平成21年8月3日知事会見記録

ID番号 N11671 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年8月3日 10時32分から10時47分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
幹事社から1つ質問をさせていただきます。
土砂災害対策についてです。九州、中国地方では豪雨による土砂災害が起きていますが、岩手県の土砂災害対策の状況について伺います。

知事
岩手県内の土砂災害危険箇所は1万4,348カ所あります。そのうち人家5戸以上の箇所は4,187カ所です。人家5戸以上のところを対象にして、これまで砂防堰堤やコンクリート擁壁等の整備を進めてきたのですけれども、その整備率は11.2%です。平成12年度に調査を行っていまして、危険箇所にある要援護者施設の数は240施設、対策の実施済み対象施設は43カ所で、整備率は18%です。施設整備とあわせて土砂災害防止法に基づいた土砂災害警戒区域の指定、土砂災害特別警戒区域の指定、またそれらに伴うハザードマップの作成の奨励、気象台と連携した土砂災害警戒情報の発令と伝達、また本県独自の施策である、がけ崩れ危険住宅移転促進事業などソフト対策を進めています。
今後とも土砂災害警戒区域の指定や土砂災害警戒情報の発令などの土砂災害対策については、市町村をはじめとする関連機関と一層の連携を図りながら進めていきますけれども、住民の方々におかれても大雨が続くような場合には自らを守るための警戒意識や避難の意識を持って対応していただくようお願いします。

幹事社
この質問に関して各社から質問があればお願いします。

記者
山口県の方をはじめ、7月に人命を失うような被害が雨によってあったのですけれども、それを指摘されて、住民への周知というところの課題が出ていると思うのですけれども、西日本の状況を踏まえて、県として何か市町村に対してとか、改めて行動すること、対策として動き出すことというのがありましたら教えてください。

知事
近年、新しいタイプの集中豪雨、ゲリラ豪雨という言葉もあるようですけれども、そういうものが全国的に観測されるようになってきていますので、岩手県では先ほど申し上げましたように平成12年度に調査を行っているのですけれども、その後の新たな災害時要援護者関連施設の立地状況についても調査、整理をして、その情報を市町村と共有することが必要と考えて、早急に作業を行うことを指示したところです。

幹事社
これ以外に各社から質問があればお願いします。

記者
選挙の話ですが、昨今、無党派層と言われている人たちが増えているとされていますけれども、その政治的背景、なぜ増えているのか、そこら辺をどのように知事はお考えになられるかということが1点。
もう一つは、前回の郵政選挙でも小泉劇場と言われように、劇場型選挙が展開されて無党派層を一気に引きつけたというところがありますが、そういった手法について、どのようにお考えになっているかお伺いします。

知事
無党派層が増えていると言われるのは、特定の政党支持が少なくなっているということであり、確か1970年代ごろから既存政党からの支持離れという現象は起きてきていたはずです。それが今、さらに無党派層が増えていると問題になるのは、その新しい受け皿といいますか、支持を受けるような政党の形ができてきていないということだと思うのです。今、政党支持を聞けば自民党と答え、しかし、今度どの政党に投票するかと聞かれると、民主党に投票すると答えるような方々がかなり多くなっているのが最近の世論調査結果の一つの特徴だと思いますので、政権が交代することになれば新しい支持の受け皿としての政党というものは確立してくるのではないかと思います。やはり日本においては、政権与党以外に選択肢がないみたいな、そういう思い込みというのがかなり広く強くあると思います。政党イコール今の与党という中で、今の与党ではだめだという意見が増えることが無党派現象の基本になっているのだと思います。そういう意味で、小泉現象的に一種ごまかすような形で既存政党への支持をつなぎとめようというのは、その瞬間うまくいったとしても総理総裁が交代して、たちまち馬脚をあらわすというのがここ数年の教訓だと思いますし、またそのとき無理した結果、きちんと統一のとれたマニフェストを、天下の政権与党が出せなくなっているという現象にもつながっていることから、やはり変な、無理な仕方で支持をつなぎとめるのはよくないことだと思います。

記者
先週、新型インフルエンザに関連して、タミフルが効きにくいウイルスが県内でも確認されたのですが、このことについて県としての今後の対応についてお伺いします。

知事
タミフルの予防投与を受けた方の体の中でウイルスが変異したのではないかという説もあり、新型インフルエンザが全体としてタミフルが効かなくなってきたわけではないので、タミフルを備蓄確保しておくことの重要性は変わらないと思っています。一方で、インフルエンザウイルスは変異するものですから、タミフルへの耐性を獲得してきている事態も想定しながら、将来に向けた対策を考えていかなければならないと思います。

記者
自民党、民主党のマニフェストがそれぞれ出そろったのですけれども、地方に関連する部分として幾つかお尋ねしたいのですが、まず国の出先機関について民主党は廃止、自民党は段階的に見直すということについてどのようにお考えでしょうか。

知事
基本的な考え方としては、二重行政はなくした方がよく、地方と中央が政策的に重複している部分については、住民に身近な地方を優先するのが当然だと思います。

記者
両党とも理解できるというか、どちらがよいと言えるものでしょうか。

知事
早くやるにこしたことはないわけですから、段階的にというよりは早くやった方がよいと思います。

記者
次に直轄事業ですけれども、自民党は維持管理費の負担部分について廃止すると言っていて、民主党は負担金制度全廃と言っているのですけれども、これについての賛否を伺います。あと、両党で色々な手当について打ち出しており、バラまきではないかという声もあるのですが、それに対する財源の不安、将来的な地方財政の負担、あるいは国民一人一人に返ってくるのではないかというようなことについてはいかがお考えでしょうか。

知事
まず、直轄負担金問題については、民主党の言っていることの方がよいと思います。
そして、手当の関係については、子ども手当を大幅充実させるのは大事なことだと思います。ヨーロッパ諸国は既にそのくらいの水準になっていますし、フランスなどそうした大幅な子ども手当によって出生率が上昇した例もあると聞いていますので、意味があると思います。今の日本の合計特殊出生率の1.37という数字は異常に少ない数字であり、これは自由な選択でそういう低い出生率を選択しているのではなくて、本当は2人欲しい、3人欲しい、しかし経済的事情でできない、社会的なサポートが弱くてできないということが大きいと思うので、特にそういう手当は有効だと思います。何十年後に日本の人口が半分に減少するという推計がなされていますが、それを黙って見ているのではなく、国民一人ひとりの自由な選択に基づいて少子化に歯止めをかけていくためには、他の分野から対策に資金を投入したり、あるいは国民がもう少しずつ頑張って子育て支援にお金を回す方がよいということと比較すれば、後者の方が国のあり方としては適当だと思います。あまり良い例えではないかもしれないのですが、もともと国家というのは、生き残りをかけてお金を稼ぐということを国を挙げてやったわけであり、覚悟としてはある意味命がけで国民を守るという気概がないのであれば国家は必要ありません。最近の道州制の議論も何でも道州に任せてしまえばよい、国家は店じまいしようという安易な考え方を感じますが、子育て支援もきちんとやってこなかったという流れがあると思うので、それを逆転するために思い切ったことをやっていくということは非常に適切な発想だと思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は8月17日(月曜日)の予定です。

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