平成21年6月11日知事会見記録

ID番号 N11757 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年6月11日 15時31分から16時20分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事から発表がございますが、その前に新型インフルエンザに係るお話をさせていただきます。
それでは、知事お願いします。

知事
一昨日、6月9日、本県において初めて新型インフルエンザに感染された方が確認されました。また、昨日にはさらに1人の方の感染が判明したところです。まずは、感染された方々の一日も早い回復をお祈り申し上げたいと思います。
昨日、感染が判明された方については児童等との濃厚接触の可能性がありますことから、予防措置として当該小学校において今日から該当する児童等の出校停止措置が講じられています。これによって、直ちに県内で感染が拡大するというおそれは小さいと考えられますので、その他の学校や福祉施設等の休校、休業、事業所への事業自粛等の要請は現時点では行っていません。今後、状況によっては、感染拡大を防ぐため色々と制約をお願いする場合もあり得ます。県内での感染拡大を防ぐため、今後とも万全を期してまいりますので、県民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
今回の新型インフルエンザについては、適切に受診、治療することで多くの方が軽症のまま回復されていますので、県民の皆様には正しい情報に基づいた冷静な行動をお願いするとともに、うがいや手洗いの励行など感染予防に一層努めていただくようお願いをいたします。
まず、第1の発表事項は、新しい長期計画の素案についてです。新しい長期計画の素案を今般取りまとめました。新しい長期計画素案は6月1日、総合計画審議会からいただいた中間答申の内容を尊重しながら県としての考え方を折り込み、取りまとめたものです。
お手元に配付した資料1、新しい長期計画素案のあらましをご覧ください。まず計画全体の大きな特徴として、希望あふれる岩手の未来の姿を県民の皆さんとともに描き、その実現に向けて県民みんなの力を結集して一緒に行動していくための県民計画として策定していくということです。
また、計画内容の特徴としては、左側に岩手の未来を切り開く3つの視点を掲げていますけれども、グローバル化、少子高齢化を岩手を取り巻く大きな潮流としてとらえながら「ゆたかさ」、「つながり」、そして「ひと」、この3つの重要な視点としているところです。
さらに、中ほどに掲げていますけれども、基本目標を「いっしょに育む『希望郷いわて』」としており、一人ひとりの、そして地域社会の希望が実現し、ひいては岩手全体に希望があふれていく姿を「希望郷いわて」という言葉に託しています。また、その実現に向けて県民、企業、NPOなど地域社会のあらゆる構成主体の力を結集して、ともに行動していくという地域経営の考え方を「いっしょに育む」という言葉に込めています。
また、資料3に「新しい長期計画」(素案)の7つの特徴として、計画の特徴をまとめていますので、参考にしてください。この素案は、たたき台として示したものであり、今後パブリックコメント、地域説明会、また計画策定、ホームページには私も知事ブログをオープンするなどいたしますし、岩手の未来を切り開く構想の募集という企画も準備しています。県民の皆さんから広くご意見をいただくとともに計画に参画をしていただき、そして年内の計画策定を目標として一緒に練り上げていきたいと考えています。
発表事項の第2は、6月補正予算についてです。
予算の資料を見ていただければと思いますが、まず補正予算の規模は453億1,300万円で、補正後の6月現計予算額は7,041億5,900万円になります。これは、平成20年度6月現計予算額と比較して287億2,600万円、4.3%の増となります。
資料の2ページの今回の6月補正予算の考え方ですが、悪化を続けている県内の景気、雇用情勢を踏まえて国の補正予算を最大限に活用して、喫緊の課題である地域経済の下支え、雇用対策等に迅速かつ的確に対応するとともに、強い岩手をつくるための構造転換、体質強化に向けた前進ができるよう意を用いているところです。
まず、緊急的な対策として、環境対応車購入の補助制度の創設や農林水産業者が行う生産機械設備整備等への補助を大幅に拡充するなど、有効需要の創出等による地域経済の下支えを図る取り組み。中小企業への支援を通じた雇用創出や緊急雇用創出基金による事業の追加実施、失業者に対するつなぎ資金の貸し付けなど雇用対策、生活支援の拡充。公共事業の前倒し実施や発熱外来、感染症病床の整備、改修等を行う新型インフルエンザ対策に重点的に予算を配分しています。
そして、構造転換、体質強化に向けた対策として、県内外からの新規就農者等の増加、いわて牛のブランド力向上など岩手の価値、内外の評価の向上を図る取り組み。県立病院の勤務医の執務環境の改善、高度医療機器の整備をはじめとする地域医療等の充実による安心の確保、公共施設の耐震化など暮らしの安全の確保による地域における生活の安心の確保等の取り組みに積極的に取り組むこととしています。
この補正のための財源としては、県の一般財源の拠出を極力抑制すべく、国が創設した地域活性化・経済危機対策臨時交付金や基金の原資となる国の各種交付金制度を最大限活用して編成しています。
発表事項の3は、東芝本社ビルにおける岩手県産品の販売会についてです。
県では、「買うなら岩手のもの」運動を実施していますが、その一環として東京の東芝本社ビル内において岩手県産品の販売会を実施することになりました。6月22日から23日の2日間、東芝本社ビル内の社員向け売店で岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」が岩手県産品の出張販売を行います。この販売会の実施については、今年の2月から3月に県庁の県民室や県庁生協等において「買うなら岩手のもの」運動の展示即売会を実施した企業に、岩手県産品の販売について働きかけたところ、東芝グループの東芝ビジネスアンドライフサービス(株)から東芝本社ビルでの販売についてご提案をいただいたという経緯です。今回の企画をきっかけに東芝ビジネスアンドライフサービス(株)においては、社員向けのサービスの様々な場面において岩手県産品を取り扱うことを検討していただいています。県内に立地している企業の本社と県産品を通じて交流が図られることは県にとっても喜ばしいことであり、こうした機会を提供していただいた東芝に感謝したいと思います。
次に、発表事項の4は、いわて花巻空港の利用促進についてです。
4月9日にオープンしたいわて花巻空港新ターミナルですけれども、オープン記念のキャンペーンに引き続きまして、6月15日からいわて花巻と名古屋を結ぶ線の利用促進キャンペーンを実施することといたしました。これからの季節には名古屋城の天守閣が夜間開放、ライトアップされる名古屋城宵まつりや大相撲の名古屋場所、木曽川のう飼いなど様々なイベントも開催されますので、ぜひこの機会に名古屋線をご利用していただきたいと思っています。また、中部地区からもこの機会にいわて花巻空港を利用いただいて、多数の方に岩手にお越しいただきたいと思います。キャンペーンでは、抽選で様々な商品、旅行券でありますとか、あとはいわて花巻空港キャラクター「はなっぴー」グッズが当たるプレゼントがあります。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
今日はインフルエンザを含めて計5点の発表だったと思いますが、ただいまの発表事項について、各社からご質問があればお願いします。
それでは、私から質問させていただきます。新しい長期計画の素案の関係なのですけれども、例えばこれまでの夢県土いわての長期計画だと数値目標がかなり盛り込まれていたと思うのですけれども、今後、数値目標等はどういう扱いにしていくのかお伺いします。

知事
最近の都道府県の長期計画も参考にしましたが、数値目標を掲げていない長期計画が多いようです。その理由としては、高度成長期のように経済成長率で財政の伸び率もわかり、何年後に財政が幾らぐらいで公共事業に幾らとか、そういう予測が可能で、また整備すべきものも大体決まっていたような時代と違って、むしろ公の財政はどんどん節約が迫られているような中で、過去の計画のような数値目標の設定が困難になってきているという背景があるようです。また、マニフェスト選挙が普及、定着してきていて、数値目標的なものはマニフェストサイクルで4年ごとに取り組んでいくということがだんだん普及しています。こうした中で長期計画については都道府県独自の方向性とか、またそのそれぞれが直面している課題に応じた取り組みとか、そうしたものを長期計画に盛り込む例が多くなっているようであり、我が県の場合もそういう長期計画にしていこうということです。

記者
長期計画についてお伺いいたします。現在、総合計画の実施計画という位置づけで、いわて希望創造プランを展開しています。先ほどマニフェストサイクルという話もありましたが、この長期計画策定との関係で実施計画に当たる部分というものの策定の予定とか、あと年、期間に関する考え方とかを教えてください。

知事
ちなみに過去5年以内で10年を超える長期計画を策定している都道府県は、17あって、そのうち数値目標を盛り込んでいるのは6にとどまっている状況ですが、岩手の場合、長期計画を実行していくアクションプランとしてマニフェストサイクルと連動した4年間のアクションプランがつくられるという構造になっていますが、新しい長期計画には、それに対応した新しいアクションプランがつくられます。これは、ただ新しい長期計画のこの素案自体、今の希望創造プランと方向性が全然違うというものではありませんので、現行のいわて希望創造プランのバージョンアップのような形で新しい長期計画のアクションプラン、それは私の任期の残り分ということで、例えば年内に長期計画が決まれば1年と何カ月か分ということになりますが、そういういわて希望創造プランのバージョンアップのような形で新しいアクションプランをつくっていくものと考えています。

記者
確認させていただきますと、今回の長期ビジョンと9月公表予定のアクションプランは、これは10年単位の計画と考えて、実施計画はまた別途のサイクルで出すということでよろしいのでしょうか。

知事
長期計画と実施計画であるアクションプランの二段構えに整理、単純化されているところが今回の新しい長期計画の特色でありまして、アクションプランはもう4年単位、そしてマニフェストサイクルでその時々の知事が県民の皆さんと選挙を通じてバージョンアップしていくマニフェスト、それがそのままというか、それに基づいた4年間のアクションプランをその与えられた任期の中で実行していくというような仕組みになります。

記者
そうすると9月公表予定のアクションプランというのは、今やっているいわて希望創造プランのバージョンアップ版と考えてよろしいですか。

知事
つくり方としてはバージョンアップですが、それは新しい長期計画に対応した新しいアクションプランということです。

記者
言葉としてアクションプランとなっていますけれども、これは今やっている実施計画としてのいわて希望創造プランと同系列のものだということですか。

知事
はい、そういうことです。それが残り1年何カ月分かのアクションプランということになります。

記者
新型インフルエンザに関してお聞きしたいのですが、東北6県の中では岩手県が最初ということになりましたが、まずそのことについてどう思われますか。

知事
県として交流に力を入れており、首都圏の方からも老いも若きも岩手にいらしてくださいと呼びかけている中で、実際にたくさんの方々がいらしてくださっていて、特に修学旅行というのが最近どんどん増えているので、そうした流れの中で北海道、東北の中でも最初に感染者の発見ということになったと思っています。こうしたときに保健、医療関係者や医療機関等がきちんと対応して、岩手では多くの人を県外から迎え入れることができる態勢が整っている、新型インフルエンザに関してもきちんと対応できるのだということをお示しできればよいと思います。私は岩手というのは「学びの場いわて」であって、「人生で本当に大切なことは岩手に行けば学べる」という、岩手県以外の人たちにとっても大事な役割を岩手は果たしていると思っています。その役割ゆえ、今回、いち早く患者さんが出たということだと思うので、その役割にふさわしい保健、医療の体制をきちんと整えていけばよいと思っています。

記者
現段階では、すぐに感染が拡大するおそれが少ないという話で、今後の状況によっては制約をお願いすることもあるということですが、この今後の状況というのは、具体的には学校での集団感染とか、そういったことが考えられるのでしょうか。

知事
今、具体的にはそういう事態は考えられませんので、制約に関する要請も具体的にこういうお願いをするかもしれないというのは、今はありません。論理的にそういうことが否定できないというくらいのつもりで先ほど申し上げたところです。

記者
補正予算案の関係なのですけれども、医師確保対策事業に1億2,600万円と、結構高くなっています。無床化後も医師確保対策に力を入れていくという意気込みの部分だと思うのですが、危機管理についてお伺いします。

知事
医師不足対策というのは私の任期が始まったときからの重要な施策であり、また私が知事になってすぐ胆沢病院、大船渡病院、宮古病院、久慈病院、二戸病院もでしたか、そういったところを抱える市町村の皆さんから、中核病院が医師不足で大変だという要望もたくさんいただいていて、そういうところからの流れで今回財源も確保できるので、思い切って前進させようということです。

記者
事業内容の中で、執務環境の改善や臨床研修医の育成の医療機器等の整備等とありますが、他県と比べて遅れているという認識があるのでしょうか。

知事
遅れているという状況ではないのですけれども、岩手は地域医療をまじめにやりたいという研修医の皆さんから結構人気があり、それにこたえていくという前向きな気持ちを私は込めています。
執務環境についても、今回は特に女性医師向けの宿直用のスペースの確保も含まれており、男女の別なく雑魚寝みたいなような環境ではだめであり、女性勤務医はこれからどんどん増えていきますので、そういう先も見据えながらきちんと対応していくという気持ちでやっています。

記者
長期計画の素案の発表の中で知事のブログコーナーを新設するという話がありましたが、知事がブログコーナーを設けるというのは珍しいと思うのですけれども、普通のパブコメと違って、これによって何か期待する面というのはどんな点があるのでしょうか。

知事
この機会に岩手の将来について色々とざっくばらんに県民の皆さんと意見交換できればよいと思っています。既に色々な学校訪問や地域訪問の中で地域の皆さんや高校生、大学生たちとしていますが、それを全県、さらには岩手県外の人も書き込めるので、そういう中でやりたいという思いと、あとはもともと私はこの長期計画というものについては当初すごい疑問があって、というのは社会主義みたいじゃないですか、5カ年計画、10カ年計画というのは。ただ、法律上、市町村はそういうのをつくることになっているのですが、都道府県については義務づけられてない。そういう中で、県議会でも今みたいな時代にそういう長期計画というのは本当に必要なのかどうかという議論があったことを覚えていらっしゃる皆さんもいると思います。そういう中で、ただ一方で今そういう社会主義みたいな100%行政による権力行使で物を進めていくという時代では、今はないけれども、逆に100%市場に任せて、市場原理に任せておけば世の中うまくいくという時代でもない。その中間にあって、熟議の民主主義という言葉があるのですけれども、みんなで意見交換、情報交換、一言で言うと知の共有ですね。知の共有をしながら、その中でみんなで一斉にやるべきことは決めて、またそれぞれの主体が、世の中こういう流れ、岩手はこういう方向にしていくのだから、自分は自分の商売でこういう新しい挑戦をしようとか、では自分は学校でこういう勉強をしようとか、そういう一人一人の自由な主体性で決めて進んでいってもらうという、そういうものを組み合わせてやれれば県の長期計画として意味あるものになると考えて、このように今回取り組んでいるものです。そういう熟議の民主主義の一つの場としてブログというのがうまくいけばよいと思っています。

記者
「じゅくぎ」というのはどんな漢字を書くのですか。

知事
これは成熟、熟する、柿の実が熟するの「熟」に議論の「議」です。これは、民主党のネクスト文部科学大臣をやっていた鈴木寛参議院議員に教えてもらった言葉なのですけれども、慶應大学の金子郁容さんとかが、そういうコミュニティーでものを解決していくのがよいという、そういうコミュニティーソリューションの議論の中で語られている言葉です。行政、公権力の執行だけで解決するのではなく、一方で市場原理だけで解決するのでもない、コミュニティーとして、社会として解決していくというアプローチが岩手の未来にとって非常に大事なのではないかと思っています。

記者
知事からの積極的な更新とか返信を期待してもよろしいでしょうか。

知事
今のホームページにある知事からのメッセージは、月に1回か2回の書き込みなのですけれども、目標的にははるかに頻繁に更新していきたいと思っています。

記者
新型インフルエンザの件でお伺いしたいのですが、今回修学旅行生から感染したという可能性が高いかと思うのですが、今後感染が確認されている小学校、中学校、高校などで岩手に修学旅行で来るということが事前にわかっている場合、何か対応はお考えでしょうか。

知事
感染している児童生徒がいるというのがわかった学校は、学年閉鎖等の措置を取るので、感染をわかった上で修学旅行をするというのは、実際にはないと思いますが、感染がわかる前に出発してしまったとか、もう岩手に入っているとか、そういう情報を教えていただければ的確に対応してお世話したいと思います。

記者
修学旅行の誘致に関しては今後も変わらずに力を入れていくということでしょうか。

知事
岩手のためにもなることなのですけれども、岩手に来て学ぼうという子供たちにとっては正に一生に残るすばらしい体験になると思うので、法律上制限しなければならないような厳しい事態にならない限りは、積極的に受け入れていきたいと思っています。

記者
長期計画とアクションプランの関係なのですけれども、たまたま10年で見ると知事がやろうと思えば3期12年できるような仕組みになっています。3期12年をやる意欲があるのかないのか、あるいは逆に言うと後期の残りの2年分で区切って前期、後期と分けてないということで、仮に1期でやめた場合、次の方には自分の実施計画を立ててもらえるということで、逆に1期でもうやめてもよいとお考えになっているのか、念のためにお伺いしたいのですが。

知事
私が知事として負託をいただいているのは1期4年間分だけですので、そこをはみ出す部分についてあれこれしゃべるのは、せんえつだと思っています。ただ、次の知事選挙が来るときは来るわけですが、そこに達増個人がどう対応していくかというような話は、それはまた選挙が近づいてきてからすることになると思います。

記者
今回のこの仕組みのやり方というのは非常にわかりやすいのですけれども、ただ逆に言うと2年間終わった後に、そこからまたつくるということになると、少なくとも実施計画つくる間のタイムラグが出てきます。効率的かというと、仮に引き続き2期目もやるということであれば時間的には非効率のような気がするのですが、前倒しで計画をつくればもっと、要するに間を置かずにつくれるようなアクションプランという形になると思うのですけれども、その辺はどのように整理されていくのでしょうか。

知事
そこはぐちゃぐちゃにはならないようにしていく責任が、政治家達増にはあると思います。

記者
岩手県産品の販売会の関係なのですけれども、先ほどのお話で、以前県庁で展示即売会をやった企業に働きかけたうち東芝から声がかかり今度やるということなのですが、ほかの企業から同じような打診があったり、交渉を進めているところ、あるいはそこの交渉ができそうという感触のある企業が何社かあるような状況なのかどうかを教えてください。

知事
具体的にお知らせできるようなところはゼロですけれども、東芝さん以外の可能性は、ないことはないと思っています。

記者
長期計画の目標についてなのですけれども、希望郷という言葉を使われているのですけれども、知事は希望王国だったり、環境王国だったり、黄金の國だったり、王国とか國という言葉がお好きなのかなと思うのですが、希望郷という言葉にはどういうふうなイメージ、考えをお持ちでしょうか。

知事
國とか王国よりよいという感じはしています。私が國や王国という言葉をよく使うのは、そういう独立国並みの気概を岩手全体として持ち、また県民一人ひとりが独立国の主権者として、そういう自覚を持つと良いのではないでしょうかという呼びかけで國とか王国と言っていますが、地方分権の大きな流れの中で県民意識というのは、ここ数年でまた非常に高まってきていると思いますし、そもそも県というのは郷土という言葉、小学校のときに住んでいる市町村について、小学校3年生で勉強する教科書の名前が「わたしたちのまち」で、小学校4年生になって住んでいる県について学ぶときの副教材の名前が「私たちの郷土」だったと思い出します。だから、県については郷土という呼び方がふさわしく、「郷」というのは、これは本当に総合計画審議会の皆さんの案ですが、良い言葉だと思っています。

記者
新型インフルエンザのことに関してなのですが、おととい初感染が確認された後にあった対策本部会議で、学校の臨時休校やイベントの自粛とか、あと事業所の休業要請は現時点では行わず、今後感染者の増加があった場合には、また対応を考えるということですけれども、今後の県としての対応の変化というのをどこに基準を置いてこれから考えていくのかをお伺いします。

知事
今回は感染の経緯について、容易に推測ができるところで、不特定多数に既に広がっているのではないかというような状況ではなかったので、限定的な対応にしているわけですけれども、どこからどう感染したのか全然わからないのに、しかもたくさんあちこちから感染が確認されてくると、これは幅広く色々な活動を制限していかなければならないということになるでありましょう。ですから、その感染の経緯がきちんと把握できて、そして疑わしいとすればどのぐらいの範囲の人かというところもきちんとわかるのであれば、そういう休校とか休業というのはそんなにお願いしなくて済むと思っています。

記者
長期計画に関連してなのですけれども、計画作成にあたって県民の多くの皆さんの声を聞きましょうということで、色々な対策をされていると思うのですが、計画ができた後にやはりそれをどうやって共有して一緒にやっていくかというところが一番大事で、つくって終わりではなくて一緒に実行するというのが一番大事だと思うのですが、そこら辺を知事はどのように皆さんと大きな目標を共有できるように、どのようにしていこうと思っていらっしゃいますか。

知事
例えば今の総合計画でも「ひと」、「環境」、「情報」という3本柱があり、私は非常に気に入っています。でもあまり人口に膾炙されないといいますか、あまり語られているところは聞かないのですけれども、そういう意味では「ゆたかさ」、「つながり」、「ひと」という3つの視点になるのですけれども、これは今すぐにでも経済、雇用危機からの脱出とか、岩手の体力づくりのためには物質的な豊かさプラスソフトパワー的なものも入れた、そういう豊かさづくりというのを目標にして、そのかぎは「つながりづくり」と「ひとづくり」にあるという、日々念頭に置いて色々な仕事をするのに非常に有効な視点を提示してもらっていると思っています。また、いきいき働いて安心して生活をして、あと楽しく学ぶという、これも日々口にしてお互い確かめ合いながら、過ごしていくにふさわしい、そういう目標、そして「希望郷いわて」というのもそうですし、そういうことをきちんとふだんの仕事の中で県職員が率先してまず使っていって、県民の皆さんにも使ってもらい、そしてそれぞれ色々な専門分野の中で個別の農林水産業政策とか、商工労働観光政策とかがその後に続いていきますが、そういうことを行政と現場の人たちと目標を共有しながら一緒に取り組んでいく、そういうスタイルをとっていけば非常に実のある10年になるのではないかと思います。

記者
補正予算の雇用対策について伺いますが、昨今、今年の4月から母子家庭に対する生活支援の加算金の廃止であったり、一方では育児休暇を取得しようとした女性が会社の都合によって解雇に近いような状態で職を失う方が全国的にも増えていると聞いています。今回の補正予算を見て感じましたのは、当初予算の考え方がそのまま継続的に行われていると思うのですが、そういった社会事象が変わっている部分に対して、その変化に対応するところが感じられないというちょっとした疑問もありました。そこで知事は、そこはやはり国でやるべきところであるとか、それぞれ考え方あると思うのですが、そういった部分を教えてください。

知事
県の場合ですと、生活保護関係、また母子家庭関係で、大分顔が見える中でこの制度がだめならこういう制度もありますよとかというきめの細かい対応ができますし、まずはそういう中で個別の問題を解決していくことが基本になるとは思っているのですけれども、確かに制度自体は大きく変えたほうがよいという見極めがつけば制度を変えることにやぶさかではありませんし、また国のほうでもそういう制度全体を変えることで全国的にあるそういうものを解決していくというのは、国のほうで取り組まれるということであれば、それはそれでよいと思います。

記者
最近、各自治体でちょっとはやりのようなのですが、エコカーの購入補助をしましょうと、これは宮城県、秋田県、大分県もやっているようです。これは6月4日に山形市で東北の自動車に関する会合がございましたけれども、あちらでもちょっとしたそういった行動方針なるものに盛り込まれていたと思います。こうした動きというのは岩手独自でやりましょうというよりもある程度知事間で取り決めをして、そういった行動に移っているものかどうか、その考え方の根拠を教えてください。

知事
知事含めてそれぞれ県全体、組織として東北における自動車産業集積の振興という観点からもこの東北の中において環境対応自動車の買い替え促進が大事だということは合意していますし、そしてそのために各県で色々とできることをやっていこうということはまさに6月4日の今年度の計画方針の中にもはっきり明記されているところです。
このエコカー購入補助については、そういう自動車集積促進という観点もあるわけですけれども、プラスそれぞれの県の中における需要の拡大、それによる景気の上昇というような各県独自の視点からの理由というか、動機づけというか、そういうのもありまして、そういうのを各県それぞれの主体性と、また東北として一つの協力と、その双方の観点からそれぞれの県において決めているというところです。
それと環境保護も重要な要素で、そこも各県それぞれにその観点から取り組んでいるところです。

幹事社
幹事社からの質問になるのですけれども、14日で岩手・宮城内陸地震から1年になります。知事ご自身の率直なご所感と、これまでの復興策の進捗状況、あと将来的に今度重点を置きたい施策についてお伺いします。

知事
岩手・宮城内陸地震から1年がたつわけですけれども、改めて地震災害の深刻さを思うとともに、被災直後から県民が一丸となって復旧、復興に取り組んできた姿を大変心強く感じています。
今、岩手側の被災地の子供たちと宮城側の被災地の子供たちが一つのYOSAKOIソーランのチームをつくって北海道に行ってYOSAKOIソーランをちょうど今演じているわけですけれども、その取り組みについては、私が一関市を訪問して、それから奥州合庁で行った岩手フロンティア産業人座談会の席上、そういうことをやりたいという青年会議所の若い人から話を聞いていました。最初は実現できるかすごい難しい、無理なのではないかみたいな状況だったのですけれども、それが本当に地域の皆さんの思いで今回実現できて、この地震で亡くなった方もいらっしゃいますし、いまだに避難所生活されている方もいて、本当に何でこんなことが起きてしまったのだろうというような災害ではあるのですが、復旧、復興に取り組んでいく中で、今までできなかったようなことができるようになるという県民の底力が引き出されていくさまというのは、非常にすばらしいと思っています。
県としては、残っている道路、河川、橋梁でありますとか、農地、農業用施設でありますとか、しっかり直すところを直し、被災者の皆さんのケアもしっかりやって、地域から出てきた、引き出された底力というものをより強力な地域振興の力にかえてしっかり取り組んでいきたいと思います。

幹事社
この質問に関連して各社から質問があればお願いします。

記者
一関市の本寺小学校の復興支援住宅に今も避難勧告でずっとお住まいになっている方が2世帯いらっしゃって、間もなくその避難勧告が解除されるかという状況まできているのですが、ご自宅のほうの損壊の度合いがひどくてご自宅のほうに戻れないという状況です。このことについて、今後どのように取り組んでいきたいとお考えですか。

知事
今も県は市と緊密に話し合いながら被災者の皆さんのケア、復旧、復興への対応を取り組んでいますので、今後とも一関市さんと相談をしながら普通の生活に戻ることができるような対応を工夫していきたいと思います。

幹事社
ほかに別のご質問があればお願いします。

広聴広報課
質問がないようですので、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は6月23日(火曜日)の予定です。

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