平成21年5月25日知事会見記録

ID番号 N11759 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年5月25日 9時11分から9時40分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
初めに知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
今日の発表事項は、いわて求職者総合支援センターの開設についてです。県では、雇用情勢厳しい中、県内でも特に自動車、半導体関連産業等の落ち込みにより求職者が増加している県南地域におきまして、求職者支援の拠点として本年度設置を計画していましたいわて求職者総合支援センターを奥州市水沢区に5月29日に開設する運びとなりました。この施設は県が行う生活・就労相談と公共職業安定所が行う職業相談、職業紹介を一体的にワンストップで対応するものです。求職者の皆様の不安や負担を軽減して就職に導くことができる施設と考えています。厳しい状況が続いている中で、就労者の皆様の不安の解消に向けて関係団体と協力して支援できるものと考えています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いします。
それでは一つお聞きしますが、景気の底打ち感というものがどういうタイミングで出てくるのか、県南の求職状況もいつごろから好転の兆しが見えるのか、知事なりのお考えをお示しください。

知事
業種あるいは業種というより、会社によって違うと思います。ですから、今人員カット的なことに乗り出す会社もありますけれども、一方では国の統計でも1-3月の経済成長が最悪だったと出ているのですが、4月になって生産の縮小をやめる、つまり生産拡大に入っている会社も幾つかあると聞いています。そういう意味では、マイナスになっているところもあれば、落ち込みから転じて回復に向かっているところもあるということです。製造業全般からすれば1-3月の最悪期を抜けて4月以降は落ち込みに歯どめがかかっている、底ができてきている状況なのだと思っています。ただ、製造業の落ち込み、そして失業者の増大ということが消費に悪影響を及ぼし、そして経済全体にボディーブローのように効いていまして、それが年間を通じてマイナスの経済成長になるのではないかということが予測されていますので、そういう意味ではまだまだ雇用対策、経済対策的なところには力を抜けず、下支えが必要な状況はまだまだ続くと思います。

記者
県南にこういう就職支援センターを開設するということですけれども、向こうは先ほど知事もおっしゃったように製造業が中心の地域と思います。そういうところで新たな働き口を見出すことがなかなか難しくて失業されている方も多いと思いますが、業種的にどういうところに今失業している方たちが活路を見出していくべきだとお考えでしょうか。

知事
製造業でも人を雇いたいという会社や工場は結構あるようであり、そういう情報がきちんと職を求めている人に届いてマッチングができればよいと思っています。そして、製造業だけではなくて農林水産業関連です。これも6次産業化、工業、商業と連携した農商工連携といった新しい雇用の場の開拓ということに県も色々な支援、ファンドでありますとか、マッチングでありますとか、そういうのをやっているところですので、そこも希望が持てる分野だと思います。
いずれにせよ地元で働きたいという人が地元で働くためには色々な可能性があってよいと思いますので、そこはあらゆる可能性を県としても追求していかなければならないところだと思います。

幹事社
それでは、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社からそれ以外の質問があればお願いいたします。

記者
知事も出席されている地域診療センターの無床化対象の地域懇談会ですが、今週の住田町で一通り終わります。まだ住田町が残っていますが、これまでの所感をお伺いします。

知事
地元の皆さんの不安や心配に対して申し訳ないと思っていましたので、まず、そのおわびの気持ちを私から示しつつ、また実際に新体制がスタートした後に、そうした不安や心配は具体的にどういうところにあるのかを伺いたいと回っています。色々な建設的な意見も直接伺うことができまして、それぞれの実態、実情を伺いながら、こうしたほうがよい、ああしたほうがよいというヒントのようなこともいただくことができましたので、これを今後の地域医療再生への取り組みにつなげていきたいと思います。

記者
今おっしゃったように建設的な意見とか、今後のヒントになるような意見もあったのですが、一方で例えば医師の過重勤務を解消するために、そして2次医療圏での医療を守るために基幹病院のほうに医師を配置して診療センターでは医師いなくなったのですが、それが住民のほうで理解できてないような発言とか、あとは紹介状の件でも役割分担をするための紹介状なのですけれども、そのあたりがまだ理解されてないとか、県のほうもこれまでずっと説明をされてきていると思うのですが、依然として住民との考えの距離感があるようにも見受けられますが、これを解消していくために今後していかなければならないことはどういうようなところになるでしょうか。

知事
ある会場で、議論の早い段階から、無床化によって応援に来ていた勤務医の皆さんが近くの基幹病院のほうに残ることができ、緊急に手術を要するような脳卒中とか、心臓病とか、そういったことへのケアはかえって手厚くなったと。また、無床化によって外来のほうに専念することができて、かえって訪問診療も週1回だったのを週2回にすることができた、そういうメリットがあると。特にそこは過去に心臓発作とか脳卒中とかで近くの基幹病院に救急、緊急に運ばれた人が診療所のほうに本来手術するような人が応援に来たがゆえに、診療所からお医者さんも呼び戻して何とかぎりぎり間に合ったとか、そういう命の危険のようなことがあった、そういうのが解消されたというところでもありました。けれども、かなりそういう具体的にわかりやすい例が出ても、会場からは何で無床化にしたのかわからないというような感じの意見が最後のほうに出てきます。医師不足ということがあって、地元の方からすればまず直接的には無床化という現実があり、ただその無床化の背後に医師不足があって、かえって無床化によって医師不足は問題が緩和されて、そこに住んで人たちにとってもメリットがあるというような2段、3段構えの議論、3段構えぐらいのところまで理解してもらうというのはそう簡単ではないのだということがわかりました。やっぱり1段目の無床化という事実をめぐる議論で終わってしまってということで、県でそういう議論の場として設定しているのは、本当に狭い診療所無床化ということをめぐる議論の場というのがあるわけですけれども、医師不足の中で地域医療を守っていくためにはどうすればよいかという大きい議論については、これはもう無床化の問題の1年前から新しい県の医療計画の中で住民一人一人が自分の健康に責任を持ち、地域医療にも責任を持つという原則を訴えるところからスタートしているのですけれども、そういう地域医療を守っていくための大きな議論というのをやはりきちんとやっていく必要があると思っています。
そういう大きい議論を進めていくときに、今回無床化問題というのが妙に政治化されて、そこに色々な人の意識も集中させられて、岩手が本当に直面している危機の全体についてかえって関心がそらされるような傾向になっているというのは由々しいことだと思います。
ある政党の、選挙が近くなってくると候補予定者が講演会ということで告知ポスターを張ったりするのですけれども、そこに診療所無床化反対というステッカーが張られているのを目撃いたしました。それから私が出向いている集会の中にもやじとか怒号をばんばん飛ばす人が入っているケースがあります。普通の人は、そう簡単にやじというのは飛ばせないです。やじを飛ばせるというのは、かなり政治闘争の経験を積んだ専門家みたいではないとやじをポンポン飛ばすというのはできないです。私も衆議院議員になって最初のころはやじを飛ばせませんでした。普通の人の感覚からすると、人がしゃべっている最中にいきなりパンとやじを飛ばすとかできないので、今回そういう政治闘争の専門家や、あるいは政党とか、そういったところが、県民が本当に見なければならない岩手全体の地域医療の危機というところから無床化問題のほうに関心を集中させて、それでかえって混乱が深まっているというところがあるのだと思います。ここは、県としてはきちんと県民にとっての本当の危機というところを理解してもらって、そしてそれを克服するための、いわゆる無床化を含む医療局の新しい経営計画もその一環なのですけれども、全体像の中で個別の政策についてきちんと理解してもらう工夫をしていかなければならないと思います。

記者
理解してもらうために3段構えぐらいで、まだ現在は1段階のところでしか議論できていないということですが、そうなるとこれからさらに議論を重ねていかなければならないということだと思うのですが、そのことについての見解を伺います。また議論する際の議論を行う範囲を今は2次医療圏でやっていますが、それだと範囲が大きくて、末端のところまで県とか医療者の思いというのが伝わりにくいという部分もあると思うのですが、例えば市町村単位にするとか、その議論の範囲についてもお伺いします。

知事
市町村によっては、藤沢町みたいに自前の病院を抱えて、そしてその病院を中心に市町村住民の人たちと地域医療について理解を深める会を開いたり、取り組みをしたりしています。ですから、藤沢町のような先進事例を参考にして、市町村単位でそういうことをどんどんやってもらえばよいのと思います。
県は、去年、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議というオール岩手を包括する一つの場をつくって、シンポジウムなどをやってきたわけです。また、今年度は2次医療圏ごとに地域医療に関する懇談会を設置して、それぞれ3回ずつの協議の場をつくったところです。
それから、先ほど3段階まで三段論法的に理解するのは簡単ではないという話をしましたけれども、わかってくれる人も結構増えていると思いますので、これはきちんとやっていく、都道府県によっては県として全然こういうことに取り組んでいない都道府県もありますので、そういうところと比べると岩手はかなりやっているほうだと思うので、まず引き続き地域医療を守るための取り組みをきちっと進めていくことが大事なのではないかと思います。

記者
今の地域診療センターの懇談会の件で、知事は懇談会で今後の地域医療は市町村が担っていくべきだとおっしゃっていますけれども、今後岩手の医療において、県と市町村の役割分担をどのようにお考えでしょうか。

知事
市町村が主人公になる、主役になるということを言っていまして、これは自治の理念からいって住民が主人公、住民本位の自治をやっていく場合、基礎自治体が主役になっていくという、そういう一般論を言っています。市町村だけが地域医療の担い手ではありません。県もそうですし、自治医科大学もあり、国だって地域医療の大事な担い手の一つです。そして、民間のお医者さん方あるいは民間の病院、また医療以外の介護とか、保健、福祉、健康に関心ある人たちのNPOのような団体とか、そういったところが総力を挙げてやっていかなければならないのだと思います。ただ、今まではそうしたところに司令塔役的なものがなかったので、たまたま強い問題意識を持っている市町村長さん、それは沢内村の村長さんとか、そういうところに全国のモデルになるような形ができたり、かなり偶然によって左右されるような地域医療の体制だったと思うのです。やはりもう少しシステマティックに、全国どこでも通用するモデルのようなものをみんなで相談しながらつくっていかなければならない段階に今、これは岩手もですけれども、日本全体としてあるのではないかと思います。だから、岩手からそういう医療だけではなく広く地域包括ケア体制をつくっていくときにやはり市町村が主役という視点は動かせないのではないかと思います。
最近、地域診療センター等懇談会の場で言っているのですけれども、医療政策というのは保健福祉政策とともに昔は内務省所管であって、軍国日本から戦後民主化されたときに、本当は地方自治の中に医療も福祉も、保健福祉も位置づけられるべきだったのだと思うのです。それが戦争中に軍国動員体制の効率性の目的で内務省から厚生省が独立しているのですけれども、そうして独立した厚生省というのが戦後地方自治の観点がないまま、医療関係の団体とか、製薬会社、業界とか、そういったところに左右されるような地方自治の論理ではなくて、そういう業界団体の論理で医療とか保健福祉の政策をやるようになってしまったのではないかと思っていまして、医療や保健福祉を本当に地方自治の手に取り戻さないとだめだと思うのです。特に医療です。医療が地方自治の手に取り戻されてないから、今みたいな地方の医療崩壊ということが日本全体で進んでいるのであって、医療を地方自治の手に取り戻すというのが、これは日本全体の共通課題であり、岩手でも喫緊の課題なのだと思います。地方自治の手に取り戻すということは、住民本位の形にしていくということでやはり市町村が主役になるということだと思っています。

記者
高度医療と地域医療という分け方をするとすれば、今後県が高度医療、市町村が地域医療というような形をお考えでしょうか。

知事
危機管理ですから、防災、災害対策と同じだと思うのです。自分限りで守れるものは個人個人で守る。家族や地域で守り切れる部分は家族や地域で守る。それで手があまる場合には市町村。市町村だけでできないような、ヘリコプターが必要だとか、橋が落ちたとかというときには県とか国が乗り出すということが災害対策の基本構造なのですけれども、医療の分野もやはり同じような構造になっていくことが合理的だと思います。ただ、地方自治の観点を飛ばしたまま、医療行政はもう戦後六十数年、そういう積み重ねがあり、過去の経緯に基づいた体制が今あちこちにありますから、急にそういう一種軍隊的な仕組みに変えることはできないと思います。そこは、そういう過去の経緯も無視しない形で草の根からの議論をちゃんと積み重ねていくということと思っています。

記者
新型インフルエンザに関連して、国が先週、地域の実情に応じて柔軟な対応を求める方針を示しています。感染の状況に応じてすごく判断が難しいとは思うのですが、これについてどのようにお考えでしょうか。

知事
感染症というのは、これは逆に非常に旧内務省的な、全国的な危機管理の分野でありまして、本当は国においてかなり明確な方向性とか、基準とかを示しながらやっていくものではないかと思いますけれども、弱毒性であるがゆえに、かなりの部分について、都道府県単位の対応で何とかなっているところがあるので、それを踏まえてまさにそういう実態に合わせて柔軟に対応してくれということにしたのだと思います。
厚生労働省から先週金曜日にはっきりそういう方針が出る前の段階から、先週初めのころから岩手においても発生時における柔軟な対応の準備を進めてきています。具体的には、発熱外来を増やす段取りを医師会さんと協議し、あとはPCR検査についても当初の国の基準よりも対象を広げて実施するよう基準を定めたりしています。岩手の場合、そうやって広めに探しても見つからない状態なのはよいことだと思うのですが、いずれにしても、それぞれの県で自分の頭で考えて既に色々とやっていますので、国がそれを追認していくことは当然のことと思っています。

記者
県の医師会のほうで発熱外来を増やすことで既に合意がなされていると思うのですけれども、兵庫県の例であるとか、結構感染者が急に増えたケースを考えれば、さらにもっと準備をしておくべきという見方もあると思うのですが、今後さらに増やしていくお考え等はありますでしょうか。

知事
そこはまず相談なのだと思います。そもそも発熱外来を設置して患者と思われる人の扱いを別にするというのは、病院本体あるいは一般開業医を守るための工夫でもありますので、そういう意味では一般開業医の皆さんがどこまでやれるかとか、あと逆にここからは守ってもらわないと困るとか、そういうことを相談しながら体制を決めていくことになると思います。

記者
さいたま市長選挙で民主党が支持する候補が勝ちましたけれども、背景に代表が交代したことによる効果という指摘もありますが、代表交代の効果は表れて、表面は変わったと、そのように知事自身はお考えでしょうか。

知事
あまり風頼みの政治というのはいかがなものかなというところもあるのですけれども、事実として、そういう風は今回吹いたのだと思います。色々な地元事情もあり、風だけでああいう結果になったわけではないと思いますが、ただ2位、3位の人の得票数を合わせた以上に当選した市長さんが票を獲得していること、下馬評では現職優位ではないかとも言われていた中であれだけの大差で新人が当選するというのは、やはり風の影響があったということだと思います。

記者
民主党に対する世間の見方というのが小沢代表の辞任で変わったと、これからこれを機にまた政権交代に向けてかなり弾みがついたと、そういう理解でよろしいでしょうか。

知事
そうですね、一定の、あるいはかなりの効果はあったと言ってよいと思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は6月1日(月曜日)の予定です。

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