平成21年8月31日知事会見記録

ID番号 N11665 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年8月31日 10時30分から11時16分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
初めに、知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
発表事項の第1は、岩手県県民栄誉賞の授与についてです。花巻東高校硬式野球部の春の選抜高等学校野球大会準優勝に続く夏の全国高等学校野球選手権大会におけるベスト4という本県初の偉業に対し、岩手県県民栄誉賞を贈り、その栄誉をたたえることといたしました。
花巻東高等学校硬式野球部は、その成績、実力もさることながら、常に郷土岩手県への貢献という意識を標榜し、野球だけにではなく生活や学習なども含めた取り組みすべてで日本一を目指すというひたむきな姿勢が社会現象と言っていいほど全国的にも注目を浴び、またその活躍は県民に広く敬愛され、本県に大きな感動と明るい希望を与えたものであり、まさに県民栄誉賞を授与するに値するものと考えます。
なお、表彰式の日時、場所は学校側の意向を踏まえた上で決定します。詳細は配付資料をご覧ください。
発表事項第2、大連市との定期友好協議の開催及び上海市でのトップセールスについてです。平成19年に大連市と締結した地域間連携の推進に関する協定に基づいて、これまで大連市政府と2回の定期友好協議を行ってきました。今回は、5月に大連市長が交代をしまして、新市長を表敬訪問し、協定に基づく友好関係の継続と経済交流の相互協力について市長との会談による協議を行います。併せて、これまで2回開催してきた海洋環境技術シンポジウムの開幕式に出席して、開催のあいさつを行うこととしています。上海市では、プーアール茶の販売を行っている上海大可堂を訪問して岩手県産品であります南部鉄器についてトップセールスを行います。県産品の販売拡大について、今後とも中国での県産品の販売の継続及び拡大を要請してまいります。
発表事項の第3、「黄金の國いわてフェア」の開催についてです。県では、岩手の魅力である自然や歴史文化、地域の情報を安全、安心な食などを丸ごと岩手県が一体となってPRすることにより、岩手に対する関心を深めていただき、岩手ファンを拡大するために首都圏を対象とした総合イベント「黄金の國、いわてフェア」を開催します。開催期間は平成21年11月12日(木曜日)から15日(日曜日)までの4日間、そのうちイベント広場、屋外イベントは14、15の土、日の2日間としまして、埼玉県越谷市のイオンレイクタウンmoriを会場として行います。私も同地においてトップセールスを行う予定であり、一緒になってフェアを盛り上げていきます。フェアの開催に当たっては、「黄金の國、いわてフェア実行委員会」を設立して民間企業、関係団体を含め岩手県が一体となって取り組むこととしています。第1回実行委員会は、平成21年9月2日(水曜日)13時30分から盛岡市勤労福祉会館において開催いたします。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの発表事項について各社からご質問があればお願いいたします。
それでは、私から。南部鉄器に関するトップセールスの件なのですが、以前に岩手県に関する商品名や地名とか、そういったものの中国での商標登録の申請の問題というのがありましたけれども、南部鉄器についてはどうだったでしょうか。また、「南部鉄器」という名前でトップセールスをそのままされる予定なのでしょうか。

知事
「南部鉄器」という商標が平成19年に香港の個人によって登録申請されているということがありましたけれども、登録時に異議申し立ての機会がありますので、その際に岩手県南部鉄器協同組合連合会において異議申し立てを行うこととしています。登録までは二、三年かかるということでありますので、もうしばらく様子見となります。
それから、「南部鉄瓶」の商標については、上海大可堂さんが去年の8月に登録申請をしており、いつでも県あるいは県の指定するものに無償でその登録を譲渡するということを上海大可堂さんから言われています。それで、岩手県南部鉄器協同組合連合会から新たに登録申請を行って、その申請が受理された時点で上海大可堂さんが申請を取り下げるというような段取りになっています。今回訪問する機会に、この段取りを改めて確認してスムーズに行われるよう要請し、先方に感謝を申し上げたいと思っています。

幹事社
そのほかに発表事項についてのご質問ありますか。よろしいですか。
では、本日、幹事社の質問の用意がないのですけれども、私ども幹事社ということで口火を切らせていただきます。
まず、昨日の衆議院議員選挙の結果について、知事のご所感からお伺いします。

知事
日本国民が思い切った大胆な決断をしたということだと思います。大きな変化を引き起こし、新しい政治を切り開いていこうという決断を日本国民がして、そして自分たちの政治を自分たちでつくっていくという、私は今回の選挙を名付けて「日本国民自立解散総選挙」というふうに申し上げましたけれども、正に日本国民が自立して力強く歩んでいく大きな一歩になる選挙だったと思います。
それで一首思い浮かんだのですけれども、「有権者の民意に向かいて言うことなし。有権者の民意は有り難きかな」というところです。

幹事社
これはちょっと盗作の疑いもあるのではないかなというところですけれども。

知事
本歌取りです。

幹事社
民主党の議席がトータルでは308議席となりました。この議席数についてはいかがでしょうか。

知事
民意でありますので、そのとおりなのだと思います。そういう意味で、「言うことなしで、有り難きかな」なのですけれども、それだけの変化を民意が求めているということで、国会の議席も大きく変化するわけですけれども、それにふさわしい中身の変化も求められているのだと思います。

幹事社
民主党が政権を担う上で、まず1番にしなければいけないこと、知事としてご期待なさることをお聞かせください。

知事
マニフェストに書かれたことを実行していくということだと思います。あとは、私が期待しているのは国民の声に耳を傾けて、よく話を聞く政治です。それを早い段階からきちんと形にしていってほしいと思っています。政治学の言葉を使いますと「分断の政治から熟議の民主主義へ」ということを期待しています。今まで役所主導で分野ごとに縦割りになっていて、その縦割りごと、業界団体ごとに業界等々の関係ができて、そういった団体の声を族議員が差配して物が決まっていく。実質的なところは縦割りで官僚が決めている。そういう政治ではなくて、暮らしや仕事の現場にいる国民、それはイコール地方の住民でもあるのですけれども、そういう生活の全体とか仕事の全体とか、そういったところから「このままではだめだ。こうしてほしい。ああしてほしい。」という声がきちんと政治の仕組みを通って行政を通じて実行されていく。そしてどういうふうにしていけばよいのかというところについては、縦割りを越えた総合的な熟した議論が行われる。それが熟議ということですけれども、そうした熟した議論、縦割りを越えた水平的な、フラットな熟した議論が行われて物が決まっていく、そういう熟議の民主主義というのを早い段階から形にしていくということを期待しています。

幹事社
ほかにご質問があると思いますのでお願いいたします。

記者
今回の選挙結果で政権交代ということになるのでしょうけれども、県の行政運営にとってどのような影響、効果があるのか具体例も挙げながらお答え願います。

知事
今日の庁議で庁議メンバーに言ったのですけれども、「分断の政治から熟議の民主主義へ」と移行していくと思うし、そうさせなければならない。それで、県からも県民の暮らしや仕事の現場を踏まえた声や、政策提案などを随時「共有する」。そういうことができる政府になるだろうし、またそういうふうにさせなければならない。部局においても、課担当のレベルからクリエイティブにああしたほうがよい、こうしたほうがよいということを県限りでやれることは県限りでどんどんやっていき、そして国に働きかけていくことはクリエイティブにやりましょうと国に働きかけていく。それは今までもクリエイティブに努めてやってきているのですけれども、旧に倍する勢いでやっていこうということを言いました。
あとは象徴的なこととしては、来年から年に1度の統一要望をやめようかと思っています。国の予算編成のサイクルにあわせた統一要望というのを大体どの都道府県も毎年夏にやっていて、岩手でもずっとやってきているのですけれども、国に言いたいことがあれば言いたいときに言いたいような形で随時言っていけばよいので、そういう国が上で、都道府県が下というような封建秩序のような中で参勤交代的に「お願い申し上げます」という陳情ベースの予算統一要望というのはやめてしまおうと思っています。

記者
ねじれということが本県の場合、長く指摘されていましたけれども、これも解消されるということになりますけれども、やりやすくなりますか。

知事
ねじれというのは気持ちが悪い言葉で、民意の結果としてあることを変だ、おかしいみたいに言うことなので、そういうのがなくなるということは大変よいことだと思っています。

記者
応援演説でも、知事会などでも率先してやっていくというご発言がありましたけれども、その意図をもう一度お伺いします。

知事
機会があれば知事会あるいは、ほかの知事さん方にも呼びかけたいのは、あまり闘う知事会みたいな、文句だけ言っていればよいというような感じにはもうしないようにしましょうということです。ナショナルガバメントとローカルガバメントというのは、国民イコール住民のために適切な役割分担のもとで手を携えて協力しながら国民イコール住民の生活を守り、福祉を向上させていくというのがあるべき姿であって、国民イコール住民から見れば自分たちの目の前でナショナルガバメントとローカルガバメントが取っ組み合ったり綱引きしたりしているというのは、「あなた方何やっているの」という感じだと思うのです。今みたいな経済、雇用の危機等々、危機的な状況においては特に感じると思います。ですから、本当に実現していかなければならないことについてはきちんと交渉して、そして合意形成をしていく。知事会にとって最大の脅威と言ってよいと思うのは、平成24年度地方財政が全面崩壊するという予測を立てて、そうしないようにということを訴えているわけですけれども、これも要求事項として突きつけて訴えるだけではなく、平成24年度の地方財政崩壊は絶対起こさせませんという合意を民主党政府と結ぶとか、今の経済、雇用の危機に対しては、これはこの間の三重県での全国知事会でこの国のあり方に関する報告書として提言されたことですけれども、雇用レジームと福祉レジームの立て直しということを、これは地方が主役になって進めていく、それを国はしっかりサポートするみたいな、そういう合意を全国知事会と民主党政府との間で形成していって、納得づくで国民イコール住民のためにフル回転して働いていくという関係が構築されていけばよいのではないかと思っています。

記者
昨日の衆議院議員選挙の投票率は全国的にも上がったのですが、県内でも小選挙区制になってから過去最高の投票率を記録しました。これをどういった民意の表れだと知事はお考えでしょうか。

知事
今の状況に対する危機感というのが大きいと思います。それで、変えなければならないと、そういう意識が高い投票率、そして政権交代という結果につながっていったと思います。

記者
小沢代表代行が今後新しい政権のもとでどのようなポストに着いて、どのような役割を果たすかということが注目されると思うのですが、知事としてはどういった点に注目をされていらっしゃるでしょうか、また期待されていらっしゃるでしょうか。

知事
鳩山代表を中心に決めていただければよいのだと思いますけれども、やはり政治家としての持てる力がフルに国民イコール地方の住民のために生かされるような、そういうところで活躍していただければよいのではないかと思っています。

記者
今回の民主党の勝利で、県政についていえば県立病院を含めた医療問題や、それから特に経済でいえば雇用といった、みんなが困っている部分について改善の兆しとか、プラスになる部分があるのか、果たして逆なのかというところが、県民にとっては一番心配なところだと思うのですが、知事のお考えを聞かせてください。

知事
そうした問題が深刻化していく背景に、これまでの政府与党の政策の誤りであったり、また政策の不徹底があったりしたという共通認識の中で、このような結果が出たと思いますので、そのような共通認識に基づいて、国において新しい政策がとられ、それと呼応しながら県でも必要な政策をとっていくということでいろいろな問題の解決は今まで以上に進みやすくなると思います。

記者
先ほど知事は毎年の要望ではなくて、言うことはその都度言っていくのだということをおっしゃられましたけれども、特に一番県民に関心のある医療について、岩手県の医療は厳しい状況ですけれども、新政権に対して知事としておっしゃりたいことはありますか。

知事
今一番言いたい、言わなければならないのは偏在の解消ということです。人数を増やすことについてはある程度大学医学部の定数増ということを通じて、遠い将来に向かって増えていくという筋道はできてきていると思うのですけれども、今問題なのは、偏在で地方に足りない、それから小児科、産科等に足りない、そうしたところを緊急に是正していくような政策を国に求めたいと思います。

記者
具体的に何かお考えというかアイデアはありますか。

知事
いろいろ研修制度の工夫とか、あるいは地方勤務の義務付け、それからどの診療科に何人の人が必要だというガイドラインをつくるとか、たくさん方法はありますので、その中からうまい組み合わせを、ここは特にお医者さん、勤務医の皆さんの合意も得ながら進めていく必要があるので、早急にそういうものを進めてもらえればよいと思います。

記者
民主党は岩手で4選挙区全部独占しました。知事も民主党籍をお持ちですし、まさに民主王国岩手というのができ上がったのではないかと、全国的にも注目されています。先ほど知事は「熟議の政治」ということをおっしゃいましたけれども、物事を民主的に決めていくとか、少数意見を尊重するとか、そういう姿勢も厳しく見られるのではないかと思いますが、特に県政においても自民党との関係とかいろいろあると思うのですけれども、知事としてそのあたりのお考えをお伺いします。

知事
ジョン・スチュアート・ミルも「自由論」で言っているように、少数意見というのが国には絶対必要な、いわば国の宝です。なぜなら多数は間違うかもしれない。それを少しでもチェックしていくために、少数意見というのが絶対必要だという民主主義の大原則があると思っていますので、やはり少数意見を尊重しながら議論をして情報の共有、認識の共有をきちんとやっていけば科学技術も発達していますし、また世の中全体としては豊かに成熟してきている現代社会でありますので、いろいろな問題をそうそう解決できないということはないと思っています。岩手においては県民の生活を守っていくためにも熟議の民主主義を大切にしていきたいと思います。

記者
民主党政権になって、政権が変わったからすべて県民生活がバラ色になるということは多分ないと思うのですが、先ほど知事も要望すべきものは県として要望していきたいとおっしゃっていましたけれども、例えば国の直轄負担金が廃止されれば、では必要な基盤整備とかはどうなるのかとか、農業の新しい仕組みどうなるのとかいろいろ行政の地方のレベルでは不安もあると思うのですけれども、今そこら辺、知事として民主党政権にすぐ地方の立場として要望したいこと、不安に思っていること、そこら辺もしあったら教えてください。

知事
まず、結論を先に言うと今、職員にリストアップをしてもらっているところです。そして、民主党になって世の中バラ色になるのかどうかということについては、セーフティーネットの構築ということがしっかり行われるでしょうから、それによって絶望的な状況に陥るということは国民、住民にとって少なくなる、そういうふうに陥らなくなるというセーフティーネットが整備されていくということが期待されていくと思うのです。ただ、その上で自分が今やっている商売、これは農林水産業も含めてですけれども、そういうのが努力せずにもうまくいくかというと、そこは自立と共生の世界でありますから、しっかりセーフティーネットに支えられた上で成功していくかどうかはそれぞれにかかってくるという世の中になっていくと思います。ですから、それぞれの産業、業界分野ごとに国の力で少しでもアップさせてもらうというような発想はなくなっていくと思います。自分の成功については、これは自分にかかっていて、国のせいにはできない、そういう時代になると思います。
ただ、セーフティーネットはほころびてはならないというところが、マニフェストには訴えられていたので、本当にそれが実現していくかというところがチェックのポイントになると思います。

記者
先ほどのお答えに関連して、自立という話ですけれども、例えば県にもいろいろな補助金、助成金の制度がありますが、そこら辺は今後どうなっていくのでしょうか。

知事
まず、ゼロ予算的に、できるだけ県がお金を出すというよりは既にお金のある人、そのお金のありどころと地域支援や人材をマッチングさせていくことに県の仕事もだんだん比重が移ってきているわけでありますけれども、そういう傾向は増えていくのではないかと思います。セーフティーネット的なところには必要な予算はきちんと確保していかなければならないと思っていますけれども、プラスアルファの産業振興についても21世紀では教育訓練等の人材育成というのは非常に大事なので、県が担っていかなければならないと思います。そういうところは必要な予算をきちんと確保していく。補助金みたいにお金を渡しっ放しで、あとはお任せというようなのではなくて、確実に人が育っていくかというところを見ながら必要な事業を行っていくというような感じになっていくと思います。

記者
先ほど要望すべきものは要望していくということだったのですけれども、要望も度が過ぎれば、一歩間違うと地域エゴととられかねない。そういう中で、国民全体が納得できるものでなければ、それは民主が掲げる税金の無駄遣いというところで折り合いが付かなくなる可能性もあるわけなのですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

知事
今までは縦割りで分断された中で個々の業界や個々の地域もそうですが、要望をほかのところにわからないように上げていて、それをそれぞれ担当の族議員が差配しているような格好だったわけですけれども、いろいろな物事がオープンになって、そういう縦割りの壁を越えて、あの人たちはこういう要望を持っている、あちらのグループはこういうことで困っている、そういうことをみんながわかった上で、それはあまりにわがままでしょうとか、それはちょっと無駄遣いではないかという、そういう相場観をみんなで共有しながらみんなが納得できるような線で予算を賢く使っていく、そういうプロセスの中に県も入っていけばそうそう悪いようにはならないと思っています。

記者
現段階の各地方議会では、まだまだ自民党が与党である場合が多いわけですけれども、民主が政権をとったことによって、この自民優位な地方というのはオセロのようにぱたぱたと民主に変わっていくものなのでしょうか。

知事
そこは正に民意が決めるところだと思います。本当に「分断の政治から熟議の民主主義」に変えていって、みんなの暮らしや仕事の現場にある知恵や力で大きな問題も解決していくというような政治を力強く進めていくには、やはり市町村の政治過程というのがそのようになっていかないとだめなのです。昨日示された民意を見ますと市町村の政治過程もそういう方向に進んでいくのではないかと思います。

記者
知事はこれまで政権交代をすれば岩手はよくなるというようなことをおっしゃっていたと思います。政権交代が実現して、これまでのご自身の言葉についてどのような責任を感じていらっしゃるか改めてお聞かせください。

知事
「分断の政治から熟議の民主主義へ」、そしてそういう政治の改革の上に、外交であれば冷戦型の外交からポスト冷戦の外交に切りかえていく、そして経済、社会政策は高度成長型の経済社会政策から情報化、ポスト工業化時代、情報化やグローバル時代にふさわしい経済、社会政策に切りかえていく。岩手の有権者の皆さんは、早くそういう改革をしなければならないということを既に15年前、16年前から国政選挙等で示してきていますので、今、国全体が同様のことを求め、民意で決まった中、岩手県民が求める方向に岩手自体が進んでいくということもよりやりやすくなっていくのだと思います。

記者
お伺いしたのは、知事ご自身がこれまで知事がおっしゃってきたことについて、実際に政権交代したことで、実現するということに対してどのような責任を感じていらっしゃるかどうか、そういうことをお伺いしたかったのですが。

知事
自然体でいくのではないかと思います。「政治というのはこういうふうにしなければならない。行政というのはこうあるべき。そして経済、社会はこうでなければならない。」というふうに今まで主張してきて、また様々な制約の中でそれなりに進めてきたところですが、今はより進めやすい環境になったと思うので、みんなと一緒に話し合いながら、一緒に体を動かしながら進めていくことが私の責任であると思っています。

記者
選挙戦を振り返って、知事ご自身自由にやらせていただくというふうにおっしゃっていましたが、実際やりきったという感じでしょうか、それともやり足りなかったという感じでしょうか。

知事
足りないということはないのですけれども、そのとき、そのとき、その場、その場に応じて有権者の皆さんの思いと心通わせながら、まずは適切に活動することができたのではないかと思っています。

記者
昨日の選挙で選挙制度は違いますけれども、鈴木善幸さん、俊一さんと長年自民党が押さえてきた2区を民主党の畑さんがとったということについて、まずどのように分析しているのか、あるいはどのように受けとめているのか教えてください。

知事
畑浩治さんが4年間地元を歩き続けて12万人の人と直接触れ合っているというのはすごいことだと思うのです。そういう草の根の知恵や力を受けて結集していく、そういう新しいタイプの政治の構造を岩手2区の中に築き上げていったということがこういう結果につながったのだと思います。「分断の政治から熟議の民主主義へ」という政治改革の方向性で、それをきちっと選挙区の中に築き上げていったところがこういう結果につながったのだと思います。

記者
2区は比較的民主が弱いと言われてきたわけですけれども、畑さんの取り組みが奏功したということなのでしょうか、それとも県連全体の取り組みといったところで今回の議席奪取につながったのでしょうか、どのように見ていますか。

知事
いろいろな人の活動や行動が相まってこういう結果になっているのだと思うのですけれども、基本はやはり畑浩治さん御自身の政治活動が実を結んだということだと思います。

記者
今回の衆院選で、全国的にはいわゆる「小沢チルドレン」と呼ばれる人たちがたくさん新しく誕生したわけなのですが、先輩として何かおっしゃりたいことがあればお聞きします。

知事
実は私の先輩というような人もたくさん入っていて、それは細川連立政権に議員として参加している人とか、その後新進党に参加した人とか、あとは民由合併のときに民主党系の人に小選挙区を譲って身を引いた自由党系の人とかですね。4年前の選挙で「小泉チルドレン」と呼ばれた人たちは、選挙前の1カ月くらいのところで一斉に出てきた人たちだと思うのですけれども、今「小沢チルドレン」と呼ばれている人たちは、ここ15、16年の改革の政治の中の歴戦の勇士ばかりです。西暦2000年ころからスタートしている小沢一郎政治塾、あの小沢塾の初期のメンバーという人たちも入っているし、新しい人といっても福田衣里子さんみたいに11カ月みっちり地元を回って本当に地元と一体化して当選したりしているので、そういう意味ではむしろそういう皆さんに教えてもらいたいという感じがしています。

記者
先ほどから「熟議の政治」というお話をされていますが、ともすると小沢代表代行は独断専行だとかといった批判というか、指摘もあるわけなのですけれども、「熟議の政治」は可能なのでしょうか。

知事
小沢一郎さんが新進党党首をやっていたときに、新進党の基本政策を小冊子にまとめ、今のマニフェストの先取りみたいな作業をしたときに、国会の議員会館の裏にある会館で全議員が参加して丸1日かけて政策の議論を行ったことがあります。それで丸1日やって決着がつかなかったので、翌日もその会場が空いているのを確認し、2日間にわたって全議員で政策の議論をしたのです。詳しくは知らないのですけれども、通常は、きちんとした組織的な準備の上で数日かけて行い、共産党とか社会党とかはそういうスタイルでやっているみたいなのですけれども、全議員参加の下に、本当に個々の議員が自分の考えを自由にぶつけ合うということを丸2日間やった政党というのはなかなかほかにないのだと思います。だから、実は「熟議の民主主義」というのは小沢一郎さんが昔から実践していることで、またいつでも、だれからでも話は聞く。橋下大阪府知事にも会って話を聞いて、「うん、なるほど、そうだな」と納得できるところは納得したりしていたし、そういうふうにこれからもやってもらえればよいのではないかと思っています。

記者
2点お伺いします。1点目は、細かい話になりますけれども、補正予算に関して凍結、見直しというようなお話出ています。そうすると、県の予算にも当然影響が出てくると思います。期待できる効果の部分もあると思いますし、逆に事務量としてはいろいろと課題も影響あると思います。それぞれについてどういうふうに見ておられるのか、まずお伺いします。

知事
作業は大変なのですけれども、ただ国民イコール住民のためによかれということで見直すことですから、結果として今の経済、雇用の危機がよりよい方向に、改善の方向に向かってセーフティーネット面の整備もさらに進むのであれば、そこはもう国も地方も一緒になって取り組むべき作業だと思います。

記者
もう一点は、こういう大胆な決断というか、新しい政治に変わっていくと、ある種わくわくするような場面です。知事もそのようなお気持ちで、むしろ国会の場面で活躍してみたかったと思われないのかなという気がするのですが、いかがでしょうか。

知事
今日から始まる新しい政治というのは、国会議員にならなければだめとか、大臣にならなければだめなどという政治ではなくて、どこのだれであれきちんとした見解、きちんとした政策論を持っていれば、それが時の政府に採用されて実行されていく、そういう世の中になるだろうと期待し、またそういう世の中にしなければならないと思っています。そういう意味では、むしろ今は国会議員ではないがそういった世の中をつくっていくことにより効果的に参画できるのではないかと思っています。そういう意味で知事として今の立場でいろいろとやる気を感じているところです。

記者
先ほど県内の医療問題について言及ありましたが、県内の有効求人倍率が0.31となって史上2番目の低さになりましたが、その部分についての改善点や期待感をお伺いします。

知事
これも本当に対応が急がれるところだと思います。今日も庁議の後の幹部会でそこのところをしっかり対応していこうということを確認しました。来週月曜日には県の対策本部会議が開かれる予定なのですけれども、これも全国知事会の、この国のあり方に関する報告書に書かれているように、情報化、グローバル化時代の経済、雇用対策というのは、まず地方が主役になって教育訓練による人材育成とか、いろいろな地域資源とビジネスのマッチングとか、主役はやっぱり地方が担っていかなければならないところなのです。そこをしっかりサポートできる国の政策体制が求められているところであって、そういうところを早い段階できちんと国と地方の間で確認し合って強力に進めていけるようにしていかなければならないと思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は9月7日(月曜日)の予定です。

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