観点で地域医療もとらえていかなければならないわけで、昔から藤沢病院とか、沢内病院とか、あと葛巻とか、市町村で病院経営をやっている例もあるわけでありまして、やはり市町村が市町村として基礎自治体として、地方自治法に書かれた役割を全うしようとすれば医療に関して無責任ではあり得ないという、そういう一般論を述べたまでです。
そして医師の退職がさらに進んでいるということについては、今回の4月からの医療局の新しい経営計画は、そういった医師不足、医療崩壊の流れに歯どめをかけていく逆方向に受けたベクトルではあるのですけれども、それだけで完全に流れを止めたり、逆転させたりできるものではありません。医師不足、医療崩壊というのを逆転させていくためには、一つには国の医療費抑制最優先政策というものを180度転換しなければなりませんし、それと並行してもう一つ住民が主役になる地域医療の構築という形をつくっていく、住民がお医者さんを守り、病院を守り、そしてひいては患者さんが守られるようにしていくというあり方を地域の中につくっていく、そういうことを進めていかないと医師不足や医療崩壊ということを逆転させることはできないと考えています。国の政策の転換とその地域医療の再構築というのでしょうか、そういうのを並行して進めていけば医師不足問題、医療崩壊ということは解決できると思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は5月18日(月曜日)の予定です。

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