平成21年6月23日知事会見記録

ID番号 N11753 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年6月23日 10時30分から11時7分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
初めに知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
今日の発表事項は、「空き家活用による住み替え・定住・交流促進事業」の提案募集についてです。いわて住み替えシステム創出作戦という資料がお手元にあると思いますけれども、今日6月23日から7月10日まで、「空き家活用による住み替え・定住・交流促進事業、いわて住み替えシステム創出作戦」を実施する事業者からの提案を募集することといたしました。
この事業は、地域で新たな雇用を図りながら、空き家住宅を活用して定住や住み替えの促進を図るものであり、ふるさと雇用再生特別基金事業を活用した雇用対策事業です。また、過去に開発された郊外の大規模団地等の活性化という住宅対策にも資する事業であります。
このような郊外の大規模団地においては、高齢化によって戸建て住宅の維持が困難であったり、利便性の高い市街地中心部へ住み替えたい人たちがいる一方で、子育て世帯のように広い住宅を求める人たちや大都市圏からの移住を希望する人たちもいます。こうしたそれぞれのニーズを岩手の魅力を発信しながら空き家を利用して活用して結びつけ、定住促進や住みかえにつなげていくという新たな取り組みです。
事業者からの積極的な提案をお待ちしています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
それでは、ただいまの発表事項について各社から質問があれば願いいたします。
質問が無いようなので、本日は幹事社から代表質問を1つ質問させていただきます。
世界遺産登録を目指す平泉の文化遺産についてですが、先に行われた推薦書作成委員会で構成資産を1つ切り分けて6つ目の資産とすることを決めました。登録を目指す上でこの決定がどういった影響、効果があるとお考えでしょうか。

知事
毛越寺の資産に含まれていた観自在王院跡を分けるということについてだと思いますが、その理由として聞いていますのは、まず毛越寺と観自在王院跡はその成り立ちが違うものであって、分離することによって推薦書の記述がより明確かつ丁寧にできるということ、そして毛越寺、観自在王院跡はともに発掘調査が行われて、その後整備が完了しているすぐれた浄土庭園を有しているので、分けることによってそれぞれの存在をアピールできるということです。
世界遺産委員会の諮問機関であるイコモス、国際記念物遺跡会議の勧告を見ますと、文化遺産について年々審査が厳しくなる傾向が続いています。その中で、今回いただいた意見は、丁寧でわかりやすく、また訴える力が強い推薦書を作成していくという観点から有効なものであると考えています。今後とも推薦書作成委員や海外の専門家の皆さん等から意見をお聞きするなどして関係機関と十分に連携しながら世界遺産登録に向けて努力していきたいと思います。

幹事社
この質問に関連して各社から質問があればお願いします。
よろしいでしょうか。それでは、それ以外の質問があればよろしくお願いします。

記者
今日から6月議会が始まりますけれども、前回の2月議会に続いて色々な議論が行われると思います。知事として今回補正予算を提案するわけですけれども、それ以外にこういう議論を大いにしてほしいというテーマがありましたらお伺いします。

知事
2月議会のときの逆風立ち向かい予算という本予算をめぐって色々と議論いただき、また最終的に可決していただいて、今回は450億円規模の大型補正予算をご審議いただくということでありまして、やはりこれが一番だと思っています。色々と景気動向に関して底打ちではないかというような数字も出てきているのですけれども、しかし岩手を含む東北地方はまだまだ油断できない状態であって、また一部製造業の底打ち的な動きが全般的な消費の減退をもとに戻すところにきちんとつながっていくのか、また、雇用の場を確保していくことにつながっていくのか、この辺はまだまだ積極的な、公的な財政の力、政策の力が必要なところだと思いますので、その辺の現状認識や、そして政策論について議論ができればよいのではないかと思います。

記者
明日は国体の常任委員会があると思うのですけれども、それに向けて現時点でメッセージを発信したいこと、何か言っておきたいことはありますでしょうか。

知事
専門委員会がかなり詳細な検討をしまして、常任委員会でも開催を1回増やして丁寧に議論して決めていこうということですので、岩手国体の成功を目指して色々な意見も出ているわけですけれども、岩手国体を成功させようという方向は一つだと思いますので、そういう中で一歩前進することができればよいと思っています。

記者
前々回ぐらいの記者会見のときに、この問題は一つのよいところに落ちつくのではないかという見通しを示されたと思うのですけれども、明日は何かよい結論が出ると考えていらっしゃいますでしょうか。

知事
関係者の皆さんがそういう方向で努力されていると思いますので、その努力の結果、そういう方向に進むことを期待しています。

記者
一部の報道で、会計検査院が統計調査の委託費の検査に入ったということなのですけれども、知事が把握している事実関係について説明をお願いします。

知事
一部の報道にありますように、調査統計業務に関して会計検査が行われているということについては私も承知しています。県としては、早急に県民の皆さんに公表していく方向で検討していましたけれども、会計検査院から内容を精査する必要があるので、今の段階では公表を控えてほしいと言われていました。しかしながら、今朝、新聞報道がありましたので、改めて今日、会計検査院に対して、県として公表したい旨を申し入れているところです。会計検査院との調整が済み次第、県から公表したいと考えています。

記者
19日に西松建設の事件の初公判があったのですが、その中で小沢一郎氏の事務所側から東北地方の談合で天の声が出されていたという内容の検察の冒頭陳述がありましたけれども、そういった冒頭陳述の内容についてどのようにお感じになったかお伺いします。

知事
裁判でそういうことがあったことを踏まえた緊急質問が今日の県議会でも行われる予定になっていますけれども、裁判が行われている最中でもありますので、その裁判の中身についてはコメントは控えたいと思います。
なお、岩手におけるこの工事の発注に係る入札等々については適正に行われていると承知しています。

記者
今後、当時の担当職員の方などにお話を聞くようなことはあるのでしょうか。

知事
入札に係わる問題が発生しますと、基本的には公正取引委員会が動くことになりますので、その際にはきちんと全面協力をしたいと思いますけれども、今のところそういう動きはございません。

記者
明日の国体の常任委員会に知事もご出席されると伺っていますけれども、改めて2種整備でいくという方向は明日も県からの提案としては変わらないというふうに認識してよろしいのでしょうか。

知事
みたけの県営運動公園のあり方というのは、国体の開会式等の開催地問題とダブる領域もあればダブらない領域もあるのですけれども、私の認識では現行の夢県土いわて総合計画においては、みたけの運動公園は老朽化しているし、手狭でもあるということで、みたけの運動公園にかわる新しい県営公園をつくるということが決まっていた。宮城県で利府町に立派なスタジアムつくったように、どこかインターチェンジのそばとか、あるいはどこか交通の便利なところに大きくて新しい県営運動公園をつくるということが基本的には決まっていた。しかし、県が財政危機でありますので、それが凍結されて今日に至っているということだと思います。
ですから、もし財政危機がなければ今ごろみたけ以外のどこかに県営運動公園が建設中になっていて、そして平成14年に出された、県が整備すべきスポーツ施設についての提言の中では、岩手に複数の県営運動公園は要らないので、新しい県営運動公園ができた場合、それと重複するみたけの施設は除却していくということで、今ごろみたけにある陸上競技場は解体工事とかということになっていたのだと思います。
そういう状況からしますと、国体を挟んで今後10年くらい当面はみたけから県営運動公園が動かない、そして本来は新しいところにつくられるはずだった多目的屋内練習施設は平成14年の提言の中では新しい運動公園のメーンの施設として位置づけられていたのですけれども、それがみたけに整備されるということになりますと、本来であれば今ごろみたけには運動公園がなくなっているような状態に比べれば、盛岡市にとっては悪くない話なのではないかと思っています。
ただ、宮城県の利府町にできているような立派な競技場をみたけにという話については、そもそもそれだけのお金の余裕があるのであれば、それはみたけ以外のどこかにつくることを決めていたわけでありまして、それができないがゆえにみたけに今も県営運動公園が残っているということですから、みたけに利府町にあるような立派なスタジアムというのは論理的に矛盾する話と認識をしています。
財政危機の中で今ある施設を最大限生かすというのが国体の開催方針でありますけれども、県営運動公園のあり方としてはみたけの陸上競技場が解体されていくということではなく、東北大会開催可能な2種競技場になって、今後10年ぐらいは県営運動公園として機能していくということは、盛岡にとっては悪い話ではないと思います。

記者
宮古市長選挙が21日に告示されまして、28日に投開票になるのですけれども、単刀直入に候補者の応援に入られる予定というのはございますでしょうか。

知事
政治活動については、自由にやらせていただくという基本姿勢でありますが、今の段階では具体的な予定はありません。

記者
先ほどの西松建設の裁判の件で、事実認定自体は裁判所が行うということですけれども、ただ検察側がああいう形で示し、7月にはまた判決があるということで、そういった主張したということ自体が報道なりされるわけです。そういったことに対して衆議院選挙への民主党への影響にどういったものがあるとか、もしくはないのか、どういうふうに考えておられるかお聞かせください。

知事
大久保氏の弁護団が、欠席裁判のような形で供述書を持ち出すことに反論する機会も与えられず、一方的な検察側の主張で公判が進められる裁判のあり方がおかしいという主張がされているというのは報道を通じて知っています。ですから、いわば裁判所の外でそういう議論が行われているわけでありますけれども、それが衆議院議員選挙にどういう影響を及ぼすかということについては、今の段階でははっきり言えないのではないかと思います。ただ、一有権者になったつもりで、衆院選でどう行動するかということを考えた場合には、もう少し自分の生活や仕事、最近の内閣、政府のやってきたこと、やっていることなどを見て決めるというのが大勢なのではないかと思います。

記者
新型インフルエンザなのですけれども、原則自宅療養になり、そして11月までには弱毒性の場合の対策も加える方向で県の行動計画を改定するとのことですけれども、そんな中で心配するのは当然だと思うのですけれども、一部の学校などではあまり人ごみといったところに生徒さんに行かないようにという指導があるみたいです。ただし、夏休みに入りまして色々なイベントもございますし、あと経済効果ということについても影響があるのかなとちょっと心配されますが、知事はどのように対応すべきとお考えになられていますでしょうか。

知事
手を洗ったりうがいをしたり、そういうふだんからやっておくべき予防の措置をちょっとレベルアップして、より徹底してやっていただくことが必要と考えており、そのことを折に触れ県民の皆さんに呼びかけています。あとは感染した方が出てきたときにちゃんと医療が受けられるような体制、感染が拡大しないような形で医療を提供できる体制が確保されていれば良い。それが相談センターや発熱外来の整備ということなのですけれども、そこがきちんと行われていて、最近岩手でも感染された方が複数確認されましたが、感染拡大を食い止めることができていますので、基本的には今ぐらいの予防や注意の態勢で皆さんやっていてくれれば、そんなに悪いようにはならないのではないかと思っています。

記者
今くらいというのは手を洗ったりとか、うがいをしたりとか、ふだんからの予防をより徹底してやっていただくということですね。

知事
そうですね。あとは報道等には常に気をつけていただいて状況に応じた自衛策を取ってもらいたいと思います。私も首都圏の方で感染者が出ているというニュースが流れているころに東京出張をしたときには、東京の人ごみや帰りの新幹線の中ではマスクをするようにしていました。そのとき、そのときの状況に応じて人ごみの中や、あるいは密閉された空間の中で不特定多数の人と一緒にいる場合にはマスクをするとか、そういったところまでは、やはり工夫が必要ではないかと考えています。

記者
国体の話ですけれども、明日の常任委員会は知事も出席ということですが、議論の期限も大分迫ってきている中で、もし意見が分かれた場合でも明日には確実に結論を出すという方針でいらっしゃるのでしょうか、確認したいと思います。

知事
そこは関係者の皆さんが国体成功のために努力していらっしゃるところなので、一種物別れに終わったらどうするというような事態については、今はこうするという準備はしていません。

記者
そうしますと、知事の中ではよい方向で明日結論が一つにまとまるだろうというような見通しを持っていらっしゃるということでしょうか。

知事
それは多くの関係者の皆さんのそれぞれの判断にもよるところでもありますので、まずは発言があれば発言を聞かせていただきたいと思っていますし、またその発言に対するほかの人からの意見とかも聞いてみたい。意見が出ないで専門委員会の提案どおりということであればそれもよいと思っています。

記者
皆さんの意見を聞いた後で、知事が出席されて、最終的な結論は明日は必ずつかむというような思いは今のところはどうでしょうか。

知事
議長を務めるということもありますので、議長でない立場で何か提案して、それを絶対実現とかという立場ではなく、議長の立場として、その場の色々な方々の発言あるいは沈黙という態度もあり得るかと思いますけれども、それに応じてきちんと議事を進行していきたいと思っています。

記者
都南川目道路に関してなのですけれども、正式には明日第三者委員会でありますけれども、国土交通省で予算を見直して再開に見通しがついているという状況です。まず、その見通しがついたことに対する知事の所見と、ここまでの手続の流れに関してどのような感想をお持ちかお聞かせください。

知事
内陸と沿岸を結ぶ重要な幹線の主要な部分をなす道路でありますので、再開見通し的な状態になっているということはよかったと思っています。
ただ、その中で大幅なコスト削減という方向での調整になっていこうとしているのですけれども、それは費用便益比(B / C)、コスト当たりのベネフィット、便益というのが非常に機械的に算定されていて、そこにはもっと宮古と盛岡の間の救急車の搬送でありますとか、そういう命の道路だという側面も考慮しなければならないと思いますし、今道路が未発達であるがゆえに沿岸が地域格差的な状況に置かれている、そういう今の経済状態をもとにして色々計算をすると沿岸と内陸、人の行き来もそんなにないではないかということになるのでしょうけれども、道路が整備されることで沿岸振興にも弾みがついて、人の行き来も多くなるという地域振興的なところにももっと意を留めて、留意して道路の事業が進められるべきだと思います。

記者
道路とは違いますけれども、知事は今は我慢配分の時代だとおっしゃっています。そうすると、国全体で見れば我慢配分の1つが岩手県に来たという考え方もできるかもしれないのですけれども、知事の考え方と今のお答えだと少し矛盾することになりませんか。

知事
コスト当たりどのくらいのベネフィットかというときに、実は潜在的にこれだけベネフィットがあるということになれば、それはかえって有効な投資であって、投資した分そういう経済効果や地域振興の見返りがあるわけです。あとは病院のケースと同じでしょうけれども、命にかかわらない部分について多少不便になっても、命にかかわるところの体制を確保するために我慢することが合理的という考え方からすれば、都南川目道路というのはまさに命にかかわる、搬送にかかわるわけでありまして、そのための我慢というのは我慢の対象にはならないと思います。

記者
新型インフルエンザの件ですが、昨日、初めて官民の関係団体による新型インフルエンザ対策連絡協議会が開かれまして、知事もご出席なさっていらっしゃいました。非常に多くの機関と連携して総合的に感染拡大の防止を進めていく必要があると思うのですけれども、特に今回弱毒性への対処ということで、国がすべての医療機関でも診られるような方針を打ち出しています。あまりにドラスティックな切りかえだったので、岩手県においては当面現行体制を維持するということになったわけですけれども、今後、県としてどのように関係機関に対して認識の一致というか、共通の土壌をつくっていくのか、特に診療所等々に対しては協力を呼びかけなければいけないのですけれども、知事としてはどのように進めていくおつもりなのかお聞かせください。

知事
今の県の体制を大きく変更するわけではなく、外来部門に関しては発熱相談センターや発熱外来の体制を今のままでいきますということですので、そこは理解が得られやすいのではないかと思っています。

記者
今後順次協力する医療機関も増やしていくという方向で今動いているのですけれども、それにはどのような姿勢で臨んでいくのかというところを伺いたいのですけれども。

知事
発熱外来をやっていただけるという医療機関が増えてきていて大変ありがたいのですけれども、そうやってどんどん増えていって、やがてすべての医療機関が発熱外来機能を担えるということになると、国が言っているようなすべての医療機関で最初から診るということになるのだと思います。今は先ほど言ったように感染拡大を防ぐことができているわけですが、防げなくなったとき、まん延状態になったときには国が示しているような体制でないと対応ができなくなることもあるかもしれません。
ただ、今はそういう段階にはなっていないということと、感染が疑われる人が診療を受けるというときに、そうでない人たちときちんと区別することが一般の診療所で直ちにできるのかという問題があります。待合室でちゃんと隔てることができるのか、あるいはそもそも玄関を別にすること等ができるのか。時間で分ければよいという考え方もありますけれども、感染が拡大していない今の段階で、普通のお医者さんに行っている人たちにかなりの不便を強いるような、「何時から何時までは発熱外来としてやっていますから普通の患者さんは来ないでください。」というようなことをすべての医療機関で今やるのかというと、やはりそこは事態の推移を見きわめながら対応を考えていく必要があると思います。一方、大きい民間病院ではもう発熱外来をやってくださっているところもあるので、そういうところにはどんどんやっていただく、そういうのが今の状況だと考えています。

記者
一番心配されているのはこの秋以降なのだと思います。そのときに感染が拡大した場合に、先ほど知事がおっしゃったような措置もどんどんとっていかなければならないと思うのですが、そういう場合に例えばPPE(個人防護具)の購入であるとか、時間を分けたことによる損失などに対してどう補償していくのか、病院の負担はどうなるのかというところで理解が得づらいのではないかと思うのです。そこら辺を国がそのときにどのような財政的な助成をするかわかりませんけれども、国はそういう方針を示すだけで財源的なものがあまり明確に示されてないというのが全国的に言われていることかと思います。それについては知事はどのようにお感じになりますか。

知事
まず、昨日開催した新型インフルエンザ対策連絡協議会と、それから協議会の下部組織である幹事会は既に2回開いていまして、その幹事会を通じて情報交換や意見交換をしっかりやっていますので、これらの場を活用して県側と医療機関やその他関係機関との間に認識のずれが生じないようにしていくことが大事だと思っています。
そして、本当にいざとなったときの財政的な問題などについては、そこは今から色々と検討しておかなければならないことだと思います。

広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。

次の定例記者会見は7月6日(月曜日)の予定です。

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