平成21年11月9日知事会見記録

ID番号 N11651 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年11月9日 10時30分から11時20分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
初めに、知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
発表事項の第1は、岩手県I援隊運動の開始についてです。今策定している新しい長期計画の基本目標の実現を目指して、県民の皆さんと県及び県職員が一緒にクリエイティブに活動をしていく取組として岩手県I援隊運動を開始します。今後、各部局等において具体的なI援隊運動の取組をエントリーするとともに、その具体的内容については定期的に公表をしていく予定です。
この運動を通して県がグローバル化時代にふさわしい開かれた新しいタイプの組織集団に進化していくことをねらいとしています。
また、I援隊運動は県及び県職員が既存の枠組みや仕組みを越えて独創力と行動力を発揮しながら、この運動の趣旨に賛同する県民の皆さんと一緒に問題意識や地域課題などを共有できるネットワークを率先して築いて、その課題解決を図ることを行動の指針とし、ふだんの活動を行うことを基本として長期計画のアクションプランに位置付けて展開されていくものです。
対象は、基本的に県職員を対象として運動を行うものですけれども、開かれた運動であり、県民の方々をはじめいろいろな方に広く参加していただくことで、運動が広がることを目指しています。具体的にはI援隊運動の趣旨に合致する事業をエントリーしてもらい、その取組成果について成果発表会などで情報の共有と発信をしていこうというものです。実施期間は当面、新しい長期計画のアクションプラン、つまり来年度、平成22年度の終わりまでということで実施していきたいと思います。
一言で言うと県職員一人ひとりが坂本龍馬になったつもりで、古い枠組みにとらわれないで自由に、しかし責任を持って改革、改善、そして仕事に臨んでいくというものです。不適切経理問題がありましたが、法令遵守、コンプライアンスの遵守ということも今までどおりのことを今までどおりにやっていればよいというものではない、むしろ今やっていることが本当にこれでよいのかというような視点を持ってないと逆に法令遵守ができないということが大きな教訓だったと思います。既存の枠組みとか、やり方とか、そういったことにとらわれないで自由に、しかし責任を持ってやっていくというこのI援隊運動は、部課長研修のときに提案し、県職員の間でも評判がよく、案を具体的に練ってもらい今日のの発表に至ったところです。
ちなみに、私は今日この写真の坂本龍馬と同じブーツを履いてきており、1点だけ坂本龍馬をしていますけれども、イメージとしてはそういう今までどおりの発想にとらわれない自由な発想でやってもらうということです。
さて、発表事項の第2は、先ほど行われた第3回岩手県経済・雇用対策本部の概要についてです。会議においては、県内の景気について下げ止まりの動きも見られるものの厳しい状況にあり、雇用情勢についても厳しい状況が続いているという認識を確認いたしました。そして、雇用対策基金事業による雇用の創出、国の緊急雇用対策に連動した施策の推進、新規高卒者への支援、中小企業などへの支援、これを中心に引き続き経済・雇用対策を推進していくことを確認しました。
雇用対策基金事業による雇用創出については、10月末現在でこれまでに緊急雇用創出事業によって1,965人、目標に対して59.3%、ふるさと雇用再生特別基金事業により509人、目標に対して98.8%の新規雇用を創出したところです。目標は3,314人ですので、引き続き県、市町村一体となって事業化と事業実施に努めていきます。
国の緊急雇用対策に連動した施策の推進ということについては、国が10月23日に発表した「緊急雇用対策」では、県の緊急雇用創出事業を前倒し執行するよう要請しています。岩手県では、既に6月、そして9月の2度にわたって前倒し配分を行うという臨機かつ迅速に取り組んできているところであり、この前倒し配分により計画している事業のうち未実施のものがありますので、これらを速やかに実施して実際の雇用に結びつけていきたいと考えています。
また、国は貧困、困窮状態にある休職中の離職者、新卒予定者への支援を最優先課題として取り組むこととしていますが、これは岩手としても我が意を得たりでありまして、これまでにも生活支援、就業支援策に取り組んできたものを継続するとともに、国の緊急人材育成支援事業や住宅手当等各種支援策について周知を強化するほか、ハローワーク等におけるワンストップサービス等の取り組みに対しては全面的に協力して、岩手において去年の東京での派遣村のような事態が起こらないように対応していきます。
そして、新規高卒者への支援につきましては、岩手独自の取組として岩手労働局や教育委員会と連携しながら、「新規高卒者求人確保キャンペーン」を推進しています。私も10月26日に岩手県商工会連合会に新規高卒者の採用拡大を要請したところですけれども、今、全県下で広域振興局、学校、ハローワーク、市町村などが連携し、経済団体や企業に対して採用拡大の要請活動を行っています。
加えて、今週からは、皆さんのお手元にある「働きたい。岩手で。私の願いです。」という生徒の訴えをキャッチフレーズにしました求人要請のチラシの配布とポスターを掲示し、さらに就職面接会の追加開催など関係機関と連携した就職支援に最大限の努力をしていきます。この場を借りて改めて企業の皆さんにお願いいたしますけれども、経営環境が厳しい中ではありますが、一人でも多くの新規高卒者を採用するよう御協力をお願いいたします。そして、生徒の皆さんには将来の夢に向かって希望を持って頑張っていただきたいこと、そして保護者の方々におかれましては、お子さんを励まして勇気づけていただきたいことを改めてお願いしたいと思います。
最後に、中小企業などの支援については、年末にかけてこれから資金の需要期になりますので、県としても「年末商工金融110番」による相談対応を金融機関の営業日に合わせて12月1日から12月30日まで行います。そして、11月20日には中小企業金融連絡会議を開催して金融機関、商工団体に対して県から年末の金融対策を要請することとしています。詳細については、この後担当部から記者レクを行います。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いします。

記者
I援隊運動についてですけれども、知事は以前から概念についてお話しされていましたが、改めてこのネーミングに込められた思い、どうして、こういうところからとったのかということと、知事の後ろにマスコットがありますけれども、どなたが考えられて、何かネーミングがあるのかどうか、どういうふうに使っていくのかという部分を教えてください。

知事
I援隊というのは、坂本龍馬の海援隊から、「海」の字を岩手の頭文字であるアルファベットの「I」に置きかえてI援隊としたものです。時代を切り開いて新しい時代を切り開く、そういう坂本龍馬の海援隊に倣って、今のこの激動の時代に豊かさをはぐくみ、つながりをはぐくみ、そして人をはぐくむという県の新しい長期計画の3つの視点に沿った、そういう活動を展開していく主体としてI援隊という名前にしました。坂本龍馬の海援隊も、イギリスやオランダの東インド会社などに学んで、新しい株式会社形式の商社をつくり、今までになかった形で、今までになかった豊かさを目指したわけですけれども、そのためにつながりをはぐくむということで薩摩と長州をつないだり、外国と日本をつないだりとか、そういうつながりづくりで豊かさを目指す。そしてまた、基本として人づくり、英語をはじめとする外国語を学んだり、船の操船技術を学んだり、また貿易の世界の商慣行、商法を学んだり、そういう一人ひとりの教育機関というものでも海援隊はあったと思います。I援隊活動を通して県職員一人ひとりが自分を磨き、そして新しいつながりをどんどんつくって、県の新しい豊かさをはぐくんでいく。当面は、岩手を助けるI援隊なのですけれども、もとの海援隊というのは海を助ける海援隊ではなく、海から日本を助ける、あるいは世界をも助ける、そういう海援隊だったと思いますので、やがては岩手から助ける、岩手から日本を助ける、世界を助けるというところまでI援隊としていければよいと思っています。
私の似顔絵を坂本龍馬風にしたマスコットは、県職員に用意してもらったものであり、今のところ名前とかはないのですけれども、今後どういう活躍をしていくかは、これはお楽しみというところです。

記者
理念は何となくわかるのですが、具体的なイメージが私的にはとらえられない部分があります。ここに資料もありますけれども、こういったものが考えられるというものがあれば知事ご自身の口からおっしゃっていただきたいです。

知事
岩手県は行政品質向上運動をずっと取り組んできて、それは一定の成果が出てきていると思っています。また、改革改善運動にも毎年1回発表会をやっていて、これも本当によいものがどんどんできていると思います。そういったものをもう一段階進化させていこうということです。ともすればやらされ感があったという指摘が職員から出ているのですけれども、行政品質向上運動につきまとっていたやらされ感というものをむしろ自分たちが率先してやるというような形にし、具体的な取組をエントリー形式にするのはそういう趣旨であって、すべての部局に紙を渡して書いて提出せよとか、そういうやり方ではないというところが一つの新機軸です。

記者
運動自体は、発表をもって今日から始まるということになるのでしょうか。

知事
今日からスタートです。11月15日が坂本龍馬の誕生日であり命日なのですが、今年は日曜日ですから、その直前の月曜日の今日からスタートです。

記者
経済・雇用対策本部会議について伺います。新規高卒者への支援と中小企業への金融支援の二つについて教えてください。
1点目の高卒者への支援ですが、今キャンペーンをやっているというものの実際の現場の県内の中小企業の経営者の方々に聞いても、お願いされてもなかなか厳しいのが実態だというのは本音であって、そういう悪循環に陥っているような状況下では、政策的な話になろうかと思います。これは今すぐというわけではないのですが、例えば年末、年明け以降を見据えて、県として若年労働者の確保のためにもこういったことを考えているという、検討しているところがあれば教えてください。
もう一点が中小企業への金融支援です。昨年末からの借り入れが始まって、実際に返済がスタートするわけなのですけれども、そういったことなどもかなり厳しい状況です。今回いろいろと協議がなされるようですけれども、その面でも県としての政策的な考えあれば教えてください。

知事
まず、来年3月の高校卒業予定者の就職については、地域によってはもう8割くらい内定が出ている学校があったりとか、分野によってはかなりよい分野もあると聞いていますので、やはりマッチングという、その高校がふだん声をかけてない、あるいは視野に入れてないようなところも振興局等の情報を持っているところからつなげていくということはまだまだやる余地があると思っています。
それから、金融関係については、まず去年の年末、そして今年の年度末、さらに夏を越えられるかとか、何回か危機があったところをおおむね乗り越えてきていると思います。そういう意味で、全体としてはある程度十分といいますか、底が抜けないような資金供給はできていると思っていまして、年末に向けてもそれをきちんとやっていくことが大事だと思っています。しかし、質問にあったように個別の会社とか、深刻な問題に直面しているところはあると思います。そこをきちんと相談窓口など、金融機関と会社、保証とか紹介とか、いろいろ公的なつながりをつけるところがありますので、そういったことをきめ細かくやっていくということが大事だと思います。

記者
つまり、新規高卒者の雇用の場についてはマッチングという形を進めていくと、特段こうという認識はないということでよろしいですか。あと金融面でもそういうふうにとらえてよろしいですか。

知事
中小企業支援を別途金融的にやったりしていますし、また個別企業が雇用者を雇用する際の支援とか、教育、研修の支援とか、そういう企業向けの支援、経済対策については別途ありますので、それと雇用対策をリンクさせれば総合的に経済・雇用対策になるという考え方です。

幹事社
それでは、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
政府の行政刷新会議は、2010年の予算編成に向けて事業仕分けの対象事業を今日の夕方に正式決定をします。240事業の中には医療費の国庫負担も含まれていますが、知事はどういったものを対象にすべき、どういったものを残すべきとお考えでしょうか、教えてください。

知事
私が知事になってから政策的予算はすべてゼロベースで見直すということをしています。政策的な事業の数というのは知事の手元で300くらいでしたか、そのくらいであれば知事を中心としたスタッフで再検討にかけることができますので、絞り込むということがよくわからないのです。県がゼロベースでの見直しをやったときは、政策的な事業は全部見直ししたわけで、事業仕分けというのは全部チェックするものと思っていました。300ぐらいであれば基本的なところは一晩で見れますし、関係者に相談しながら実際にどういうことをやっているのかは、何週間かかければ300ぐらいの規模であれば一気にやれると思うので、さらに手分けしてやれば1,000単位の事業でも仕分けというのはできると思うのです。そういう意味で絞るというのはよくわからないので、そういうやり方もあるのかなと思いながら見たり、聞いたりしているところです。

記者
知事として、対象事業を絞ることは必要なのだろうかという疑問のほかに、政府にこういうふうに作業してほしいということがあれば教えてください。

知事
概算要求が旧政府によってかなり固められ、それを新政権になってから見直したわけですけれども、補正予算の見直しほども時間をかけることができていないのではないですか。補正予算の見直しにすごい力がかかっていたから、本予算の概算要求の見直しには各省庁はほとんど時間をかけることができていないので、マニフェストにあるものを追加して概算要求を出したということだと思うのです。
本来、概算要求の準備というのは4月、5月、6月、7月とか、4カ月くらいかけてやるものなので、そういう中でこの事業仕分けというのをどうやっていくのかというのはなかなか難しいのでしょうけれども、要は来年度予算を今やっているのですが、来年4月から再来年予算を準備するときにもう一回ゼロベースで見直せばよいと思います。ゼロベースの見直しというのは、一度仕分けをやればよいというものではなく、毎年毎年ゼロベースで見直すという感覚が必要なのだと思います。そういうことを毎年きちんとやっていけばよいのではないでしょうか。

記者
小沢一郎民主党幹事長の党運営に関してなのですが、陳情は幹事長室で一元化するということに、例えば全国県議会議長会などから不満とか心配、懸念が出ているのですが、それについて知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
団体や企業がいわゆる族議員と一緒になって政府に直接食い込んでいくということをなくすという意味で非常に大きい改革なのではないかと思います。いろいろと要望や提言をする側の立場に立っても基本はオープンな議論の中で優先順位が決められていくという、その中にきちんと入れてもらえばよいので、そういう意味で窓口が一つわかりやすくあって、そこから手続を経てちゃんと政府につなぐべきものはつなぐというのは悪くないのではないかと思います。

記者
そうすると、これまでより良くなるのですか。

知事
はい、そうだと思います。

記者
官僚答弁禁止の国会法改正案について連立を組む社民党からも反対が出ていますが、これについてはどういうふうに進めるべきだとお考えでしょうか。

知事
基本はイギリス型の二大政党制の議会運営ということで、常日ごろから二大政党の理念や政策を国民の前で議論するということをやっていて、それでどちらが政権を持つのがよいのかという材料を国民に提供し続けるということで筋が通っているのではないかと思います。

記者
今の質問の関連なのですけれども、報道ベースでしか私もわからないのですが、陳情の一元化は企業や団体だけではなくて地方自治体も入っていたと思います。そうすると、例えば県や市町村、あるいは首長が陳情をする場合も一元化で幹事長室にまず申し込むということなのだろうと思うのですが、この点についてはどうお考えでいらっしゃいますか。

知事
その辺は既に長妻大臣に会って地域医療の崩壊阻止について申し入れたりしていますし、今の段階でそういうことをやめようとは思っていません。必要であれば大臣なり、あるいはそれにかわる政務三役に直接いろいろ申し入れるということは今の段階ではやりたいと思っています。

記者
ただ、地方自治体からも陳情の一元化で幹事長室ということになると、杓子定規に言えばルール違反ということになりはしないか。逆に政治家同士の会談と陳情とをどこに線引くかというのは難しいと思うのですけれども、そのあたりの仕分けもきちんとしないと、本来癒着をなくしていきましょうという目的ですから、民主党の趣旨と反してこないかという心配もあるのです。実際に民主党の各大臣ともかなりお親しい方もおられると思うので、知事の動きも注目されると思いますが、そのあたりをもう一度お伺いします。

知事
いわゆる陳情、要望というものも日本国憲法上の法的位置はどうなっているのかというとかなりあいまいではっきりしないものだと思います。日本国憲法上はっきり政府に対する要望のルートというのは、請願権の請願という制度として保証されていて、それはどんな国民でも国会に請願を出すことができるのですけれども、それで国会の委員会で請願採択と決まれば、それが政府に行くという正規の要望ルートはあるのです。あとそれを補うものとしては、地方議会から意見書というものを、これも議会において意見書が採択されれば、それは政府に直接正式に行くようになっています。実は本来憲法やそのもとでの法令が想定しているそういう国民あるいは地方から政府に物申す仕組みをきちんと活用するというのが大事なのだと思います。まず、それがきちんと機能すれば実は、いわゆる知事が大臣に会ってどうのこうのということは、法体系からいうとイレギュラーなものだと思うのです。だから、そういうことをしなくてもうまく政治、行政が回って国民、住民のためになるような運用がなされていけばよいと思います。

記者
昨日行われた一戸町長選について伺いたいのですが、知事は今回の選挙に関連して2回地元に入られましたけれども、応援された候補者が落選されました。今後、その首長さんとの関係がぎくしゃくしないのか、特に町村会の会長さんでもあるのですけれども、そこら辺どうお考えなのか。あと今後も首長選があれば、いつも政治活動は自由にされるということですが、そのスタンスは変わらないのか、その2点について教えてください。

知事
行政の長としての仕事は、政党とか会派とか関係なく公正中立に行われるべきもので、今までもそうやってきたし、これからもそうやりますので、私の方からは特に問題を感じておりません。
それから、政治活動一般については、これはやらないということも含めて自由にやらせていただこうと思っています。
今回、原口総務大臣から総務省顧問をやってほしいという話があって、それで引き受けて任命してもらったのですけれども、実は総務省顧問というのは非常勤だけれども、一般職の公務員だということで、聞いたときに「えっ」と思いました。一般職の公務員というのは政治活動をしてはいけないのです。政治的行為の制限と国家公務員法に書いてあって、特別職ならよいのですけれども、一般職は政治活動を行ってはだめなのですが、行ってだめなのかと総務省にも問い合わせたのですけれども、「人事院規則の中に顧問等の臨時の一般職公務員は政治的行為の制限にかからないとはっきり書いてある。」との説明を受けました。いわば政治的活動をすることについては総務省からもお墨つきを得たような格好でありますので、そこは自由にやらせていただきたいと思います。

記者
民主党県連がこれから首長選で相乗りをしないということで今後もいくということです。今回負けてしまったのですが、政党を地方選挙に持ち込む、政党色を持ち込むことについて限界もあるのかなという感じもするのですが、そこら辺どのようにお考えになりますか。

知事
民主党の立場になって考えますと、政権与党になって、今、日本全体として民主党の理念、政策を進めていくというときに、地方選挙においてもそれと呼応して、あるいは理念、政策を共有しながらやっていく、そういう候補者の選択肢をそこの選挙区の人たちに提供しないというのは、かえってそれでよいのかということになるのではないでしょうか。ですから、選択肢を提供するということは、どんどんやられることがよいのではないかと思いますし、あとはその地域の住民、有権者が自由に選択すればよいのだと思います。

記者
放射能災害事案の対応について伺います。
今月5日の夜に八幡平市の東北自動車道で放射性物質を含む液体の積載車両が追突事故に遭いました。幸い放射能の量がごく微量であるということで大事には至らなかったのですが、そもそもこういった事案についてはあまり想定してなかったようで、県や県警の対応が随分混乱したように見受けられました。今回の対応について、知事はどう受けとめられましたか。
それから、仮に六ヶ所村から、今回は低レベルでしたけれども、今回よりもレベルの高いものが搬出される可能性があるということで、今後、県とか県警の間で意思疎通をする考えはあるのかということ、それからまた内部でマニュアルなどをつくる考えがあるのかということ、さらには事業者側とすると危機管理の問題は、いつ何どきどこに搬出、どういうルートで搬出するというのはなかなか公表するのは難しいということですけれども、何らかの示唆なり事業者に求める働きかけをする考えがあるのかということを教えてください。

知事
今回運ばれていた放射性物質というのは、量的にも0.8リットルで、そして含まれている放射性物質のレベルも大変低くて、聞いたところによりますと有馬温泉の温泉水6リットル分くらいの放射レベルという話です。そういう低いレベルの放射性物質については、関係の都道府県公安委員会への事前届け出も不要とされるものだということなのですが、ただ後からそういうことがわかっても、事故が起きた場合の対応時には、県警をはじめ関係者としても放射能量が低いものである、量も少ないということがよくわからないわけなので、やはり長い時間、高速道路を通行止めにしたりするわけです。今回はそういう意味で危機管理上の問題があったというよりは、そういう交通規制上の不自由を強いられたというのが問題ではあったわけですけれども、これはきちんと県から日本原燃には対しましても11月6日に環境生活部長から先方に、まずそもそもこういう事故が起きないようにという注意喚起をいたしましたし、また低レベルの放射性のものであってもこういう事故が発生したときには正確かつ迅速な情報の伝達をするようにということを求めたところです。

記者
それに関して、原燃のほうはどういった回答だったのでしょうか。 

知事
それは適切に対応するという趣旨の返事を受けていると聞いています。

記者
インフルエンザ警報が出ましたけれども、改めて知事から呼びかけをお願いします。

知事
開業医の皆さんをはじめ、病院関係者の方々も、本当に一生懸命対応してくださっていて、患者の症状が重くならないように、できるだけ早く治るように、そういう形できちんと対応していただいていると思います。そして、それに加えてワクチンの接種が始まって、これも大変な作業なのですけれども、きちんとスタートできていると聞いています。このように、基本的な対策の枠組みはできていますので、あとは県民の皆さんに手洗い、うがいなどの感染予防対策を取っていただく、感染したらかかりつけのお医者さんに電話で連絡をとって、その指示に従って受診していただく、そうしたことをきちんと実践してもらうことで、事態の悪化を防ぎながら、必要な治療を適切に受けられる体制を確保していきたいと思います。

記者
一戸町長選に話が戻るのですけれども、今回当選した側の陣営とか一般の住民の方から、達増知事が応援されることに対して行政の長と政治家として分けているとはいえども、街頭演説されるときは知事という肩書きでいらっしゃっているので、そもそも知事として応援されていることは、もし知事が応援される候補が当選しないときには予算がつけられないのではないかということを懸念する声がちょっとありました。そういった懸念を感じさせること自体が各地方自治体に政党政治を押しつけることにつながるのではないかという反発の声が多く聞かれたのですが、それに対してはどのように思われますでしょうか。

知事
私は、正に国政選挙との関係では、野党を応援しているからといって予算が付けられないなんていうことはあってはならない、あったらそれは民主主義の否定だということで、逆に野党のほうを応援していたりしたわけであります。そういう意味で政党同士の選択ということにかかわる競争は競争であって、それが行政の中立性、公平性を侵すことは絶対あってはならないということは、もう政権交代前から言っていたことでありますので、これは私自身徹底していきたいと思いますし、関係の皆さんも徹底してほしいと思います。それは、与党、野党に限らず、あるいは無党派、県民党とか町民党とかであっても選挙での対応等と関連して行政の中立性とか公平性などが侵されてはならないので、当たり前のことではありますけれども、すべての首長さんが気を付けてやっていかなければならないことだと思っています。
つまり、政党と関係して政治活動を行っていない首長さんであっても、地元有力経済人と癒着して行政の中立や公平をゆがめるという事態は全国各地で起こっていて、犯罪にまでなっているケースがあるわけで、そういうことをしてはいけないというのが基本であって、そういうところが守られていれば、政治活動については自由であるべきということであります。

記者
今の質問に関連してなのですが、衆議院議員選挙後の県内の首長選で民主党の推薦する候補の方が結果だけ見れば苦戦しているという印象があるのですが、この理由はどのようなところにあるとお考えでしょうか。

知事
見ていますと、国政がチェンジしたのだから市町村においてもチェンジだというような、そういう運動が実を結ばないケースがあるということだと思いますけれども、市町村の中において、今までどおりでよいのだと、今までどおりでいくべきだという、そういう力がかなり強いということだと思います。

記者
そういうふうな力が強いという状況を認識されているということなのですが、民主党としてはそういう状況にあっても今みたいな戦い方を続けていくべきとお考えなのでしょうか。

知事
今までどおりの中身にもよるのですけれども、他方どんなにすばらしい善戦をしている人なり政党なりであってもどこかに失敗とかミスはあり、また優先順位のつけ方などで不利益をこうむったり、困ったりしているというのは常にあるわけで、どんな主義、主張に対してもそれに対しての反対というのはあり得ると思います。そういう意味では、理念なり、政策なり、あるいは路線的なものでも競争しながらやっていくことで正義や真実に少しでも近づいていこうというのが民主主義の基本的パターンだと思うので、そういう意味で先ほども言いましたけれども、別の選択肢を提供し続けるということは極めて意義あることだと思います。

記者
事業仕分けの話に戻るのですけれども、今晩にも具体の対象事業が決まるということなのですが、地方交付税の見直しなども入っていて、これについては各県の知事さん等もいろいろとお考えがあるようです。これに対する知事のお考えと、医療費の国庫負担の問題があって、岩手の場合には地域医療の問題ですけれども、どういった影響があるのかないのか、そこら辺のお考えをお聞かせください。

知事
私は、全部見直すことが基本ではないかという立場なので、見直しの対象になったからといってびっくりもしないし、不安にもならないのですけれども、むしろ逆に見直しの対象にしないということが、これはオーケーというお墨つきを与えるという趣旨だとしたら、それでよいのということを逆に思います。
基本的には全部見直せばよいので、地方交付税がそういう検討対象になることは別に構わないと思います。その結果として、やはりやらなければだめだとか、さらにもっと強化しなければならないという結論になればよいと思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は11月16日(月曜日)の予定です。

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