平成21年9月7日知事会見記録

ID番号 N11663 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年9月7日 10時30分から11時3分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
前回の記者会見のときに統一要望についての発言がございました。国への統一要望をやめようと思っているというお話でしたけれども、その後、やめることを決めたとか、進展があったのかという確認をまず1つ。
それから、県は市町村から要望を受ける立場にもございます。この夏も市町村からの統一要望を受けていたのですが、それについてもやめるということを検討されているのかどうかということをお伺いします。

知事
県の国に対する予算統一要望については、毎年春ごろに今年はこういうふうにやろうということを決めているので、そこでそういう作業に入らなければ、自然消滅ということになります。
それから、市町村において県に対する要望をどうするのかということは、市町村の判断によると思います。昔は市町村が個別に首長さん、議会議長さん、市の幹部、議員の皆さんなどが本庁に来て、知事、副知事、各部の部長などを回って歩いて行っていたものをそれではお互い手間であろうということで、県の側でそういう統一要望を聞くという場をセットして、私が知事になってからは私が全市町村を回ってみたりとか、振興局に来てもらって要望を聞くということをやってきました。ただ、県と市町村が対等の関係ということを考えたときに、県の側でそういう統一要望なる場をアレンジしてやることについては、検討したほうがよいと思っています。趣旨は昔の大名行列のような参勤交代的なことが行われていたものを県の側からそれの簡素化したものを設定しているということで、市町村から県に対して伝えたいことがあるときに、県がそれを拒絶するということはありません。ただ、県と市町村は対等だという原則に基づいたときに、それぞれどういう対応が適当なのかということについては、この機会にいろいろと考え直してみたいと思います。

記者
分権推進会議でもそういう関係性というものが議論されて、今言われたことには理解できるところはあります。ただ国と都道府県の関係、それから県と市町村との関係で、どちらが要望するかという主体の問題はあるのですけれども、一方ではこうで、一方ではこうでとやり方が違うとその理由はどうなのかという疑問が生まれると思います。今は検討されるということだったので、それは検討結果を見たいと思います。
もう一点は、今まさしく市町村のほうに出向いて、あるいは当該地域の広域振興局で要望を聞くというスタイルを県が行っています。都道府県が大名行列や参勤交代のように国に行くということではなくて、現場主義に立って、この現場を見てくれということで、逆に国から県に実際に来て見てもらいながら、その要望なり提言をしていくというスタイルに変えると参勤交代的な要望とは違うものになるのではないかと思うのですが、そういうことを国のほうへ提起していくような考えというのはありますか。

知事
私が全市町村を回って歩いたときにふと考えたのは、これがもし国であれば総理大臣が各都道府県を順番に回って、そこの課題を聞いて歩くというようなことだけれども、総理大臣はそういうことはしないだろうということです。例えば、私であれば岩手県内遠くても2時間ちょっとぐらいで行けるわけですけれども、総理大臣も忙しい仕事であり、夏の間に集中して全国47都道府県を全部回ることは距離もありますので物理的に、はるかに手間暇の度合いは違いますから、そこは同じにはできないと思います。けれども、私はあえてこちらから国に言わなくても、民主党政権は今まで以上に暮らしや仕事の現場がどうなっているのかということを政府与党みずからが常に耳を傾け、目を向け、そして歩いて回って、そこから国民が直面している課題をすくい取って国政に反映させていく、そういうことをやっていくと思いますので、その辺はそういう方向で進んでいくことを期待したいと思います。

記者
知事になぞらえて総理大臣というお話ありましたけれども、今度の政権では政治家が行政サイドに、かなり入ってやるということです。政治家はいろいろな担当があると思うのですけれども、そういう担当の政治家がその選出地域とは別にそれぞれの所管のところで各都道府県を回るのであれば、物理的にそれほど難しくなくて、考え方を変えればできるのではないかと思います。そういう点について再度お伺いします。

知事
政治主導、政治家がきちんとその役割を果たして官僚依存しない国のかじ取りのあり方ということは、新進党のころからそういう考え方があって、今の民主党はネクストキャビネットですけれども、新進党はトゥモローキャビネットということで、既にそのころからやっていたのです。私も新進党青年部の事務局長をやっていたときに新進党青年部でイギリスに行って、そこで党首討論をはじめ官僚依存しない政治家主導の国のかじ取りのあり方を勉強して帰ってきたことがあります。その後、自由党の中で、さらにそれを研究していろいろと具体的な法案にも反映させていたのですけれども、自由党は最終的に日本一新11基本法案という日本を一気に大きく改革していくための11基本法案をつくっていたのです。そして、政権が変わったら、いつでもそれを国会に出して法律化させていくと。
官僚依存ではない政治家主導の国のかじ取りというのは、まず政治家が決めるわけです。官僚に頼らないで、法律案ですら政治家が決める。そして政権をとったらそれを内閣を通じて実行していく、それが官僚依存しない政治主導の国のかじ取り、本当の民主的な国のかじ取りなのです。政治家が法案も決めれば、いろいろなことを決めていくときに、小選挙区制ですと地域の縦割りの業界ごとの要望ではなくて、地域に住んでいる普通の人の普通の仕事や暮らしで直面する課題というのをそれぞれ小選挙区議員が把握して、それを党の中で話し合って政策にしていく、法案にもしていく、そういうプロセスで、そして決まったことは内閣が一元的に実行していく。そこで、族議員が途中であっせん、口ききをしたりすることもないし、それからそういう法案をつくるとか、物事を決める段階で官僚がセットしたものを原案にしてやっていくということではなくて、あくまで民意を踏まえてそういうのをつくっていくという、そういうのは自由党のころからそうでなければだめだというのはやっていたのです。民主党も基本的にそういう方向でいくのだと思います。ですから、そういう政治家を通じて民意が吸い上げられていくということが本当に大々的に行われるようになるのだと思います。それが官僚主導の陳情型の政治から政治家主導の民意が国のあり方を決めていく政治への転換ということだと思いますので、今度の新しい政府与党には地域の現場の声をどんどん吸い上げていってほしいと思いますし、そうさせなければだめだと思っています。

記者
要は、官僚主導から政治家主導になるということで、これからの政権には、大名行列のように行くのをやめることもそうだし、別に国から都道府県に来てもらわなくてもよいということが、今のところの知事の考え方ですか。

知事
政府と与党でどういう役割分担をするかというのはいろいろあり得るのだと思います。まさに政府与党が一体になって民意を吸い上げていくということが眼目でありますので、そういう中でやってもらえばよいし、やってもらわなければだめだと思っています。
災害が起きますと、国の担当大臣あるいは副大臣が駆けつけて、また関係の議員さんも視察に来られたりします。非常時のときには今までの政府与党あるいは超党派的なこともありますけれども、そういうことが行われていたのですが、そういうことが平時から行われるということだと思います。新しい政府与党が国のかじ取りについて本気になればなるほど、政府の担当あるいは所属の議員が政党政治家として地域の情勢を把握するということは、より強化しなければならないはずで、そうなることを期待しています。

記者
花泉の地域診療センターで地元の医療法人が運営を引き継ぐということがほぼ決まりましたが、このことは地域医療を守っていく上で大きな一歩だと思うのですが、その点について知事の所感をお伺いします。

知事
地元の皆さんの理解も得ながら医療局という自治体病院の仕組みだけでやっていくよりも手厚い地域医療の体制を構築できるということで、大変すばらしい方向に進んでいると思います。ぜひ関係者の皆さんと、この方向で調整をして、みんなの力を合わせて岩手の地域医療を守っていくということを進めていってほしいと思います。

記者
花泉の地域診療センターのほかにも4月に無床化になった地域では、今後どうするかということの話し合いがそれぞれ進んでいますが、地域に期待することと、県としてどのようにサポートしていくかということを改めてお伺いします。

知事
今の日本医師会の会長さんは東京の下町の開業医の方なのですけれども、開業医こそ地域医療の担い手だということを発言されています。開業医こそ、町であれ、また都会であれ、田舎であれ、その地域に根差して顔が見える関係で地域医療を支えている。そういう意味で、自治体病院だけではなくて、そういう開業医の皆さんも含め、あるいは民間病院も含め、みんなの力を合わせて地域医療を支えていくということが実は当然のあり方なのだろうと思います。そういう模索の方向が花泉以外のところでもあるというのは大変すばらしいことだと思いますので、うまくいくように県としてもいろいろな支援やマッチングなどの労をいとわずやっていかなければならないと思っています。

記者
先ほど開かれた経済雇用対策本部会議が終わりまして、知事が今直面する一番大きな課題だと認識したのは何か教えてください。
もう一点目は、新政権発足後の話で、民主党サイドのほうで、いわゆる基金事業と言われているものの見直しという話が出ています。大半が執行済みという話であるのですが、この雇用関連でも基金事業は大きな額で岩手に来ているのですけれども、見直しがあると受けとめているのか、その場合はどのように対応するのかお伺いします。

知事
生産のほうの持ち直しは見られるけれども、雇用についてはまだまだ数字が改善されていないし、住宅の着工とか景気全般についても自動車小売の回復はあるのですけれども、ほかの部分はまだまだ危機的状況が続いているということで、これから何が重要かということについては、それぞれの地域それぞれの分野、一社一社、一人ひとりとそういったところをきめ細かく見ていかなければならないと思っています。また、県にはそれができますし、そこのところをきちんとやっていくということだと思っています。ただ、来年春に高校を卒業予定の皆さんの就職について、これが去年や、また例年に比べてかなり厳しくなっているということは特筆すべきことでありますので、この対応をふだんやっていないようなもう一段の対策を講じていかなければならないと思っています。
あと、民主党政権になって今の政府でつくった補正予算を見直すということは聞いているところです。そして、基金事業についても見直しの対象になるかということですが、そこは新しい財務大臣が決まらないと具体的な作業には入らないと思いますが、地方切り捨てに反対して、むしろ地方を強くしていかなければならない、そういう方向をマニフェストに盛り込んでいる民主党ですから、悪い方向には変えないと思います。ただ、基金事業というのは、今年度のみならず来年度、再来年度の分まであるわけで、前の政権が二、三年後のことまで決めた事業をただそのまま引き継ぐだけというわけにはいかずに、今年度もさることながら来年度、再来年度部分については、何かよりクリエイティブな変更というのはあり得るのではないかと思っています。事務的にはやらなくてよい作業をやることになるかもしれませんが、それはそもそも解散総選挙がこういう時期になったこと、去年の秋に行っていればこうはならなかったわけで、こういう時期に解散総選挙になってしまったということで事務的には負担が増すのですが、国民の暮らしや仕事をさらによくするという方向での変更であれば、むしろそれは歓迎すべきことではないかと思っています。

記者
続けて雇用対策なのですが、就農、農業面のアクションプランについて、目標値の設定をどこにするかもあるのでしょうけれども、その目標を上回るほどの就農者が殺到していると受けとめました。今後の展開で何か新しいことを考えていますか。
それから、先ほど知事が来春の新規学卒者の就職が厳しいと「一段と」という表現を使って対策を考えなければならないとお話しされましたが、もし今考えていることがあれば教えてください。

知事
後者については、基本的にはマッチングの作業なので、その関係者の情報交換等の頻度を高めるとかといったことをまず当面やっていかなければならないと思っています。
それから、農業の関係については目標を上回るペースで新規就農者が増えてきているというのは大変よいことだと思っていまして、今のスキームをさらに進めていくことが大事だと思っていますけれども、いわて未来づくり機構の場などで経済界のほうからもいろいろな新しいアイデアがどんどん出ているところです。これは年度の途中とか、計画の途中であっても新しい見込みのあることはどんどん取り入れて、県としても取り組みを進めていきたいと思います。

記者
4日に開かれました全国知事会の戦略会議に知事も出席されたと思うのですけれども、これまで知事は闘う知事会というだけではだめだというふうにおっしゃっていたかと思うのですけれども、この戦略会議で知事はどのような発言を具体的にされたのかということを教えてください。

知事
こういう変化の時代だから、きちんと理念を踏まえ、原理原則を踏まえてやっていくことが大事だろうということを言いました。原理原則というのは、国と地方は対等だということであり、ナショナルガバメントとローカルガバメンツは適切な役割分担のもとで相協力しながら国民イコール住民の生活を守っていかなければならない。ですから、原理原則を確認しながら、また地方財政を破綻させないとか、経済、雇用の危機や福祉、社会保障の不安を克服するような、そういう施策を地方が主人公になってやっていく、国がそれをしっかり支えるというような合意文書をどこかでサインして発出するような、そういうことを知事会として新しい国の政府に求めていくのがよいのではないかということを言いました。
いらしていた知事の皆さん、これは麻生知事会会長をはじめ、基本的には対等な関係として健全なパートナーシップを結んでいくということについて、賛成なのではないかという感じがしました。ただ、補正予算の組み替えというか、変更というか、それがどういう段取りで進むのかについては不安を持っている知事さんもいましたので、その点については早い段階で県あるいは市町村が今の補正予算をベースにしてどういうふうにやっているのか、9月議会もありますし、それぞれ地方は地方でどう補正予算を組んでいるのかという情報を今日から始まる週にも民主党側に伝えるほうがよいだろうというようなことは私も発言もして、みんなでそういうふうにしようとなったところです。

記者
民主党のマニフェストに対しての何か意見というのは戦略会議の中では出ましたでしょうか。

知事
こうしたほうがもっとよいのではないかなとか、事務的にこういうやり方をしたほうがよいのではないかという話はありました。そういう話もあわせて、今日から始まる週のうちに民主党側に伝えるということになっていると思います。

記者
こうしたほうがよいという何か例がありますでしょうか。

知事
基本的に事務的な話ですから、その辺は一種事務的に伝えられればよいのではないかと思っていまして、私はあまりそこにはこだわっていません。

記者
県内でインフルエンザの流行が続いていますが、この状況を知事はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

知事
国がインフルエンザの流行シーズンに入ったと言ってから、全国的には週当たりの患者数は更に増えている状況で、岩手においても同じような傾向が見られます。今のところ開業医の皆さんをはじめ、原則としてどこの医療機関でも診療するという新しい仕組みの中で対応していただいておりますし、小中学校、高校の学級閉鎖なども見られますけれども、そうした措置が蔓延を防ぐことにつながっているわけで、まずはコントロールの範囲内で進んでいるのではないかと思っています。
ただ、一人ひとりの取組が大事だという状況は変わっていませんので、県民の皆さんには、うがい、手洗い等の感染予防対策をしっかりやっていただきたいということを改めて申し上げたいと思います。

記者
先週、国の方でワクチン接種の優先順位が発表されました。医療従事者とか、重症化しやすい子供とか妊婦を優先順位としているのですが、ワクチン自体が足りないという状況も発表されています。県としてこういった状況をどう見て、どう対応するかというお考えのはあるでしょうか。

知事
インフルエンザに感染した保健師さんが重症化して亡くなったケースがありました。やはり直接患者さんに接する医療従事者には早くワクチンを提供してほしいと思います。あとは専門的な判断ということだと思うのですけれども、やはり子供たちとか、重症化、重篤化するリスクのある持病を抱えている人たちとか、そういったところから早くワクチンを接種できるようにしてほしいと思っています。

広聴広報課
それでは、これで記者会見を終わります。

次の定例記者会見は9月14日(月曜日)の予定です。

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