平成21年10月23日知事会見記録

ID番号 N11655 更新日 平成26年1月16日

印刷

(平成21年10月23日 10時30分から11時)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
昨日の県議会の決算特別委員会で昨年度の一般会計決算が不認定になりました。このことに関しての所感をお伺いします。

知事
まだ本会議もありますので、認定をお願いしたいという立場、方針には変わりはないのですが、決算委員会の段階で認定せずという結論に至ったことは大変重く受け止めています。今回の不適切経理問題で県民の皆さんに多大な心配をおかけし、私からもおわびを申し上げたいと思います。
県民の信頼を回復し、県警がきちんとした仕事をしていけるように再発防止をきちんとやってもらわなければならないと思っていますし、県全体としても改めてこうしたことの再発がないように職員一人ひとり、私も含め県民の信頼にこたえられる行政をしっかり進めていかなければならないと思っています。

記者
今朝の庁議でそのことに関しての何かお話しというのはされましたでしょうか。

知事
県警本部長からおわびの言葉がありました。私からは、改めて県警に対して再発防止に向けてしっかり取り組んでほしいということを伝えたところです。

記者
昨年に引き続いて2年連続で不認定となる見通しですけれども、そのことに関してはどのように受け止めていますでしょうか。

知事
これは重く受け止めているところです。

記者
関連した質問なのですが、県議会でも第三者委員会の設置を求める意見がありました。知事部局ではそうした対応をとったのですが、県警でもそうした対応をとるべきという意見についてどのようにお考えでしょうか。

知事
今日の庁議の中で私から県警本部長に言ったことなのですけれども、素人的な観点からなので、それにとらわれてもらっては困るという前提ですけれども、今回の不適切事案のかなりの部分、例えば車の修理をするときには、本当は修理契約の決裁とってから契約をして、工場に車を持っていき、修理後に支払うという流れにしなければならないのですが、緊急のためまず工場に持ち込んで修理をしてもらう、そういった会計の厳密性の徹底と警察の仕事の任務の遂行をどう両立させていくかという工夫については、大変難しい課題ではあろうが、しっかりやらなければならないので、ちゃんと再発防止に向けてしっかりやるようにという話をしました。そうした専門的な、あるいは現場の実態に即した改革ということについて、専門家ではない外部の第三者委員会のほうがよいのかどうかということについては、まさに県警において判断してもらうことと思います。

記者
あともう一点は、副知事がJALに対して花巻空港の名古屋線に関して話をした際に、小型機の導入によってという形での若干前向きな返答もあったのですが、そのことに関してのご所感をお伺いします。

知事
本当は団体観光なども考えれば大型機のほうがよいのですが、一方、自動車関連、半導体、電気関連などのビジネスユースに対応するためには、完全になくってしまうより小型機でも継続してもらうことが非常に重要でよいことだと思っていますので、そういう解決策も含めた維持という方向に向けて県からきちんと働きかけていきたいと思います。

記者
先ほど、まさに県警において判断すべきというお話がございました。知事は直接監督指導の立場ではないかもしれませんけれども、県民の信頼を回復するという点を考えれば、やはりもうちょっと踏み込んだ対応が必要ではないかと私は思うのですけれども、その辺ざっくばらんにどうお感じになっていますか。

知事
県民の安全を守り、正義を実現するということに関しての責任は警察組織のほうにあるわけで、それをきちんと全うしながら会計の厳密性を確保していくということは、やはり警察の責任において実現してもらわなければならないと思っています。
一方、知事部局等も含めた県職員全般、県民のために働く者、全体共通で県民の信頼にこたえていくそういう職員のあり方ということについては、私のところで改めて考えていかなければならないと思っています。知事部局等の不適切経理問題についての総括は去年の報告書で行い、また職員憲章をつくるなどして取り組んでいるところですけれども、部課長研修の際に提案したI援隊構想の方向性も絡めて県民の信頼を得て、そして県民にとってよい仕事をしていく職員のあり方ということについて、引き続き私のところでも取り組んでいきたいと思います。

記者
民主党政権が誕生してから1カ月が過ぎたのですけれども、この1カ月間の取り組みを知事自身はどのように見ていらっしゃったのか感想をお伺いします。

知事
まず、みんな本当に忙しく休日返上で、あるいは徹夜をしたりしてよく働いていると思います。そして、今までなかったような新しい改革をしていくという中で、来年度予算の概算要求が旧政権の下で既に行われていること、それに取り組む前にまず補正予算の組み替えの作業をしなければならなかったこと、そういう過去の負の遺産といいますか、そういうのが残っている中で仕事をしていかなければならないというのは非常にハンデを背負っているところで、本当にみんなそこで苦労をしていると思っています。
そういうのがなくてゼロから白地の段階から民主党政権としての予算編成とか、政策の実行などをやれればもっといろいろ早くできているであろうにという思いは持っていまして、早くそういう負の遺産的なところを乗り越えて本格的な政策実現をしてほしいと思っています。

記者
各大臣がダムや空港の問題などいろいろと取り組まれていると思うのですけれども、その中で、特に知事が注目している大臣並びに取り組みというのはございますでしょうか。

知事
岩手が直面する課題の中で、新政権としてまだ手がついてないのではないかと心配だったのが地域医療再生の問題でありましたので、そこは上京して長妻厚生労働大臣など関係の政務三役の皆さんに政策提言の形でお伝えし、その結果、報道によると長妻大臣が地域医療再生のための国民会議的なものを設置したいという話を発表をされたので、そこはちゃんと提言、提案を生かしてもらっているという感じがしています。

記者
全国の知事の中でも達増知事は民主党籍を持ったまま知事をやられているわけなのですけれども、端から見ていて民主党籍を持っている知事は民主党政権でどんなことをやってくれるのだろうという期待で見ていると思うのですけれども、この1カ月見ていて特段そんなに大きな動きもなかったような気もするのですが、今後民主党籍を持つ知事として、その期待にこたえるようなことを考えていますでしょうか。

知事
国政に対する関与があまりないということはそのとおりだと思うのですけれども、私は都道府県知事が一々国に何か言わなくても国はちゃんとやるべきことをやり、知事が一々上京しなくてもずっと地元にいて、県であれば県政運営に専念できるというのが理想だと思っています。私にまず求められているのは国政への関与というよりは、岩手県民の暮らしや仕事をどうしていくかということで、そういう意味では経済、雇用の危機的状況の中で知事=経済雇用対策本部長でもあり、本部長としての仕事のほうがやはり大事だし、また医療、福祉や教育、文化等、それから男女共同参画や環境もそうですが、そういう社会的ないろいろな課題に対する取り組みなどが大事だと思っています。民主党の理念というのは、都道府県の知事が都道府県の問題に専念してやりたいことが自由にできるようになっていくという方向だと思っているので、そういう方向には向いていると思っています。

記者
ちょっと疑問だったのは、例えばダム事業の廃止を民主党が掲げていて、岩手にもそういった対象になりそうなものがあります。民主党籍を持つ知事であればそういったダム事業も見直していくのと当然思ってしまうのですけれども、そうはならないということでよいのでしょうか。

知事
2年半前に知事に就任したときの私と今の私は変わってないわけでありまして、また国政に動きがあっても地方は地方でやっていくというのが民主党の理念でもあると思うので、そういう意味では中央が変わったから、地方で今までやってきたことを変えなければならないということではないと思っています。この岩手の中の問題については、岩手の中のペースで県民の要望や理解に基づきながら進めていけばよいと思っています。

記者
今の政権交代の関係でもあると思うのですけれども、政権の中枢の官房長官も子ども手当の財源について地方負担を求めるということをおっしゃっていて、まだ民主党政権の中ではどのような財源のあり方をとるのかというのが決まっていないと思うのですけれども、地方は地方という話がありましたが、知事としてはどのようにお考えでしょうか。

知事
全国知事会のこの国のあり方に関する研究会に私も出席していて、それで神野直彦先生、宮本太郎先生ほかの報告書ベースにその作業を進めていて、また宮本太郎先生とは対談して、岩手の長期計画のことについても相談したりもしているのですけれども、国が現金給付を担当し、地方はサービス給付を担当するということがこの21世紀における国と地方の役割分担の基本であると思っています。
そういう意味では、子ども手当というのはまさに国が現金給付の形でセーフティーネットを整備し、その上で待機児童問題について国の規制を取り払って、住む人がいなくなった農家を活用できるとか、商店街の空き部屋を活用できるとか、そういう台所がないようなところでも保育してよいようにするとか、その上で地方がサービスを提供していく、そういう役割分担をきちんとさせて進めていくことが筋だと思いますので、子ども手当の財源を地方も負担するというのは、そういうことをぐちゃぐちゃにしてしまいますので、そこはきちんと役割分担をしたほうがよいと思っています。

記者
それにも絡むのですけれども、いわゆる地方分権の今までの論議というのは、国だけではなくて地方にも税源をということをおっしゃっていますので、ある種お金の出どころについても今の知事のおっしゃる現金給付は国で、地方はサービスというのとはまた違う、地方もある程度現金給付の負担をという流れも一つは地方分権の議論の中ではあったと思うのですけれども、それについてはいかがでしょうか。

知事
どうなのだろう、財源論としては地方が税収で確保できるものを充実させていかなければならないというのはあったのですけれども、その使い道として現金給付に充てるということではなくて、むしろサービス給付として雇用に向けての教育訓練や保育関係のサービスの側の体制充実、介護や医療など、人の確保、施設の確保などに地方がお金を使っていく、そういう役割分担はできるし、そのほうがはっきりすると思います。ただ、実態からするとそういうサービス給付にかかるお金も地方税だけでは賄えないので、交付税交付金のような形で、そこも含めて国が現金を給付、その現金給付というのは厳密には国民あてになるわけですけれども、地方に対する交付金の形での現金給付というのも、これも必要なのだと思います。

記者
今の関係なのですけれども、子ども手当については、要するに公約で掲げたけれども、財源が足りない、それで地方にも負担してくれという財務省と、それは困るという、例えば総務省とかで綱引きになると思うのです。知事としては、今後地方に負担を求めないというような形で、さらに強く国に要望していくお考えはございますか。

知事
今週ありました全国知事会のこの国のあり方に関する研究会でも、まさにそういう国と地方の役割分担の議論もしていますので、私から子ども手当に地方が財源負担するのはおかしいという発言して、ほかの知事さんもそうだ、そうだというような議論をしています。ですから、どこかの段階で知事会として働きかけたりとか、何らかのそういうことをするかもしれません。ただ、本質的には新政権からそういう理念の発信があまりないなという感じがしており、もっと国と地方の役割分担の基本理念とか、そういう節約、コストカットの話だけではなくて、その結果どういう日本になっていくのか、国と地方の関係になっていくのかというようなことをもっと発信していかなければならないのではないかと思っています。
そういうことを岩手は岩手なりに発信していこうと思っていて、長期計画の中にもそういう理念は盛り込まれていると思っていますし、知事会での、この国のあり方に関する研究会での議論を通じても、そういう理念は新政権に対してどんどんアピールまたは要求していかなければならないと思っています。

記者
花巻空港についてお伺いしたいのですが、県の補正予算の中で新しくカウンターを設置するためにビルの拡張も含めた調査費を計上なさっていますけれども、我々から見ると今年の春に新しく開業したばかりのターミナルで、新たにそういう施設を設けないと今後の県の需要に空港が対応できないというようなターミナルビルづくりというのはちょっと配慮に欠けたというか、ちょっと時代に遅れているのではないかというような気もするのですけれども、知事はこの件はどういうふうにお考えですか。

知事
今現在の議論としては、不景気で国内線の利用が低迷する中で外国との行き来、特に台湾とか中国とかアジアとの行き来についてはかなり伸びていて、また可能性もあるという中で、そういう国際線への対応というのを強化していかなければならない。そしてまた、その国内線の低迷がゆえに小型機化が進んでいきますと、札幌線みたいに小型化して便数が増えることが出てきて、ますます国内線、国際線をきちんと分けないと、今の体制だと国内線が出入りするときには国際線、チャーターの受け入れができないということになっているので、ですから今現在の要請としてそういう国際線、国内線をはっきり分けられる設備をきちんとつくっていかなければならないということがあるのですが、これを現ターミナル設計、それをつくると決めた時点では、今のそういったことがどこまで予想されていたのかという問題なのだと思います。

記者
おっしゃるとおりなのですけれども、財政状況は県も厳しいわけで、ちょっと見通しが甘過ぎたのではないかという声もあるようなのですけれども、いかがでしょうか。

知事
甘かったというのは、国際線の伸びという予想がむしろ渋かったがゆえにあまり国際線対応しないものでとりあえずつくるという格好になっていて、国内線が小型機化していくというところまで予想しきれてなかったということなのでしょう。

記者
日本郵政の人事で、脱官僚とか天下り禁止の路線を表明している民主党が斎藤次郎元大蔵事務次官を充てる人事としましたが、それについて知事はどのように受け止めていらっしゃいますか。

知事
斎藤次郎さんはかつて細川連立内閣が成立したときに政権交代した細川内閣にあまりにきちんと奉仕したがゆえに自社さ政権になってから、通俗的な表現をすれば排除されたというか、いじめられたというか、公務員として一度政治的生命を失っているのだと思います。むしろ野に下ってこんな体制ではだめだ、早く本当の政権交代をしなければだめだと、野にあってそういう思いを抱き、またそれなりに行動してきた人であると思うので、官僚を採用したという指摘は当たらないと思っています。

記者
先日、釜石の橋野高炉跡が東京での会議の中で、暫定リスト入りがふさわしいという専門委員会の提言があったのですが、そちらに対してのご所見をお伺いします。

知事
大変すばらしいことだと思っています。近代日本の工業化、その核である近代製鉄の発祥というのは、やはり釜石抜きでは語れないものでありますので、この九州・山口の近代化産業遺産群の中に橋野高炉跡を含めるという考え方になったというのは大変すばらしいことだと思っています。
岩手県としては、まず平泉の世界遺産登録に向けて取り組んでいるほかに御所野遺跡を含む北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群の登録に向けても動きが本格化してきているところなのですけれども、橋野高炉跡を含む九州・山口の近代化産業遺産群の世界遺産登録に向けても、県としてしっかりと対応していきたいと思っています。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は11月2日(月曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。