平成21年9月14日知事会見記録

ID番号 N11661 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年9月14日 10時30分から11時3分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
最初の発表事項は、第13回北海道・北東北知事サミットの開催についてです。毎年、北海道と北東北4道県持ちまわりで北海道・北東北知事サミットを開催しています。今年度は岩手県を舞台に、10月19日(月曜日)に盛岡市のホテル紫苑と雫石町の小岩井農場で開催します。岩手県での開催は、第2回の県立大学、第5回の花巻温泉、第9回の中尊寺に続いて4回目です。今回のテーマは、「農林水産業の大いなる可能性~北海道と北東北が目指す農林水産業の未来像~」です。
北海道、北東北地域には国内トップクラスの農林水産業のポテンシャルがありますが、他方で担い手不足、耕作放棄地の増加、農林水産物の高付加価値化などの課題があります。今回の知事サミットにおいては、北海道・北東北地域が将来にわたって我が国の主要な食料、木材供給基地として発展していくための方策や農林水産業を基軸とした地域活性化の方策を探っていきます。
今回の知事サミットでは、講師として東京大学大学院農学生命科学研究科長の生源寺眞一先生に基調講演をお願いし、4道県の知事による意見交換を行います。そして、意見交換の後には、小岩井農場において酪農や林業の生産現場、バイオマス利活用の現場などを各道県の知事に視察いただいて、最後に共同記者会見を行う予定です。
2つ目の発表事項は、一般国道455号北山バイパスの開通についてです。国道4号から洞清水まで北山トンネルを含む約1.4キロメートル区間は北山バイパスにおいて未供用となっていましたが、平成21年10月26日(月曜日)午後4時に供用を開始します。全体計画の延長は7.5キロメートル区間で、その全線の供用が図られることとなります。事業着手は昭和59年度、事業費約196億円、26年の歳月をかけて整備が進められました。先祖伝来の貴重な土地をご提供くださいました地権者の皆様、計画にかかわる各委員会の委員の皆様のご支援、ご協力のたまものであり、深く感謝を申し上げます。
これによりまして、国道455号の三ツ割から盛岡市中心部の間で発生していました朝夕の慢性的な交通渋滞の解消が期待されます。また、岩泉、松園方面と中央病院等の医療機関へのアクセスが大幅に改善され、救急医療の支援になります。供用開始前の午後1時から現地にて開通式典が行われます。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いします。

記者
北山バイパスの件でお伺いします。長い歳月をかけて途中でいろいろ地権者との用地交渉で難渋したこともあります。そういう意味で、先ほど地権者等への感謝の言葉もありましたが、ようやく全線開通になるということについて、知事の所感をお聞かせください。

知事
私も衆議院議員時代にもこの北山バイパス開通に向けて、関係者の皆さんが本当にいろいろな努力しているのを見聞きしてきました。地権者との関係では、桑島前盛岡市長さんが足を運んで地権者との調整に直接当たられたりとか、そういう苦労話も伺っているところです。また、この三ツ割から松園にかけての何万人も住んでいるところですから、その地域の皆さんの開通への期待というのも衆議院議員時代から伺っていましたので、今回ようやく開通ということで、本当によかったと思っています。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
知事は明日から出張なので、今日聞ききますが、16日に新しい内閣が誕生する予定です。鳩山由紀夫さんが総理大臣に指名されると思うのですけれども、その内閣の顔ぶれはこれからですが、期待すること、ぜひやってほしいことお伺いします。

知事
多士済々な民主党ですから、立派な内閣ができることを期待しています。そして、衆参合わせて400議席という議員団をはじめ地方隅々にまで組織もできているわけでありますから、議員の皆さんや党の支部などを通じて、しっかりと暮らしの現場、仕事の現場の声をはじめとした民意を政策に変えて、それを実現していく、そういう内閣になることを期待します。

記者
今回の政権は連立政権ということになるのですけれども、3党による連立だとすると、それぞれマニフェストをもって戦ったわけで、違いがあると思います。連立政権が望ましいのか、それとも民主党単独の政権になっていくのが望ましいと思っているのかと、連立政権に対する懸念というか、不安があるとすればお聞かせください。

知事
よく衆議院の今回の選挙の議席数で民主党が三百何議席で、社民、国民新党は議席数が1けたみたいな話がありますけれども、実は多くの選挙区で社民党、国民新党が民主党の候補を推薦していたり、あるいは推薦までいかなくても共闘したりしてきています。民意に訴え、そしてその民意を獲得して、広く3党で連携してやっていた結果が今回の議席数につながったものと思いますので、そういう民意への働きかけ、そして民意を結果につなげていくという、そういうことを一緒に行うという発想でいけばよいと思います。大事なのは民意でありまして、3党お互いが見合って三角関係でやっていくというよりは、3党が並んで視線は国民=住民の側に向けて、足並みそろえて進んでいくことを期待しています。

記者
特に民主党単独の政権になっていくということは期待されてないでしょうか。

知事
今回の選挙は、選挙前から3党で連携して取り組み、ああいう結果になっているわけですから、そういう民意を踏まえてやってもらえばよいと思います。

記者
先週、全国知事会の「この国のあり方に関する研究会」に参加されましたが、どういったことを話し合われて、何か課題とか見えてきたものがあるのかお伺いします。

知事
先週は第1回ということで、今後のとり進め方について、研究会の要綱の決定や日程などが議論のほとんどを占めました。その結果、三重県で行われた全国知事会議に提出された報告書に沿ってやっていこうということが改めて確認されたところです。
あの報告書については、私もいろいろな機会に大変すばらしい報告書だと褒めているのですけれども、経済、雇用の体制の立て直し、そして福祉、社会保障の体制の立て直しをサービス給付を行う主体である地方が主役になって進め、そして現金給付を主な役割とする国はそういう地方のイニシアチブを支える、現金給付を中心としたセーフティーネットを確立していく。これは本当にこれからの日本の処方せんとして非常によくできたものだと思っています。今まではそれが全然できてなかったから格差社会化、特に中央と地方の格差、また地方の中におけるいろいろな格差、そういう事態に陥っているわけですので、これを直していくのに本当によい方向性が先週定まったと思っています。
ちなみに、全国知事会は分権や税政などのいろいろな制度を今まで政府に要望していたのですけれども、今回の研究会はそういう制度の枠組み自体を大きく変更していく、そういう仕組みそのものを変えていくところを視野に入れているところがすごいところだと思っています。それはちょうど政権交代が起きて、今までの制度は大きく変わっていく、仕組みそのものが変わっていこうとしている今の時期には非常にマッチしていると思います。例えば、先週上京した機会に、今民主党のネクスト総務大臣である原口一博さんにも私はその報告書の写しを渡してきたのですけれども、原口さんも「おっ、これはよいですね」と感心していました。民主党のほうでその報告書の方向性での世直しを大々的に採用してもらえれば全国知事会と一緒に、国と地方の適切な役割分担のもとで国と地方が手を携えて、国民=住民の生活を守っていくという理想的な形ができていくのではないかと期待しています。

記者
研究会の中で、例えば民主党を中心とした新しい政権と全国知事会がどのようにかかわっていくかとか、そういうことも話し合われたのでしょうか。

知事
それは、むしろ戦略会議のほうの議題です。研究会は欠席した知事さんから提出された意見の中には、かなり閉塞感が国民に広がっているよくない現状ではないかという現状分析で、それが新しい政府への批判などにつながって、何か政局的に受け取られることは避けるようにしようという意見がありました。それはみんなでの研究会だから、そこはむしろ大所高所から先にまずあるべき日本の姿を理論的に描き出していって、そういう瞬間、瞬間、時の政府がやっていることに何か言っていくというようなものとは違うアプローチをしていこうということが確認されたところです。

記者
政権交代で八ツ場ダム建設の問題などが話題になっていますが、先週、大規模事業の影響の専門委員会等で津付ダムの議論等々が行われました。民主党がいわゆる無駄な公共事業の見直しということを掲げていますが、県内でも同様に今ある事業の見直し等々をなされる考えなどがあるのでしょうか。

知事
民主党のマニフェストの精神である地元住民の理解に基づいて不必要な大規模公共事業はやめていこうということは、それは全くそのとおりです。岩手県では基本的に大規模公共事業に関して特別の評価専門委員会を設けて外部有識者の力も借り、また地元の皆さんの意見も伺いながら、必要な議論を進めてきています。そういう意味では民主党マニフェストの精神を岩手県では先取りしてやっているので、この方向で取り組んでいけばよいのではないかと思っています。

記者
もう一点なのですけれども、国家戦略局などいろいな人事の話が出ています。スタッフなどで声をかけられた場合は、今のところどうなさるお考えでしょうか。

知事
広くすべての人に開かれた民主党政権であるとよいと思いますので、いろいろな人に手伝ってもらうことはよいことだと思います。国家戦略局については、全国知事会からの参加というか、地方六団体からの参加という言い方だったかな、その辺は地方六団体と組織と組織で協議してもらい、一本釣りのような形で特定の知事さんを入れるのではなくて、入るならだれがよいのかを全国知事会のほうで選び、その代表を派遣するようなやり方のほうがよいという感じがします。

記者
特に今のところ打診はないですか。

知事
別にありません。

記者
今の質問の公共事業の関連で伺いたいのですが、直轄国道17路線が選挙前に駆け込みで見直し方針が撤回されて建設することになったと思います。その中の都南川目道路について、民主党が掲げる公共事業の削減方針で見直し対象になる可能性があると思うのですが、その点について現在知事はどのようにお考えになっているのかお伺いします。

知事
内陸と沿岸を結ぶかなめの路線ですし、また病院への救急搬送にも活用される命の道路でもありますので、新政権のもとでもその必要性については認められるのではないかと思っています。

記者
仮に都南川目道路が民主党政権のもとで建設見直しということになった場合は、知事として建設続行を要望していくお考えですか。

知事
一方で、民主党はそういう必要かどうかの判断をできるだけ現場にという方向性もあるので、一括交付金で地方で建設できるくらいの予算を地方のほうに譲って、必要なら地方のほうでやってくださいというふうにするかもしれません。多分、本当に必要な道路を国もやめ、地方もできないようにして、さらに地方を疲弊させ、人口がどんどん減っていくようにしてしまうということは民主党政権はしないと思います。

記者
今後も岩手県は建設産業が大きな基幹産業であると思うのですが、新政権で県内経済へ、建設産業へ特に悪影響が出るということはないとお考えでしょうか。

知事
ここ数年というのは異常なのです。平成19年度の県の経済統計が今日発表になるのですけれども、その中にここ10年間の国と岩手県の経済成長率の推移を比較できる図があるのですが、平成13年、小泉政権が発足した年から岩手の成長率は国の成長率よりも低いまま、つまり中央と地方の格差がどんどん拡大するような経済社会構造になっているわけです。その前というのは、むしろ岩手の成長率のほうが全国の成長率より高くて格差が是正されていくような経済政策、経済財政政策がとられていたわけであって、そこまで戻るかどうかはともかく、ここ七、八年のそういう格差拡大型の経済政策からは民主党政権はかじを切りかえると私は理解しています。

記者
先ほどの公共事業の関係なのですけれども、最近見ていて思うのですが、今回の北山バイパスでも救急医療の支援になるとか、あと住民の安全などといったものが後付けでついていくような感じがしています。当初はダムであれば利水であったりしたものが、ころころ変わっていって、最後は住民の命の話を持ち出して、やれ治水だなどという話になっていく。そういうものは端から見ていると非常に無駄だと思います。それなのに現在でも知事も必要だという見解を示されるわけなのですけれども、こういうのことは民主党政権になっても変わらずに、その地域や地元が必要だと言えばそのまま通っていくような感じになるのでしょうか。

知事
分断の政治の中で、縦割りの中で道路は道路関係の人たちだけがいろいろな理屈をこねてという、そういう視点から見ると確かにそういう疑問が出てくるのにも理由はあるのかなという感じがします。ですから、これからはそういう縦割りで分断の中でそれぞれの利害が語られていくのではなくて、フラットに水平的に国民=住民本位に考えていけば、お医者さんがたくさんいて住んでいるところからあまり移動しないで高度な医療も受けられれば、むしろ道路よりそちらのほうに資源をということはあり得るのだと思います。ただ、ここ10年ぐらい医師数は劇的な増大が見込めない中で、また医学の進歩というのはどうしても高度医療の集中化につながっていくので、そういう中で命を守っていくにはやはり道路は一定程度整備を続けなければならないという、そういうふうにしがらみ、縦割り、利権にとらわれない議論の中で本当に国民=住民に必要なものというのをみんなで発見して、そこにお金や手間暇を注いでいくようなことをやっていければよいのではないかと思います。
今は確かに過渡期であって、異常な格差社会というそういうゆがみの中に我々は置かれているので、そこから脱出するために理想的なところから見るとちょっと偏ったことは見られるかもしれないのですけれども、それはそういう西暦2001年からの経緯から、まずそこから脱出しないといけない。本当に命の問題ですから、そういう緊急避難的な観点がまず今は必要になってくるので、そこはまずそういった対応を当面しつつ、あるべき社会づくり、その基盤整備、インフラ整備的なところもみんなで話し合って決めていけるようになっていければよいと思います。ただ、そこには何十年、5年、10年かかる話ではなくて二、三年ぐらいの間にそういうふうには変わっていくと思います。

記者
今回の北山バイパスも昭和59年度の事業着手以来、26年の歳月をかけて進めてきて、ようやく完成したということなのですけれども、その間、人口の変動や経済の状況なども大分変わってきていると思います。今までは、長い時間をかけてようやく実現するというものが多かったわけなのですけれども、今後県として先ほど言ったような命の確保の点からもいって、あとどれだけ道路つくるといったビジョンを示されることはないのでしょうか。

知事
先ほど言ったように、ほかのいろいろな分野との兼ね合いの中で決めていくことになるので、今提示している長期計画案の中でも具体的に何年までにこの道路をここまで延ばすというような具体策は入ってないのです。ただ、かえってそういう10年計画ベースでのアプローチよりは熟議の民主主義ということで広い話し合いの中で、マニフェストサイクルの4年間くらいの単位の中でどういうところを整備していくか決めていくことが現実的だと思います。

記者
熟議の民主主義ということで話し合いで決めていくということにすると、やはり声が大きい人なり、ある程度議員がいるところが強くなったりしかねない話で、国全体でも民主党の公共事業見直しの話を受けて、うちは必要なのだとほうぼうから議論が出ています。それは、その地方にとっては必要なものかもしれないのですけれども、国全体で見ると優先順位が問われるものがたくさんあると思います。そういったところをどういった基準があると考えておられるのか教えてください。

知事
最後はリーダーの決断なのです。話し合いはするのですけれども、そのもやっとしたああでもない、こうでもないという議論に流されて物が動いているわけではなく、要所要所で意思決定がなされ、法案が提出されて採決されたり、予算が提出されて採決されたりしていくわけです。そういう中で県が決めるべきことであれば県知事、国が決めるべきことであれば国交大臣とか内閣全体、最終的にはそこに責任があるので、そこの見識と決断で、例の動物の群のリーダーの感覚です。今何が一番危ないか、そういう危ないところを手当てするにはどこにやらなければならないか、そしてあるいはえさがたくさんある場所はどちらかという判断をして、そちらにみんなで行かなければいけない。話し合っていていつまでもそこでとどまって動かないと、えさを食べられないままみんな死んでしまうわけですから。最後には決断してどちらかに動いていかなければならない、そこはやはりリーダーの決断になると思います。

記者
決め方の手法の部分ではなく、リーダーがどういうふうに考えるかという基準の部分なのですけれども。命の部分とか、非常にあいまいな部分が多分議論されているところだと思うのですけれども、一方でB/Cのように単純な数字ではいけないと知事は以前におっしゃったと思うのですが、そうするとどういう物差しが必要だと考えておられますか。

知事
フランスでは、そこは官僚組織の中で複雑な方程式等でやっているらしいのですけれども、そのよいところはどんどん取り入れて、専門的なそういう基準の議論は進めていけばよいのだと思います。そういうことも含めて最後はリーダーの決断ということだと思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は9月25日(金曜日)の予定です。

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